対決!!
「さぁ、始まりました♪皆様、お待ちかね『海波先輩の彼女に相応しいのはどっちだ!?』の開始です!」
「ねぇ双葉、どうして僕らが司会なの?」
「一葉、それはね?こんなイベントに、景彩の感情で進行したら面白くないからだよ!!」
「……そうなんだ。」
「では、女子力の基本。料理です!!」
「双葉、これは景彩が有利では?」
「ふふ……そう上手くいかないのが面白い……はず?……え、調査不足……なの??」
…………。
…………。
「とにかく選手に登場してもらいましょう!!」
「……うわぁ~~、景彩のフリフリエプロン。似合うのが、なんだか……僕は涙が出ます。おじさんも、これを見た時から泣いたって言ってたよ?シクシク……」
「そうだろうね。コホンッ……相棒の涙が止まるまで、選手のご紹介です。覆生 菫。中等部3年。女性が好きではなく、海波先輩だからOKらしいです。ちなみに……あぁ、汚い!……おっと、失礼いたしました。只今、入った情報によりますと……彼女の家は、地域原産を取り扱う大手会社。料理店も営んで、幼少期から学んでいるとのことです。芸能界にも出入りし、雑誌や……なんか、説明が面倒になってきた。ね、そろそろ代わってよ。一葉……」
「え、もういいんじゃない?……料理出来上がってるよ。」
「!?……さぁ、料理が大量に机に並びます!!流石……あれ??菫さん、質問してもいいですか~?」
『何よ。』
「……情報では、幼少期から料理を学んだと……」
『そうよ?だからって、料理が出来るとは限らないわ。でしょ?』
「確かに、正論ですが。えぇ~~と、その……料理の説明をお願いできますか?」
『炒飯。』
…………。
会場中が静寂に包まれた。
「……しかも、大量ですね。えと、一応……試食をしてみましょう。」
「双葉……ね、変な臭いがするよ?気のせいかな??吐きそうだ……」
「しっ。マイクに入るだろ?……確かに、臭いな。」
…………。
…………。
「~~っ……では!!当事者の海波先輩から、試食をお願いします。」
「双葉、あの人……すごいね。この臭いの全部食べてるよ?」
「……うん。」
…………。
会場は静かなまま。
「では、審査に呼ばれた10人の方も試食をどうぞ!!」
…………。
「しばらくお待ち下さい。」
「ただ今、映像がお流しできません!!」
…………。
「……ふふふ。審査員の入れ替えも落ち着いたところで、景彩選手の料理をどうぞ!!」
和・中・洋の料理が並ぶ。
「美味しそうなので、僕たちも戴きます。」
「おいひいぃ~~~~!!」
審査員の10人も、がっつきました。
大量の料理が空になる。
「えぇ~~ゲフッ……失礼しました。歴然……この勝負の結果は!?」
「おぉ。10人の審査員が景彩選手に旗をあげた。」
「おっとぉ~~!?何と!海波先輩、菫選手に旗を揚げた!!」
…………。
会場がざわめきだす。
「では、理由をどうぞ。」
「え、満腹感だけど?」
…………。
「麒麟、近くに居るんだろ?どういうことか説明して!!」
「おいおい、双葉。今日の俺は裏方だよ?……もう!!……景彩の量を見てもらったら判るかな?勝敗は、味じゃないんだ。」
「いや、麒麟……女子力は、味でしょ??」
「この勝負は『海波先輩の彼女に相応しいのはどっちだ!?』だろ?……海波先輩は、極度の味音痴です。」
「……いやいやいや、音痴のレベルじゃないよ?」
「作戦会議で聞いたことです。海波先輩は、幼少期……辛い経験をしたのです。」
「……麒麟、ノリノリじゃない?」
「うん。鬼畜だから♪」
「……双葉、後で覚えてろ?」
「げ。……さぁ、何があったのでしょうか!?」
「父親の蛍兎さんは、(過去に異世界へ3年ほどいたのが懐かしく)たまにサバイバルを楽しんでいました。巻き込まれた海波先輩は、何でも食べられるようになり……味を感じないのだとか……」
…………。
会場が静寂に包まれた。
「……えぇ~~、一応……勝敗は、菫選手!!景彩……何か、一言ある?」
『……次は、頑張るね?』
【きゅうう~~~~んん!!】会場内の萌え。
「双葉、何か胸が苦しい。」
「あぁ、可愛さに男だと忘れるね。おぉっと!!ここで、種目にない点数の札が!!10点満点を10人……いや、海波先輩も揚げている!!」
『……ちょっと!!種目にないのは、カウントなしよ!!』
「菫さん、多分……この後も、勝ち目ないって……」
「うんうん。勝負は、見えてるよ♪」
『うるさぁ~~い!!私は、女なのよ?色気とか、この体で証明するわ!!』
「……そう言えば、そうですね!!忘れてたや。」
「次の勝負は、鞄の中身ですが……覗いて見ましょう。」
「一葉、俺……ちょっと疲れた。中身を会場に説明していって。」
「テンションあげすぎだよ双葉。体力の配分が悪い……」
「うるさい。……けっ!!」
「……えぇ~~、相棒が拗ねたので僕が中身を紹介します。」
「まずは、菫選手。鞄は、ブランド……中身は……」
【ぐにゅぅ~】
「……?!!!???!!ぎぃいやぁあ~~!?」
「へ?おい!!一葉!?……気絶してる。一体、何が……??」
……重い沈黙……。
「菫……さん??あの、この汚いのは??」
『何かしら?』
…………。
「麒麟、これ……何?」
「俺が何でも知ってると思うなよ?」
「……次にいってもいいよね♪」
『ちょっと!!中身の紹介をしなさいよ。私が不利じゃない!!』
「……鞄をひっくり返しましょう。……財布に、化粧道具……あぁ、女の子らしいぃ~~な?」
…………。
「次!!景彩!!」
「……うん。僕のは、普通だよ?化粧道具なんて入っていないし。」
「なんか、台詞だけで癒されるよ。俺は……」
「うぅ~~ん。はっ!!」
「おっ、気が付いたか。一葉……」
「うわぁあ~~ん!!」
「……大丈夫だよ。謎の物体は、処分しておくから安心して。」
「ちっ……麒麟。ホモみたい。」
「……双葉……やきもちか?」
【ピリリ……】
「……鬼畜は、おいといて!!中身を紹介するね♪」
『僕は、麒麟が優しいのを知っているからね。』
遠くから海波先輩が、叫ぶ。
「景彩、浮気なんて許さないよ?私の彼女になりたいんだよね!!」
『……彼女は嫌だよ。』
『海波、酷い!勝負の結果もまだ出ていないのに!!』
「さぁ!!中身でっすよぉ~~。……財布に、ハンカチ・ティッシュ・ウエットティッシュ(アルコール)・裁縫セット・救急セット・のど飴……あの、景彩??」
『何?』
「中身の説明を……」
『え??』
「このウエットは?」
『食事のときは、手を綺麗にしないとね?』
「……裁縫セットは、理解できるけど……絆創膏以上が入ってる??」
『うん。(風邪・胃・頭痛)薬は、常備だよ?』
【きゅうう~~~~んん!!】
「10人の審査員と海波先輩が景彩選手に旗をあげた!!同然だぁ!!」
【コロン……】
「ん?……香水??景彩の?」
『……うん。だって……ふふっ。海波に、僕の匂いをつけたくて……へへ?』
【きゅうう~~~~んん!!】
「10点満点を10人……いや、海波先輩も揚げている!!……もう、決定でいいんじゃないでしょうか!?」
何だか、変なことになったな……。
「景彩、これ……本当に着るのか?」
「…………。」
流石の鬼畜も戸惑う【コスプレ】対決。
ここから、服装の女子力対決が続く。
「これ……コスプレなのかな??」
「……多分、遠矢さんだぞ。」
「うん、恥ずかしいね。裸のほうがマシだよ?」
ヒラヒラと、その衣装(?)を振ってみたが何も変わらない。
残酷にも、時間がどんどん迫る。
「っつ!!」
覚悟を決めた。
身に着けたものの、スースーする。寒くて、鳥肌が……
「さぁ!次は、景彩だぁ!!」
一歩、勇気を振り絞って踏み出す。
『うぅおぉお~~!』
会場に、叫び声が響き……耳が痛い。
「一葉、泣くな!!」
「うぅ。だって双葉、見ているのが辛いんだ……景彩、心配しないで。おじさんは今日来ていないよ。」
だろうね……。
『卑怯よ!!何、その格好!?何で、男がベビードールなの??』
僕も……訊きたい。何故に!?
「少々お待ち下さい。大上 遠矢様から、伝言です♪」
げっ……あのエロじじい!?
「これは、新作です。残念なのは、パンツが面積の多いこと……(しょうがないよね?)その代わり、ノーブラ♪……だそうです。」
…………。
いつか、コロス!!
「おぉ~~っと、審査員すべて鼻血だぁ!!」
「会場も、出血多量です。……景彩、ファイト?僕……僕……うぅ……」
『次は、負けないんだから!!所詮は、男の体にはないもので勝負よ!!』
そうだね……次は、水着だし?
僕……胸ないから、女子力ないよ??
【更衣室】
「このパンツ……さっきのまま?あぁ、生地が……なるほど……けど、さっきと変わらない。勝負になるの?」
『わぁああ~~』
会場の声が聴こえる。
「……ビキニかな?菫さん、胸が大きいから……」
…………。
とりあえず、作戦会議の指示通りの水着姿。
「景彩……バスタオル姿で登場!!期待が膨らみます……何故でしょう??」
「……顔が赤い景彩が、女の子に見える。ドキドキする……」
マイク入ってるよ??
後で、一葉も覚えてろ!!
ぎこちなく、バスタオルを体から外した。
「ノ……ノーブラだぁ!!」
あのね、僕……男だよ??
会場が騒然となる。
「景彩!!バスタオル巻いて!!会場がパニックだ!!」
何故に!?
『~~っつ!!どうして、男のあんたに皆反応するのよう!?』
「……さぁ?僕が訊きたい。」
「では、鼻の下がのびている海波先輩。解説を!!」
「うん。恥じらいと、女顔でパンツ姿のノーブラにしか見えない!!」
……何だそれ?!!
「だ、そうだ。景彩、よかったな♪」
本当に!?
舞台の角で、麒麟が笑っている。
畜生!!鬼畜め!!
「……くく……ふくくく……ふはっ!!」
「……ね、麒麟?いつまで笑っているつもりなの??次は、普段着だろ。はぁ……当然、スカートなんてはかないよ?」
「うん。ズボンは、ズボンなんだけど……これは、誰の趣味かな??」
「……短パン?」
「うん。この靴下とセットだよ??着てみて……」
…………。
「これ……あぁ~~。なるほど……」
「……うん。もういいよ……後、これを乗り切ればいいんだ。そうしたら、最後だし……。頑張るよ……」
自分でもわかる……
多分、今日……疲れから熱が出る。
「……景彩。これから、精神的な試練がある。もう……引いてもいいんじゃないか?」
「うぅん。海波……菫さんが勝ったら、触れるって……」
そう……食べるって、言った。
これ以上、僕以外に触れないで欲しい。
試練も、そのときまでに体力を取り戻すから。
海波……僕を選んで欲しい。
まずは、君が僕を選んで……。
舞台には、ミニスカの菫さん。
綺麗な足に、海波はよだれを垂らしていた。
畜生……他の、女の子を見るなんて……悔しい!!
「海波!!」
つい、叫んでしまった。
僕を見て欲しい……
「おぉっと、これはぁ!?……聞いたことがあります!そう、絶対領域だぁ!!」
……やっぱり、狙いはそれなの??
「電報が届いています。……采景くんから?」
「読んでみろよ、一葉♪」
「うん……。苺愛が、着てくれないから……」
…………。
采景くぅ~~ん?!!
「今回、料理で役に立てなかったので……がんばれ?だ、そうです。」
泣きそうだよぉ~~。
【サワッ……】
「ひゃ!?」
落ち込んだ僕に、気配なく近づいた海波が、僕の太ももを撫でている。
「海波!?」
「はぁ……興奮する。可愛い……この隙間……堪らない。ぐふふふふ……」
ひぃい~~!?
「駄目だよ!みんなが見てるじゃない!!」
「……いいよ。私、気にしないから……」
「気にし……って、どこを……ぁ……やめ……て。」
上着に入った手がお腹を滑る。
『いい加減にしてよぉ!!海波、酷いわ!私の気持ち……うぅ……本気なのに……』
僕から離れた海波は、菫さんに近づいた。
「……菫、ごめん。私、景彩が好きだ。本気なんだ……」
【ドク……ン】鼓動が激しくなる。
海波が僕を、選んで……僕を好きだと公に言ってくれた。
嬉しい……どうしよう……幸せだ。
「……うん。わかった……なぁ~~んてね!!」
へ?!
菫さんは、海波に不意打ちキスをした。しかも、激しい……。
僕は呆然と見ていた。会場も静まり返る。
「……いいわよ、許してあげる。ふっ……うぅ……もっと、いい女を見つけたんだから!!」
菫さんは振り返ることなく、泣きながら走り去った。
その後のことを、僕はあまり覚えていない。
ただ……どこか、心が痛かったような気がする。
何故だろう……




