未来予想図!!
城で、盛大なパーティーが催された。
そこで、私は3人に声をかける。
一人はこの世界の“シンデレラ”
「偉大な魔法使い様、もう一度お会い出来るなんて!」
「……挨拶は良い。お前は、幸せか……?戦って行けるか?」
「はい。誓いの通り……何があっても、戦います。運命の人……出逢うべき人でした。彼がいる限り、戦って生きて行きます。」
強い志……。安心する。私の心の支えとなるだろう……。
次は、幼いが美しい容貌の姫。
「――?」
「はい、偉大な魔法使い様。」
いい教育だ……
「負けず、生きてゆけ……。必ず、お前の味方がいる。信じろ……。誓えるなら、約束を与えよう。」
「……はい、誓います。偉大な魔法使い様の約束は、違わないでしょう。」
いい瞳の輝き。
「この国の姫になる。」
「……この国の……?」
「……違えるだろうか?」
「いえ。奇跡を信じ……待ちましょう。」
「奇跡か……お前の予期せぬ……いや、いい。忘れろ……時が来るまで……」
眠るように彼女は、目を閉じた。そして、開ける。
「……?今、何のお話をしていましたか?」
「挨拶だ。さ、お父様が捜しているよ?」
お辞儀をして、去る彼女の後姿に未来を見ていた。
「あの、偉大な魔法使い様……」
もう一人は、少し離れたところの……王女。
「あの、生れる子供に……祝福を!」
「あぁ。ふふ……お腹の中で、起きているね。丁度いい……君にも、約束だ……。私の……後継者。……旅に出て……出逢うのは運命の……人……。」
「……旅ですか?姫……世界は……」
「あなたには、記憶を残そう。世界を護るのは、あなたの育て方次第。自分を信じて……」
王女と別れ、城の中庭に出る。
月明かり……半月……。
「ビエ、ここにいたのか。」
勇者ランスが、叫んでやってくる。
「あぁ、ランス……もう、いいのか?」
私は、意図を含めて訊いた。
「……いや、また中に戻るぞ?」
とぼけるのが上手い。いや、意識が寝てるのか?
「ランス、訊きたいことがある。」
「何だ?」
「お前を、封印した結界……裏は、何だ……?」
「裏?……ビエ、話を聴いていなかったのかい?」
優しく微笑む勇者様。
「あぁ、ほかの事を考えていてね。もう一度、ランスの冒険を聞かせてくれ。」
私は、木にもたれ姿勢を楽にした。
「ふふ……。誘っているの?」
近づいて、私のもたれる木に手をつき……体を密着させる。
「……罠に、誘ったのさ。ね、魔王……ホモ・ゲイ?」
「マホモ・ゲイル・ターツィ。」
やはり、違和感はこれか。さぁ、どうしようかな?
「ビエ……いや、本当の名は?……教えて……」
急に、色気が増した。
「嫌だよ。大体、魔術は名を必要とする。呪われたら……呪い返すの面倒!」
くすくすと、魔王は笑う。
「いいね。手に入れたい……」
手が、体と頬に触れる。
【ゾワゾワ~~】気持ち悪い。
暗示は効かない……か。
「……ランス……?」
この声?!
「……お前、わざと……入れたのか?!」
「……ビエ?て、ランス酔ってるのか?!ビエは、男だぞ!!」
元のランスの意識が戻ったのか、そのまま気を失った。
……逃げやがったな~~?
俺に寄りかかるランスを抱え、ケイトが俺に言う。
「お前も、嫌がれよ!……ちっ。気分が悪ぃ……。」
この中庭には、普通の人間が入れないようにしていた。
あいつ、私の罠だと気がついてたな!
しかも、なお悪い……。ケイトの言葉で、私が男に見える魔法を使っていると知られた。
ま、少し油断をさせる素振りを見せてある。まだ、ケイトに害はないだろう。
しかし、疑問だらけだ。
一つは、目的がはっきりしているし……。様子を見よう。
《 ★△ 》カピバラ、ミニ下僕バージョン作成!
『可愛いね』
好き!
下僕を、ケイトにつける。下僕が死ぬときは、ケイトに何かあったとき。
身は、小さくしたが……精神は私。危険を察知すれば状況に合わせ変化する。
身を挺して、護るだろう……。
ケイトを危険にしているのは、今は……私。
知っている……けど、今じゃない。時が……まだ来ていない。
同じ、3年前に来ていたら?
それも無理な話か……向こうの役目があった。
盛大な催しに、みんな……次の朝は遅い。
時が近づいていた……。
【コンコン……】
「はい。」
ドアが開き、ケイトが入ってくる。
少し、不機嫌だ。
「これは、何だ?」と、カピが捕まっている。
………。
何で?!
「ビエ、こいつ……いらないか?俺に擦り寄って離れないんだ。お前、男のくせに可愛いの好きだろ?」
擦り寄って、離れない?!私の精神……が?
「……そいつの好きにさせてやれよ。……はぁ……。」
ため息が出る。
「……あぁ。後、王様が呼んでる。」
カピは、肩に乗って頬にベタベタ……興奮している?
ケイトも、呆れ……ため息。
王に、話さないといけない時期か。
準備はしてきたつもりだけど……。
ケイトの身は、カピで完全に護れるだろうか?
今は、私が近くにいるから……最悪、元の世界へ……
大きな扉が開く。
中央に王。その横に姫。前には、ランス(魔王)。
扉は、後ろで閉まった。ランスの横に、私が立つ。
「さっそくだが、魔王討伐に出て欲しい。」
「王よ、兵は要りません。……魔王の城へは、私たち3人で行きます。」
ランスは、答える。
「頼もしい。ケイト、姫は勇者と結婚することになった。異議はないな?」
ケイトは断ったのか……
時間だ。
「……王、大変申し上げにくいのですが……」
私は、口をはさんだ。
「何だ?」
王は不思議そうな顔。
「……姫は、偽者です。」
「………。」
一瞬の間の後……一斉に、姫に視線が集中する。
「偉大な魔法使い様……何をおっしゃるの?酷いわ……。お父様、信じて!!」
綺麗な姫……だった。だから、殺された……。
「姫よ。自分の名を……言ってください。」
「え?」
「さ、自分の名です。さぁ!ジェードー・スパック・ジュエール・ブル・ビュティと。」
姫の顔が、引きつる。
「ふふっ……くすくす……」
姿が変化していく。
「……アサヒ?」
そう、彼女の姿もその一つ。正体は、魔物!
「……っ……ぐっ……」
ケイトが胸を押さえ、倒れこむ。
魔物は言う。
「……呪いだ……この姿を見たとき、発動するようにしていた。」
あ……あの宿で、私の暗示が過剰になったのは……この呪いの所為?
「ケイト!!」
近づいて、触れる。
息はあるが、青ざめ……震えている。
《 ☆ 》……魔法の効果がない。
「妬けるね……大事なの?」
私は、魔王を睨む。
カピを二匹に増やす。下僕2……バラは、王の身を護るように指示。カピは、魔方陣でケイトを護る。
「交換条件を出せ。お前の望みは何だ……?」
「後で、部屋においで……」
「わかった……」
私たちのやり取りに、アサヒは驚く。
当然だろう……道具の一つにされたのだ。多分、他の計画があったのだろう。
けど、私が正体を告げ……狂った。
「魔……ぐっ……」
勇者ランスの剣が、アサヒを貫いた。
魔王は、細長いビンを見せる。
「解毒だ。」
その中身は、薄汚れた緑色の液体。
呪いは、時限式の薬か……。
私はビンを受け取り、薬を一口飲み込んだ。
《 ☆ 》体は、その液体が本当に解毒作用のあることを告げる。
ケイトを少し抱き起こす。ビンの残りを口に含んで、ケイトの唇に触れ……流し込む。
ケイトを床に戻し、立ち上がって呪文を唱えた。
《 *★ 》魔物の死体を森へ移す。
自然に戻るだろうか?
王を護る魔方陣は、空間を切断していた。
だから王は、ランスが魔王に操られているのだと知らない。
少し落ち着いた王は、話し始める。
「姫のことを訊きたい。ランスは、部屋で休んでいなさい。後で、報告しよう。ケイトは、医務室へ。」
数人の術者が部屋に入り、ケイトを運ぶ。カピがついて行く。
……何かあっても、大丈夫だ。魔王も、カピの存在を知っているし。
「魔女、美衣。すべてを告げよ。」
「王よ、未来は……どこまでも続く。でもそれは、時間の点です。……命には限りがあります。姫は、魔王ではなく……隣国の王妃が殺したのです。」
「な……な、それが誠なら……」
「戦になるでしょう……。王よ、私の鏡はどこに?」
「……その王妃が……どうしてもと言うので……すまない。」
「いえ、計画通りです。その進言をしたのは、誰ですか?」
「………。」
王は、口を閉ざした。
「……姫に、成り済ましていた……魔物ですね?」
「あぁ。魔女よ、計画通りとは……?」
「……王よ、未来を信じますか?信じるなら、約束を与えましょう。」
「……あぁ、信じる。未来の希望が、まだ……私にあるだろうか?」
「……あなたに、息子と娘を与え……隣国も与えましょう。争いも無く……手に入れるでしょう。信じますか?」
「……奇跡のような話だが……偉大な魔女……美衣の言葉を信じよう。娘は、どこで眠っておる?」
「……もうすぐ、目覚めます。未来を担うものとして……生れます。宴に、覚えのある方がおられますね?」
「あぁ……」
「味方でいてあげてください。国として……。彼女は、私の後継者……。宴のときに、予言を残しております。」
「わかった。ありがとう……」
王の部屋を出る。
そして、魔王のいる部屋に向かった。
計画を邪魔されてはいけない。時間は、戻ってこないから……。
一刻も早く、ケイトを向こうの世界に返してやりたい。
あの薬なら、今日一日は目覚めないだろう。
【コンコン】
「入るぞ!」
返事を聞かず、ドアを開ける。
時空が、違うところと繋がっていた。まずいな……。
「遅かったですね。偉大な魔法使い……」
「魔王よ、約束は果たした。……じゃ!」と、方向転換してドアを開けた。
が……すでに、異空間。
「酷いな……。魔王でも、そんなことしないよ?」
「何がかな?これは、酷くないの?……約束は、お前の『部屋に行く』こと。来ただろ?」
魔王は無言で、微笑む。私も、微笑む。
「じゃ、私の名を呼んで……。あなたの名を教えてください。」
「魔ホモ・ゲイ!」
「……マホモ・ゲイル・ターツィ。ゲイルと、呼んでください。」
……せっかく、覚えてたのに……
「ゲイル。」
考えなしに、名を呼んでしまった。
ゲイルの足元に、魔方陣が現れ赤紫の光が包む。
「ふふっ。封印が解放された……お礼を言いますよ。……美衣……ミイ……綺麗な名だ。手に入れる……必ず。」
あの結界……二重、いや……まだ何か……ちっ!!
力が戻ったゲイルは、ランスの体を離れた。
実体は、魔王の城か……。
【キーン】耳鳴り。
はっ!!
「ゲイル!お前、何をした……?」
私の魔方陣が発動した。ケイトのそばにいる……カピだ。
「ふふっ。いい眼です……。私とおいで……そうしたら、彼の命は助けましょう。失いたくは、ないでしょう?」
手を差し伸べ、私に近づいてくる。
「ふざけるな!!」
私の足元に、魔方陣が広がり……そこから疾風が巻き起こる。
鎌鼬が、魔王の頬に傷をつける。
「くす。残念、目を狙ったのよ?……くすくすくす……勘違いしないで。救うのは、私!彼に、手を出したら赦さないわ。……ふぅ~~ん。彼の近くにいるのは、あなたの一部ね。じゃ、あなたには消えてもらう!また、逢いましょう?アナタの部屋で……ね!」
《 ★★★★★★ 》ゲイルの体を、鎌鼬が切り刻む。実体がないから、加減なく……。
勇者の体が解放されてよかった。容赦しなくてすむ。
力が戻ったのは、厄介だけど……まだ、未来はあるから……。
「美衣、君は……何故、そこまで……」
ちっ……まだ、遠い場所から話しかける力があるのか!
「秩序を壊しても、大事。覚えておいて、私は魔女!!」
力尽きる私は、眠る。
少しの休息……。
ゲイルも、すぐには動けないだろう。いくら実体ではないにしろ、意識が傷ついたのだから。
『美衣……私には、先が見えない。予想できるのは、周りだけ。美衣はどうなる?幸せになるの?』
この物語を作るのは、私……美衣。
最初ね、魔王を操って……この世界を手に入れてやろうと思っていたのよ。
『うん……』
単純な、明るい冒険……?所詮、私たちの性格は変わらない。
私は、役目のために存在した。長い歴史の、呪い……。
発祥の地をここにしてやろうか……何て、考えた?
『……その通り……』
……私の一言で、それも可能……。
『……美衣、あなたは幸せになれる?』
約束は出来ないわ。私の幸せは、ケイトのためになるなら……なんでもいいのよ?
「……ビエ……」
愛しい人の声が聴こえる。
ケイト、あなたには……幸せになって欲しい。
時限式の薬で、ヒントを得た。
あなたの近くにいるカピ。もしも、私に何かあったときは……カピが、あなたを元の世界に戻す。
そして、元の生活に支障のないように……手助けしてくれる。
そのために少しづつ……カピの体は、魔力を貯める。
『美衣、あなたの眼は何を観ているの?』




