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C【派生シリーズ】邪  作者: 邑 紫貴
7僕はおおかみ!

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37/71

対決!!


「さぁ、始まりました♪皆様、お待ちかね『海波先輩の彼女に相応しいのはどっちだ!?』の開始です!」

「ねぇ双葉、どうして僕らが司会なの?」

「一葉、それはね?こんなイベントに、景彩の感情で進行したら面白くないからだよ!!」

「……そうなんだ。」

「では、女子力の基本。料理です!!」

「双葉、これは景彩が有利では?」

「ふふ……そう上手くいかないのが面白い……はず?……え、調査不足……なの??」

…………。

…………。

「とにかく選手に登場してもらいましょう!!」

「……うわぁ~~、景彩のフリフリエプロン。似合うのが、なんだか……僕は涙が出ます。おじさんも、これを見た時から泣いたって言ってたよ?シクシク……」

「そうだろうね。コホンッ……相棒の涙が止まるまで、選手のご紹介です。覆生おおな すみれ。中等部3年。女性が好きではなく、海波先輩だからOKらしいです。ちなみに……あぁ、汚い!……おっと、失礼いたしました。只今、入った情報によりますと……彼女の家は、地域原産を取り扱う大手会社。料理店も営んで、幼少期から学んでいるとのことです。芸能界にも出入りし、雑誌や……なんか、説明が面倒になってきた。ね、そろそろ代わってよ。一葉……」

「え、もういいんじゃない?……料理出来上がってるよ。」

「!?……さぁ、料理が大量に机に並びます!!流石……あれ??菫さん、質問してもいいですか~?」

『何よ。』

「……情報では、幼少期から料理を学んだと……」

『そうよ?だからって、料理が出来るとは限らないわ。でしょ?』

「確かに、正論ですが。えぇ~~と、その……料理の説明をお願いできますか?」

『炒飯。』

…………。

会場中が静寂に包まれた。

「……しかも、大量ですね。えと、一応……試食をしてみましょう。」

「双葉……ね、変な臭いがするよ?気のせいかな??吐きそうだ……」

「しっ。マイクに入るだろ?……確かに、臭いな。」

…………。

…………。

「~~っ……では!!当事者の海波先輩から、試食をお願いします。」

「双葉、あの人……すごいね。この臭いの全部食べてるよ?」

「……うん。」

…………。

会場は静かなまま。

「では、審査に呼ばれた10人の方も試食をどうぞ!!」

…………。

「しばらくお待ち下さい。」

「ただ今、映像がお流しできません!!」

…………。

「……ふふふ。審査員の入れ替えも落ち着いたところで、景彩選手の料理をどうぞ!!」

和・中・洋の料理が並ぶ。

「美味しそうなので、僕たちも戴きます。」

「おいひいぃ~~~~!!」

審査員の10人も、がっつきました。

大量の料理が空になる。

「えぇ~~ゲフッ……失礼しました。歴然……この勝負の結果は!?」

「おぉ。10人の審査員が景彩選手に旗をあげた。」

「おっとぉ~~!?何と!海波先輩、菫選手に旗を揚げた!!」

…………。

会場がざわめきだす。

「では、理由をどうぞ。」

「え、満腹感だけど?」

…………。

「麒麟、近くに居るんだろ?どういうことか説明して!!」

「おいおい、双葉。今日の俺は裏方だよ?……もう!!……景彩の量を見てもらったら判るかな?勝敗は、味じゃないんだ。」

「いや、麒麟……女子力は、味でしょ??」

「この勝負は『海波先輩の彼女に相応しいのはどっちだ!?』だろ?……海波先輩は、極度の味音痴です。」

「……いやいやいや、音痴のレベルじゃないよ?」

「作戦会議で聞いたことです。海波先輩は、幼少期……辛い経験をしたのです。」

「……麒麟、ノリノリじゃない?」

「うん。鬼畜だから♪」

「……双葉、後で覚えてろ?」

「げ。……さぁ、何があったのでしょうか!?」

「父親の蛍兎さんは、(過去に異世界へ3年ほどいたのが懐かしく)たまにサバイバルを楽しんでいました。巻き込まれた海波先輩は、何でも食べられるようになり……味を感じないのだとか……」

…………。

会場が静寂に包まれた。

「……えぇ~~、一応……勝敗は、菫選手!!景彩……何か、一言ある?」

『……次は、頑張るね?』

【きゅうう~~~~んん!!】会場内の萌え。

「双葉、何か胸が苦しい。」

「あぁ、可愛さに男だと忘れるね。おぉっと!!ここで、種目にない点数の札が!!10点満点を10人……いや、海波先輩も揚げている!!」

『……ちょっと!!種目にないのは、カウントなしよ!!』

「菫さん、多分……この後も、勝ち目ないって……」

「うんうん。勝負は、見えてるよ♪」

『うるさぁ~~い!!私は、女なのよ?色気とか、この体で証明するわ!!』

「……そう言えば、そうですね!!忘れてたや。」

「次の勝負は、鞄の中身ですが……覗いて見ましょう。」

「一葉、俺……ちょっと疲れた。中身を会場に説明していって。」

「テンションあげすぎだよ双葉。体力の配分が悪い……」

「うるさい。……けっ!!」

「……えぇ~~、相棒が拗ねたので僕が中身を紹介します。」

「まずは、菫選手。鞄は、ブランド……中身は……」

【ぐにゅぅ~】

「……?!!!???!!ぎぃいやぁあ~~!?」

「へ?おい!!一葉!?……気絶してる。一体、何が……??」

……重い沈黙……。

「菫……さん??あの、この汚いのは??」

『何かしら?』

…………。

「麒麟、これ……何?」

「俺が何でも知ってると思うなよ?」

「……次にいってもいいよね♪」

『ちょっと!!中身の紹介をしなさいよ。私が不利じゃない!!』

「……鞄をひっくり返しましょう。……財布に、化粧道具……あぁ、女の子らしいぃ~~な?」

…………。

「次!!景彩!!」

「……うん。僕のは、普通だよ?化粧道具なんて入っていないし。」

「なんか、台詞だけで癒されるよ。俺は……」

「うぅ~~ん。はっ!!」

「おっ、気が付いたか。一葉……」

「うわぁあ~~ん!!」

「……大丈夫だよ。謎の物体は、処分しておくから安心して。」

「ちっ……麒麟。ホモみたい。」

「……双葉……やきもちか?」

【ピリリ……】

「……鬼畜は、おいといて!!中身を紹介するね♪」

『僕は、麒麟が優しいのを知っているからね。』

遠くから海波先輩が、叫ぶ。

「景彩、浮気なんて許さないよ?私の彼女になりたいんだよね!!」

『……彼女は嫌だよ。』

『海波、酷い!勝負の結果もまだ出ていないのに!!』

「さぁ!!中身でっすよぉ~~。……財布に、ハンカチ・ティッシュ・ウエットティッシュ(アルコール)・裁縫セット・救急セット・のど飴……あの、景彩??」

『何?』

「中身の説明を……」

『え??』

「このウエットは?」

『食事のときは、手を綺麗にしないとね?』

「……裁縫セットは、理解できるけど……絆創膏以上が入ってる??」

『うん。(風邪・胃・頭痛)薬は、常備だよ?』

【きゅうう~~~~んん!!】

「10人の審査員と海波先輩が景彩選手に旗をあげた!!同然だぁ!!」

【コロン……】

「ん?……香水??景彩の?」

『……うん。だって……ふふっ。海波に、僕の匂いをつけたくて……へへ?』

【きゅうう~~~~んん!!】

「10点満点を10人……いや、海波先輩も揚げている!!……もう、決定でいいんじゃないでしょうか!?」



何だか、変なことになったな……。

「景彩、これ……本当に着るのか?」

「…………。」

流石の鬼畜も戸惑う【コスプレ】対決。

ここから、服装の女子力対決が続く。

「これ……コスプレなのかな??」

「……多分、遠矢とおやさんだぞ。」

「うん、恥ずかしいね。裸のほうがマシだよ?」

ヒラヒラと、その衣装(?)を振ってみたが何も変わらない。

残酷にも、時間がどんどん迫る。

「っつ!!」

覚悟を決めた。

身に着けたものの、スースーする。寒くて、鳥肌が……


「さぁ!次は、景彩だぁ!!」

一歩、勇気を振り絞って踏み出す。

『うぅおぉお~~!』

会場に、叫び声が響き……耳が痛い。

「一葉、泣くな!!」

「うぅ。だって双葉、見ているのが辛いんだ……景彩、心配しないで。おじさんは今日来ていないよ。」

だろうね……。

『卑怯よ!!何、その格好!?何で、男がベビードールなの??』

僕も……訊きたい。何故に!?

「少々お待ち下さい。大上おおがみ 遠矢とおや様から、伝言です♪」

げっ……あのエロじじい!?

「これは、新作です。残念なのは、パンツが面積の多いこと……(しょうがないよね?)その代わり、ノーブラ♪……だそうです。」

…………。

いつか、コロス!!

「おぉ~~っと、審査員すべて鼻血だぁ!!」

「会場も、出血多量です。……景彩、ファイト?僕……僕……うぅ……」

『次は、負けないんだから!!所詮は、男の体にはないもので勝負よ!!』

そうだね……次は、水着だし?

僕……胸ないから、女子力ないよ??

【更衣室】

「このパンツ……さっきのまま?あぁ、生地が……なるほど……けど、さっきと変わらない。勝負になるの?」

『わぁああ~~』

会場の声が聴こえる。

「……ビキニかな?菫さん、胸が大きいから……」

…………。

とりあえず、作戦会議の指示通りの水着姿。

「景彩……バスタオル姿で登場!!期待が膨らみます……何故でしょう??」

「……顔が赤い景彩が、女の子に見える。ドキドキする……」

マイク入ってるよ??

後で、一葉も覚えてろ!!

ぎこちなく、バスタオルを体から外した。

「ノ……ノーブラだぁ!!」

あのね、僕……男だよ??

会場が騒然となる。

「景彩!!バスタオル巻いて!!会場がパニックだ!!」

何故に!?

『~~っつ!!どうして、男のあんたに皆反応するのよう!?』

「……さぁ?僕が訊きたい。」

「では、鼻の下がのびている海波先輩。解説を!!」

「うん。恥じらいと、女顔でパンツ姿のノーブラにしか見えない!!」

……何だそれ?!!

「だ、そうだ。景彩、よかったな♪」

本当に!?

舞台の角で、麒麟が笑っている。

畜生!!鬼畜め!!

「……くく……ふくくく……ふはっ!!」

「……ね、麒麟?いつまで笑っているつもりなの??次は、普段着だろ。はぁ……当然、スカートなんてはかないよ?」

「うん。ズボンは、ズボンなんだけど……これは、誰の趣味かな??」

「……短パン?」

「うん。この靴下とセットだよ??着てみて……」

…………。

「これ……あぁ~~。なるほど……」

「……うん。もういいよ……後、これを乗り切ればいいんだ。そうしたら、最後だし……。頑張るよ……」

自分でもわかる……

多分、今日……疲れから熱が出る。

「……景彩。これから、精神的な試練がある。もう……引いてもいいんじゃないか?」

「うぅん。海波……菫さんが勝ったら、触れるって……」

そう……食べるって、言った。

これ以上、僕以外に触れないで欲しい。

試練も、そのときまでに体力を取り戻すから。

海波……僕を選んで欲しい。

まずは、君が僕を選んで……。


舞台には、ミニスカの菫さん。

綺麗な足に、海波はよだれを垂らしていた。

畜生……他の、女の子を見るなんて……悔しい!!

「海波!!」

つい、叫んでしまった。

僕を見て欲しい……

「おぉっと、これはぁ!?……聞いたことがあります!そう、絶対領域だぁ!!」

……やっぱり、狙いはそれなの??

「電報が届いています。……采景さきょうくんから?」

「読んでみろよ、一葉♪」

「うん……。苺愛めえが、着てくれないから……」

…………。

采景くぅ~~ん?!!

「今回、料理で役に立てなかったので……がんばれ?だ、そうです。」

泣きそうだよぉ~~。

【サワッ……】

「ひゃ!?」

落ち込んだ僕に、気配なく近づいた海波が、僕の太ももを撫でている。

「海波!?」

「はぁ……興奮する。可愛い……この隙間……堪らない。ぐふふふふ……」

ひぃい~~!?

「駄目だよ!みんなが見てるじゃない!!」

「……いいよ。私、気にしないから……」

「気にし……って、どこを……ぁ……やめ……て。」

上着に入った手がお腹を滑る。

『いい加減にしてよぉ!!海波、酷いわ!私の気持ち……うぅ……本気なのに……』

僕から離れた海波は、菫さんに近づいた。

「……菫、ごめん。私、景彩が好きだ。本気なんだ……」

【ドク……ン】鼓動が激しくなる。

海波が僕を、選んで……僕を好きだと公に言ってくれた。

嬉しい……どうしよう……幸せだ。

「……うん。わかった……なぁ~~んてね!!」

へ?!

菫さんは、海波に不意打ちキスをした。しかも、激しい……。

僕は呆然と見ていた。会場も静まり返る。

「……いいわよ、許してあげる。ふっ……うぅ……もっと、いい女を見つけたんだから!!」

菫さんは振り返ることなく、泣きながら走り去った。

その後のことを、僕はあまり覚えていない。

ただ……どこか、心が痛かったような気がする。

何故だろう……




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