表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
C【派生シリーズ】邪  作者: 邑 紫貴
7僕はおおかみ!

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

34/71

おおかみ!!


大上おおがみ 景彩けいや。中等部2年。

父は、諷汰ふうた。お菓子の会社の社長。母は、円華まどか

姉の麗彩れいやは、16歳で学生結婚。

相手は、麻生学園高等部の保健室 担当医師。松木まつのき 草樹そうじゅ

姉が生れた数日後、草樹くんは姉を結婚相手に選んだ。

だから、いつも一緒にいた。僕の初恋の人♪当然、相手ではない……


僕が、おおかみに目覚めたのは少し前に遡る……。

高等部の学園祭より早い、中等部の学園祭でのこと。

そう、僕は……君を見つけた。呪いは解放されたけど、分かる。

“俺”の相手だ。ふふ……俺のおおかみの部分を、君が引き出すんだ。

俺は嫉妬する……どんな匂いも赦さない。俺だけのモノ……

思い通りにいかないのは、どうしてかな?

ふふ……楽しい。




「お願い!!景彩、一生のお願いだ!」

クラス委員長の土下座。クラスのみんなが、僕に向かって手を合わす。

…………。

何、これ……異様な雰囲気に居堪らない。

「……わかった。引き受ける……けど、制服は姉のを借りるから!終わった後、売られたら笑えない。」

引きつる顔を無理して、ニッコリ微笑んでみる。

「ぐっ……」

委員長の複雑な顔。

「売る……つもりだったの??」

油断できない。

何の話かと言うと。姉の制服……つまり、学園祭で女装する訳です。

僕の顔は、おばあちゃんの若かりし頃にそっくりらしい。で、可愛い系?

姉は綺麗系で、たまに僕が嫉妬される……。

僕は、男だよ??嬉しかったのは、小学生までだ。

最近は、おじいちゃんの視線が気持ち悪い。

……いや、クラスの……学園の男共の視線がキモイ!!

僕は、男だ……畜生!!


家に帰り、姉に訊いた。

「え?あぁ、草樹が保管してるよ?」

…………。

草樹くん??

「ふふっ。全部、保管してるって言ってた。生れた時から、ずっとかな??だから、母さんは男物を買えたって喜んでたよ。」

…………。

それは、僕的には嬉しいんだけど。

「……景彩、聞いたぞ!さ、これを着なさい!!」

おじいちゃんが、麻生学園の中等部の制服を見せた。

…………。

「……ね、麗彩ちゃん……この年齢に、手加減はどれくらい?」

「私なら、容赦しないよ?」

「だよね?」

僕は、拳を握り締める。

しかし異様な殺気に手を止めた。

「……おじいちゃん、強いの??」

「……ふふっ。お前たちのじいじだぞ?一族の中で、最強だ♪今度、手合わせするか?」

…………。

ちっ!!仕方なく(?)制服を受け取った。

……あれれ、デザインに違和感??

「おっ、気が付いたか?ふふ……じじい……ひいじいちゃんが隠していた美彩のだ♪くふふ……いい匂いだろ?ぐふふふふ……」

この、エロ……じじい……

「はぁ。もういいよ、麒麟きりんに頼むから。任務で使う制服を借りる。」

俺の台詞に、テンションがた落ちのじじい。

「……くすん。……景彩……小さい頃は、俺にキスしてくれたのに……」

気持ち悪いことを……

【ガゴン!!】おじいちゃんの頭に一撃。

おばあちゃんの登場。

「気持ち悪いわ!!遠矢ぁ~~、いい加減にしなさい!!景彩は、男の子なのよ?」

僕の性格も、一番近いかな?と、その時は思っていた。


……まさか父の嫉妬心を……僕が持っているなんて思いもしなかった。

君に出逢った……あの日……僕のおおかみが目覚める。

もうすぐ……もう少し……必ず、君を選ぶから……



次の日。

「景彩、こっち。」

麒麟は、一つ年下の中1。

「本当は、役員しか入れないんだけど。身内が多いから、特別だって。……景彩も、役員になれば?」

役員は、麻生学園と姉妹校合わせて6つの学園を護っているのだとか??

「うぅ~~ん。面白そうだけど、今は料理のほうが楽しいから……」

「そっか。けど、ほんと……似合うね。」

自分の姿を鏡で見る。

…………。

麒麟と並ぶと、カップル。

「……麒麟……」

「何?」

「……鬼畜。」

…………。

【ピシッ……】

空気が固まり、冷たくなる。

女みたいは、僕にとって禁句。麒麟にとって、鬼畜は禁句。

「「……ごめん」」

僕たちは、従兄弟。

君も、もうすぐ相手を見つける。意外に近くに居た存在。

僕の相手も難しいけど、麒麟の相手ほどではないかな??まだ、先の話だ……

服を脱いで、紙袋に入れる。

「草樹くんは、最近……元気ないよ。」

「あぁ、麗彩ちゃんもだよ。……ね、麒麟?僕たちも、弊害を受けるだろうか?」

「……さぁ?相手によるんじゃないかな。草樹くんは犠牲だからね。お父さんは、ずっと邪魔してやる……何て言いながら、心配で情報を訊いてるよ。」

「家のお父さんも、心配してる。幸せになって欲しいね……。」


僕は、麒麟と別れ教室に向かう。

「景彩!お前が、男でも構わない。俺と付き合ってくれ!!」

…………。

廊下で、周りに人がいる中での告白。

喧嘩……売ってるのかな?

「ごめんね。僕の相手じゃない……忘れてよ。」

「嫌だぁ!!」

抱きつくように走ってくる。

その勢いを利用し、背の差をカバーして背負い投げ。

「僕に勝てたら、考えてあげる。」

嘘だ……

「景彩!じゃあ、俺と勝負してくれ!!」

…………。

みんな、何の病気なの??

ムカァ~~~~!!

その辺の、かかってくる奴を次々に倒していく。

「……ふぅ~~。お腹減った♪」

死屍累累……これが後に伝説になったのだとか??

麒麟の情報だ。

え?麒麟の情報が少ない??

聖城まさき 麒麟きりん

母親 、麗季れきが僕の父の妹。そして、鬼畜♪

他にも従兄弟がいる。年子で、麒麟と同い年。

大上おおがみ一葉いちよう双葉ふたば

僕の母親の弟が、父親の保志やすし君。

ま、彼らの話は追々……まずは、僕の話を終わらせようね♪ふふ……


学園祭。

僕の中でどうでもよかったんだ。

だって、男の制服でも男が寄って来るんだよ?

まして女の格好に……ロングのカツラなんて。ため息が出る……

お昼に、一葉たちのクラスへ顔を出した。

「……ぷ。」

双葉が、噴出した。

こいつも強いから睨むだけ。喧嘩すると、周りが迷惑だから……

「こら!双葉、景彩が嫌がってるのを知ってるだろ?」

一葉は、普段は常識あって周りが見える。

そう、普段は……。

「ねぇ~~、一葉君。手伝ってぇ?」

「うん!瞳ちゃん、僕がするから!!」

女を見る目はない様だ。

僕が呆れた顔をしていると、双葉が席に案内してくれる。

そして、注文を受け付ける女の子を紹介した。

「委員長だよ。」

女の子は不思議そうに、お辞儀をして注文をメモした。

「少々、お待ち下さい。」

接客の笑顔。

ふぅ~~ん、なるほどね。

立ち去る彼女を、双葉が見つめ……ため息。

「何?自分の相手じゃないから、残念なの?」

「うん。美味しそうでしょ?」

確かに……

「一葉の相手だよ。はぁ~~、俺の相手も見る?」

「……うん。このクラスなの?」

「あぁ、ビックリするなよ?」

……ビックリ?

「あれ。」

双葉が指差したのは男。

「…………。」

声が出ない。

「男装だよ。男前だろ?……性格も、何だかね~~。俺、呪いから解放されたのに……呪われてるのかな?」

「……相手は、判るもの?」

「……俺は、判ったよ?どうして?」

「……いや。なんとなく……」

意外に、出される料理は美味しくて食が進む。

「サンドイッチが……いや、これ……コーヒーも美味しい。」

「本当か?景彩にそう言ってもらえると、安心する。ふふ……あいつが計画したんだ♪」

……双葉の笑顔。

相手がいると、こんなふうになれるかな?

「景彩……相手を求めているのか?」

たまに双葉が鋭い。

多分、読めるのかな?

「そろそろクラスに、戻るよ……。」


人通りが激しいのに、聴こえる音を遮断したように静かだ。

心が淋しい……何かを求め、待っている。

僕の相手は、どこにいるのかな?こんな外見で、僕を好きになってくれるのかな?

……はぁ。

人の気配が近づいたので、スルリとかわした。

【ガタッ】

…………?

振り返ると、男の二人組みが倒れている。

……??

「待てよ!!」

二人が、僕を睨んでいる。

あぁ!どうやら、わざと僕にぶつかろうとして(避けたから)こけたのか。

…………。

僕の所為じゃないよね?

はぁ……

「ね、可愛いね。倒れたときに、足を挫いたみたいだ。」

「痛たた……保健室に、連れて行ってくれるかな?」

囲まれた。気持ち悪い……

「嫌です。僕、男だよ?学祭で、女装してるんだ。ごめんね……じゃ!!」

逃げきれず……二人に囲まれた状態。

イライライラッ!!

手を出そうとした、その僕の手を引いて走る女の人。

「こっち……逃げるよ!!」

後姿……わかる。心が反応する。

この子だ……間違いない。

僕は、君を見つけたんだ……この動悸は、走っているからじゃない。

追いかけてくる二人の罵声なんかどうでもいい。

息の切れた君が、巧みに誘導する。

空いた教室に逃げ込み、息を潜めた。君の腕の中……

僕を優しく抱きしめる。

「大丈夫……もう、追ってこない。少し、隠れていたほうがいいね。」

優しい声で微笑む彼女を見て、一安心。

…………。

ん??手が、おしりを触っている??

気のせいじゃない。あれ?この人、女性だよね??

彼女(?)の肩に手を置いて、押し……距離を取る。

僕の戸惑う様子に、綺麗な顔で……ニヤリ。

…………。

あれ?この人も、女装してる男??僕、相手……間違えたのかな??

両手を、彼女(?)の胸に当てた。

【ムニュ】……柔らかい。

あれ?詰め物なの??

【ムニュムニュ……】

…………本物ですよ。

「……ふふっ。積極的な子♪」

あっけなく押し倒されてしまった。

……あれ?何かがおかしいですよ??

やはり、女性です。それなのに僕の胸に手を滑らす。

「ん?小さい……と言うか、ない?……ま、いいか。顔は好みだし♪いただきまぁ~~す!!」

混乱する僕に躊躇なくキスをした。

見開いた目に、彼女はエモノを捕まえたような眼。

キスはどんどん激しくなる。

彼女の手が、制服を脱がしていく。

手際がいい。そして、太ももに触れた。

「僕……あ……」

「可愛い声……もっと聞かせて……ん??」

彼女の手が……恥ずかしい。

「付いてる??」

……はい。僕、男だし。

解っていたわけじゃないの??あれれ??

…………。

沈黙が二人を包む。

起き上がった僕。その前に呆然と座った彼女。

乱れた制服の下、平らな僕の胸を見つめる。

「……あの、僕……」

「僕……??ふふ……可愛い。自分のこと、僕って……君……女の子だよね?」

目が瞬きをしてませんよ?先輩……

リボンの色が、3年生だと示していた。

「さっき、僕の……に、触れたのに。」

……ポッ……

「……可愛い。可愛いのに!!男なの??!!」

どうやら、彼女……矢城やぎ 海波みなみ先輩は、女の人が好きな女性みたいだ。

「……クソッ!!忘れろ!野良犬に噛まれたと思え!!」

彼女は逃げるように、教室を出て行った。

……取り残された僕。

ふふ……くすくすくす……絶対、手に入れる。

“俺”の相手……。逃がさない。

難しい相手……だけど、この外見に感謝する日が来るなんて思わない。

ね、海波?




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ