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C【派生シリーズ】邪  作者: 邑 紫貴
1邪

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8/71

元の世界!!

蛍兎。


俺は事故に遭い、3年間病院でこん睡状態だった。

一年遅れたが、勉強に追いつき高校に入学した。

俺の隣で、可愛い幼馴染が笑う。好きだと言ってくれる。

好きだった思い出があるのに……想いはない。

俺の心は、どこに行ったのか。

記憶には残らない……悲しい夢を見る。

その夢は幸せもあって……悲しいのに、見ることを願う。何度も……何度も……

「蛍兎、何を見てるの?」

「さぁ……?お前、それ……弁当箱?」

「うん!みんな小さいお弁当箱だから、真似しちゃった!」

あれ……?

「足りるのか?」

「……へへっ。ちょっと、足りない?」

「ちょっと?お前、あんなに大食い……?」

俺は、口を押さえる。

「もう、失礼な!!蛍兎のばかぁ~~。先に行くからね!!」

て、友達を見つけただけかよ……。

大食い……じゃ、ないよな?……俺は、誰と一緒にした?

……涙が……零れる。名も知らない……誰かが……俺の心を持っているんだ。

「………。」

好きだ……愛している……

何故……俺は……俺は、お前のために死ぬ……。

死ぬことも赦さない。いや、赦されなかった……。

どうして……消えたの……?俺の幸せは……君とあったのに……

『美衣』……

俺の頭に、名前が浮かぶ。

「……み……い……美衣!!」

地面に、魔方陣……淡い黄色の……暖かな光が俺の前に輝く。

一人の女の子が……現れた。

「呼ばれて……飛び出て……じゃじゃじゃじゃ~~ん……?」と、照れた……。

「……美衣!」

俺は、抱きしめる。

……記憶が……次々に溢れる……

俺の大切な……女の子……美衣。

「美衣……」

「ただいま……」



「で、美衣……俺の家に来る?親いないよ!ね。ねぇ、ね~??俺、傷ついたよ?説明は、後でいいし!ね?スキンシップ!!温もり、匂い……幸せを頂戴!!」

強く抱きしめ、引きずる。

「待って、待って……他に、何かあるでしょ~~?!」

「ない。無い!!あぁ、心を埋めないと俺、死んじゃう!!ね、キスしていい?胸、触ってもいい?」

「ダメ!!」

不機嫌な俺に、優しく微笑む。

【キュゥ~~ン】胸が苦しい。可愛い!!

旅の途中でも見たことない!!当然か、ほとんど男の姿だったし。

……て、この制服?!

「改めて、反中カヘナカ学園 高等部 一年。矢城 美衣。音楽科!学科が違うと、全然会わないでしょ?陰から、ずっと見てた。ふふっ。まさか、思い出してくれるなんて……思……わな……」

必死で、我慢……してたの?

震えながら、静かに泣く。

「美衣……」

愛しい。

「ケ……蛍兎……。」

美衣が俺の名を呼ぶ。

零れる涙の目元にキスをして、舐めた。

「……ふっ。くすぐった……ん……」

唇を重ねた。

夢じゃない。柔らかい……温かい……幸せが包む。

いや、いっぱいで溢れる。

「美衣、美衣……」

求めるようにキスをした。

心は、ここにあるんだ。




美衣。


結局、無理やり蛍兎の家……部屋にいる。

「美衣、どうして生きてるの?」

……今更なことを……。

「うん……。カピは覚えてる?」

「あぁ。あいつ、俺をここに戻そうとしたんだ。そのときに、違和感があって……。」と、目を逸らした。

「……何、違和感て?」

「……いや、その……キスして……舌入れたら……激しくて……。」

カピ……私の精神……??

「……問い詰めたら、お前が一人で魔王のところに行ったって言うから。無理を頼んで、結局……消えずに生きてたのか?」

「いいえ。アサヒが魔物に戻った時、私……カピを二匹に増やしたの。王を護る為にね!その時のバラが、私の魔力を貯めながら、家でゴロゴロしてたらしいの。で、良いとこ取りよ!魔力の無い私の変わりに、ケイトを回復したり……」

「私は、気がついたらこの世界にいたの。」

「どうして、逢いに来なかった?」

「世界が違うし?あなたの記憶は消えた。可愛い幼馴染もいる。普通の生活に戻った。ね?」

「何が、ね?……なの。俺、怒るよ?あぁ。愛情が足りなかったのか。ふふっ。ごめんね……愛してあげる。」

「て、ちょ……もうダメ!体力ないの……て、いやぁ~~」

『happy‐endですか?』




おまけ(カピ&バラ)


美衣がケイトの為に、カピに魔力を貯め……十分な量になり始めた頃。

同じように、バラも魔力を蓄えていました。

バラは、賢くお腹の魔力を消化し始めます。

まず、美衣に気づかれないようにカピに連絡しました。

「バラ?!あんた、元の世界にいるの?てか、何やってるのよ!」

バラは、気質の違うカピに連絡したことを少し後悔。

「ちょっとね……。」

様子を知りたいだけでした。

少ない魔力で気配を消していたのです。

美衣は、バラのことをすっかり忘れていました。

「最近さぁ、お腹がはち切れそうなのよね~~。どうしたら良いと思う?」

「適当に……?」

「最近、美衣様さぁ~何でも一人で頑張って、ケイト様淋しそうで……はぁ。慰めてあげたい……」

「ケイト様の夢に入って、励ましてあげたらどう?」

「やっぱり?」

「夢だし、良いんじゃない?ま~、女の姿は怒られるだろうけど……男の姿なら良いと思うよ?」

「うぅ~~ん。面白くない!」

「駄目だよ!夢って影響大きいから。一度ばれると、男に見える魔法が効かなくなるし。一度、効果が薄れて美衣様が補強した魔法だから……やばいよ?」

「もう!!バラは、変なところ真面目なんだから!!ぶぅ~。」

「いい?私のことは、何かあった時の為に黙っていてよ!絶対、美衣様……無理しそう……て、カピ??連絡が途絶えた……か。ふぅ……。時も近いし、見守ろうかな?この魔力は、美衣様が命を引き換えようとしたときの為のもの。美衣様が血の誓約を唱えるとき、ケイト様の回復をしましょう。頑張った美衣様に、プレゼント。元の世界で……幸せに……」


時が来ました。生きていたアサヒ(魔物)が、ケイト様の命を危険にさらします。

思った通り、美衣様が無理をしようとしました。

「大丈夫!まだ命があるなら、この魔力で十分回復できる。《 ☆☆☆☆☆☆ 》さぁ、美衣様は休んでください。元の世界で、必ず彼が思い出すでしょう。その時、魔方陣があなたを彼の元へ導きますように。残りの魔力は~……」


「生きて……る?!」

「美衣様、お疲れ様でした。」

バラを見て、美衣様は驚き……何かを悟りました。

「あなたが、私を助けてくれたの?」

「正確に言えば、美衣様の意図せぬところで計画通りでしょうか?私の残りの魔力を受け取ってください。それと、サプライズのプレゼントも。美衣様、幸せになってください。」

時が来て、魔方陣は導く……彼の元へ。





END

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