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C【派生シリーズ】邪  作者: 邑 紫貴
8おおかみツイン

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手に入れろ!!

一葉side。


瑠璃は、瞳に遠慮気味だ。いつもそうだった……

その瑠璃を双葉が慰めた。畜生……俺が憎くてしょうがない。

瑠璃の支えの双葉も、憎い。俺の所為なんだけど……

触れたい。自分が与えた苦しみを、少しでも和らげてあげたい。

君は俺の心を求め、俺の心を手に入れたのに。

瞳の存在が、中途半端で……また、君を苦しめる。

「ごめんね、瑠璃……。」

何度となく、瞳に別れを認めて欲しくて近づいた。

それがいけなかったのかな?

『案外、追ってこないかも……』

冷たく、突き放せば……そうかもしれない。

俺だけの心が欲しいわけではない。瞳は、双葉にも同じように近づいたみたいだし。

瑠璃との時間は、ただ……抱きしめ愛情を囁く。

それ以上は、触れない。

多分、瑠璃の気持ちも同じだろうから……




双葉side。


穂波の雰囲気が、一段と男前になった。何故だ??

廊下で女の子が囲み、貢物を捧げる。

「ありがとう。みんなからもらえないから、一口くれるかな?」

なんて、無防備に目を閉じ……口を開けた。

赤面の女子が、穂波の口にクッキーを入れる。

それを美味しそうに食べて見せ、爽やかに微笑んだ。

「おいしいね。君は、いい奥さんになるよ。」

「穂波、私のも食べて!」

「くすっ……可愛いね。」

俺……男力が負けているかな??

「負けてるね、双葉。」

俺の肩に重みがかかる。

麒麟が抱きついていた。

「……はぁ。隙を狙ってるんだけどね。あいつ、逃げるのが速いんだよ。蛍兎さんのサバイバルの所為かな?」

「……ははっ。かもね?」

「麒麟、疲れた顔してるよ?言わないと、助けることが出来ない。」

俺の台詞で、麒麟は抱きつくのを止めた。

「麒麟!?」

「……いや、何か……周りが携帯で撮ってる。」

周りで女子が携帯を構え、頬を染めて撮り続けるけど……楽しいのかな??

「ね、一葉君と3人が撮りたい!」

「……撮って、どうするの??」

「どうせなら、景彩先輩を3人が囲んで欲しい!!」

…………。

俺の質問を無視して、好き勝手……

「麒麟、女の子の考えることが解らないよ。」

「解る奴なんかいないよ。相手の心さえ……」

心は、穂波以外は分かるけど……理解できない。

『男の子同士、有り!』

何が??麒麟と、イチャイチャが有り??無いでしょう??

「双葉、君の相手……消えたよ?」

「え?!……ちょ、教室にもいない!!……忍者かよ!!」

「ふっ……くくっ……あはははははは!!」

「……この間の仕返しか?」

「そうだね。ぷぷ……いいんじゃないの?頑張れ!」




一葉side。


放課後。瞳をつかまえる。

いつもなら耳を傾けず、振り払うように『別れない』と言い放つのに。

今日の瞳は違った。今までのように可愛く振る舞い、穏やかに笑う。

「いいよ。ごめんね……別れてもいいわ。けど、最後に少し……話がしたいの。それぐらい、いいわよね?」

瞳は腕を絡めて、俺の手を引いた。

最後なのだと……そう思った俺は、やはり甘いんだな。

俺達は移動して、空いている教室に入った。

ドアを通り過ぎたすぐ、口に布が当てられる。これ……!?

慌てて振り払うが、少し匂いを嗅いだ後だった。意識が揺らぐ。

「……ふふっ。公に、私との関係をばら撒けばいい。彼女は傷つくでしょうね?一葉君が悪いのよ。こんな可愛い私を振るなんて……確かに川治さんは綺麗ね……許せないわ。だけど今頃、彼女も……」

「瑠璃に、何をした!!」

壁に身をもたれ、意識を保つのに必死だ。

汗が、流れるように出る。

畜生!!動けない。瑠璃を、こいつから護ると誓ったのに。

「悔しい?ふふ……いい顔。今まで男の子の顔だったのが、男の顔に見える。ゾクゾクするわ……欲しい。出来れば、双葉君も欲しいな。」

「ね、瞳?独り占めは、ダメよ?」

気付けば教室には数人の女の子。

「一番は私よ。」

「近づくな。俺に触るな……瞳にも、ここに居る誰にも反応しない。俺の相手は、瑠璃一人だ。」

「ふふ。誰かが、触れた後……あなたは、彼女を愛せるかしら?」

「……関係ない。」

「あるわ!!男なんて、誰かの後だと言うと見る目を変える。私を、おもちゃみたいに扱って……」

「瞳、俺はそいつじゃない。」

「分かってるわ!!ふん、あなたは良くても……彼女は受け入れない!!」

……え……?

「そうでしょう?あなたの所為よ。あなたが、私に心を許した。そして彼女は、自分の体を……好きでもない男が触れる。あなたを好きにならなければ、そんなことはなかった。これから、一生の傷。一生……あなたを怨む。あなたを許さない。……呪いの相手ね。くすくすくす……あなたは一生独り……選んだ人から、一生……憎まれるのよ。いい気味!!」

瞳の両手が、俺の頬に触れ……顔が近づいてくる。

俺は力を入れ、手の平で瞳の唇を押し退けた。

「ふっ。そんな力じゃ、止められないわよ?」

瞳は俺の手にキスし……舌を這わせる。

【ゾクゾクッ……】

相手ではないのに体が反応する。

足に力が入らず、壁に沿って座り込んだ。

「……ふふっ。可愛い……必死の顔。睨んだ眼……好いわ。」

俺の前に座り、抱きついてくる。

「離れろ……」

意識が遠退く。夢を見ているように、思考が働かない。

流されそうだ。このまま、瑠璃だと思って……止まらない欲望が、俺を急かす。

何故、我慢する?これは薬の所為だ……しょうがない……

違う。こいつに手を出したら、もう……二度と…………

瑠璃の体に、手を出す奴がいる。止めないと。もう遅いだろうか?

……瑠璃……あの声……あの匂い……あの柔らかい胸……

俺が見ているのは瑠璃……いや、違う。

瞳が唇を重ねてキスをする。

この唇は違う。感じない。幸せもないなんて。どれほど空しいことなんだろう…………

「瞳、ごめん。ごめんな。俺は瑠璃が好きだ……瑠璃だけ。恨みでもいい……彼女の心に、俺が」

いるなら……それで、一生を生きよう。

瑠璃、ごめん……




双葉side。


任務で、姉妹校に行った帰り道。

公園で蓮美を見かけた。大きな木にもたれて空を見ている。

遠いけど、何故かドキドキする。あの色気は、なんだろうか??

可愛い顔なのに……

「蓮美?

」声をかけると、ゆっくり俺の方に視線を移す。

【ゾクッ……】

思わず、一歩下がる。

「こんにちは、双葉君。ゆっくりしてはいけませんよ、一葉君が大変です。」

「……瞳か!?」

「学校ですよ。麒麟が動いています……急いで…………」

蓮美が言葉の途中で気を失い、倒れるのを受け止めた。

理解できない状況が不安を煽って、胸が苦しくなる。

何かが、あいつを苦しめているのに……俺は。

「……麒麟、このままに出来ないから。蓮美も、相手じゃないけど触れるのを許してね。」

俺は、お姫様抱っこで走る。蓮美の体は軽い。

一葉。それに麒麟も……どこまで呪いが苦しめるんだ?

腕の中、目を閉じた蓮美の頬を涙が伝う。

麒麟……君たちに、何が起きてるの?

俺は一葉を助けることが出来るかな。


学園の敷地に入る。役員の人が情報をくれた。

「視聴覚室です。数名が待機、墨が現地の指揮を執っています。」

「ありがとう。」

まだ大丈夫なようだ。

麒麟……君の心を支えたい。一葉の件が終わったら、蓮美を護るのを手伝おう……

視聴覚室に近づくと、数人……何人いるんだって数の他校生。

姉妹校の子もいるが、見たことのない制服の子もいる。

「双葉、来い!一葉が気を失って……蓮美!?」

遠くで、俺の姿を見つけた麒麟が青ざめた。

スピードをあげ、人波を掻き分ける。

「蓮美、俺に情報をくれたんだ。」

麒麟は辛そうな表情で、蓮美を俺の手から抱き寄せた。

そして一瞬で厳しい顔に戻り、指示を出す。

「本部の冬北ひゆきたに移動。迅速に、動きは少なく。ルートBを!」

俺は教室の中に入る。

一葉の前に、頬に傷のある瞳。

「……瞳、それ……」

何があっても絶対に、双葉は手を出さないはずだ。

双葉は、壁にもたれ気を失っている?寝ているのか?

「ふん。どうでもいいわ……仲間なんて、言葉はあってないようなもの。私は、謝らないからね。」

『……これで、よかったのかもしれない……』

瞳は役員に連れられ、本部で事情聴取だ。

俺は、瞳の後姿を見送った。

瞳……お前の心が、少し穏やかなのは一葉なのかな。

俺は、一葉を揺する。

「一葉?」

汗をかいたのか、少し震えている。

それとも薬の所為なのか?

「双葉、退いて。診るから。」

後ろから、心配した顔の草樹。

「……大学病院に移す。手伝え……」

一葉の体に入った薬は、違法な物だった。




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