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捨てようとした命を彼に救われた話  作者:


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1/6

1話

 もう限界。だって急な理由の無いクビ宣告。きっと労働基準法違反。しばらく前に5年くらいお付き合いし昨年婚約してた彼は浮気してたから婚約破棄。多分浮気期間は結構長い。それなのに何故かなってなかったはずの彼の連帯保証人で家も失う。帰れなくは無いけど取り立ての人がいる。こんな状況親にも話せない。ありったけの不幸を煮詰めましたみたいなこんな事……。私が何をしたって言うんだ。

 今の私生きてる意味ないんじゃないかな……。そうだよ。いっその事自殺でもして会社も彼も後悔すればいいんだ。私はあいつらが悔やんで悲しむ姿を見られないけど、それで反省すればいいんだよ。……もしかしたらそんな事思わないかもしれない。でも生きるの疲れたからいいや。

 なんとか書いた遺書をポケットに入れて、最低限の荷物で上級者向けの山を登っている。ちなみに天候はあまり良くない。結構強い風が吹いてて空はどんより曇り空。時間も夕方を過ぎてだいぶ暗くなる頃。勿論周りには登山している人はいない。これから迷惑かける人ごめんなさい。親不孝者でごめんなさい。それでも私は限界なのでこの世から消えさせて頂きます。

「高い所から見る景色っていいもんだな……」

 きっと登山する人は景色を見るのも好きなんだろうな。もっと早くに気付けていたら私も目覚めてたかもしれない。来世では楽しめたらいいな。

 ぼんやり考えているとしばらくまともにご飯食べてないから力が……。身体が冷えてきてガクッと足の力が抜け崩れる。遠くに見える地面がゆっくりと近付いて……。

「おまっ、馬鹿野郎!」

 グイっと力強く腕が掴まれ引き寄せられる。ドサッと強い音と衝撃の割に痛みは来ない。背中から回される腕にぼんやりとしてた思考が少しだけ覚醒した。

「ってぇ……」

「えっあっ!ごめんなさい!」

 振り返ればどこかで見たことある顔。あ、でもやばい。もう起きてられない……。


 目を開けると見知らぬ天井。何がどうしてどうなったんだっけ……。ボーッとしているとガチャっと扉の開く音がした。そっちへ視線を向ければえっと……確か別部門の同期の……そうだ。

「朝比奈……さん……?」

「名前覚えててくれてんだ」

 人懐っこい笑顔をしながら一人用の土鍋を持ってきてサイドテーブルに置きパカッと開ける。モクモクと立ち昇る湯気に食欲が唆られる。

「食える?」

 レンゲを手渡されて土鍋の中を見ると卵がゆだ。ひと掬いして食べるとじんわりと温かさが沁みる。思わずホロりと涙が溢れる。

「ぅえ?大丈夫か?」

「ごめ、大丈夫……美味しいです……」

 私が泣いたせいでオロオロとしてる。そうだこの人はいつも優しかった。別部門だから時々しか見かけなかったけど、落ち込んだ時はいつも励ましてくれた。

「ごちそうさま。久し振りに温かいご飯食べられました」

「久し振りにって……。何があったんだよ」

 婚約者の浮気からの婚約破棄、連帯保証人による家財道具も家も捨てるしか無かった事、それなのに収入が無くなった。親に頼る訳にもいかないから全てを諦めた事。全部話した。

「それは……。なんて言っていいのやら……」

「困らせてごめんなさい。美味しいお粥ありがとうございました」

「それはいいんだけど……」

 早く出て行かなきゃ。優しい彼にもこれ以上迷惑かけるにはいかないから。

「じゃあ、また会えたら「ここに住む?」

「え……?」

 驚いて見ると彼は真剣な表情だった。

「使ってない部屋あるし、冬月さんがいいならだけど」

「ありがたい話ですけど迷惑かけたくないですし」

「迷惑ならこんな事言わないよ」

 少しだけ照れくさそうにしてる彼に少しドキッとした。本当に優しい。元婚約者が彼みたいだったら良かったのに。

「ありがとうございます。仕事とマンション決まったら出てくのでそれまでいいですか?」

「うん、大丈夫……」

 そう言うと落ち込んだみたいに声が小さくなる。ボソボソっと何か言ったけど聞き取れなかった。とりあえずはほんの少しだけ残った貯金でどうにかしなければ。救われた命だから大切にしないと。と少し前向きになれた。

「じゃあとりあえず冬月さんはここで寝てて」

「そしたら朝比奈さんは?」

「来客用の布団あるからそっちで」

 そう言いながら土鍋を持って部屋から出て行く。家主を差し置いてベッドで寝るのは気が引けたけどありがたく眠らせてもらおう。なんとなく朝比奈さんっぽい香りに包まれてこれまた久し振りにぐっすり眠れた。

落ち込んだ女性が光属性の男性に救われるお話が好きで書いた物語です。

話は完成しているので定期的な投稿を予定しています。


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