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C【派生シリーズ】邪  作者: 邑 紫貴
6何処かで巡り……君と

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巡る時に翻弄されて

神成かみなり がい


「草樹……。ここに行って、女の子を救出して欲しい。但し、俺には近づけるな。救出し、回復後……海外の姉妹校に編入手続きを行え。」

「……劾……多分、上は知ってるよ。君のお父さんが、予言していたから……」

「……俺に、近づけるな!!災いが来る……草樹……今、俺の命を絶つほうが楽かもしれない。父さんに逢わせてくれ……頼む。お願いだ……」

彼女は、予告の通り……俺の前に現れた。

無事救出され、回復したが……海外に行くことはなかった。

災いが来た。

俺の前に、彼女が立つ。俺たちの幸せは、無い。一時的だろう。

父さん……母さん……この学園が、憎い。

保護?監禁され、外の世界を知らない。

俺には、常に警護が付きまとう。

唯一の救いは、心優しい奴が多いこと。

それでも、消えたい……



『犠牲の家系』


父さんとの面会が許された。

年を取り、優しい雰囲気に涙が零れる。

もう、28になる大の男が情けない。

「……22年ぶりかな?……大きくなったなんて言う年でもないか。……劾……時が来たね。」

懐かしい声。

「はい。時の役目を持った彼女は、どこから来たのですか?」

「分からない。過去の俺たちの周りにはいない家系だ。お前の持つ水がそれを証明した。」

「器鈴の家系に、兄妹がいた。子供は、どうして二人いたの?」

「……異母だ。時の役目を持った者の胎は、子を一人しか産めない。間守の過去は観たか?」

「はい。同じように、幼いときからここにいた。どうして、俺も家族と住めなかったのですか?」

「……君が、淋しさから……出来るだけ多くの子孫を残すため。学園は知らない。大上家と同じだと……」

「……俺たちも、一人を捜す。いや、見つける……時が巡るように、廻り逢う。時の役目は、時を護る為に試される。彼女は、解放か破滅か……君を解放するのか……俺にも、君にも先が観えない。もしかしたら、彼女は知っているのかも……」

「父さん……母さんは、元気かな?」

「あぁ、いつも……お前の幸せを願っている。俺たちの子供だ……ごめんな……」



『廻り逢う』


君は、俺に姿を見せた。

「劾……彼女です。さ、挨拶を……」

美しい、静かな瞳……

『はじめまして。』

【ゾク……】

「黙れ!話すな!!」

はぁ……何だ?この声……

俺は、草樹に目を向けた。

「……俺は、感じない。一生の相手がいるから。……けど、恵が……少し、落ち込んでる。……この声に、何人かが狂った。学園は、喜んでる。君の相手に、相応しいと……」

嫌悪する。けど、求めている自分が隠せない。

「いいか、絶対に話すな!命令だ!!知ってる……お前は、命令に従う。……だろ?観たんだ……時が来るまで、ギリギリを観た。頼む……っつ!!草樹、もういい……挨拶は終わりだ。任務に戻せ!」

俺の暴言に、草樹は優しく微笑んだ。

「草樹……ごめん。……恵を呼んでくれ。」

彼女を外に出し、振り返ってうなずく。

君は、俺を見る。監視という名の命令の中……俺を惑わすように……

君の心は、分からない。ただ、学園の望む子は……判らない。

君の未来……俺の未来も、君のその心が握ってる。

同じ時の役目を持って……能力は、その『声』なのか?

それとも……俺のように、幾つか重複するのか?

父方のおばあちゃんの能力……風を引き継いだ。いや、俺が奪ったのか?

俺が生れる時、母のお腹に触れたおばあちゃんの手から、能力を奪った。

一時的に、風の通路が封鎖されたのは……それが原因だ。

生れ……俺は6歳で、おじいちゃんの先見を奪った。そして、ここにいる。

加えて……先日、目覚めた。

水……それは、時の犠牲……が持った能力。消えた存在……

俺も、消えるのかな?

……君に消されるなら……幸せだろうか?

【コンコン……】

「入って……」

恵だ……確かに、元気がない。

「……ごめん……な?」

「ふっ……どうして、あなたが謝るのですか?……劾……気持ちは、吐き出して。そのために、俺たちがいる。」

「……学園は、もう……時役使を解放するんだろ?いや、正確には……失ってもいい準備をしている。」

学園は栄え、大きな家系の後ろ盾を得ている。もう……

「はい。あなたの未来が見えず、子孫が途絶えるなら……。嫌でも、そうせざるを得ない。劾、彼女との未来は分かりません。が、遅い自由が待っている。希望に、なるでしょうか?」

「……恵……君が、子を設けなかったのは……俺の所為?」

「いいえ。彼女は、クローン……子が出来ない身体なのです。学園の犠牲は、あなただけではない……」

「ごめん……」

恵……草樹……ヒツジ……俺の周りは、優しい奴が多かった。

ヒツジに、家族はいない。年も近くて、(鬼畜だけど)優しさは俺の心を癒した。

彼女に出逢った君の役目を知った俺は、君を解放した。

俺のそばにいてはいけない。俺の周りは辛い思いをしながらも、幸せを手に入れた。

……はぁ。消えたい……

「嵐を呼びました。また、試合をするといい……」

「ふっ……今度は、優貴でもいいよ?柔道も楽しみだ……嵐は、閑を……」

「うるせぇ!!暗いんだよ。らしくねぇ~~。劾、俺から逃げるのか?兄貴は、俺の兄貴だ。借りるなら、俺の許可を得ろ!閑を追い詰めていいのは、俺だけだ!!」

うるさいのが来た。

「……何だ、その眼……気に喰わない!!行くぞ!草樹のイチャイチャぐらい、許してやれ!ふんっ」

嵐は、人の傷に敏感だ。

俺は、男友達には恵まれてるな……。ホモじゃないぞ?

「……嵐、男は寡黙がいいんだ。」

「……~~~っつつ!!」

口をパクパク、言いたいことを飲み込んだ。

ふふ……癒される。

剣道で、嵐に勝てたことはない。

閑は、俺の初恋。学園が用意した候補の一人だった。

嵐は、多分……聞いたかな?俺のこと……

「集中しろ!」

容赦ない……

「……劾、この間のチョコは許してやる。」

「くっ……ふぅ~~ん。閑から、何をもらったのかな?」

「くくく……聴きたいのか?事細かに教えてやろうか?」

緩んだ顔……3・2・1……

「嵐!!おっ前!!」

来た……ふふっ。

「し、閑?!ちょっ、待て……追い詰めるのは好きだが……いや、これも好い……もっと……」

「うるさい!!生徒に何を言った?!!」

俺の周りは、平和だ。

閑が幸せならいい。少し、大変そうだけど……うん。


「……止まれ。何をしに来た?」

気配を感じ、俺の背後に言い放つ。

『……命令です。』

……ちっ!!こんな、憎悪する言葉も、俺の何かを刺激する。

「……都。お前の時は来ていない。接触もない……本当に、夢に観たことがあるのか?……お前の『声』が、そうさせるのか?答えるな……」



『目的……』


時は、来ていた。そう、この月……満月。

オレンジ色に輝き、いつもより大きく感じる。

そして、この保健室。草樹は、家に帰っていない。見張りも……いない。

ふ……どこまで、俺の意思は無視されるんだ?

「……いるんだろ?入って来いよ。望みが叶うのか?俺は、お前に心を持っていない。命令?誰のだ?都……答えなくていい。目的は、果たさせない。」

「ふふ……声が普通なら、話してもいいかしら?」

?!……やはり、能力か。

「都……何を話す?お前は、時の役目……狙いは……まさか?」

「くすくすくす……そう、あたり♪さぁ、行きましょう?時の狭間……この、羅針で……ね?」

羅針……母方の?

「……祖母から、奪ったのか?」

「いいえ。譲ってくれたの……あなたを解放する約束で……そして……」

口が動いているのに、声が聞こえない。

羅針が輝く……

時の狭間に導くように……

入り口を護っているのは、父方のおじいちゃんだ。

来たことはないが、父から物語を聞いた。

時の試練の最後に、封印した聖花せいか。それを護るイリスと光。

柱の中に……パンドラの箱。

「返してもらうわ……異次元の秩序……パラレルワールド。」

『……劾、愛して欲しい……』


運命……

相手に、欲情するのは……愛?欲望?

都……分かっている。何度も夢見た……君との行為。

君に出逢うことだけを望んだ。

他の誰にも、欲情がない。閑にさえ、なかった……。

初恋……美しすぎる思い出。友情だ。嵐のような欲望がなかった。

知っていたんだ……君が現れること。

まだ見ぬ、出逢う前から……恋し、求め……愛した。

畜生……

都……君の温もり、匂い……

もう、出逢うこともない?君は……異次元の人?

時の役目……犠牲は、常に付き物……俺は、一生……独り。

君を殺して……俺も死んだほうが幸せだろか?

「……都……都……愛している。」

君は、この腕の中に確かにいたのに……時は巡る……

その時に、翻弄されて……俺は、生きていく。

死ぬことも赦されず……君のいない世界で……

何処かで巡り……君と



「おっはよぉ~~」

「………。」

保健室。

「いやぁ~~、おめでとう♪」

「ども、ありがとうございます♪」

「これで、俺も姫とイチャイチャできるよ!」

「草樹は、いてもいなくても関係ないだろ?」

「何だと~~。嵐?何度、泣きそうになって俺に相談に来た?」

「一度だろ?!」

「……い。うるさぁ~~い!!都、どうしてここにいるんだ?!!」

シーン……

「え?だって、異次元から追放されたの。この世界の人と……ふふっ……に、なっちゃったし?目的のものは、ちゃんとあっちの世界に届けたから♪ここで、あなたの子を生んだら自由に楽できるって言うし!!」

………。

脱力……

いつもの保健室。草樹・姫・ヒツジ・嵐・優貴・恵がいる。

「……ちっつくしょう!!お前ら、大っ嫌いだ!!消えろぉ!!」

俺の能力……水が全員を水浸しにした。……はず。

「残念♪私、火も使えるの。へへ?」

憎らしい、可愛い微笑み。

見たことのない表情に、骨抜きにされそうだ。

あぁ……学園の思う壺?

畜生!!確かに、君は俺たちを解放した。

時の役目……聖花を護らなくて良くなった。試練は、ない……

けど、能力が消えないのは……


本当の時役使の解放は、別の話……




END

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