元の世界!!
蛍兎。
俺は事故に遭い、3年間病院でこん睡状態だった。
一年遅れたが、勉強に追いつき高校に入学した。
俺の隣で、可愛い幼馴染が笑う。好きだと言ってくれる。
好きだった思い出があるのに……想いはない。
俺の心は、どこに行ったのか。
記憶には残らない……悲しい夢を見る。
その夢は幸せもあって……悲しいのに、見ることを願う。何度も……何度も……
「蛍兎、何を見てるの?」
「さぁ……?お前、それ……弁当箱?」
「うん!みんな小さいお弁当箱だから、真似しちゃった!」
あれ……?
「足りるのか?」
「……へへっ。ちょっと、足りない?」
「ちょっと?お前、あんなに大食い……?」
俺は、口を押さえる。
「もう、失礼な!!蛍兎のばかぁ~~。先に行くからね!!」
て、友達を見つけただけかよ……。
大食い……じゃ、ないよな?……俺は、誰と一緒にした?
……涙が……零れる。名も知らない……誰かが……俺の心を持っているんだ。
「………。」
好きだ……愛している……
何故……俺は……俺は、お前のために死ぬ……。
死ぬことも赦さない。いや、赦されなかった……。
どうして……消えたの……?俺の幸せは……君とあったのに……
『美衣』……
俺の頭に、名前が浮かぶ。
「……み……い……美衣!!」
地面に、魔方陣……淡い黄色の……暖かな光が俺の前に輝く。
一人の女の子が……現れた。
「呼ばれて……飛び出て……じゃじゃじゃじゃ~~ん……?」と、照れた……。
「……美衣!」
俺は、抱きしめる。
……記憶が……次々に溢れる……
俺の大切な……女の子……美衣。
「美衣……」
「ただいま……」
「で、美衣……俺の家に来る?親いないよ!ね。ねぇ、ね~??俺、傷ついたよ?説明は、後でいいし!ね?スキンシップ!!温もり、匂い……幸せを頂戴!!」
強く抱きしめ、引きずる。
「待って、待って……他に、何かあるでしょ~~?!」
「ない。無い!!あぁ、心を埋めないと俺、死んじゃう!!ね、キスしていい?胸、触ってもいい?」
「ダメ!!」
不機嫌な俺に、優しく微笑む。
【キュゥ~~ン】胸が苦しい。可愛い!!
旅の途中でも見たことない!!当然か、ほとんど男の姿だったし。
……て、この制服?!
「改めて、反中学園 高等部 一年。矢城 美衣。音楽科!学科が違うと、全然会わないでしょ?陰から、ずっと見てた。ふふっ。まさか、思い出してくれるなんて……思……わな……」
必死で、我慢……してたの?
震えながら、静かに泣く。
「美衣……」
愛しい。
「ケ……蛍兎……。」
美衣が俺の名を呼ぶ。
零れる涙の目元にキスをして、舐めた。
「……ふっ。くすぐった……ん……」
唇を重ねた。
夢じゃない。柔らかい……温かい……幸せが包む。
いや、いっぱいで溢れる。
「美衣、美衣……」
求めるようにキスをした。
心は、ここにあるんだ。
美衣。
結局、無理やり蛍兎の家……部屋にいる。
「美衣、どうして生きてるの?」
……今更なことを……。
「うん……。カピは覚えてる?」
「あぁ。あいつ、俺をここに戻そうとしたんだ。そのときに、違和感があって……。」と、目を逸らした。
「……何、違和感て?」
「……いや、その……キスして……舌入れたら……激しくて……。」
カピ……私の精神……??
「……問い詰めたら、お前が一人で魔王のところに行ったって言うから。無理を頼んで、結局……消えずに生きてたのか?」
「いいえ。アサヒが魔物に戻った時、私……カピを二匹に増やしたの。王を護る為にね!その時のバラが、私の魔力を貯めながら、家でゴロゴロしてたらしいの。で、良いとこ取りよ!魔力の無い私の変わりに、ケイトを回復したり……」
「私は、気がついたらこの世界にいたの。」
「どうして、逢いに来なかった?」
「世界が違うし?あなたの記憶は消えた。可愛い幼馴染もいる。普通の生活に戻った。ね?」
「何が、ね?……なの。俺、怒るよ?あぁ。愛情が足りなかったのか。ふふっ。ごめんね……愛してあげる。」
「て、ちょ……もうダメ!体力ないの……て、いやぁ~~」
『happy‐endですか?』
おまけ(カピ&バラ)
美衣がケイトの為に、カピに魔力を貯め……十分な量になり始めた頃。
同じように、バラも魔力を蓄えていました。
バラは、賢くお腹の魔力を消化し始めます。
まず、美衣に気づかれないようにカピに連絡しました。
「バラ?!あんた、元の世界にいるの?てか、何やってるのよ!」
バラは、気質の違うカピに連絡したことを少し後悔。
「ちょっとね……。」
様子を知りたいだけでした。
少ない魔力で気配を消していたのです。
美衣は、バラのことをすっかり忘れていました。
「最近さぁ、お腹がはち切れそうなのよね~~。どうしたら良いと思う?」
「適当に……?」
「最近、美衣様さぁ~何でも一人で頑張って、ケイト様淋しそうで……はぁ。慰めてあげたい……」
「ケイト様の夢に入って、励ましてあげたらどう?」
「やっぱり?」
「夢だし、良いんじゃない?ま~、女の姿は怒られるだろうけど……男の姿なら良いと思うよ?」
「うぅ~~ん。面白くない!」
「駄目だよ!夢って影響大きいから。一度ばれると、男に見える魔法が効かなくなるし。一度、効果が薄れて美衣様が補強した魔法だから……やばいよ?」
「もう!!バラは、変なところ真面目なんだから!!ぶぅ~。」
「いい?私のことは、何かあった時の為に黙っていてよ!絶対、美衣様……無理しそう……て、カピ??連絡が途絶えた……か。ふぅ……。時も近いし、見守ろうかな?この魔力は、美衣様が命を引き換えようとしたときの為のもの。美衣様が血の誓約を唱えるとき、ケイト様の回復をしましょう。頑張った美衣様に、プレゼント。元の世界で……幸せに……」
時が来ました。生きていたアサヒ(魔物)が、ケイト様の命を危険にさらします。
思った通り、美衣様が無理をしようとしました。
「大丈夫!まだ命があるなら、この魔力で十分回復できる。《 ☆☆☆☆☆☆ 》さぁ、美衣様は休んでください。元の世界で、必ず彼が思い出すでしょう。その時、魔方陣があなたを彼の元へ導きますように。残りの魔力は~……」
「生きて……る?!」
「美衣様、お疲れ様でした。」
バラを見て、美衣様は驚き……何かを悟りました。
「あなたが、私を助けてくれたの?」
「正確に言えば、美衣様の意図せぬところで計画通りでしょうか?私の残りの魔力を受け取ってください。それと、サプライズのプレゼントも。美衣様、幸せになってください。」
時が来て、魔方陣は導く……彼の元へ。
END




