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C【派生シリーズ】邪  作者: 邑 紫貴
11孫おおかみ達は彼女と戯れる

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許容を……


俺の視線に、意識を集中したような避け方。

授業中……一番後ろの席にいる芹菜。俺も後ろの席……

視線は、真横。芹菜の視線は壁寄りに、身は影を落とすように小さく感じる。

狼の姿もいいな……サラサラの毛並を撫でまわしたい。

俺の欲望は、膨らんでいく。それを感じるのだろうか……?

芹菜が顔を下に向け、微妙に震えている。

……何を読み取ったんだろう?くすくすくす……楽しいなぁ♪

異世界……狼の姿をしてるけど、学園の関係者ってことは……魔女の方の血もあるのかな?

心……読める??いや、大上家にも心を読める人がいる。

……くすっ。読めるのかな?試したい……

ね、聞こえてるの?

俺の醜い願望に、身の危険を感じているだけ?

芹菜……芹菜♪くふふ……君の白い肌が、俺の頭に鮮明に浮かぶ。

髪……綺麗なストレート……毛並と同じサラサラ。甘い匂い……

興奮する……俺、おかしくなりそう。伝わればいい……すべて。俺の中……心をさらけ出すよ。

身体も、望めば……くすっ。くれてやる……包み込んでくれるかな?

はぁ……息が苦しくなる。

「聖城!よそ見するな!!そうだ……これを解けたら、許してやるぞ?」

意地悪そうに、何かの問題を電子黒板に表示した。

ここは麻生学園や姉妹校の中で、一番の進学校。中等部のレベルが一番高い……

問題は、明らかに中学生のレベルではない。

PCに答えを打ち込み、芹菜の方に視線を戻す。

芹菜は、驚いた顔で俺を見ていた。慌てて、視線を逸らす。

……?何だ??

一瞬、目を逸らしたから状況が見えない。

「……授業を続けるぞ……」

小さな声で、先生は授業を続ける。

PCには、大きな赤丸が点滅していた。

先生の許可を受け、じっと見つめ続ける。悔しいなぁ……一瞬に、何があったんだろう?

授業が終わり、席を立って芹菜に近づく。

その気配を察して、教室を走り去る芹菜……さすがに、狼の速さには追いつけないか。

しょうがない……年上の意見を訊いてみよう♪

俺は、陸がサボっていた空き部屋に入る。

「うおぉう!?」

「……あ、鍵を忘れました♪」

……

「くすくすくす……ね、陸?どこに触れてるの?確かに、澪美の胸は大きいよ?だけどね?……中学生に、何をするのかなぁ~??」

「ち、違う……と、言えません。ゴメンナサイ……だけど、その……周りは、その……これぐらい。」

「はぁ?何?聞こえないよ??」

陸を正座させ、澪美を抱きしめる。

「白狐……苦しいです。ぐすっ……年の差は、私の苦しみ……悲しみです。」

【ズキッ】

「あぁ~あ、泣かせちゃった!返して。俺だけが、澪美の隙間を埋められる。」

さっきまでの弱さではなく、鋭い視線……護りたい意志……

「ちっ!!」

澪美を陸に渡す。

抱きしめる陸に、身を委ね……澪美の笑顔……

【チク……ン】

小さな痛み……俺の片割れ……対ではない……

「陸、時間をあげる。その代り……俺に答えを頂戴。くすくすくす……答えられなければ、胸に触れちゃダメだよ?ね、澪美……君は、抱擁で幸せだろう?」

「……キスも、望みます。」

「100歩譲って、触れるキスは許すね。深いのは……殺すよ?」

「ちょ、何でそこまで??」

「くすっ……何、言ってるの?くすくすくす……可笑しいね♪答えられたら……だよ?くすすっ。俺が答えを得られなければ……一生……くすくすくす……」

「ちょ、理不尽だよ!澪美、何とか言ってよ!!」

「くすっ。ふふふ……陸、私のお願いを聞くと約束してください♪そうしたら、少しは触れられます。ね……白狐……私の願いは、優先ですよね?」

可愛い妹だけど、俺と同じ……

頑張れ?陸……赦さないけど♪

「くすん……この双子に、俺はいつまで振り回されるのかな??」

陸は、澪美の胸に顔をすり寄せた。

「死にたいのかな、陸?」

無意識で甘えることを知っている。

そして、いつ……化けるか分からない。こいつが、一番油断ならない……

俺は、自分に近い陸の本質を見ていた。

「……あ、授業……」

「澪美、戻りなさい。俺も戻るから。陸……放課後、ここで。もちろん答えてもらうよ?覚悟してね♪」

教室に戻り、席に着く。

PCには、沢山のメール。ハートマークやら、タイトルのないもの……告白・loveレター……

さっきので、皆の視線が違う……??

芹菜の驚いた顔……

あはっ♪ふふっ……嬉しい。少しの興味……好意だと嬉しいんだけど。

芹菜……どうすれば、手に入るんだろう?

さっきと同じように視線を向けると、芹菜は俺の存在を意識しない真っ直ぐな目で授業を受けていた。

……淋しい……

さっきの休み時間で、俺を意識しなくなった?それとも……何?

苦しい……こんな痛み……どうすればいい?

酷いよ……芹菜……会って間もない俺を、どこまで狂わせるの?

俺は、これからどうなる?正常に、愛情を出せる?

……くくっ……いや、家系的に無理か。くすくすくす……ふふ。

だって、俺……鬼畜やドSを受け継いでるし?

覚悟しろよ……芹菜……俺を受け入れて?

俺は逃がさないから……くくくっ……俺は、役員……

くすくすくす……芹菜、その姿は目立つよね?隠れるのは、どこかな?

くくくっ……罠を仕掛けよう♪

今度は、逃がさないよ?俺のモノになるまで……俺の愛情を身に、刻めばいい……

俺から、逃げられるのは今の内。

君の愛情が欲しいのに……嫌われてもいい……矛盾する気持ち。

強引に迫りながら……傷つきながら……君を追い詰める。

俺だけしか、見えないように……したい……


放課後。

「白狐、遅い。」

「うるさい、黙れ。獣め……俺の大事な妹を泣かせたら、容赦しないよ?」

すぐに来た俺より早いのは、サボっているからじゃないのか?

俺の疑念の視線に、口を閉ざし……視線を逸らした。

「ふぅ……、良いけどね。ちゃんとした稼ぎがないと、結婚を許さないから。」

俺は、腕を組み壁にもたれる。

視線を俺に向け、微笑む陸。

「大丈夫!役員と調理師を両立させるから♪」

嫌味な奴だね……平然と、実力を軽い事のように……

「俺の疑問に、答えてよ。出来なければ、胸に触れるの禁止!キスも軽いの限定だよ?」

意地悪じゃない。本気だ。

陸は、悲しそうな表情で うなずく……

俺は、芹菜の事を話した。

聞き終わった陸は、不思議そうに……

「どうして、答えが出ているのに俺に訊くの?」

……答えが、出ている??

俺の中に、答えがある……

「行けよ。裏庭に、狼が出没すると報告を受けている。くすすっ……彼女、家系を調べたら面白かったよ♪ふふっ。白狐……君は、彼女をどれほど願う?」

俺の知らない情報で、楽しんでいる陸に腹が立つけど……

それは、後回し。

『どれほど願うか』

呪いから解放された俺たちは、相手を自由に選べる。

一生に一人ではない……それでも、彼女を選んだ。対として……

「ふぅん。その答えで、軽いキスまで認めてやるよ!」

俺は、壁から離れて陸に背中を向けた。

「ちょ、やっぱり……そこまでなのぉ~~??」

情けない声を背に、教室を出て廊下を走る。

陸……澪美の年齢で、お前の中にはブレーキがあるんだ。

気づいていないみたいだけど……タガは、簡単に外れる。

無意識に……俺が、求めるような熱情……それと同じ……

お前の中にも答えがあるんだ。


情報通り……裏庭に、狼の姿を見つけた。

気配を消して、そっと背後に回る。

ベンチの上に座り、空を見ている。そして、ため息……

何を考えているんだろうか?

「……無理か……」

ぼそっと、小さな声……何が無理なんだろう?

何を悩み、何を考えているのか。知りたい……すべて。どんな些細なことも……

欲しい。手に入れたい……俺の身体を、自然と突き動かす欲望。

芹菜を後ろから抱きしめた。

【びくっ】

大きな反応と、固まった体。

フサフサの耳に、囁いてみる。

「せ・り・な♪大好き……俺を、受け入れて?俺の想いを、すべて知って欲しい。」

耳が、パタパタ……可愛い動き。

片手で抱きしめたまま……もう片手をベンチに乗せる。

タイミングをみて、ベンチを飛び越えた。

芹菜は、目を見開いて驚いた顔。

可愛い……目を細め、顔を近づける。

抵抗はなく、ギュッと目を閉じ……俺のキスを待つ芹菜。

疑問が浮かぶけど、チャンスに嬉しさが胸を苦しくさせる。

触れる唇……軽いキス。

俺の腕の中、身体を隠した人の姿となった芹菜……

愛しさに、もう一度キスをしようとした。

【ぺちっ】

……

「……痛い。」

俺の頬に、軽い平手。

「嘘だ……」

涙を浮かべ、芹菜が首を振り続ける。嘘……

試したんだ……俺の愛情を受け入れたわけじゃない。

「芹菜……他の人で試したら、赦さないよ?俺の本気……君は、人型に戻る方法が知りたいだけかもしれない。……くくっ……くすくすくす……いい度胸じゃん?ふふ……俺の気持ち、無視してさぁ?そんなに、狼の姿が嫌なの?」

「……あの、皆の噂と……全然、雰囲気が……その、違いませんかぁ~~??」

隠す腕の力を強め、青ざめた表情……

「はぁ……興奮する。これは、どっちの血なのかな?」

欲望に、促されるまま……抵抗できない芹菜に、手を伸ばす。

【びくっ!!】

「……怖がらないで。受け入れて……俺の愛情を、黙って受ければいい。嫌がるのは、どうして?俺の事、嫌い?答えて……」

「……嫌い。私の心を乱さないで……こんなこと」

「乱されたまま、俺の事だけ考えて……」

「っ!?」

強引に、後頭部を押さえながらキスで唇を塞ぐ。

……甘い……満たされるのに、足りない。

芹菜の心がないからかな……悲しい。

悔しい……嫌われても良い。もう、この気持ちは本物。

深く、入り込むように唇を押し付ける。

もう片手で、細い身体を抱き寄せる。白いスベスベの肌……

背中を下から上に指を滑らせる。

「……はぁ……芹菜。好き……」

【ぼむっ】

俺の腕の中……目を回した狼姿の芹菜。

……時間じゃないな……前回と、違う。芹菜も、無意識なのかな……

くすっ……ある意味、コントロールしている。

俺に触れられる時間が、あればあるほど……君の許容があるんだ。

愛しい……もう、逃がさないからね?俺の手中だ……

君は、俺の情報を誰に聞いたのかな……それは、嘘じゃない。

ただ……本質を見ていないだけ。

本質を見たのは、芹菜が特別だからだよ?

俺の愛情を、これからも受ければいい……心乱されたまま、俺に振り回されればいい。

大好きだよ、芹菜♪

狼姿の芹菜を抱っこして、結南の敷地にある理事長の家に向かった。

【ぴんぽ~ん】

ドアが開いたと同時……

【パンッ、パパパン!!】

クラッカーの音が幾重も……

「あら?無反応??ほら、今日でしょう♪芹菜の彼氏が来るのは!」

底抜けに明るい女性が、俺に微笑んだ後……白い狼に会話を振った。

「まだ、能力があったのですか?」

……あぁ、芹菜のお父さんか……

「「娘を宜しく♪」」

「戴きます!」

腕の中で、芹菜は何も知らずに……幸せそうに寝ている。

君は、俺を受け入れるよ……この二人の娘なら、それぐらい容易いよね?

俺を許容して……

どこまでも、すべてをさらけ出すから。受け入れて……

君は、俺の腕の中……手に入れた。これから、心を奪うから覚悟して。

他の、誰にも目を向けさせない……

愛しているよ、芹菜♪





END

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