女子力!?
「景彩、おはよう。」
「おはよう♪」
一葉と双葉と出会い、挨拶。
「おはよう。久々に、時間が重なったよね?」
近所でも、時間が重なるのは珍しいこと。
僕は、この外見で……身内以外に友達がいない。
「あぁ……ん?何か、掲示板のところ……騒がしいね。」
「本当だ♪俺、見てくるよ!!」
一葉が何かに気付き、双葉は好奇心旺盛に走っていく。
双葉の話しかけた女の子が、僕を見て叫んだ。
「あぁ!来たわよぉ!!」
……僕が来た??
僕の周りに、人だかり。
…………。
??!?!!
大勢が、質問攻めで何を言っているのか判らない。
「景彩!来い!!」
麒麟の声に、伸ばされた手を取った。
巻き込まれた一葉の手を引いて、人垣を抜ける。
「うわぁ~~、大丈夫??」
双葉は、一葉をおんぶする。
人波に酔って、目を回したようだ。
「一葉を保健室に連れて行くね。」
「ごめん……」
「あ、そうだ君の相手……ふふ。景彩、俺の御兄さんになるかも♪頑張ってね!!」
一葉を背負って、思い出したかのように笑顔で語る双葉。
……やっぱり、彼女は双葉の相手のお姉さんか。
「景彩、状況を知らないだろ?おいで……説明するから。」
麒麟は人気のない道を進み、一つの部屋に入る。
「ふぅ~~。しっかし、景彩は大変だね。海波先輩をめぐって、“彼女”対決とか……。菫さんには、会ったの?」
「……“彼女”対決!?何それ!!」
家。ただ今、夕食を済ませたリビング。
大勢のおおかみが揃っています。噂を知って、作戦会議だそうです。
被害者……もとい、当事者の意見も無視で……。
「で、草樹。種目は何だ?」
「いやヒツジ、俺は情報系じゃないから。麒麟、お前の方が詳しいよな。」
「てか、大人が大人気ないよ?」
「バカ野郎!!売られた喧嘩は、楽しくがモットーだ!!」
……鬼畜のヒツジくんが、珍しく熱い。
「父さん……。」
「麒麟、ヒツジの言うとおりです……鬼畜度が足りませんね。」
「連歌もそう思うよな!ほら麒麟、そんなんじゃ立派な鬼畜になれないぞ。」
「なりたくないよ!!保志くん?歌毬夜さんに、ないこと吹き込むよ?」
「……おあぁ!?そんな鬼畜は望んでないぞ!!」
…………。
騒がしい。
麒麟とそのお父さん、ヒツジ……羊二くん。
草樹くんに、その双子の兄の連歌くん。
一葉・双葉のお父さん、保志くん。
僕の父の不在に大騒ぎだ。
お母さんは、苦笑いで様子を見ている。
「お母さん。僕……どうしたら、かっこよくなる?」
「……うぅ~ん。」
答えは、返ってこない。
「あぁ!景彩に強い味方を準備したんだ。そろそろ来るかも……」
【ピンポ~~ン】
「来た!円華さん、連れてきて♪」
草樹くんがニヤニヤ。
??
リビングに入ってきたのは、ワイルドな感じの男の人。
「はじめまして。」
渋い声だな……
おおかみ達は、みんな席を立って……彼を迎えた。
「景彩、美衣の旦那♪お前の相手の父親だ。」
「矢城 蛍兎です。よろしく。うわぁ~~、聞いていた通りの可愛い男の子♪ふふ……食べたくなるね……ジュル……」
……確かに、海波の父親だ。
「はじめまして……。て、今回の協力は反則でしょう?!!」
菫さんVS僕で、『海波の彼女に相応しいのはどっちだ!?』が行われるのに。
「ははは……。無理やり参加させられたのに、反則もないだろ。な?」
「あぁ。そのための会議だ!」
…………。
また、僕を無視して会議がスタートした。
「景彩……がんばれ?」
「……麒麟……僕、“彼女”になるつもりないんだけど……」
「うん。けど、そんなの言える雰囲気じゃないよ?」
…………。
対決は、女子力を競うのだとか……。
僕……男だよ!?はぁ……
イベント当日。
僕は、種目は聞いたけど……おおかみ達の相談の中身は知らない。
ただ親類中が、そのイベントに来るのだとか!?
……学園祭が終わったのに、一般開放で『海波の彼女に相応しいのはどっちだ!?』
僕は、男……男……彼氏になりたい。
……こんな悩みは、誰に相談したらいいのかな?
「景彩……とりあえず、勝ってから考えれば?」
麒麟……
「その、手の大きな荷物は何?」
「……父さんたちの企みだよ。一応、言っとくね?諷汰さんは、中身を見て……マジ泣きしてたよ……」
…………。
いらない情報だ。
「……鬼畜。」
…………。
無言で見つめ、作り笑顔の僕たち。
「景彩……参加しないかと思ったよ♪」
軽い調子の声と同時で、僕のおしりを撫でる海波。
「はぁ……。海波、僕……彼氏になりたいんだ。」
「……うん?ふっ……知ってる♪」
最高の笑顔。
【キュン……】
あぁ、こんな笑顔に流される僕……弱いなぁ~~。
とりあえず、菫さんから奪わないと……始まりもないのかな??
「海波!!審査員は、他にもいるんだからね!!……~~っ。ふんっ!!」
菫さん……綺麗な顔が、もったいない。
「はぁ……私、可愛い顔が好きなんだよねぇ~~。」
僕の頭を撫で撫でしながら海波は、ため息。
彼女の胸の谷間に、後頭部が沈む。
「わわわわぁあ~~」
ジタバタするが、離してくれない。
「ふふ。可愛いぃ~~。このまま、押し倒してもいい?ね、喰いたいな♪」
スルリと手を滑らせ、上着のボタンを手際よく外していく。
「海波!!その餌は、私にその子が勝ったらよ!!私が勝ったら、私を食べていいわ!!」
菫さんは間際まで近づいて、僕を突き飛ばした。
「くく……。据え膳は、戴くよ。覚悟しろ?」
菫さんは、海波の言葉に赤面する。
え?僕が負けると、菫さんを食べちゃうの!?
「じゃ、景彩……ふふっ、楽しみだよ♪君の……女子力?期待してる……」
僕の思考をどこまで見透かしたのか、意地悪な台詞で海波は背を向けた。
「……景彩、面白いよ。」
ずっと黙って観察していた麒麟が一言。
「この……鬼畜!!」
麒麟は笑いを我慢しながら、拗ねた僕の手を引いて更衣室に連れて行く。
「はい。これ……ぷぷ……衣装。くく……ぷくくくくく……あははははは!!」




