モノローグ
有名なアーサー王をモデルにしてますが、アーサー王物語も読んだことがなく、正直時代背景も違うかもしれませんが、少しでも興味を持ってもらえればうれしいです。
小さい教会の部屋の中小さな暖炉があり、その暖炉のそばにはスカーフを被り顔がよく見えない老婆が椅子に座っていた。
椅子は音を立てながらきしんでいた、その膝には毛布がかかっていてその上には古びた一冊の本が置いてあった。
その本の上に被さるように指を置いていた、その指はしわが多くその老婆がかなりの年月を過ごしてきたかを物語っていた。
しかしその指は細く白く、昔はどれほどの綺麗な指をしていたかは想像が容易かった。
その老婆のそばに子供が3・4人集まってきた、子供の服装はお世辞にも綺麗とは言えなかったが、大切に使われていたのがよくわかった。
子供は目が青い子・髪が灰色・そして黒い瞳など見た目で様々な人種の子供たちだった。
そのうちの一人の女の子が、元気な声で老婆の本を指さしながらこう言った。
「ねぇ、お外に雪が積もって遊びに行けなくなってもうずいぶん経つけど、そのご本はまだ読んでくれないの。」そう言いながらその指先を窓の方に向けていた。
その動作につられて他の子供も窓の外を見ていた、外は雪が積もり辺りは薄暗かった。
そして、別の男の子が。
「雪が積もってた読んでくれるって言ったよね。」
それに続くように、他の子供もしゃべりだしていた。
老婆は困ったような仕草をして、唯一見えている口元が笑い出すと、こう切り出した。
「このお話はね、昔々の話さ、一人の青年が王になりその王が唯一友と呼んだそんなお話だよ。」
「でも王様は他の人と違って、友達なんていないよ。」
確かに子供ながらの疑問だった、そうしたら老婆が少しためてから。
「友と呼ばれた人物は王のことを友ではなく、主または王よと呼んでいたのよ。2人の間には少しずれがあったのかもしれないね、でもお互いを信じあっていたのは本当さ。」
「それじゃさっそく聞かせてよ。」
「聞きたい、聞きたい。」
子供たちはそう口に出すと老婆にすがるように、抱きついていた。
「そうかい、なら聞かせようじゃないか。」
そう言うと重たい口を開いた。
「今ここに一人の青年の王になる王道と、その影で彼を支え生涯忠誠を貫いた物語を。」
そう言うと老婆は静かに本を開きゆっくり読み始めた。
子供たちは、皆静かに座り聴き出した。
そう、今からこのも語りを読み聞かせよう。