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C【派生シリーズ】邪  作者: 邑 紫貴
7僕はおおかみ!

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女子力!?


「景彩、おはよう。」

「おはよう♪」

一葉と双葉と出会い、挨拶。

「おはよう。久々に、時間が重なったよね?」

近所でも、時間が重なるのは珍しいこと。

僕は、この外見で……身内以外に友達がいない。

「あぁ……ん?何か、掲示板のところ……騒がしいね。」

「本当だ♪俺、見てくるよ!!」

一葉が何かに気付き、双葉は好奇心旺盛に走っていく。

双葉の話しかけた女の子が、僕を見て叫んだ。

「あぁ!来たわよぉ!!」

……僕が来た??

僕の周りに、人だかり。

…………。

??!?!!

大勢が、質問攻めで何を言っているのか判らない。

「景彩!来い!!」

麒麟の声に、伸ばされた手を取った。

巻き込まれた一葉の手を引いて、人垣を抜ける。

「うわぁ~~、大丈夫??」

双葉は、一葉をおんぶする。

人波に酔って、目を回したようだ。

「一葉を保健室に連れて行くね。」

「ごめん……」

「あ、そうだ君の相手……ふふ。景彩、俺の御兄さんになるかも♪頑張ってね!!」

一葉を背負って、思い出したかのように笑顔で語る双葉。

……やっぱり、彼女は双葉の相手のお姉さんか。

「景彩、状況を知らないだろ?おいで……説明するから。」

麒麟は人気のない道を進み、一つの部屋に入る。

「ふぅ~~。しっかし、景彩は大変だね。海波先輩をめぐって、“彼女”対決とか……。菫さんには、会ったの?」

「……“彼女”対決!?何それ!!」



家。ただ今、夕食を済ませたリビング。

大勢のおおかみが揃っています。噂を知って、作戦会議だそうです。

被害者……もとい、当事者の意見も無視で……。

「で、草樹。種目は何だ?」

「いやヒツジ、俺は情報系じゃないから。麒麟、お前の方が詳しいよな。」

「てか、大人が大人気ないよ?」

「バカ野郎!!売られた喧嘩は、楽しくがモットーだ!!」

……鬼畜のヒツジくんが、珍しく熱い。

「父さん……。」

「麒麟、ヒツジの言うとおりです……鬼畜度が足りませんね。」

「連歌もそう思うよな!ほら麒麟、そんなんじゃ立派な鬼畜になれないぞ。」

「なりたくないよ!!保志くん?歌毬夜さんに、ないこと吹き込むよ?」

「……おあぁ!?そんな鬼畜は望んでないぞ!!」

…………。

騒がしい。

麒麟とそのお父さん、ヒツジ……羊二ようじくん。

草樹くんに、その双子の兄の連歌れんかくん。

一葉・双葉のお父さん、保志やすしくん。

僕の父の不在に大騒ぎだ。

お母さんは、苦笑いで様子を見ている。

「お母さん。僕……どうしたら、かっこよくなる?」

「……うぅ~ん。」

答えは、返ってこない。

「あぁ!景彩に強い味方を準備したんだ。そろそろ来るかも……」

【ピンポ~~ン】

「来た!円華さん、連れてきて♪」

草樹くんがニヤニヤ。

??

リビングに入ってきたのは、ワイルドな感じの男の人。

「はじめまして。」

渋い声だな……

おおかみ達は、みんな席を立って……彼を迎えた。

「景彩、美衣の旦那♪お前の相手の父親だ。」

矢城やぎ 蛍兎けいとです。よろしく。うわぁ~~、聞いていた通りの可愛い男の子♪ふふ……食べたくなるね……ジュル……」

……確かに、海波の父親だ。

「はじめまして……。て、今回の協力は反則でしょう?!!」

菫さんVS僕で、『海波の彼女に相応しいのはどっちだ!?』が行われるのに。

「ははは……。無理やり参加させられたのに、反則もないだろ。な?」

「あぁ。そのための会議だ!」

…………。

また、僕を無視して会議がスタートした。

「景彩……がんばれ?」

「……麒麟……僕、“彼女”になるつもりないんだけど……」

「うん。けど、そんなの言える雰囲気じゃないよ?」

…………。

対決は、女子力を競うのだとか……。

僕……男だよ!?はぁ……



イベント当日。

僕は、種目は聞いたけど……おおかみ達の相談の中身は知らない。

ただ親類中が、そのイベントに来るのだとか!?

……学園祭が終わったのに、一般開放で『海波の彼女に相応しいのはどっちだ!?』

僕は、男……男……彼氏になりたい。

……こんな悩みは、誰に相談したらいいのかな?

「景彩……とりあえず、勝ってから考えれば?」

麒麟……

「その、手の大きな荷物は何?」

「……父さんたちの企みだよ。一応、言っとくね?諷汰ふうたさんは、中身を見て……マジ泣きしてたよ……」

…………。

いらない情報だ。

「……鬼畜。」

…………。

無言で見つめ、作り笑顔の僕たち。


「景彩……参加しないかと思ったよ♪」

軽い調子の声と同時で、僕のおしりを撫でる海波。

「はぁ……。海波、僕……彼氏になりたいんだ。」

「……うん?ふっ……知ってる♪」

最高の笑顔。

【キュン……】

あぁ、こんな笑顔に流される僕……弱いなぁ~~。

とりあえず、菫さんから奪わないと……始まりもないのかな??

「海波!!審査員は、他にもいるんだからね!!……~~っ。ふんっ!!」

菫さん……綺麗な顔が、もったいない。

「はぁ……私、可愛い顔が好きなんだよねぇ~~。」

僕の頭を撫で撫でしながら海波は、ため息。

彼女の胸の谷間に、後頭部が沈む。

「わわわわぁあ~~」

ジタバタするが、離してくれない。

「ふふ。可愛いぃ~~。このまま、押し倒してもいい?ね、喰いたいな♪」

スルリと手を滑らせ、上着のボタンを手際よく外していく。

「海波!!その餌は、私にその子が勝ったらよ!!私が勝ったら、私を食べていいわ!!」

菫さんは間際まで近づいて、僕を突き飛ばした。

「くく……。据え膳は、戴くよ。覚悟しろ?」

菫さんは、海波の言葉に赤面する。

え?僕が負けると、菫さんを食べちゃうの!?

「じゃ、景彩……ふふっ、楽しみだよ♪君の……女子力?期待してる……」

僕の思考をどこまで見透かしたのか、意地悪な台詞で海波は背を向けた。

「……景彩、面白いよ。」

ずっと黙って観察していた麒麟が一言。

「この……鬼畜!!」

麒麟は笑いを我慢しながら、拗ねた僕の手を引いて更衣室に連れて行く。

「はい。これ……ぷぷ……衣装。くく……ぷくくくくく……あははははは!!」




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