エンディング!!
蛍兎、安心していた?
カピの魔法で、この部屋では私が普通の女の子だと。
幸せそうに……私を抱きしめたまま寝ている。あなたは、何の夢を見た?
夢は……覚める。もう少し、“一緒”にいられると思っていたのに……。
蛍兎……ケイト、あなたは元の世界に帰ってね……。
エンディングは見せてあげるわ。すべて話せないけど……その目で、見て欲しい。
「美衣様、行かれるのですか?」
「えぇ。カピ、幸せな夢を見たわ。ありがとう……。後は、すべて任せるわ。時まで、男……ビエの姿で旅を続けなさい。行き先は、分かるわね?」
「はい。ケイト様の記憶は、美衣様が消されますか?」
「そうね……。これが、あなたに触れる最後。あなたの心は返す……あなたとは、一緒に死なない……さようなら……蛍兎。」
私は、一人……旅に出る。
魔王の城に。馬で走れば、一日で着くだろう……。
最後の魔法一つを携えて……。
少し、ケイトが見るエンディングを語るわ。
一緒にいるビエは、カピだと思って聴いて頂戴。
あの子も、私の精神。あの子を通して、ケイトのそばにいられるなら……それも、私の幸せ。
今日、一日ですべて……片付くかしら?
さ、聴いて頂戴……
「ケイト、いつまで寝てるんだ!!置いていくぞ!」
ビエが叫ぶ。
「ふぇ?!!」
ふふっ。面白い声ね……。
「……え、あれ……?俺、裸で寝てた?」
そうね……しょうがないわ……
「覚えてないのか?魔物を倒した後、祝いにご馳走食べて……酒を飲んだじゃないか!」
『未成年の飲酒は禁止。ここでは、飲んでおりません♪』
「マジ?記憶がない。」
消したからね……
朝食を取り、ビエたちは馬に乗って出かける。
ビエは、ケイトに行き先と目的を伝えた。
嬉しそうなケイト。
行って、この世界を救うために。
この世界で戦う人たちを……この世界の未来を信じ、希望を見つめる者たちを……
私の代わりに……見て欲しい。
すべて、あなたのため……。あなたが、元の世界に帰るために。
約束するわ……必ずあなたを帰すと……
着いた国は、隣国。
魔法の鏡を、アサヒ(魔物)が王妃……に渡した国だ。
覚えているだろうか。ここは“白雪”の国。
アサヒは、私たちが最初に行った王国の姫に成り済まし、この隣国の王妃に鏡を渡した。
自分の正体を隠すために、美しさに固執する魔物に鏡を譲った。
そう王妃も魔物。これから戦争があるのは、この国。
だから、白雪は森に逃がした。
魔物から命を狙われるようにして……。
そして、あの準備された家で……ランスを待つ。
生れた運命の子供を狙ったのも、今から戦う魔物。
鏡は、正直だ……。生れたばかりだが、美しい女になる。
……役目があるからね……。
生れたばかりの子供の命まで狙うとは思いもしなかった。
……焦ったが、準備のためにあの国には寄るつもりだった。
予定外は……いや、いい。
戦の相手は、“シンデレラ”の国だ。
彼女には、この国と戦う準備をしてもらっていた。
実際には、戦わない。その素振りだけだ。
“シンデレラ”……君は、周りとも戦っただろう。
王子は、助けてくれただろうか?
ここまで来たんだ。支えてくれたのだろう。
ランスに持たせた水晶球が、すべてを解決する。
君はビエたちの少し前に、ここに来た。
戦にならないよう、話し合いをするという名目で。
ランスは、王の元に帰っただろうか?
迷わず帰ってくれるのを願う。あなたは、勇者……だけど魔王と戦わない。
命を失っては、未来はない……。
国を支えるには、王が必要……後継者も。
あなたは、姫を失った王の養子になり……白雪と結婚し隣国も治める。
いずれ、その国を継ぐのは2人の子。
ビエたちは、魔物の化けた王妃のいる部屋に通される。
そこには、“シンデレラ”がいた。
ビエの魔法で、魔物は正体を現した。
魔物の目的は、“シンデレラ”をこの世界から消すことだった。
綺麗な彼女を消したくて、国を操るなんて……。
魔王は、世界を手に入れるためにその魔物を利用した。
でも、彼女もまた……国の後継者を生まないといけない一人。
鏡は、魔力を加えられ“シンデレラ”を閉じ込めた。
ケイトは、剣で攻撃するが跳ね返る。
……無理しないで。そのために準備したの。
彼女のその手には、ランスに託した水晶球があった。
私の指示通り……中から鏡板に投げる。
水晶球は、吸い込まれるけど……安心していい。私の魔法が発動するから……。
【鏡よ、閉じ込めたものを解放し……彼女を守って……。】
鏡が割れた。彼女は解放され、魔方陣が身を護る。
カピ、力加減を間違えたら……承知しないわよ?
魔物は当然、倒す。
そして、ケイトを元の世界に戻す力と……そこでの生活の基礎を据える力を残すのよ!
「はい……。抜かり無く!」
《 ★ “★★”※ 》室内バージョン稲妻と雹の攻撃!!
いい配分……。私の、帰る力を……使った。
『美衣……?!』
ケイト、エンディングを見れて良かったね。
……私は、もう……あなたを感じない。カピ、後はお願いね……。
ランスは、養子になり白雪を迎えに行った。(従者一人を連れて。)
王は、息子と娘を手に入れた。約束の通り。
白雪、信じてくれたかしら?
あなたは、隣国の姫になった。お父様を喪ったのは、残念だが……。
これからも、味方がたくさんいるよ。
“シンデレラ”……戦の話で、周りの批判もあっただろう。
現実は、どれほど苦しかっただろうか。よく我慢してくれた。ありがとう……。
大丈夫……君のことは、王に頼んである。この……大きくなった国との協定を。
大きな平和と安定をもたらし……苦しみが報われるだろう。
強く生きた祝福だ。幸せになれ……。
私の後継者。
あなたへの予言は……後。
私は、魔王の城に着いた。
門は、自然に開いて……攻撃をする魔物もいない。
私の魔力は……一つ。命が残るか……計算の出来ない魔法……。
『生きて帰ろう?美衣、幸せになろうよ……。ね?』
そうね、命があれば……あなたが元の世界に戻してくれる。
……秩序が……保っていれば。
『……美衣……未来を見ている?』
見ているわ。ケイトの幸せだけを……
自動で開く扉、灯されていく炎が……行く道を知らせる。
宝箱……無かったな。魔物も、お金なんて持っていないし。
ま~……王様が、全部準備してくれたし♪
向こうの世界を、自由に行き来していたから……不便は無かったわ。
ケイトの戻った世界の準備も……ある程度、出来た。
ケイトの身近に、可愛い幼馴染を準備した。幸せになってね……さようなら……
大きな扉が開く。
魔王……ゲイルのいる部屋。そこには、結界と同じ魔方陣がある。
やはり、もう一つ鍵がかかっていたんだ。
「来たわよ、ゲイル。」
「あぁ、待っていた。一人、ということは……期待してもいいのかい?」
「ふふっ。何を?くすくすくす……“マホモ・ゲイル・ターツィ”」
私は、名を呼んだ。
ゲイルの下に魔方陣が現れ、体を青白い光が包む。
ゲイルの魔力が安定する。邪悪な気配は無い……。
「ゲイル……あの結界は……あなた自身がかけたもの。あなたは、私を待っていた。」
……良かった……未来が……見える。
ケイト……一緒にいられるかな……?
「ゲイル……あなたに、一生の相手がいる。」
「あぁ……今、ようやっと……分かる。美衣。この苦しみから、解放して欲しい。俺は、未来を望む……」
ゲイルは、人だった……力を持った人間。
「将来……同じ力を持って生まれたあなたは、旅に出る。そこで、同じ力……魔法の使える者と出逢う。同じように旅に出る少女は、私の後継者……少ないけど、力の源を渡した。もう、私に魔力を作る能力は無い。必要ないだろう……。最後の力は、未来のために。今のあなたの存在を消さないといけない。」
「あぁ」
同じ力を持ったもの同士……支えあうといい。幸せになれ……。
良かった……命は残る。思った以上に……順調だった。
後は、最後の呪文を唱えるだけ……
「ゲイル……幸せになってね……」
「ありがとう……」
《 ★★★★★★ 》痛みは無いだろう。
最後の力……すべての……魔力。光と共に、ゲイルがこの世界から消えた。
未来に出逢う彼女のために……
「美衣!!危な……ぃ」
振り返る私に、血しぶき……真っ赤な血……ケイトの……血
「いやぁあ~~~!!」
「来るなぁ……」
ケイトの背中を突き通す剣……
「アサヒ……生きて……」
《 ホ……》呪文を唱えようとした瞬間……
ケイトが剣を構えアサヒの背中から……ケイトの背中に……剣が通る。
まるで、スローモーションのように……私の目の前で……
アサヒ……魔物は灰となって消え……
ケイトは、自分から剣を抜いて倒れこむ。
近づいて、抱きしめる。
嫌だ嫌……イヤだ!!
《 ☆ 》
《 ☆☆ 》
《 ☆☆☆☆☆☆ 》
呪文を繰り返すが……魔法は使えない。
「ケイト、ケイト!!ケイトぉ~~!!」
涙で、顔が……見えない。
「……はぁ……へへ。護れた……俺、このために……ここに……来た……」
「違う、違うわ!!カピ……カピィ~!!カピ……どこ、魔力は……カピ……」
「あいつ、俺をここに連れてきて……魔物を……全部倒した………ごめ……あいつ……消え……ちゃっ……た。」
「……最期に……キス……してもいい?」
「ふっ……激しいのを頼む。」
「……ふふっ。ばか……怒らないでね……?」
「……?待て……ん……」
魔女の血よ……お願い……
「?!……美衣、何をした?……赦さない……何のために俺は……美衣!!」
ケイトの声が遠くなる。
魔女の血は、自分の命と引き換えに……一度だけ……命の蘇生が出来る。
記憶を消すことも、魔力ではないから……呪文は要らない。
体に、血さえあれば出来る。
忘れて……ケイト……幸せになって……
私の代わりに、元の世界に……お願い……。
『「美衣!!」』




