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C【派生シリーズ】邪  作者: 邑 紫貴
8おおかみツイン

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46/71

弊害の休息


保健室。ノックして入る。

中には委員長と草樹、麗彩ちゃん。

「一葉君?どうして……」

【きゅん……】

この可愛い声に、胸が苦しくなる。

愛しい……

「話があるんだ、いいかな?」

「……えぇ。委員会には、連絡がいってるみたいだし。」

ニッコリ。大人な雰囲気……

おいしそう。

「……一葉、眼がおおかみだよ?」

草樹の声に、二人ではないのを思い出す。

「うるさい、草樹。彼女の前で、そんなこと言うなんて……最低!麗彩ちゃんと別れちまえ。」

「……こいつ、生意気になりやがって。」

機嫌が悪くなった、大人気ない草樹に抱きつく麗彩ちゃん。

流し目で、俺たちに行って……と合図。

「草樹のばぁ~~か。」

委員長の手を引いて、保健室を出る。

高等部と中等部を繋ぐ通路で立ち止まった。誰もいない空間。

手を繋いだまま見つめる。

「委員長、瑠璃って呼んでもいい?」

「…………。」

顔を真っ赤に、ビックリした顔で固まった。

「可愛い……瑠璃。瑠璃……へへっ」

調子にのって、引き寄せ抱きしめる。

瑠璃は体を硬くし、固まったまま。

「瑠璃……好きだ。いい匂い……ね、食べてもいい?」

返事はない。

首元に、軽いキスを落とす。

「……あっ」

【ビクッ】

反応と同時……瑠璃の重みがかかる。

「瑠璃?」

「……ごめ……なさい。立っていられな……」

涙目に、少し罪悪感。

通路に座り込んで、肩を並べる。

「……ごめんね。瑠璃……俺、瞳に別れるって言ったんだ。あいつは、別れないと言うけど……片付いたら、付き合って欲しい。」

「一葉君、この話の前にフライングしてるわよ?」

「えへ?じゃ……ついでにチュウ♪」

瑠璃の不意をついて、軽くキス。

「……~~っ。」

口を押さえ、顔が真っ赤……リンゴみたいだ。

「ね、瑠璃……双葉と、どこまでしたのかな?」

俺の質問に、固まった。

「……チュウ、だけじゃなさそうだね。そう……先に言うね。ごめん。」

俺は通路に、瑠璃を押し倒す。

「待って、駄目……やぁっ……そこは違う!」

柔らかい胸に触れた手を止める。

「……くすっ。可愛い……おかしくなりそう。瑠璃……」

手に重みを加えると、沈む胸。

「……~~。」

震えを感じる。

我慢しているのかな?それとも、怖いのか……ここまでかな??

「瑠璃、今日はいいよ。ここでは、君がかわいそうだから……俺は、気にしないけど。」

上に覆ったまま、瑠璃の耳元に囁いてみる。

「……ばか。嫌い……私の好きな一葉君じゃない……嫌い……」

【きゅぅう~~ん】

可愛い生き物だ……もって帰りたい。俺だけのものにしたい……。

興奮してしまう。これが、俺の相手なんだ。

落ち着いたのか、涙目で微笑んだ瑠璃。

あぁ、息が止まって死にそうだ。

「瑠璃、俺のこと好きなんだ?」

「意地悪な一葉君は嫌い。」

「好きだろ?ね、瑠璃……好き……大好きだ……ね、言って。俺に好きだって……」

「好きよ……」




双葉side。


教室。一時間目の授業の鐘は、とっくに鳴った。

一葉はいない。委員長もいない……ふっ。上手くいったのかな?

瞳の心が聞こえる。

『一葉君。朝、来ていたのに……。いつもと雰囲気が違って、かっこよかった。これから、もっとかっこよくなるわね……。絶対、別れないんだから!』

面白いな。こんな簡単に、穂波の心も分かったらなぁ。

穂波……赦してくれるかな?俺のこと、好きになってくれるかな?

それにしても。劾さん、どうして可愛いなんて言うのかな?

俺、穂波のこと……あまり知らない。

ふふ……楽しそうだ。ストーキングしてみようかな♪

君を見つけた入学式。お父さんと同じようには、いかなかった。

当時、君の背は俺より10センチも高く、キス出来ない……と、落ち込んだ。懐かしい。

俺には君しか目に映らなかったのに……

毎日、必死で牛乳を飲んだ。

効き目がない?知らない……カルシウムは、取って損はない。

体も鍛えた。優貴さんに柔道を習い、嵐君に剣道を習った。

最近は、恵さんに少林寺を教えてもらっている。

穂波をお姫様抱っこできる男になるぞ!!当然、護れる男にも!

「双葉、一葉はどうした?」

上の空だった俺に、先生が探る様な視線。

「内緒デス♪」


二時間目の前に、双葉は委員長と戻ってきた。

おおかみの目覚めか。ふふ……一葉の本質だ。

委員長、俺より一葉の方が鬼畜だよ?いや、S なのかな。応援するね♪

クラスのみんなは、周りを囲んでいるが祝福に見える。

「何、二人でサボリ?」

「一葉、委員長と付き合うの?」

「……へへっ。うん、そのつもり。だから、瑠璃に触れないでね?殺すから。」

一葉、眼が本気だ。

みんな、赤面で笑っている。誰も、瞳のことを気にしない。

瞳はどう出る?

「一葉君。私のこと、どうするの?」

「今、ここで言うの?俺は構わないけど。」

一葉、容赦ねぇ。護るものが出来たら、一葉に敵う男はいない。

俺は瑠璃を手に入れていたとしても、いつかは奪い返されただろう。

「川治さん、絶対に譲らないから!!」

これは何かあるね。麒麟は、動いてるかな。

役目を果たす代わりに、俺たちは支えあい……護る相手を優先する。

俺たちは仲間だ。同じ呪いの弊害を受け、戦う。

ただ、麒麟は……自分からは言わないだろう。

景彩が、麒麟を気にしていた。俺の相談もあるし、麒麟と話をしようかな。

「一葉、次の時間、ノートを頼む。麒麟に会うよ。」

「頼むよ双葉。麒麟を助けてあげて……」

一葉、君も感じたんだね。麒麟の事。


俺は役員の一室に入る。

「お、双葉。弟よ。」海波先輩……と、景彩。

「あの、ここ……みんなが使うよね??何、してるの??」

「ナニだが?」

景彩は押し倒されて、制服の上着がはだけ……ズボンのベルトが??

「ほら、海波……言ったよね?ここじゃ、イヤだって!!……見られた、恥ずかしい……もう、当分なしだからね!!」

「ごめんて、ね……機嫌直して?景彩……」

景彩を起し、頬にキスを繰り返す海波先輩。

あれ~~?何かがおかしいけど、合ってるのかな??

「あのさ、麒麟知らない?」

「……小等部、彼女のところだ。」

海波先輩は、景彩に抱きつきながら……俺を追い出す素振りで不機嫌に答える。

「……んっ、こら……駄目だって、やっ……」

景彩、また押し倒されたけど……


部屋を出て、鍵を閉める。

景彩、大変だな。

それより、彼女??麒麟、いつの間に相手を見つけたの??

麻生学園の小等部。校舎二つ……どっちだ?広い敷地、中庭に立つ。

「あら、双葉君です。こんにちは。」

後ろからの声に振り返る。

「……蓮美?今、授業中だよね??」

俺の質問に首を傾げ、ニッコリ微笑んだ。

【ゾクッ】

何だ?!!この感覚……

小学生の色気じゃない……まさか、麒麟の相手って??

「ね、麒麟を見てない?」

「そこに寝ています。」

目を向けると、茂みには上着のはだけた麒麟。

あれ?さっきの景彩が頭を過ぎるのは何故??

それを小学5年の蓮美に訊いてもいいのか??

「……蓮美、麒麟は……」

「お疲れです。……私の相手で……」

…………。

それは、どう受け止めたらいい??

「……ん……蓮美?」

良かった……のか(?)起きてくれた。

「麒麟、あの……時間、ずらした方がいいかな?」

俺の声に、真っ赤になった麒麟の顔。初めて見た。

「違……その、蓮美?どこ……」

慌てた姿も貴重だ。

「ここです。麒麟、私を抱いたまま寝ました。」

「わぁあぁ~~、違う!誤解を受ける言い方を、蓮美!?双葉、違うからな!!」

「……ぷっ……くく……くはっ……あはははははは……」

「笑うな!」

蓮美は、自然に麒麟の隣に座る。

「蓮美、体調は?」

「はい、大丈夫です。……麒麟の無理にも応えます。」

「だから、言葉は選んでくれるかな。俺が鬼畜みたいだろ?」

「……違うのですか?」

「違うよ!双葉、立っていないで……ここに座って。蓮美は、黙っててね?」

俺は麒麟の前に座って、二人を見る。

「麒麟、蓮美が相手なの?」

「……あぁ、見つけた。手ごわいよ?どS の連歌君の娘だからね。母さんは泣いたよ……鬼畜の俺には、合わないって。」

「あはは……笑える。」

「ふん。蓮美、覚悟して?俺が勝つんだから。」

「……ふふ、楽しみです。今は、私が勝ちます。これからを左右するのは、今ですよ?愛してるわ……」


蓮美の色気が駄々漏れる。

「麒麟、負けてるよ?」

「……知ってる。言われなくても……。ね、一葉は上手くいった?」

「あぁ、後は瞳だ。何かあるね……準備をしよう。」

「それはもう情報の奴らが動いてる。ふふっ、とても気になるお友達がたくさんいるね、瞳は。」

麒麟、まだ少し顔色が悪いように見える。

俺達に何かを隠し、一人で背負っているのかな。しょうがない奴だ……

「俺達は役員、協力して護るぞ。」


麒麟と蓮美を残し、俺は教室に戻ることにした。

あの二人の恋愛は先が怖いね。あぁ、俺の周りはマトモな奴がいない。俺の幸せは来るのか?

授業が終わるまで、敷地を歩く。

「役員でも、サボりはいけないよ?」

この声……

「嵐君。何、閑さんのところ?」

「仕事と言ってくれ。いや、産休の届けだよ。」

「……え……嵐君のところも、赤ちゃんが出来たの?」

「あぁ、兄貴のところと草樹・劾・采景のところと同い年だね。」

「采景君のところも?!」

『5人……』

委員長の言葉を思い出す。

あれは、この……5人?

「どうした、双葉?……ん、お前は駄目だぞ。中坊が……いや、役員なら養えるか?」

駄目だ、俺の周りにマトモなのはいない。

「嵐君、その発言は警察の仕事としてどうなの?」

「駄目だな。ははは……」

1笑ってるし……

「双葉、俺は呪いが分からない。けど、みんな同じだ。相手を手に入れるのは、大変なんだ。護るのも……な?」

「ふ……嵐君は、追い詰めてるけどね?」

「……俺はいいの。あの顔がいけない……追い詰めてくれと言ってるのさ。」

連歌君と同じ、どS だ。

「逃げられるよ?」

「ふふ……バカだな。逃げていいの!追いかけるのが楽しいし、逃がさないから。」

「ね、相手が可愛いと思うときはどんな時?」

「……何だ、いきなり?人によって違うぞ。連歌も、どSだけど……逃がして楽しんだりしないし。」

あれ、説明がそこ??

「追い詰められた顔が、可愛いの?」

穂波が追い詰められたところが、想像できないな。

「いや、その後……あれ、こんなこと言ってもいいのか?ま、いいか♪それはね、くふふふ……」

駄目な大人だな。

「受け入れてくれるからさ。他の誰でもない。俺だけを見る。心は、俺だけのもの。俺の心も、あいつだけが持っている。愛しい……て、マジに語っちまったぜ。お、やば……交替の時間だ。じゃな、双葉……苦労しろ。手に入れた喜びは、大きいから!」

走っていく嵐君は、好き勝手に叫んだ。

ただの、のろけかな??

愛しいか……


教室に入り、一葉が寄ってくる。

「双葉、麒麟は?」

「あぁ、何かを抱えてるね。蓮美が相手じゃ、大変なのかな?」

「何か力が蓮美にはあるんだよ。」

「……魔女の家系には、遠いだろ?」

「でも、家系だ。」

視線……?

『絶対に、どっちか……手に入れるんだから!』

瞳……お前の心も、多い。

手に入れられるのは一つ。それを純粋に求める者だけが得る。

【ふわっ……】

風に、あいつの匂いが運ばれる。

ヨンデル……後ろの穂波の席を見た。

「……え?」

副委員長の男と話をしている。

「まだ付き合ってはいないよ。けど、彼が告白して……返事は保留だって。」

返事が、保留……

「落ち着け。双葉……何故、保留か。お前を忘れるつもりなら、保留ではなく付き合う。お前に、心がある証拠だ。焦るな……」

焦るな?焦るよ……

見るな、近づくな。俺以外の男と、話もしないでくれ。君の心が欲しい……

副委員長め、どうしてくれようか。


お昼休み。

俺は穂波の手をつかんで引っ張り、教室を出た。

「双葉、何だよ。購買のパンが売り切れる。」

「うるさい!そんなのは、どうでもいい。話があるんだ。」

「……何、教室では出来ない話か?」

「そうだ!みんなが見るから。」

役員の使用する部屋に入り、手を離す。

後ろで鍵を閉めた。

「……ふぅん。その気、なんだ?」

この状況に、余裕の穂波。可愛くないよね。イラッ!!

背の高い穂波に近づき、軽く足払い。

「……ひゃ!?」

予想外だったのか、床に座り込んで不思議そうな顔。

俺は、覆うように押し倒す。

「なっ……待て、双葉!?おかしいぞ、普通は話を……こら……!?」

スカートに手を入れ、太ももに滑らす。

「……ぁっ……」

何、今の可愛い声は??

「穂波?」

「……違う、触るな。くすぐったい……ダメ……」

スカートの上から手で押さえ、顔が真っ赤。

【きゅぅう~~ん】

何?!なに何、なんなの??この可愛い反応。止まらないんですけど??

首元に、唇が軽く触れる。

「……ゃ……」

俺の頭を押し退けようとする。

【ピクッ】体が、小さく反応する。

理性なんて……もう、消えてもいいんじゃないかな♪

押さえられていない手で、胸に触れた。意外にある。

「……ふ…………んんっ……やめ……」

【ゾクゾク……】

はぁ……はぁ……息が荒くなる。

「はぁ……イヤだ……っ……」

穂波の息も漏れ、可愛い声。

「穂波……可愛い。ね、いい?このまま……ねぇ、我慢できないよ。好きだ……」

「ウソだ。……うっ……嫌。許さない、汚い手で触るな。」

「……それは委員長とのこと?それってヤキモチだよね。……もう穂波以外を見ないから。他には触れない。俺の心を穂波にあげる。だから穂波の心も頂戴?」

「……ひどい……双葉は卑怯だ。嫌い、触るな……っ」

言葉を遮るように、彼女の口をキスで塞いだ。

キッと、睨んだ穂波の平手が当たる。

何かに駆られる様に、その手を捕らえ……指を口に含んだ。

彼女の反応を楽しむ自分がいる。くわえた指に舌を這わす。

「……なっ……やめろっ……って……バカ……」

穂波の目に涙が溢れ、零れた。

大きな罪悪感。

「……あらら。今日は、許してあげる。俺の心が痛いから。穂波……愛してる。君の心が手に入るまで、覚悟して?逃がさないから。」

「ふん、追いかけても逃げてやる。勝ったと、思うなよ!」

睨んでいるが可愛い……

服を直しながら、穂波は鍵を開けて部屋を出て行った。

穂波の匂いが、体に残っている。

自分の肩を抱きよせた。

このほんの少しの温もりに……匂いに……感じた柔らかさ……声……

味わうように、思い返す。

あぁ、愛しい……俺の相手。俺の、一生の対。

委員長と比べられない。幸せ……幸福感……満ちる心……

もっと欲しい。君の心が、俺のものだと良いのに……




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