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C【派生シリーズ】邪  作者: 邑 紫貴
7僕はおおかみ!

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38/71

彼氏!!


男の制服を着て、ホッとする。

「景彩……大丈夫か?顔色が悪い……え?」

麒麟を押し退け、海波が僕をお姫様抱っこした。

「……?!!?!」

驚く僕に、キスを落とす。

「景彩、おめでとう。私の、彼女……」

「……うぅっ……嫌だ。僕は、男だよ?……涙が止まらないけど、男だ。」

溜まっていた物が溢れるように、涙が零れて流れ落ちる。

「うん、ごめん……。景彩、私の彼氏になってくれる?」

「海波……」


次の日。熱は出なかった。

いつものように支度をし、学校に向かう。

門に、綺麗な彼女が立っている。

……何故か、立っているだけなのに……かっこいい!?

「……あ、景彩。おはよう。」

「おはよう。へへ……海波?今日、お昼一緒に食べよ?」

「……ごめん。今日……お昼、学食なんだ。」

「ふふ……お弁当、作ってきたんだ♪中庭で待ち合わせよう?」

海波は、嬉しそうな顔で僕に抱きついてくる。

「可愛い!!景彩……お前を今すぐ食べたいくらいだ!!」

手がおしりに触れる。

「……うぅ~~ん、それは……ちょっと……ごめん。無理……」

あれ?何だろう??

何かが、おかしい気がする??ま、いいか……

「私、委員会があるから……行かないと。じゃ、お昼に♪」

「……うん」

走る後姿を見送る。

「景彩、一言いいかな?」

突然の声に驚いて、身構える。

「草樹?」

草樹くんが、苦笑い……珍しい。

「麒麟から、伝言。ライバルが転校してくるって。」

……ライバル……海波の、トラウマ。

男の子を嫌いになった原因……初恋の男。

まだ海波の心に……どんな形にしても、彼の存在がある。

僕とは違った、カッコイイ男の人。

海波、君は本当に僕を選んでくれた?


イベントも過ぎ去り、授業が通常に行われる。

昨日、家に帰ると……おおかみ達が宴会をしていた。

しかも、ビデオに撮影した映像を楽しみながら……。

父は、部屋に閉じこもり……母が慰めに行った。

ごめんね、かな??

料理の手際を、采景くんが褒めてくれた。

「……残念なのは、相手の味覚がないことか。」

「いや、嗅覚もおかしいって!!」

双葉は、どれだけ変な匂いがしたとか大げさに。

「ははははは!!」

原因の蛍兎さんは、笑っていた。

双葉は相手の父親が来ると聞いて、保志くんについて来た。

一葉は、お母さんとお留守番らしい。

「けど、この双葉のテンションの高さは誰に似たんだ?」

「……おじいちゃんじゃない?」

うん、そんな気がする。

「俺か?……いや、個性だよ!!」

おじいちゃんは、ベビードールにデレデレしていた。キモイ……

「これ、新作で……この面積の多いのが逆に人気でさ♪」

……このイベントで、宣伝したの?!!

畜生……

「水着は、本当はスケスケのパレオをつける案があったんだ。」

画面を指さしながら、真剣な眼の保志くん。

「保志、案はいいが……実用性がな。」

何だか、真剣に仕事の話が始まった。

保志くんは近々、おじいちゃんの会社を継ぐらしい。

大人は大変だな……

「おぉう、この恥じらいが何とも!!」

て、感動していた僕がバカなのかな……??

おじいちゃんは、目を輝かせている。

「はぁ……美彩を、海に無理やり連れていった時を思い出す。……ぐふふ……」

【ぞぞぞ!!】

「……父さん、母さんがいたらお説教だね……」

采景君は、冷たい視線。

「麒麟……俺は、気になることがあるのです。」

「何、連歌君?」

「……処分した物体、結局……何だったのです?」

…………。

みんなの視線が麒麟に集まる。

「草樹くんに、預けたけど?」

「あぁ、今……研究チームが調べてるけど?」

……大げさなことになってる??

「お、これ……やっぱりいいよね。苺愛……はいてくれなくてさぁ……」

ため息を吐きながらの采景くん。

「うん……家も無理だな。」

遠い目をする保志くん。

「ふふ……俺は昨日、楽しんだよ♪」

デレデレの草樹くん。それに反応して……

「くすくすくす……嫌がるのを無理やり着せて、脱がすのがいいのですよ。」

連歌くんが、黒い笑みを漏らす。

「ふっ……俺は、エプロン姿で十分だけどな。」

ずっと黙っていたヒツジくんが、ボソリ。

この後の会話は、知らない。

僕と双葉、麒麟は追い出された。

麒麟は、ため息。

「俺、あんな鬼畜になるのかな?」

「相手によるんじゃない?俺の相手は、イメージじゃないし。」

双葉は気楽な感じで、帰り支度を始めた。


……回想終わり。

はっと気がつけば……授業が終わっていた。

双葉の相手も、海波と同じ雰囲気。

綺麗だけど、どこか……男前。

多分、蛍兎さんに似たのかな??

味……分かるようになってくれたらなぁ~~。

子供は、サバイバルに連れて行かなかったら、味が分かるよね??

……て、ふふ……結婚したときのことを考えちゃった♪

何だか、恥ずかしいな。未来か……


お昼休みの中庭。

「景彩、待ったか?」

「うぅん、今来たところ。」

「ふふ……お弁当、楽しみだな♪」

敷物を広げ、重箱を並べていく。

「すっげぇ~~。これ、全部?景彩が作ったの??」

「うん。海波、量がたくさんあったほうがいいでしょ?ふふ……満腹感を意識して、ご飯系を増やしたよ?」

「へへ。母さんは、いつも……どんぶり物だから。」

…………。

「……え?」

「天丼、カツどん、カレー。シチュウ……」

どんぶり……じゃ、ないよね??

てか、美衣さん……サバイバルとか野生的とか関係ない気がするよ??

「いただききまぁ~~す!!」

重箱は、すべて海波用。

どれだけ食べるのか、予想がつかなかったから……。

僕のは別で、小さなお弁当箱に作っていた。

「景彩、もっと食べたほうがいいぞ?タクは……」

タク……??

…………。

「景彩、これ……美味しいぞ!!」

何かを誤魔化した……味音痴なのが余計に。

けど、嬉しくて微笑んでしまう。僕……流されやすいのかな??

「ご馳走様でした♪」

「お粗末様です。」

重箱は、空っぽ……

へへっ、嬉しい!!

「足りた?もう少し、増やしたほうがいい??」

「ふふ……丁度いいよ。おいで、景彩……ここに座って。」

足の間……

「え、恥ずかしいよ……」

スカートの中が見えそうで、ドキドキして……さらに、その間に座るなんて。

【グイ……】

「え??」

【ポスンッ】

海波の胸に、頬が触れる。

【ほよほよ……ん】

柔らかな弾力に、顔が熱くなる。

「……ふふ。可愛いな、景彩は……ね、キスしてもいい?」

海波は、僕を選んでくれたんだよね?

本当に僕を……

「うん、いいよ……」

返事をしたと同時に、海波の柔らかい唇が重なる。

意外に力強く、思わず引き気味。

それを、逃がさないように後頭部が押さえられる。

唇に、熱い舌が這う。

「……んっ……っ……ぁ……」

舌が、口に入り僕の舌に絡む。

息が出来なくて、頭がボーっとする。

このキスに酔っているのか……思考が働かない。

気がついたら、僕は海波の下に寝ていた。

……あれ?何かが、おかしい。

んん??合ってるのかな……

「……んっ……そこ、駄目……感じちゃう……」

お腹に冷たい両手が、激しく撫で……滑る。

「……はぁ、可愛い……もっと、声を聞かせて……景彩……好き、大好きだ……私の景彩……」

「んっ……海波……駄目……ここ、外だよ?……誰かに、見られたら……ダメ!!」

「ふふ、残念♪」


【始業10分前のチャイム】

後片付けをし、海波に先に教室に戻るよう伝える。

「じゃ、景彩。今日は、放課後バイトなんだ。また一緒に帰ろう?」

「……うん。」

【チュ……】

淋しく、小さな返事の僕にそっと触れるだけのキスを残して走っていく。

後姿を見送り、ドキドキしていた。

かっこいい……。

上機嫌で、荷物を持って自分の教室に戻った。

疑問は消えて……


放課後。

「景彩、帰りに寄らないか?」

麒麟の、久々の遊びのお誘いだった。

「うん!!役目は、お休みなの?」

……少しの間。

んん??

「うん、恵が……いいよって。ふふ……景彩、ゲームしようぜ♪」

何か、違和感。

「……うん。けど、お邪魔じゃない?」

麗季れきさんは、ヒツジくんに……よく食べられるから。

昔から、何度となく外に追い出された記憶が……

「あぁ、ははははは……父さんは、仕事で家を空けてるんだ。て、何か……気を遣わせて悪いね?」

「ははっ、いいよ。ヒツジくん、優しいから好きだよ。鬼畜だけど……」

「……うん。鬼畜だけど、優しいよね?」

麒麟は、よく似ている。

優しさは、何かから学んだ優しさ。理性的な配慮のあるモノ。

資質なら、嫉妬を生むが……

「あれ、蓮美か……?」

遠く……公園の木の前に、蓮美はすみが立っている。

彼女は、連歌くんの娘。

不思議な雰囲気。あまり接触はない。

小学5年生で、可愛い系の顔なんだけど……ちょっと変わってる。

近づいて、話しかけた。

「蓮美、何をしてるの?」

「こんにちは、麒麟君に景彩君。」

丁寧にお辞儀をして、微笑む。

ただ、その仕草をしただけなのに色気が駄々漏れる。

…………。

つい僕たちは無言。

そんな様子に、首を傾げながら答えた。

「あぁ、ふふ……木とお話をしていたのです。」

「木と??」

「はい。最近、公園で遊ぶ子供が少ないと……嘆いているのです。」

「……そう。で、蓮美は……何て返したの?」

一応、小学生……真剣に話は聴いてあげないと。

「遊んであげると、約束しました。ふふ……」

無表情でふふ??

蓮美の手を引いて、家まで送ってあげた。

「ありがとうございます。では、さようなら。」

…………。

不思議な雰囲気だ。

「麒麟……どうして、黙っているの?」

「……へ?いや、何か……甘い匂いがしないか?ずっと、気になって……」

「甘い??クンクン……匂わないよ?」

「ん?あれ、さっきまで匂っていたような……気のせいか。」

……では、なかったけどね♪


麒麟の家に到着。

併設された動物病院は、ヒツジくんの不在でお休みになっていた。

「ただいま。」

「お邪魔します。」

「お帰りなさい。」

「ににゃ~~ん。」

麗季さんに、飼い猫のチャッピー(オス)が足元に絡んでいる。

「……チャッピー、よく知ってるね。父さんがいると、絶対に母さんに近づかないんだ。」

…………。

チャッピーは、これでもかみたいに甘えて離れない。

「ふう……羊二がいてもいなくても、疲れるわ。」

何て言いながら、麗季さんはチャッピーを抱きキスをした。

「……今、何をしたのかな?」

突然のヒツジくんの声に、猫は毛を逆立て……慌てて逃げた。

素早い……

「え、帰りは3日後でしょ??」

「……くすくすくす……寂しいだろ?慰めてあげるね。」

ネクタイを緩めながらワイシャツのボタンを外し、色気が増すヒツジくん……

僕たちは、麒麟の部屋に移動。

「……ごめんな。何か、鬼畜で……」

「うん、鬼畜だけど……麒麟……あんな大人になっても、僕は……多分、友達だよ?」

「……そうか、ありがとう?」

…………。

ゲームは対戦の新作。

僕は、あまりゲームはしない。

「さ、勝負!!」

「……え、僕……したことないよ??」

麒麟の鬼畜が、勝負を勝手に始めた。

まさか……??

一回戦。

「……あぁ、なるほど……この感じか。」

当然の負け。

続く二回戦。

「ふふっ、こうかな?」

必殺のトドメ♪

「麒麟、どうする?三回戦。」

「はぁ……。止めた!!……なぁ、景彩?」

「僕も役員になるよ。多分、双葉も入るだろ?」

「……知ってたの!?」

負けた時にじゅうたんに転がった体を僕のほうに向けて、麒麟はビックリした顔。

「やっぱり入ったんだ?ふふ……」

僕は、勘が良いらしい。

「双葉は、相手に男として見て欲しいんだ♪って。」

双葉は僕からみたら十分男だけどな。

相手が、それだけ手ごわいのかな?

「景彩、さっきのは本当?」

「うん。このゲーム勝負は、上からの指示?」

「恵と草樹くんだよ。テストも兼ねている。本当は、勝って無理やりの予定だよ。」

「……ふふ。悔しい?」

「複雑!!」

男らしさか……




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