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C【派生シリーズ】邪  作者: 邑 紫貴
1邪

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冒険2


村3。日の暮れた時間帯に到着した。

舞踏会の開かれる城下町の外れに、その村はあった。

ここに、“シンデレラ”がいる。名は知らないが、私の魔女の血が知らせる。

『美衣、私……いらない?』

多分、いらない?どうかな……。もしかして、この物語は……。happy‐end……なのかな?

『美衣……この世界で死なせたら、酷いのは……私ですよ?』

そうね……

ケイトは、寝ている。起こさないと、幸せを逃す女の子がいるの……。

「ケイト、着いたぞ!」

ユサユサと、起こし……ケイトの目を擦る仕草にときめいた。

「降りろ、この馬車は目立つから処分する。私は、今から役目がある。さ、宿を探して来い!」

ケイトは、私を見つめ……寝ぼけているのか微笑んだ。

【ドキ……】心臓に悪い奴だ!

「じゃ、先に行くよ……」

ケイトを見送る。


舞踏会に行けず……運命から外れた女の子。

「何を泣いているの?さ、着替えて……これに乗って行きなさい。あなたを、定めが待っている。」

……嬉しそうな彼女。これは、現実……夢物語ではない。

馬車は、物語と同じで……12時には消える。あなたは……立ち向かう。今より辛い現実に……。

シンデレラは、幸せになったのか……定め……


《 ★※〇 》私は、家から水晶球を召喚した。

私の未来は分からないけど……

「ビエ、宿取れたよ。へへっ。俺が、先に見つけた!」

何だか、得意げに言う。……子供だな。

「ご褒美に、何が欲しい?」

「……お前……」

小さい声で、聞こえない。

「え?」

「お前、内緒で何食った?優しいのが気持ち悪い!薬屋!!どこかに……」

……こいつ……調子に乗って!!


酒場に入る。

「ビエ。俺に、何か隠していることあるだろ?」

真剣に問うケイトが、睨む。

「あぁ、いっぱいありすぎて分からないぐらいだ。どれのこと?」

口に食べ物を押し込めながら、訊いてみる。

「……宿は、狭くて……部屋が一つしか取れなかった。」

………。

「そうか、しょうがない。ケイト、今日は……女を我慢してくれ。」

ニヤリと笑ってみせる。

「……ビエ、お前……」

「あぁ、俺も我慢する。この村の子も可愛いけど、残念だ。」と。

可愛い女の子に目を向け、手を振って見せた。

女の子も、俺に手を振る。

ケイトは、俺の何を疑ってるんだ?

寝ている間に、暗示をかけ直すか……。いいタイミングだろう。

「ほら、ケイトも喰え!!」

ナイフに肉を刺し、突き出した。

「……あぁ、食うから皿に置け!」


宿の客室。確かに狭いが、ベッドが二つある。

窓際に立ち、遠くに見える城を眺めた。

今日、舞踏会が行われている。もうすぐ、12時……魔法の切れる時間。

後は、あなた次第。幸せの後も……努力が必要。

「ケイ……ト……へ?」

話しかけようと、振り返る私の腰に手が回り……ベッドに自然に導かれた。

不自然なぐらい、驚くほど簡単に!!

「ビエ……」

はっ!感心している場合ではない!!

やばい、気がついてる??

「ケイト、重い。冗談は……あ、酔ってるのか??」

上に被さるケイトの、見つめる眼はシラフだ。

押し退けようと、押すが……動かない。

「ケイト、話は聴かない。退いてくれ。お願いだ……」

退く気配は無い。ちっ……

《 ホ…… 》呪文の途中、口を塞がれた。

ケイトの唇……熱い……私を……求める……

ちっ!!

目を合わせ、暗示をかける。

「……何……を……?」

ケイトの力が弱まり、私にのしかかる。

この世界で生きた香りと温もり。

ケイトは眠り、吐息が聞こえる。

「ケイト、あなたは……夢を見た。私を女だと思って、襲い……男だと再認識して……目覚める。“俺はビエ、男”日を浴び……その度、この呪文は繰り返される。」

この、短い時間に……幸せを感じてもいいだろうか?

ベッドにケイトを寝かせる。……横に寝転んで、頭を撫でる。

愛しい……必死で、気がおかしくなりそうだ……。

「ケイト……」

唇に指で触れる。男の人の唇も、柔らかいんだ……。

この唇が、私の唇に触れ……求めた。ケイトが、私を……?ホモ……じゃないわよね?

いつから、前の魔法の効力が……?



朝。いい天気で、ケイトの上に日が注ぐ。

「うわぁあぁあああ~~」

暗示が、強かったかな……?

「どうした、悪夢でも見たのか?」

「……あぁ……はは。だよな、……へへ。」

私を見て笑う。ベッドに座ったまま、胸を押さえている。

心拍が乱れるほどの悪夢?

「さ、今日は勇者の所に行くんだ。早く着替えろ!俺は、先に飯を食ってるからな!」

これでいい……


この世界の料理も、見た目が悪いけど慣れてきた。

香辛料も、口に合わないのがどれか分かるようになったし!

「姉ちゃん!おかわり!!」

【ドン、ドドン!】机にいっぱいの料理。

全部、口に運んでいく。

「げ……。いつも思うけど、どこに入るんだ……それ?」

「腹だ!魔法には、食い物のエナジーを使うからな!」

本当かは、知らないが……

『おいおい……』


腹を満たし、店を出る。

ケイトは、地図を出し……方位を確認する。

「あっちか……」

俺に、確認で……な?と、訊く。

「……さぁ?」

はっきり言って、私は方向音痴!!

「……行くぞ!」

何を根拠に……あぁ、太陽かな??方向の分かる奴って、ちょっと……いいな。

『そうね、いいわ。女性は、ほとんどが方向音痴らしいわよ?』

マジ?

『らしい……』

だろ?



歩く……歩く……

森が見えた。

「この中だ……けど、地図はここまで……」

「ちょっと待てよ!」

《 ★ 〇 》水晶球が、鏡を通して情報を映す。

「……便利だな。それ、未来とか分かるのか?」

ケイトは、未来を知りたいのか?

「……いや、魔法の分野が違う。私には、未来は分からない。……それでいい。必死で、生きられるだろ?何かに頼ることなく……」

「……そうだな。じゃ、勇者様を助けに行くか!」

「あぁ!」

日の出た時間帯なのに、森の中は薄暗く……水晶球で、照らす。

火より安全で、二酸化炭素も出さない!これ、LEDだし。

『……本当?!』

……多分……


「ビエ。見ろ、洞窟だ!」

ケイトの指差す先に、岩場の影……割れ目。

洞窟……ワクワク……

【ガササ……】「がぁああ~~」巨大なモンスタ-出現!

《 ☆★ 》光がその地帯に広がり、モンスターが目を押さえる。

光は、私たちに周りをよく見せる程度。

敵が怯んだ隙に、ケイトの剣が突き刺さる。

緑色の血しぶきが、ケイトを染める。

……これが現実。ケイトの生きてきた世界……胸が痛い……

「はぁ……ぐっ。」

ケイトは剣を地面に刺し、体勢を崩す。血に、毒気があるのか?

《 ☆ 》回復の魔法……

顔色の良くなったケイトは、苦笑いを見せる。

「……ビエ、体力は……勇者に残しておけ。この、洞窟では……何があるか分からないから……」

悲しい笑顔……胸が苦しい。

分かっている……ケイトが、どれだけこの役目に固執するのか。

元の世界を……どれだけ……願っているのか。

「……ビエ、疲れたのか?」

優しくしないで……おかしくなりそうだ……

いつか、私の……。あなたは、望まない……けど……

「は……」

「は?」

「腹減った!非常食を喰うぞ!」

俺は、ケイトを睨みつけた。

「……ぷ……あはは!いいよ、そのための非常食だろ?」

彼の笑顔に、泣きそうになる。

食べ物を、少し……必死で食べる振り。

「さ、食べたら中に入るぞ?」

「あ、洞窟に近いから中の地図が……来た!生態反応も……少しいるな。」

「……レベルまでは、分からないか?」

「あぁ。3匹……魔力は大丈夫だ!ケイト、絶対に無理しないでくれ。絶対に!約束しろ!!」

「……あぁ、約束する。」

私は、知ってる……。約束を破ってでも……全力で行くんだと。

ケイト、俺は男だ……守らなくていい。だろ?

大切な仲間なら、裏切らないでくれ。命を大切にしてほしい。

「行くぞ。」

「勇者を助けに!」


洞窟の中。

光の魔法で、奥まで照らされパニック状態のモンスター。

攻撃は容易いが、体力が違う。

最終地点で、多分最強のモンスターが勇者を見張っているだろう。

宝箱も落ちていないし、回復の出来るアイテムも……セーブポイントなんかあるわけが無い。

「はぁ……は……。ビエ、大丈夫か?」

座り込んで休憩。

私を何度も気遣うケイトに、胸が苦しい。

回復の魔法をケイトに使おうとするが……拒む。だから、私の傷もそのまま……。

ケイトは、うるさいほどに回復を……私に勧める。

だから自分を回復する振りをして、ケイトを分からない程度に徐々に回復するようにした。

「もう少し、強い魔法で回復しとけよ!……俺が、頼りないから?だから、力を使わないのか?」

ケイトの声が、だんだん小さくなる。

「死ぬときは、一緒だ……。お前が、回復を拒むなら……私も、回復しない。力は、護るためにある。残しておくとすれば、先に死んででも……お前を生かす。怨むなよ。先に言っとく。命ギリギリまでは、お前の望みでこの世界に留めるが……私の判断で、向こうに戻すこともあると。」

「何、勝手なこと言ってるんだ!」

「……忘れろ……時が来るまで……」

詰め寄ったケイトに、暗示をかける。

私に寄りかかり、ケイトは眠る……。

死ぬときは、一緒じゃない……な。

ふふっ。過去の魔女たちは……こんなに必死だった?いや、もっと……異質だっただろう。

求めるのは、その人の心だから……。

手に入れない。手に、入らない。それでいい……俺は男……。

ケイト、この世界のエンディングを……二人で見えるかな?


「……ん~?はっ!俺、寝てた?!」

「15分ほどだ……。行くぞ!」

私は、立ち上がる。

「ビエ、大丈夫なのか?」

「あぁ、非常食はまだある!お前も大分、顔色がいいな。」

「確かに、すっきりしてる。……勇者を助けるぞ!」

「おう!」

細い道、迷路のように入り組んだ所。水晶球が映す地図のおかげで、迷わず行ける。

私の魔法とは違う光が見えた。広い空間!

予想外な魔物だった。姿は、まるで人間……。

「いらっしゃい……」

話した!

俺たちの攻撃が躊躇する部類。知能があり、意思を通わせるなら……なおのこと。

この空間の中心に、胸ぐらいの高さの石の台。

その上に勇者が横たわっていた。結界が施されている。

………。

「偉大な魔法使い……か、くくっ……気に入った。私は、去る……。すぐに会うだろう。」

………。

目の前で、あっけなく……消えた。

「「………」」

しばらく、私たちは……無言。先に口を開いたのは、ケイト。

「……勇者、助けようか?」

「あぁ。」

《 ☆◇◇☆ 》光が包み、結界が解かれる。

勇者は、何事もなかったように起き上がり、私たちを見た。

「……助けに、来てくれたんだね……」

「はい!」

ケイトは、嬉しそうに近づいた。

違和感……

「ビエ、実は……この世界に来て困っている俺を、助けてくれたのは彼だったんだ!」

「そうか、感動の再会だな。」

だから、必死でこの世界に係わろうと……生きてきたのか。

この人を助けたくて……。

「じゃ、城に帰るぞ!」

《 ★※☆ 》洞窟の中から、一気に城へワープした。

「……すばらしい!」

「……ゲームだと、洞窟に頭ぶつけたりするのがあったな……」




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