【夢中】子おおかみ1~3番外編
side:麒麟
任務が終わったシャワー室。
「麒麟。シャンプー、ロッカーに忘れた。貸して~」
「双葉、待て……今、流してるから……」
「ん?麒麟……ぷっ……ぶはっ……あははははは!!」
「……??何?何だよ……まだ、アワが……」
「麒麟、おしりにハスの小さな花が咲いてるぞ?」
……。
蓮美ぃ~~?!!
あ……れだ……
「そう、卵焼きで?そんなお楽しみを……へ~。」
アワの残った頭のまま、双葉の覗く位置にシャンプーの入れ物を投げつけた。
「おっと、あぶね~。くすくす……」
この、腹黒め……
流し終え、鏡でおしりを見る。
……。
胸の位置にあるハスより小さな白色の花。
「あれ?嬉しいの?麒麟……変態だね。」
「うるさい。てか、双葉……お前は、穂波と付き合っているのか?」
「うるさい。仕返しかよ?ちっ……」
仕切りの板に両腕をのせ、双葉がふくれた顔。
同じように、自分の仕切り板に腕をのせる。
「……どう思う?」
「付き合っているようにしか見えないけど?」
「だよね~?いっそ、婚姻届を勝手に出そうか?」
「本気にしか聞こえないぞ?その顔……」
「え?何のこと♪」
……止めてもしそうだ。
頑張れ、穂波……まさか、結婚式まで無断だとは思わなかったが……
「はぁ~~、疲れたよう。俺も、シャワー……」
景彩が、目の前で脱ぎ始める。
「……麒麟、俺……相手がいるのにドキドキするよ。」
「あぁ、俺もだ……何故だろうか?」
「期待が……残念に変わる……」
「何、二人……喧嘩を売っているのかな?俺、聞こえてるけど?」
「……海波は、可愛いのが好きなんだからいいんじゃない?」
「ふふっ。そうだよ♪」
「……はぁ……景彩、あまり匂わないね。くんくん……」
「……?!!?!海波?」
「海波、変態だね……」
「うるせぇ、腹黒に言われたくないね!」
……俺的には、違和感が無いのが不思議だ。
「こらぁ~~!!海波、男子更衣室に入るな!!」
そこへ、荊さんが入ってきた。
「うわぁ~~?!」
「ちょ、荊さん?俺達、裸なんだけど??」
「うるさい!黙ってて!!」
海波の首を腕で絞めながら、引きずる。
「苦しいぃ~~、荊に殺されるぅ~~。」
【ポカッ】
「黙れ!……てか、海波は裸OKなの??」
「……いや、なんとなく?」
「そう、なんとなく?」
「……海波は、女の子だよ!」
「荊、海波を連れて任務室で話をしなさい。」
「はぁ~い。恵、この子達の感覚……おかしいよ?」
「荊と綾も、変わりませんよ……さ、行って。」
荊さんが海波を連れて、出て行く。
「景彩、前を隠してください。何故か、ドキドキします。」
「何で??」
「いいから。話が出来ません……」
景彩は、脱いだ服をもう一度 着た。
「はぁ……役員に、振り回される時間はありません。どうして、問題を起こすのですか?」
「恵、誤解だよ!」
「そうだよ。俺は、真剣に悩んでるんだぞ?」
それが、怖いんだけどね?
「しかし、海波が中にいても違和感が無いのはどうしてでしょう?」
「「「……ケイトさんに似てるから?」」」
「彼は、特殊任務で……接点が少ないので、何とも言えません。ん?麒麟……その胸のは、校則違反ですか?」
ハスの花を見つけ、恵が睨む。
あれ……どう説明したらいいんだ??
蓮美に付けられたんだけど……おしりにもある。
「麒麟?」
「……の……」
「……の?」
「うわぁ~~んん!!呪いだよ!!文句があるの?酷いよ……どうせ、勝てないよ……くすん……」
「あぁ~ぁ、恵。麒麟に今触れてはいけないところの、ど真ん中だよ?」
「……すみません。麒麟……?」
無視……
「ほら、体が冷えます。ちゃんと、シャワーを浴びて出てきなさい。後で、話を聴いてあげます。」
結局、面倒を見ている恵でした……
『色気は病気?』これは、麒麟が熱を出したときのこと。
羊二side。
「珍しいな。麗季、どうだ?」
麒麟の部屋におかゆを運んだ麗季に様子を訊こうと、ドアを開ける。
……。
「な?!何を!!」
麒麟が布団の中で、麗季を抱きしめている。
抵抗は少ないのが疑問だ。麗季を麒麟から取り上げる。
俺のだ!!麗季の顔で、懐かしい感覚になる。
「どうして、顔が赤いの?」
「……息子とは思えない色気に、酔った。」
??
言っている意味が分からない。目を、麒麟に向ける。
「……げ?」
確かに、無駄な色気が駄々漏れている。
虚ろな目に、火照った頬……少し、息が荒い。
麗季を抱えながら、麒麟に声をかけてみる。
「麒麟、これは俺のだよ。お前のは、手に入れきれてないからって手を出したのはどうしてだ?」
真剣に訊く俺……
「……ふっ。俺の腕に身を寄せ、可愛いね。」
病気か?
あぁ、病気だった。
携帯をポケットからとりだして、かける。
「草樹、今いいか?」
『何?麒麟は、大丈夫か?』
「大丈夫じゃねぇ。勝てない反動か、おかしい……何かに生まれ変わるんだろうか?」
『はあ?ヒツジ……言っている意味が解らない。』
「俺も、どう説明していいのか解らない。」
『そうか。今から、診に行く。状況は後でな!』
「麒麟、寝ろ。」
「はい。」
最高の笑顔で、枕に頭を落とす。
あれ?息子が可愛い……いや、感情的には合っているのか??
麗季を別の部屋に移し、ソファーに寝かせる。
普段なら、いただきますなのだが……
麒麟の様子が先か。
白い紙にペンで文字を書き、テープを持って麒麟の部屋のドアの前に立つ。
開いた隙間から、妙な雰囲気。
ドアを閉め、紙を貼り付けた。
草樹side。
「上がるぞ~。」
インターホンを鳴らしたが、出てこない。
ちっ……イチャイチャしてんのか??
勝手に玄関に入り、階段を上る。
麒麟の部屋のドアの前に立ち、張り紙を読む。
は?
意味が解らなくて、ドアを開けた。
別に変わったところはないが??
「麒麟、具合は……」
??!!?!
汗を流し、寝ている麒麟から色気が駄々漏れる。
「何でだ??き……」
俺の声に、うっすら目を開け……かすれた声。
「……欲しい。」
あれ?俺、男だよね??相手がいますし??
それなのに、何かが反応した。あぁ、麗彩……麗彩を抱きたい。
「麒麟、薬は飲んだのか?」
おかゆは、食べたようだが……
「水……飲ませて。」
……。張り紙は嘘ではない。
こいつ大丈夫なのか??これ、弊害なのか?蓮美に勝てる力を使いきるんじゃ??
起き上がって、水を飲む姿……それだけで、ドキドキする。
零れた水が首筋を通り、目が離せない。
酔いそうだ……医者として、してやれることをしてやりたいが……
限界だ!!注射を打ち、俺はその部屋から逃げた。
麒麟……着替えも、ボタンを外して聴診器を当てるのも……無理だ。
ごめん……お前、おかしいよ。綾の色気が移ったのか??呪いなのか??
一葉side。
「麒麟の家は、インターホンを押して返事がなくても開いていたら上がってもいいんだ。」
不思議そうな瑠璃の手を引いて、階段を上がる。
「張り紙……」
二人は固まる。一応、俺はドアを開けた。
……。
何かを感じ、勢いよく閉める。
「一葉??」
「瑠璃、麒麟が落ち着いたら来よう。嫌な予感がするんだ。」
「……うん?そう、一葉がそう言うなら。」
双葉side。
麒麟が熱で、学校を休んだのは初めてだ。
「双葉、麒麟の家に勝手に入ってもいいのか??」
穂波とは、付き合っていない……らしい。が、俺と行動を共にする。
これは、デートだよね??
「聴いてるのか?」
「いいんだよ。返事が無いときは、ヒツジ君のお楽しみ中なんだ。」
「??」
階段を上り、麒麟の部屋の前。
「……色気が充満してるので??」
よく解らない張り紙に、ドアを開けた。
俺たちは、中に入る。
「……穂波!下がれ!!」
遅かったのか、穂波の手が引かれ……布団の上に転がった。
「な??」
穂波の手に指を絡め、もう片方の手が穂波の首に指を滑らす。
「……んっ。」
可愛い声に、嬉しさと悔しさと驚きと憎しみ……数え切れない感情を一瞬で味わう。
俺は、頭より体が先に動いていた。
麒麟から奪い返し、目を回した穂波にキスをする。
憎い……麒麟め!!
睨んだ俺が見たのは……涙を零す麒麟。
あれ?俺が悪者ですか??注意書きの通り??
「麒麟?」
「……ぐすっ……うっ……双葉……淋しい。」
あれ??この意味を変に捉えるのはどうしてですか??
「麒麟。ほ~ら、枕だよ。抱いて寝ようね?」
そっと、枕を渡してやると……抱き寄せる。
愛しそうに抱きしめ、頬をすり寄せる。
可愛い……違う。さっきまでの憎しみが、嘘のようだ。
穂波をこのままに出来ないし……
「麒麟、俺達……帰るよ?」
俺の声に反応しない。枕と一緒にベッドに沈んだ。
大丈夫なのか、コレ……蓮美の呪いか?それとも、我慢の限界がコレなんだろうか?
穂波……起きないうちに俺の部屋に連れて行こう♪
麒麟、感謝!!
景彩side。
「お邪魔しま~す。」
開いたままのドアを閉め、海波を部屋の外に待たせる。
嫉妬されて、病気の麒麟が悪化しては困る。
「麒麟、大丈……ぶ?」
起き上がった麒麟に、腰を抱き寄せられる。
「ほえ??」
お腹の辺りに、麒麟の顔。
「ふふ……細いね。壊してしまいそうだ……」
声が、いつもより低く……いい気分になった??
【ガチャッ】
「何してる!!」
海波が、俺の後ろから抱きしめ……麒麟から引き離す。
「……景彩、張り紙を見てみろ!こいつ、おかしいらしいぞ。」
ドアまで引きずり、張り紙を見せる。
『麒麟は色気が駄々漏れ、近づくのが危険です。色気が充満しているので、時々 換気してください。色気に酔ったら、外の新鮮な空気を吸って治るかも?』
……。
「海波、帰ろうか。」
「私は平気だよ♪」
蓮美side。
麒麟が熱でお休みです。お見舞いに行ったほうがいいでしょうか?
家の前に立っていた私に、背の高い女の人が出てきて微笑みました。
「お?蓮美ちゃん♪」
「こんにちは、海波さん。」
「麒麟のお見舞いか?……くすっ……喜ぶよ♪」
その言葉に嬉しくなって、家に入り階段を上りました。
トイレの水の流れる音がします。多分、景彩くんですね。
麒麟の部屋のドアを開け、入ります。
今日は、お父さんがいないのでドアは閉めたほうがいいですね。
熱で、寒いといけません♪
「麒麟?大丈夫ですか?」
声をかけますが、返事がありません。
寝ているのでしょうか?そっと、布団をめくります。
目を閉じ、汗の流れる額と頬。
ハンカチを出して、そっと拭こうと手を伸ばしました。
熱い手が、私の手首に……
そっと開いた目が、私を見ています。
「蓮美……一緒に、寝て?」
甘える姿や声に、ドキドキします。
「はい。麒麟、熱くないですか?」
「関係ない。蓮美……おいで。俺の胸に……腕の中に、閉じ込めたい。蓮美……これは、夢?」
「夢じゃありません。麒麟……熱いです。」
「蓮美は、いつもより冷たい。気持ちいい……」
「麒麟?寝たのですか?私も……眠い……」
連歌side。
「蓮美が、帰っていないのです!!ヒツジ、一体何をしていたのです!!」
「何って……くふふ……お楽しみ?」
訊いた俺がバカでした。
階段を走って上がる。ドアを勢いよく開けた。
……。
布団から、長い髪が見える。
「あちゃ~。どうする?布団……のけて見る?」
父親として、この場合はどうすれば良いのですか??
「連歌……蓮美は、嫁にもらう。」
「うるさい!!今は、それどころでは……」
「……うぅ~~ん?……父さん?今、何時……はっ……蓮美??」
麒麟の声です。
とぼけたことを!
「……ちが……俺、何も……してない??服……着て……」
着て……まさか?!
「……る。」
「こ……この……鬼畜があぁあ!!」
麒麟の色気が、そのまま維持することはありませんでした。
それが、救いでしょうか?




