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C【派生シリーズ】邪  作者: 邑 紫貴
7僕はおおかみ!

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41/71

俺はおおかみ!!


次の日。俺は、決意をして学校へ向かった。

ナミが、いつもの校門に立っている。

「あっ……景彩、おはよう。今日ね、お弁当作ってきたの。」

可愛い笑顔に、心が和みそうになる。

「……ナミ……話がある。ついて来て?」

俺の雰囲気に、泣きそうな笑顔。

多分、何かを感じている。

「……景彩……誤解してる。海波の本質は、私なの……。私が望む姿は……」

「うん。啄路くんが、好きだった君だね?」

「……!!」

図星だったのか、ナミは青ざめて口元を押さえ……震えている。

「それが、トラウマなの?……いるんでしょ、ミナ……出て来なよ。俺が選んであげる。そして、答えも……。どれだけ俺をだますの?俺は……そんなに、情けないかな?」

「……景彩……それは違う。」

後ろの校舎の陰から、ミナが出てくる。

よかった……チャンスはないかと思った。

「二人とも、ここに並んで?」

「景彩、お願い……私を選んで!!でないと、私……私は……」

ナミが俺にしがみついて、涙を零す。

「大丈夫。君は、海波の中に戻るだけ……消えないよ?」

俺の言葉に、ナミが驚いた顔。

ミナも、驚いた顔……慌てて視線を逸らした。

「力が暴走したにしては、害がない。確かに、結果が二人にしたけど……俺を試したの?」

「それは勘なの?」

「……うん、勘だ。けど、確実に結論と結びつく。憶測だけど……多分、合ってる。でしょ?」

魔方陣が、二人を包む。そこに残ったのは一人の海波。

ナミでもミナでもない……元の雰囲気だ。

「お帰り。……俺、怒ってるんだよ?さ、正直に言って。全部、受け止めるから。ね、海波……俺は、君が好きなんだ。信じてくれる?」

「うん。ありがとう……」

話は、とても単純。

海波は、サバイバルで男前な雰囲気になってしまった。

啄路くんは、男の子らしくなっていたけど……海波の好きは、顔じゃなく啄路くん自身。

それなのに啄路くんは「可愛くない!!」と、泣きそうな顔で外国へ旅立った。

君は可愛い女の子に迫るけど、啄路くんの幼い時の面影を求めていたんだ。

その女の子たちからの許容を求め……。

トラウマだ……。情報は正しかった。

君は、ここでも嘘をついていた。

「ね、海波……俺を試して、答えは出た?俺を……好き?ね、答えて……」

「……ごめん……」

「謝って欲しいんじゃない!!……俺は、海波が好きなんだよ?求めておきながら、一線を引いていたのは海波だ!!……答えて……酷いよ、海波。俺は、どうしたらいい?俺は……」

「……景彩……。力が暴走したのは、君がおおかみの一部を見せたからだ。トラウマが……男になった君は、私を求めないと……タクと同じように、可愛い過去を求めたら……生きていけない。そんな経験をするぐらいなら消えた方がマシだ。」

やっと本音が聞けた。

啄路が羨ましい。どんな形であれ、海波の心を捕らえていたのだから……

「で、どうしようか?……“俺”で、いいのかな?」

「うん、“俺”がいいね!私の彼氏、でしょ?」

「うん!!」

嬉しくて、海波に飛びついた。

「……ははっ……景彩は、本当に可愛いな。ね、こんな私は君に相応しくない……それでもいいの?」

「海波がいい。君の中の可愛い部分は俺だけが知ってる。誰にも見せないで?……ふふっ、嫉妬で狂うよ?」

「うん、嫉妬してよ……私は、そんな男らしい景彩も大好きだ!!」


「……何?タクが景彩に……キスをしただと?」

以前、俺に啄路くんがキスしたことを知った海波。

啄路くんに、海波の猛攻撃が続く。

俺は見物だ。

「ね、止めなくてもいいの?一応は、妃だから……問題は困るんだけど?」

麒麟が困った顔で、二人を見ている。

「……うぅ~~ん。ね、麒麟?」

「何?」

「まだ何かが、おかしい気がするんだけど……何かな?」

「……今更?遅いよ……」

「ま、いいか……。海波、そろそろお弁当を食べない?俺……お腹がすいちゃった。」

「あぁ、行こう。けっ!!今後、景彩に触れたらコロス!!」

「……嫌だ!!景彩は、俺が必ず手に入れる!!」

【ゲシッ】

トドメが決まったかな?

「麒麟、コレ……後、宜しくね?」

「高いぞ?……全く、役員に入れた意味がないよ!」とか言いながら、気絶した啄路くんを軽々と運ぶ麒麟。


いつもの場所で、敷物を広げ重箱を並べる。

「へへっ、景彩……私、景彩の料理好きだ。美味しいと思うよ?」

「……ふふっ。嬉しい……。たくさん食べて、これなんか新作だよ♪」

「ふふっ。あ~~ん。」

口を開けて、待つ仕草にドキドキする。

「くすっ。可愛いな海波……はい。」

口に入れてあげる。

「……もぐ……もぐもぐ……へへっ。美味しい!」

海波は凄い勢いでお弁当を口に入れ、満足そうな笑み。

その様子を見ていると嬉しくて、どんどん愛しさが募っていく。

「ご馳走様でした!!……景彩、こっちにおいでよ。」

「嫌。」

「……え、怒ってるの?」

「うぅん。あの……ね?ここ……膝に寝てみない?」

正座した太ももにポンポンと手で合図して、チラッ……様子を見る。

「……~~っ!可愛い!!寝る、そこ……私の特等席ね!!」

僕の膝枕に幸せそうな海波。

頭の重みが心地いい……ん、あれれ?

「海波、何してるの?」

「え、何が?おしりが私に触ってって呼ぶんだよ!」

僕の不満そうな反応に、海波は起き上がって猫のようなニッコリ笑顔でキスをする。

「……っ……もう、外なんだよ?……くすぐったい。ふふ。もっと……」

「うん。もっと……景彩、大好き。」

「うん、俺も……」

【ドサッ】

重みがかかって、押し倒されてしまった。

「……?!!……ぁ……そこ、駄目……ダメだって!」

「可愛い景彩。……?……ごめん、ヨンデル……行かなきゃ。」

海波の目が緑色に変わる。

幼い時から聞いた物語……

また魔女の力なの?

俺の上から退いて、海波は服の乱れたまま走り出す。

「海波?!」

……ヨンデル??

慌てて起き上がり、服を正しながら追うように走りだす。


向かう先から、喧嘩のような声が聞こえるけど……そこは異様な雰囲気。

こんな騒ぎなのに周りに誰もいない。役員でさえ、対処していないなんて。

その中心に居る人物に驚く。

「……麒麟?!……蓮美……どうして?!!」

「景彩、急いで奴らを止めなきゃ。正常じゃない……手を抜くな!!」

4人の男子生徒が二人を囲んでいた。

麒麟は蓮美を護って、上手く攻撃できないでいる。

「……麒麟……もう、いいです。止めてください……うぅ……いやぁ~~!!」

魔方陣が辺りを包む。

「不味い!!景彩、下がれ……」

【トンッ】海波の軽い蹴りに、俺は後ろにしりもちで倒れた。

海波も魔方陣を出し、それが対抗しながら徐々に覆って色を変える。

囲んでいた男子生徒たちは倒れて気を失った。

「……麒麟!!大丈夫ですか?」

「あぁ。大丈夫だ……蓮美、泣かないで。」

海波は、蓮美に近づき額にキスをした。

「……え?」

もちろん、可愛い蓮美に嫉妬するが……あれ??

「……はぁ、ここにも……未来のカケラがあったのか。」

海波の小さな声が聞こえた。

蓮美は眠るように、海波の腕に寄りかかる。

「ほら……」

麒麟は、愛おしそうに蓮美を抱きかかえた。

そしてキスを落とす……優しく……

「役員に報告しておく。草樹のところへ行け……。学園の予見者の所へ案内してもらえ。」

何が起きているのか……勘では分からない。

ただ、麒麟の相手が見つかったのだと……それが蓮美。

彼女は『未来のカケラ』。

「景彩。ごめん、大丈夫か?」

俺は立ち上がり、ほこりを払う。

近づいた海波の服が乱れたままなので、そっと整えてあげた。

「……海波?」

呼びかけに不安そうな笑顔を向ける。

その表情に、胸が苦しくて俺は目を細めた。

海波の頬に手を当てて唇をそっと重ね、目を閉じる。

手に当たる暖かいものに気付き、目を開けると海波が涙を流していた。

「……海波……俺では癒せない?」

「違う。……景彩、愛している。君のすべてが欲しい。過去の魔女は手に入れないまま、悲恋を繰り返したから。」

「……うん、いいよ……あげる。俺のすべて、君は手に入れた。俺も君を手に入れたんだよね?」

「私は必死だよ。景彩を喪ったら、生きていけない。一生独り……」

「それは俺も同じ。俺は、おおかみ……解放された呪いが何かを告げる。」

「……多くの幸せを願おう……」

「うん、そのための役員だからね。」

「……そうだね、私たちで護ろう。」





END

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