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C【派生シリーズ】邪  作者: 邑 紫貴
8おおかみツイン

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48/71

ツインはおおかみ!!


数日の入院が決まった一葉。

瑠璃は付き添いで、何度か授業を抜けた。

瞳は、転校……薬の密売グループに係わっていた。

単なる暇つぶしだったと言う……そのターゲットになってしまったのが一葉。

男のグループは容赦なく、痛い目をみたようで。

これ以降、瑠璃の周りに男が近づくことはなかった。

優貴さんたちが、目を光らせていたから。

俺は、あまり役に立てなかったな……悔しい……

1一葉のいない生活。半身がないみたいだ……。

それぞれの道を、これから歩む。分かっているけど、こんな形で……思い知るなんて。

ボスの配慮で任務に向かうが、心は晴れない。

学校に戻っても授業どころじゃない。


緑の多い静かな裏庭を歩く。

木の下に座って空を眺め、目を閉じた。

一葉……君は、手に入れた。瞳も認めた、委員長への想い……

視線を感じる。匂いもする……穂波が近くで俺を見ているのか?

君の心に俺はいるのかな。同情?それとも、いつものように見下すのか?

いや、何かが違う気がする。

穂波、その男前な外見とは違う……内面の可愛いらしさ。

そして触れたときの反応。男に慣れていない……

当然か、中学一年。菫さんのときの雰囲気で、勝手なイメージが俺にあった……

俺はいつも置いてきぼりを感じた。

穂波の気配が近づき、俺の横に座る。

俺は、目を閉じたまま……様子をうかがっていた。

「……バカだな……」

あれ、やっぱり俺は情けない男??

俺の肩に手を乗せ、傾かせる。

ん??俺の体が、穂波の体にもたれ……頬が穂波の肩に乗った。

【ドキッ……】

動悸が……心拍数が!!

「……ふっ……起きてるのか?」

俺は、目を閉じたまま動かなかった。

「たぬきめ。……いいぞ、そのままで。覚悟しろ、高いからな?」

ふふっと、俺の髪を撫でた。

【きゅぅうぅ~~ん】

愛しい……抱きしめたい……襲いたい。

けれど、この甘えるのを逃したら……二度とない気がする。

俺は、その肩に頬をすり寄せた。

「……可愛い奴だな。」

俺の頭に、穂波も頬をすり寄せる。

幸せだ……

「双葉、私は……他の人と付き合うことにする。お前の相手には、ならない。」

どれくらいの時間を味わったのか、その言葉に体が冷たくなったように感じる。

俺は目を開け、穂波の肩から顔をあげた。

「穂波?」

「……矢城……だろ?」

そう言う穂波の表情は、悲しそうだ。

「俺ではダメなのか?」

「双葉……逃げたい。この心に、狂いそうになるんだ。」

「狂えばいい。俺を、好きになれよ。」

「……好きだ。けど、駄目だ。」

「何が駄目なんだよ!」

「分からない。理解できない。私は、普通なのか?お前には、もっと可愛い女の子がいいんじゃないのか?」

「ふふっ。穂波、十分可愛いと思うけど?」

「ふん。菫さんにも言われたよ。姉さんのような強引さは、私にはない。」

「あの時、何もなかったの?」

「くくっ……何を想像したんだ?いやらしいぃ~~。」

「黙れ!口を塞ぐよ?」

「……つき合ってもいないのに、気安く触るなよ。こら、どうして……ちょっ、顔が近い。待て!!」

俺は穂波の両肩に手を置いて、逃げられないようにした。

目を細め、顔を近づける。

「……待て待て、まて!!」

穂波の片手が、肩にのせた手を退けようとする。

顔を逸らして最後まで抵抗。カワイイな。

もう片手が、俺の顔を押し退ける。掌が、俺の唇を押さえた。

【ペロッ】

「ぎゃっ……舐めた??」

一気に顔が紅葉し、逃げ腰だ。

「そうだ、穂波?」

「矢城だ!」

ムカッ……この言葉で距離を置こうとするの、嫌い。

重みをかけて、地面に押し倒した。

「わわっ……何、何でか自然に?待て、なんだか慣れてないか?嫌だ、やめ……んっ……んんん~~!?」

キスを繰り返した。

上に覆いかぶさり、耳元に囁く。

「退いてほしい?お願いしてみようか、穂波ちゃん?」

「何を言って……ひゃぅっ!?」

耳に息を吹きかける。

「……何を!?……~~このっ、変態!!」

「違う言葉は、お仕置きです♪」

【チュウ~】

「痛っ……ぁっ」

キスマークを付け、そこを舐める。

「へへっ、俺の印♪ね、穂波?これじゃ、しばらくは誰とも付き合えないね?」

「双葉、あの……性格が……おかしいぞ!お前は、もっと……」

「もっと、何?」

「……私の間違いだ!こんな男は嫌いだ!!退け……」

「はい、残念~。」

手を胸に乗せる。

「……わぁ!?そこは、駄目だ……分かった、お願いします!退いてください!!」

ニッコリ微笑んで見下ろす俺に、ぎこちない笑顔。

「可愛くないね。もう一度、チャンスね?」

「……~~っ!!」

顔が真っ赤になり、涙ぐんでいる。

おっ、これは可愛い。

「さ、どうぞ?それとも穂波ちゃんは、この手がどうなるのか知りたいのかな?」

「お願い……やめて、くださいぃ~~。」

穂波の目から涙が零れた。

柔らかい胸が熱を伝える。

堪んない……この涙が、俺の理性も流したかな?

「……ごめんね。止まらないよ……」

「ちょ!?嘘つき、嘘つくなよ!!……んんっ!」

1唇を重ね、胸に置いた手に力が入る。

【ビクッ……】

穂波の体全体が、反応を返す。

【ゾクッ】

うぁ~~、表現が出来ない……もう、このまま……

「おい、下衆。私の妹にサカってんじゃねぇ~ぞ?」

またも制服の襟が引かれ、邪魔が入る。

「……ちっ、海波先輩?この間、邪魔せずに鍵までかけてあげたのに。」

「ばぁ~か。役員のほとんどは、開けれるんだよ。」

海波先輩が俺より不機嫌なのは、別の誰かに邪魔された八つ当たりじゃね?

1俺を投げ飛ばし、穂波を抱きしめる。

「よしよし。はい、怖かったなぁ~~。男は、狼……いや、おおかみだから合ってるのか。……言ったろ?私たちの家系は、必死になると。駄目だよ、落ち込んだ様子なんか見たら。母さんみたいに、とんでもない変態に引っかかるんだから。」

自分の父親の事なのに。言いたい放題だな……

「姉さん、どうして?」

「え、景彩が拗ねてさぁ。覗きだ。」

え、覗かれてた??

「ふっ、意地悪だね。もっと早く助けてよ。」

「それじゃ、おおかみのお仕置きにならないだろ?」

…………。

酷いよ……俺の欲求不満、どうすればいい??

「下衆め、ざまぁ~みろ!」

「まさか。あの後……誰かに見られて、景彩が怒っただけ?」

「……だけ、だと!?触るのも、しばらく禁止だぞ?」

「俺は、いいところだったんだ!」

「私だってそうだ!」




一葉side。


「ごめんね、瑠璃。」

「もう、そればっかり。一葉君、気にしないで。ね?」

薬も抜けて、大学の研究チームが開発した薬で、調子もいい。

今日、退院できる。

「瑠璃、お願いがあるんだ。」

俺のお願いに、何故か固まって俺を見る。

……?あぁ、ふふ……

「何?どうして、そんな反応なの?可愛いね……」

「あの、ここ……病院だよ??」

瑠璃は俺から一歩だけ、そっと離れた。

「ん?そうだね。」

逃げ腰の瑠璃の手をつかまえ、引き寄せる。

「きゃっ、ちょ……一葉君??もうすぐ、お父さんたちが来る時間だよ……っ」

【チュッ】

「へへっ。うんうん、そうだったよね。見せつけちゃう?」

「駄目!!」

真っ赤だった顔が、青ざめる。

「お願いを聞いてくれたら、放してあげる。」

意地悪に耳元で囁く俺に、涙目の瑠璃。

「ね、瑠璃。一葉って呼んで?」

「……い……ちよう。」

「聞こえないよ。」

「意地悪な一葉君は、嫌……っ」

【チュウ~】

「聞きたい言葉じゃないよ?ほら、もうすぐ入ってくるかなぁ~~」

抱きしめる力を強くする。

「……恥ずかしい。意地悪ぅ~~。いち……よう……一葉、離して?」

可愛い!!

「もう一回、チュウ!」

「ちょ、うそっ……ん……」

【ガチャッ】

…………。

…………。

【ピシャン】

扉は閉まった。




双葉side。


「ごめんな。父さんたち、遅れるって言うから。あはははは、ノックすればよかったね♪」

「良いよ、別に。」

一葉は、いつもと同じ笑顔。

ホッとする。

「良くないよ!これが、お父さんたちだったら……酷い。」

委員長の涙が流れる。

「あぁ~あ、可愛い子を泣かすなんて。さぁ、泣かないで。」

穂波が委員長を抱き寄せ、頭にキスを落としナデナデしている。

…………。

「矢城さん、それ……俺の。」

「モノじゃないわ!」

一葉は、委員長の機嫌を損ねたみたいだ。

「双葉、何とかしてよ。相手が女性なんて、卑怯だよ。」

「無理だな。このモードになると、手が出せない。俺の彼女になってくれないし。」

「じゃぁ何故、矢城はここに来たの?」

「俺のこと、好きだから。」

「こら、そこ。私は、双葉を選ばないと決めたの!」

可愛くない。隙もないし……

一葉も、穂波に委員長がベタベタされて面白くないみたいだ。

「なぁ、双葉。お前、瑠璃にキスしただろ?」

……したけど、今更なにを??

それで一葉に、俺は殴られたよね。

「あぁ、ごめん。」

悪いことしたとは思……う?

【チュゥ】

一葉が俺にキスをした。

あれ、何だか覚えがあると思ったら。麒麟のキスを回避した……あれか。

「よし。これで瑠璃のチュウは、無しにしてやる。」

「ほぉ~~面白い。」

委員長を抱きしめていた穂波の表情が、冷たい。

穂波が委員長のあごに手を当て、上に向かせたと同時。

【チュウ~】

?!!

き……キス……した!?

委員長は、固まったまま動かない。

その委員長から離れた穂波は一葉の前に行き、顔を両手で押さえた。

【チュウ~】

…………。

あれ、これは……どうしたらいい?

「ふんっ。双葉のチュウは、私のだ。」

ぷふっ。穂波の奴、どんだけ可愛いことするんだよ!!

「双葉、これはないよ。勘弁してくれよぅ~~。多分、草樹の呪いだぜ?」

「あぁ多分な。」

一葉は、固まった瑠璃に話しかける。瑠璃はプチパニックだ。

その瑠璃に、優しく一葉がキスをする。……羨ましい。

俺の横で、ニヤニヤと二人を見ている穂波。

「穂波?」

「何?」

「次は、俺のものになってもらうから。」

「ふん。楽しみだね。隙は見せないよ?」



瞳の事件で、組織内は慌しい。

麒麟は恵さんと話をしている。多分、蓮美のことだ。

あの後、蓮美は普通に目覚め『時が来ている』と言った。

委員長の言った5人の子供たち。

もうすぐ生れる子供たちに、何が待っているのか……

16年後の事を、俺たちはまだ知らない。

俺たちは、役員として彼らをどれだけ護れるのか。

それさえも……


「双葉、任務だ。行くぞ!!」

「あぁ!」

麒麟の相手、蓮美……君の力が、未来のカケラを目覚めさせる。

麒麟、君の支えに……俺はなれるかな?

誰かを護るのは容易ではない……。

「麒麟、俺を頼ってくれ!」

「信頼してるよ?」

「知ってる。もっと頼れ!!」

微笑んだだけの麒麟は、俺には何も言わない。

俺は、おおかみ。強くなるぞ!!穂波も覚悟しろ!




一葉side。


「ね、一葉?双葉君たちは、付き合ってるのよね?」

「ん?どうかな~?穂波は、付き合ってないと言ってるし?触れるのを許さないからね。」

「ふふっ。やっぱり、矢城さんは可愛いね。嫉妬して、好きで好きでしょうがないのに。素直じゃないのね。」

「そうだね。ふふ……瑠璃、俺は君が可愛いよ?」

「……もう、一葉君は……」

「ん?今、何て?」

「何も!!……一葉、図書室では静かにしないと……あれ?誰もいない……??」

「今、この図書室に誰もいないね。俺、この時間が好きなんだ。あぁ、そういえば……ここだっけ?」

瑠璃に双葉が襲ったところ……か。

「思い出は、塗り替えないと……ね?」

「駄目、人が来る!!絶対に、来……?!!」

瑠璃の軽い体を机に倒す。

「来ないよ。この時間は、ね。知らなかったの?覚えておいて。俺の好む静かな時間を。」





END

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