鬼畜ですか?
聖城 麒麟。麻生学園 中等部一年。
俺には自覚がないが、鬼畜だと言われる。
多分、父さんの所為だ。
任務で、家に帰る時間帯が悪いと……
「駄目、麒麟が……ぁ……っ。」
母さんが、父さんに襲われている。
あの、俺……中学生ですよ??教育的に、どうなんですかぁ~~。
「麒麟、見物料をとろうか?お前には、早いよ。さっ、ハウス!」
俺は、犬か!!
父さんは鬼畜だけど、エロイけど……優しいのは知ってる。
俺の性格は、父さんに似た。
「行ってきます!」
家を出て、学園に戻る。今日は張り込みだ。
家に戻らないことが多いのは、別に両親のイチャイチャが原因ではない。
役員に推薦を受け、父や母のしてきたことを経験したかったんだ。
それに、誰かを護って鬼畜の汚名を晴らすのだ!!
「ね、麒麟?……君のお父さんは、役員で活躍してたけど鬼畜だと知られてるよ。優しいのは、みんな知ってるし……鬼畜って、そういうのとは違う気がする。」
この冷たい台詞を吐くのは、大上 双葉だ。
「麒麟は、優しいよ?鬼畜だけど……」
そして、フォローし切れてないのが一葉。双葉と年子の兄貴だ。
「うるさい!!」
「こら、二人とも……麒麟がかわいそうでしょう?……」
優しいが、フォローできないのが大上 景彩。
みんな親類になる。
俺の母さんは、大上本家の人間。
一葉たちは、分家。景彩の父親は、母さんの兄貴だ。
「一葉、図書室でイチャイチャしたって本当か?」
目を輝かせて訊くのは、景彩の相手……海波先輩。
またその話……
俺の周りは、相手が身近にいる。
景彩は中ニで海波先輩は中三。一葉と双葉は相手も同じ中一。
「ふふっ、知ってるよ。役員の人に怒られたんだろ?」
「そうなんだよ。私たちは、相手を見つけると一生好きだ。呪いに関係なく、血がそうさせるんだろうね。イチャイチャぐらい、大目に見てほしいよ。」
「海波、そういう問題じゃないよ?俺は他の人に見られるのは、嫌だからね!」
「麒麟は無理か……相手が小学5年だろ?……ん?そういえば、お前の父親は関係なく襲ったっけ?」
そう、父は小6の母に手を出そうとしてた。
呪いでその姿だったんだけど……関係なかったみだいだし?
「まだいいよ。優貴さんも、相手は小6だったでしょ?詳しくは知らないけど……綾さん、綺麗だしね。」
双葉がニヤリ。
「ふぅ~ん。綺麗なオネエ様ね……」
「何、穂波……やきもち?」
「……言ってろ。」
穂波は、海波先輩の妹で……双葉の相手だ。
拗ねたように離れる穂波を、双葉が嬉しそうに追いかける。
「あの二人、付き合ってるんだろ?」
一葉が俺に訊く。
「どうかな~。形は、どうでもいいんじゃない?想いは通じてるんだし。」
「景彩、私もイチャイチャするぞ!!さ、行こう!」
「もう……」
…………。
「いいなぁ~。俺も、瑠璃に甘えよう。じゃ、麒麟またね!」
一気に人がいなくなるのは、最近のおきまり。
はぁ……相手ね。見つけて、嬉しかったのは本当だ。
呪いから解放されたけど、契約のキスもした。
けど……相手は、小学5年生。
俺も彼女のところに足を運ぶ。
「麒麟、こんにちは。」
俺の相手、松木 蓮美だ。
「蓮美、調子はどう?」
「はい。今日は、麒麟の重みにも耐えられます。」
…………。
「あのさ、上には乗らないよ?」
「……?以前、雨の日に……むぐっ……」
俺は、慌てて蓮美の口を手で押さえ……周りを見渡した。
「蓮美、あの日のことは言わない約束だよね?」
耳元で囁く俺を見つめる。
眼……が、色気を伝える。卑怯だ……
【ペロッ】
舐めた?!!
慌てて手を離す。
「麒麟、いつまでも押さえられてると……苦しいです。」
俺の離れた手を引き寄せ、両手で握りキスをする。
【ゾクッ】
「……ね、蓮美?俺も男だよ……我慢できなくなる。」
「ふふっ。しなくてもいいです。ね、触れて?」
……あぁ、父さんの我慢なんて馬鹿にしていた。
鬼畜の大げさな話だと……理性は、どこまで持つのかな??
「駄目だよ!調子が良くないんだろ?」
最近、蓮美は自分の体力……魔力なのかな?
それを古い大木に分けているらしい。
「優しいのね。物足りないわ……。ね、キスして?ねぇ……体力を分けて欲しいの……」
何だか、魔女というより……ヴァンパイアみたいだ。
おおかみの雑種も混じってるんだよね?
「この間みたいなのは、駄目だよ?俺だって、任務とか……あっ」
【チュウ~】あぁ、やられた……
君からのキスは甘く、採られる何かに酔っているように感じる。
俺は、二の舞を防ごうと蓮美の体を押したつもり……
そう、そのつもりだった。体は正直だ。
「……んっ……はぁ……駄目です。麒……」
両手は蓮美の体を押さえ、俺から蓮美の唇に吸い付く。
舌を口に入れ……その後の記憶がない。
気を失った……。
あぁ、情けない。俺って…………
気が付けば、中庭に横になっていた。
体のダルさに動けず、蓮美を呼んでみる。
「蓮美……いるの?」
「はい。水を持ってきました、飲んでください。」
「ごめん。もう少し、待って。動けないや……」
「麒麟、激しすぎます。少しでよかったのに……戻し……」
俺は蓮美の口に指を当てる。
「……黙って。俺も、反省してるんだ。蓮美……いつまで続けるの?あれ……」
「采景君の子供が生れる前には、終わります。多分……近いです。麒麟……それが終わったら……」
俺は、また意識が遠くなる。
眠気に襲われ……蓮美の声が聞こえない。
ただ近くに座わって俺の手を握り、頬をすり寄せる。
冷たい何かは、涙じゃないよね?……拭ってやれない時に、泣かないで。
自分がもっと……情けなくなるから。
俺の対……
数分後。目を開けると、隣で蓮美が寝ている。
あれ、また俺の上着がはだけてる。これじゃ、俺が襲ったみたい……
「麒麟、あなたと言う人は……」
この声……
「恵、誤解だよ!!」
慌てて起き上がった俺のベルトが、地面に転がった。
…………。
何で!?
「……彼女を起すか、起きないのであれば……抱えて来なさい。」
「はい。あの、恵?俺、本当に何もしてないよ?」
苦笑いの恵が、背を向けて歩き始める。
あぁ、こんな姿を公にした状態ではいけない……か。
「蓮美……?」
「……ん……まだ、駄目です。……それ以上は……」
…………。
あれ、やっぱり俺が悪いのかな??
俺、被害者だよ……。
起きないので、いつものように抱き上げ……恵の後を追った。
もうすぐ君の役目が終わるのだと思う。
終わったら、イチャイチャできるよね?
任務用のある部屋に入る。
蓮美を、長いすに寝かせた。
……あ、太ももが見えてる。白い肌……美味しそうだな。
手を滑らせたら、気持ち……
「こら、麒麟。動きが止まって、背中から邪な空気が駄々漏れてますよ?」
ギクッ……
「へへ?そんなこと、ないよ?」
恵は、大きなため息を吐いた。
「あ、スカートは直してあげなさい。ただし、触れないようにネ!」
……どんだけ、信用がないのかな??
スカートをそっと直し、恵の前の席に座る。
「麒麟。呪いは、解放されました。しかし、学園も係わってきた時の犠牲たち……彼らの過去と、あなたたちの過去が関係あるようです。先見が、未来を垣間見ました。役員は、そのときの中心があなたたち若者だろうと……。将来、あなたたちが未来を導くか、護るのか……」
「恵、蓮美は……もうすぐ、何かが終わると。」
「あの木、それが……答えなのでしょうか。発祥の地……魔女の家系が護っていると思っていました。異世界の彼女が、入り口は別のところにあると言うのです。すでに閉ざされてはいるが、何かが……あると。」
「追放された身では、情報に限界があるね……」
「いや、まだ……与えられたほうなのかもしれない。」
見えない未来……
時の犠牲たちのいることが、まだ……俺たちの……本当の解放ではないのかな?
魔女から、遠い家系の蓮美。その力は、何のためにある?
俺の体力を奪うことまでして……何を、急いでいるの?
蓮美……俺は、君を失う夢を見るんだ。
俺達は呪いから解放された。君以外の人を選ぶことも出来る。
俺は、こんなに必死で……君を求めているのに……




