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C【派生シリーズ】邪  作者: 邑 紫貴
5天使な束縛

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31/71

天使は失う?!

麗彩side


「……ん?」

目を開けているはずなのに、真っ暗。

…………。

??

「目が覚めた?」

この声は……

「原くん?」

訊いたと同時に、いきなりの明るい照明。

眩しい……

「ね、ここ……何?どこなの?」

私の手は後ろで縛られ、柔らかいじゅうたんの床に座っている。

「し、静かに。」

……??

目が慣れ、周りを見渡す。広い部屋……家具も少しある。

ここはどこなの?

窓には鉄格子。原くんは、イスに座って私を見ている。

「華澤さんの家か、彼女の関係の建物ね……。で、あなたは……仲間じゃないよね?」

信じて言ったわけではなく、何か……気を失う前に聞いた言葉で判断していた。

「う~~ん。どうかな?君を渡したのは、私だ。けど、ここにいるのは誰も知らないよ。君を護るためにいる、とだけ言うね。」

私って言ったよね……?この人……

「さ、助けが来るまで話をしようか?」

きっと呪いの関係者だ。

ニッコリ笑うと、雰囲気が違う。

淡い光が、原くんの体を包む。女の人の姿に変わった……?

「もしかして、美衣さん……?」

解放の魔女。

「正確には、美衣様の精神……バラです。この度の無礼、申し訳ございません。……麗彩様、答えを見つけましたね?さぁ。答えを提出してください。解放です……」



草樹side


「草樹、大変だ!あいつらが、消えた!!」

優貴さんが、青ざめて駆け寄る。

しまった……自分の感情に振り回されて油断した。

確かに、校庭には麗彩たちの姿がない。

「普通じゃない。役員も、見張っていたはずだ……。」

「とにかく、手分けして捜しましょう!!」

気が狂いそうだ。

「……居場所、分かるよ?」

慌てる俺たちに、冷静な声がする。

「……劾……本当か?」

「あぁ。俺は、先見……」

「お前、こうなるって……」

「分かっていたよ?」

俺は劾の冷静な態度にカッとなって、喰いかかる。

「……劾、どこだ!麗彩はどこにいる?」

「連歌さんが知ってるよ。華澤さんの所……だ。役員級を総動員したほうが良い。俺の役目は、ここまで。……草樹、あと少し……迷うな。手に入れろ。」

劾の服を掴んでいた手の力が抜けた。

冷静さより、動揺が激しくて情けなくなる。

「劾、すまない。情報をくれて、ありがとう……」

必ず、奪い返してみせる。

麗彩……俺は…………


「おい、連歌!華澤さんのこと、知らないのか?」

「あぁ……記憶がない。誰かな……」

俺は連歌の家に、押しかけた。

麗彩の居場所は分かったが、連歌との関係が分からない。

俺の怒鳴り声に、小鹿が驚いて別の部屋からやってくる。

「草樹、珍しい……。ね、華澤さんって……千鳥のこと?連歌を追いかけてたのよね……。ほら、高校の時……」

「……?」

連歌は、思い出せない様子。

「はぁ……。私の元彼を奪った子よ、連歌の前に……本当に覚えてないのね……。草樹も……記憶に無いの?結局、連歌に付きまとうから……役員級が手を打って、家族ごと引っ越したよね?」

「「そうだっか?」」

小鹿は、呆れ顔。

「もう!!散々、恥をかいたから嫌でも覚えてるわ。怨んでいても、おかしくないわね。」

怨み……なのか?

「けど、あれから何年?相手は、学生でしょ。千鳥は連歌が好きで、かなり……周りを巻き込んでたからね。その子、水鳥みどりか……。血縁者なら、草樹のこと好きなんじゃないの?」

「……俺を?報告がないのは、それでか……?俺の情報は、いらないって言ってたからなぁ~~。小鹿、ありがとう!今から、助けに行くよ。……連歌、お前も来るのか?」

連歌は俺の前で、動きやすい格好に着替えている。

役員を抜け、大分経つが……腕は鈍っていないようだ。

「小鹿、少し出かけます。ふふっ。起きて、待っていてください。」

「え、何で?寝るよ、今日は!寝るんだから!!」

「くすくすくす……。良いよ、一緒に寝ましょう……いい夢を見せてあげます。」

「うるさい、うるさいぃ~~!!恥ずかしいことを、言うな!!」

相変わらず、小鹿は苦労してそうだ。


俺たちは華澤家に侵入した。

お金で雇われたいわゆるプロが、沢山。

けど、俺たち役員も……幼いときから訓練を受けたプロ。

麻生学園の力に比べたら、大したことは無い。あっけなく事は進んでいく。

水鳥も、事の重大さに青ざめていた。

収拾を連歌に任せ、俺は麗彩のいる部屋に入った。

「くすっ。少し遅かったかな……」

俺の目の前に、奴の制服の上着を被って寝ている麗彩。

……白いワンピースが床に、無造作に置かれている。

白い肌が……被った制服の隙間から見えた。

「何を……した?」

うそだ……。大切に、護ってきたのに……。

「想像の通り。でも、合意の上ですよ?くす。可愛いね……寝ちゃった。無理、しすぎたかな?くすくす……可愛い声でしたよ。」

合意の上……こいつを選んだ?

言葉が出ない。

助けに来た……何から?

約束を守った……ずっと、ずっと……遥か長い年月。

この一時で……奪われた。もう、手に入らない?

「さぁ、どうします?もう……俺に譲ってください。大切にしますよ。」

大切に……?

俺は、一生……独り。

「麗彩……。君が選んだのなら、俺は……」

さよなら……出来る?

君がいない生き方なんて、もう忘れた。

16年……いつも一緒にいた。君と過ごした時間は……消える……。

「……ない。」

「え?何ですか、聞こえな……」

「渡さない!奪う……。お前から奪ってやるよ。どれだけ待ったと思ってるんだ!はい、そうですかなんて……俺が言うわけないだろ!!絶対に、邪魔してやる。どんな手を使っても、手に入れてやる!!」

はぁ……はっ……畜生!!

大事に?大切に!?糞くらいだ!!

「くくく……」

「何が可笑しい。……約束なんて無効だ!奪われたのに、手を出されたのに……何で、俺が我慢する必要がある?ふざけんな!!畜生、お前も……覚悟しろ?容赦しない。赦さない……地獄に突き落としてやる。いや、生ぬるい……生れてきたことを後悔させてやるよ。くくっ……」

天使だと?俺は、悪魔にでもなってやる。

麗彩は、俺のものだ。渡さない!!

「…………ぅっ……うぅ~~。草樹、好き……大好き……。誰にも、渡さないで……。私を離さないで。あなたのそばにいたい。草樹……草樹……」

制服から薄着だが、ちゃんと服を着ている麗彩の姿。

いや、どうでもいい!!

走り寄って、抱きしめる。

「麗彩……誰にも渡さない。俺に、束縛されて。俺のものだ。俺を選んで欲しい。」

「選んだの!」

俺は麗彩を抱きしめたまま、男を睨みつける。

「ふふっ。相変わらず激しいのね……。意地悪じゃないつもりよ♪くすっ。久しぶり……草樹。」

懐かしい女の姿に、何かが繋がった。

「……美衣。……じゃ、麗彩は……はっ……情けない。涙が……」

俺の目元に、麗彩がキスをする。

「泣かないで……。嬉しい。草樹……もう迷わないわ。愛してる……」



保健室。

「劾、いい加減に外してください。2人の時間の邪魔です。」

麗彩のお弁当を、口に運びながら睨み付けた。

「くっ。俺の警護のくせに、酷いね。学園に、言いつけるよ?」

机の上に座って、俺たちを見ている。

「麗彩、にんじんが残ってますよ。食べなさい。」

「じゃ、食べさせて?あ~~ん。」

口を開け、目を閉じる無防備な顔。

にんじんを口に入れてもぐもぐ、ニッ……と笑う。

可愛い……あぁ、劾がいなければ……

「押し倒すなよ?役目の時間までは、ここにいなきゃいけない俺の身にもなれ。」

劾のため息。

ちっ……。

「劾、彼女はどうしたのです?役員がいるなら、俺の警護はいらないでしょう。」

「あぁ。俺が我慢できないから、外してもらった。それにヒツジが、絶対に邪魔しろってうるさいから♪」

ヒツジめ……。過去のことを根にもつなんて、女々しい。

「誰がかな?」

……げ、こいつまで心が読めるのか?

ヒツジが、いつの間にか部屋に入って俺を睨んでいる。

「鍵、かけてたろ?」

邪魔者が増えた。

「何を言ってるんだか。任務に必要な、簡単な開け方のマニュアルを作ったのはお前だろ?はぁ……いつ見ても、無防備な姫だな。」

目を俺の膝の上で寝ている麗彩に向け、ため息。

お腹がいっぱいになって、俺に抱きついて寝ている。まるでコアラだ。

「華澤家の処分は、ボスと学園が決めるって。後……ボスが、あの部屋の特殊な鍵を開けたって評価してたぞ。」

夢中で覚えていない。

「草樹……。俺、必死で考えたんだけど……」と、ヒツジが真面目な顔で視線を逸らす。

何だ?緊張する……何か、重要なことか?

「お前、エロイよな。」

…………。

真剣に、何を言うのかと思ったら……エロイ?

うんうん、うなずきながら「じゃ!」と、部屋を出て行くヒツジ。

……え?何が??

「くすくすくす……。うぅ~~ん、俺はちょっと違うと思うな。」

劾は俺を観察するように見る。

何が??

「お前は、過保護だ!」

うんうんと、自己満足そうにうなずく。

確かに、過保護だけれども……??

「あ、時間だ。行ってくるね!」

劾は、役目で保健室を出て行く。

邪魔者はいない。くくく……。

無防備に育てたつもりはないんだけどな?誘ってるよね?

……ちょっとぐらい、いいよね?寝ている麗彩に、キスをする。

…………。

起きない。深くしたら、起きるかな?

イチャイチャしたいな。どうせなら、昼から……くふふ。

「おい、鍵ぐらい閉めろよ!」

ちっ!!何で、嵐が来るんだよ!!

「ん?何か、ヒツジからメールで来いって。ちゃんと、時間まで指定されたぞ?一分も、速くなるなって。遅れるな、じゃないところがポイントだな♪」

……こいつら、楽しんでやがるな?

覚えとけ……

「で、お前がSでも鬼畜でもないなら……何だ?ってなってさ♪」

何だ、それは……。

「お前は、獣だろ?タガがはずれたら、獲物まで一直線だし?」

獣??

「いや、野獣だろ?」

「え、諷汰さんは天使だって……夢を見てるぜ?……兄貴が悪魔なら、魔王とかでいいんじゃね?」

保志さんに、采景まで……。

「ね、俺の職場に……何しに来たの?」

「「「邪魔だ。」」」

息、ぴったりで……

泣きそうだ。

「しかし、麗彩の天然は酷いよね。」

「あぁ、お礼の度に自然に頬キスだ。……エロオヤジ。」

「光源氏だろ?」

「野獣だよな?」

俺、16年我慢して……この言われよう。何で??

「お、楽しそうだね。草樹、姫を起こせよ。任務だ!」

優貴さんの登場。助かった……

「あぁ、墨が言ってたぞ~。嫉妬に狂うのだけは、醜いって!」

どいつもこいつも……いい加減に……

「……え、草樹は独占欲でしょ?」

寝てた姫が、俺の頬に手を当て……微笑んだ。

可愛いけど、独占欲って。

「「「「あぁ!」」」」



任務が終わって、家に帰る。

「お帰りなさい。」

自然に、頬にキスをする麗彩。

もう夫婦の気分……。玄関で、深いキスをする。

「……ん、駄目……料理が焦げちゃう……。」

ちっ……。ま、夜は長いしね。ふふふ……。

リビングのドアを開ける。

…………。

今度は、女の集団。に、景彩が違和感無く交じっている。

「……て、美衣までいるのか?」

あぁ、2人の時間が……畜生!

「そう、独占欲……。何か、語呂が悪いわね。」

まだ、その会話なの??

俺は、ご飯を独り食べながら……弾む会話を聞き流していた。

「ま、兄貴がドSだろ?高校生のときから、苦労したよ……」

「小鹿さんが、一番大変よね~~。優貴は、小学生の私に手を出したけど、クールだわ。」

「何故、弟の嵐はSなんだ?追い詰めるときは、最高に嬉しそうな顔するぞ?」

「閑さん、追い詰めたら色っぽいかもね~~。そうね~嵐は、熱い男だね……変なところ。ヒツジなんて、鬼畜よ?」

「麗季も、大変よね。てか、黙ってる苺愛のところも鬼畜だったわよね?」

「高校の時から、私を優先してくれます。美衣さん、会話を上手く避けてますね。で、どうなんです?」

「「「え?何、相手激しいの!?」」」

俺も、そこは気になるな。

「……いや、何か……。」

あの美衣が黙ってしまった。

何かを言われるより、生々しいのは何故だろう……。

「円華さんは、諷汰さんとどうなの?」

「ぶっ。こんな私にまで、話を振らないの!……諷汰は、嫉妬が凄かった。匂いがついただけで……はぁ。」

何かを思い出したらしい。

「あぁ。じゃあ、僕はお父さんに似たんだね。赦さないよ、他の匂いなんて!」

…………。

「えぇ~~~~!?!」

俺も、叫んでいた。

…………。


散々、喋って……みんなが帰ると静かだ。

床のじゅうたんに座り、麗彩が乗ってくる。

愛しい……。

独占?するよ。当然だろ?俺のだ。誰にも渡さない。

この、髪の毛一本だって……。髪を指に絡め、キスをする。

見つめる麗彩が、俺を誘う。

「キス……して?」

頬に手を当て、優しくキス。

優しいキスを繰り返し、深くしていく。

「……ふふっ。優しい……草樹は、私の天使。ずっと、大切に見守ってきてくれた。……これからも……ずっと、あなたの優しさに束縛されるわ。」

「くすっ……。俺は天使?君を汚すのに?」

服の中に手を滑らす。

「くすっ。優しい……天使な束縛……。大好き……愛してるわ。遥か、長い年月の……」

天使な束縛……




麗彩side


私の16歳の誕生日。

骨折での入院から、退院して自宅療養中のひいおじいちゃんに挨拶。

「約束の日です。婚姻届を出し、今日から一緒に暮らします。」

有無を言わせない雰囲気の草樹。

「待て。約束の日だが、お前は約束を守ったのか?」

「はい。」

草樹は天使な微笑みだ。

「監視していた人に訊いてください。」

私は笑顔のまま黙っていた。

心の中で、ただ…嘘つき♪と。


あの日。約束なんて、どうにでもなる……と。

私は、草樹の本当の姿を見た。確かに天使じゃない……。

おじいちゃん、確かに覚悟が必要だったよ。

けど……触れる手は、優しく……私を束縛する。

遥か過去から、長い年月変わらずに……きっと、これからも変わらない。

天使な束縛に……愛を感じて、護られる。

大切に、大事に……天使な束縛……大好きよ、草樹。



END

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