一歩踏み出す勇気
今回は少し長めです
・・@・・
そろそろもう限界かなぁ。捕まっちゃうかなぁ。そう思わずにはいられない。
何てったて大きないもむしが触手的なの振り回して襲ってくるんだよ!?そりゃ終わりを悟るのも悪かないでしょ・・・って?あれは誰だろう?
「おーい!そこのひとたち逃げてぇぇぇぇ!」
そう叫ぶが、逃げるそぶりをその人たちは見せない。
「フブキはその子を少し離れたところへ。私の”異能力”の方が救出するのに向いてるでしょ?」
「ヒビキ…ありがとう!でも無茶はダメだからね?ヒビキは戦えるというわけでわないんだから」
「それでもフブキよりも助けられると思うから…」
なんかしゃべってるけどいいんですかね?このままだと、巻き込むんですけど
そう考えていると茶髪の少女―――私よりも年上かも―――がこちらに向かって走ってくる。
もう一人はというと床に倒れた子を担いで離れていくな…いや、あれ朱音に見えるんだけど。視力2.0の私の目が朱音と判断しているッ―――!
「ツイニツカマエタヨ?ヤットヤットタベレルンダァ」
前を見すぎたせいか、足が疲れて速度が落ちたせいか、触手(?)に足を絡めとられて、上に持ち上げられた。芋虫のなにか―――あとで聞くとこれが”異能”らしい―――は楽しそうにうねうねしながら触手を口元に持って行って・・・
「ゴメンね!間に合わないから使う!”異能力”:”狂言”よ。『吹っ飛べ』ーーーーッ!!」
そう茶髪の子が叫ぶと芋虫の”異能”が大きく仰け反り・・・吹き飛んだ。
触手の力が緩み私を宙に投げ飛ばしながら。
「あ、このままだと落ちる…」
「『地面よ、柔らかくなれ』」
おおぅ地面がクッションのように柔らかいんじゃあ…
じゃなくて、生きてる?助かった?
「あの、ありがとうございます。」
「いいよいいよ。それよりもけがは?動けるのならあの黒髪の男の子についていける?」
走って近づいてきた少女が心配そうな顔でこちらをのぞき込む。
ふわふわの尻尾に耳…コスプレイヤーではなさそうなんだよなぁ。不思議な力つかってたし。漫画でよくある特殊能力なんだろうか。そういうのには少しあこがれるんだけど…
助けてくれたし敵ではなさそうなんだけど、警戒はしておこう。
「わかりました、すぐ行きます。」
そういうと少女は微笑み、あの芋虫に向かっていった。
少し歩くと黒髪の少年―――こちらも年上に見える―――が急いで駆け寄ってきた。近くには朱音もいる。
「けがはないかい?災難だったね。」
「大丈夫です。それと、その子…朱音となんかあったんですか?」
「おお?知り合い?えっとね、お話を聞こうとしたんだけど、敵だと思ったのか少し戦って…」
なるほど、つまり朱音の勘違いだったというわけか。朱音は朱音で助けてくれるってことは敵じゃないってこと・・・!?と驚いてるのでそれが事実みたいだ。
「えと・・・すみません。朱音さぁ、聞いてなかったの?」
「う、うん。私なんも聞いてなかった。」
「朱音がここまで抜けてるなんて、疲れてる?・・・それはそうと、ずっと気になってるんだけどさ。その角ってさ、コスプレ?」
そう。ずっと気になっているのだ。頭から、いや明確には額からだが日本は絵立つのがやはり目を引いていしまう。
「いや、生えたの。でも安心して、自由にしまえるみたいだから。」
「しまえるんだ。じゃなくてやっぱあの”異能”関係なのかなぁ。目覚めたってこと?」
「あーうん。多分?」
そのあいまいな答えになってしまうのも無理はないか私だって訳が分からないし。
「じゃあ、あなた方も”異能”に関係しているのですか?」
ふと気になって黒髪のケモ耳少年に聞いてみる。
「姿を見てそう思ったのなら大当たりだね。”異能力”使用者の体には何かしらの変化が起きるみたいなんだよ。僕は狐の耳と、尻尾が。彼女は狼の耳と尻尾が生えて八重歯が伸びた。そして君の友達、あかねさんかな?その子にも角が生えただろう?十分推測するには手掛かりが整っているね。」
ちらりと戦っているほうを見ながら、黒髪のケモ耳少年はそう教えてくれた。ヤサシイ。
私は私でちらりと朱音を見るとうつらうつらと眠たそうにしているのが見えた。
「彼女戦ってたみたいだから、疲れているのだと思うよ。多分初めてで慣れてなさそうだったし。」
なるほど。このまま少し休ませてあげるべきだな。
「そういえば自己紹介がまだだったね。僕は夏風吹雪。 フブキとでも呼んでくれ。それで今戦っているのが東雲響。ヒビキとでも呼んであげてくれ。僕たち二人とも出羽西高校二年三組だよ。」
「えぇ!?先輩だったのか」
なんと驚き、先輩だったみたいだ。世界は狭いのかもしれない。
「なるほど。その反応だと君たちは後輩だったということか。でもよかったよ、素性を探る手間が省けた。」
そんなことをしゃべっていると、弾かれるようにヒビキ先輩が飛んできた。
「受け身は取ったけど、きついなぁ。」
そういって下がるように後退するヒビキ先輩を見ながらフブキ先輩が驚愕する。
「え、ヒビキの受け身で防ぎきれなかったのか!?確かにしゃべれるし、それなりに強いとは思ってたけど。」
「ヒビキ先輩受け身うまいんですか?」
「かなりな。”異能力”が攻撃に用いりにくいから少しでもけがを減らせるように、って鍛えてたからな」
ヒビキ先輩はこっちを見ながら顔を少ししかめている。どこか痛めているのかもしれない。
「フブキ、交代できるかな…ちょっときつい。」
「おっけ、分かった。あとは任せな。助けは一応呼んでいるけど一応遠くに逃げててくれ。君はあかねちゃんを頼めるかな?」
少しきつそうな顔しているけど覚悟を決めているのか、芋虫型の”異能”を睨むフブキ先輩から逃げろと言われたが。
「いや無理ですよ。もしかすると、、、もしかするかもじゃないですか。」
その意図を読み取ったのかフブキ先輩は呆れたように苦笑する。
「いや無理だろ。君たちを生かすほうが僕はうれしいかな」
「キミタチナンカシャベッテルケド、ソロソロゲンカイダヨォ!!!ウットウシイモノスベテタベタラウットウシクナルヨネェ!!!」
そういいながら触手を増加させ、こちらを狙う。いや、攻撃してきた。
「ほら、もう逃げろ。来るぞ!!」
フブキ先輩は触手による攻撃を足元からそびえたたせる氷の壁で防ぎながら、私たちを逃がそうと前に立つ。
「―――ッ!!!すみません!」
私たちは朱音を担いで急いでその場を離れる。「無事に逃げろよ」というフブキ先輩の言葉を聞きながら。
走り出したけどさ・・・・出会ってすぐとはいえ見逃していいのか?助かるかもしれないのに。確かに私たちの安全のためならそれが正解かもだけどさ…足手まといとなろうと生存確率を少しでも上げたいだろ!!
「ヒビキ先輩、朱音をお願いしてもいいですか。」
「え!?いかないで?助け呼んでるから。それに君”異能力”すら持っていないでしょ?」
「「うぐッ。」」
たしかに、そんなもの感じてないな。何も変化生じてないし。
っていまのは私だけじゃない。フブキ先輩の声…?やはり行かなきゃ・・・ダメなんだ!
「それでもお願いします!」
「だから向かっちゃダメっ痛っ。」
ヒビキ先輩の制止を振り切り私は今来た道を振り返り、足を踏み出す―――
はい。”異能力”はまだ開花していません。
でも覚悟を決めたから!




