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C【派生シリーズ】邪  作者: 邑 紫貴
5天使な束縛

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29/71

想いは廻る?

麗彩side


訳が分からない……。

先生が、私にキスした。胸に触れ……印が、どうとか??

胸の谷間には蚊に刺されたような赤い点。

……?ま、いいか……。

先生は、何かを教えてくれた。確かに私は無防備すぎた。

うん、いつも触れる男の子たちより気持ち悪さがないから、意味は無かったのだろう。

そうよね、こんな子供を相手にしなくても……あの顔だし、ね。

気分が少し軽い。何かが、満たされている。……?

この服、シワになったけど……寝てよかったかも♪


着替えを置いた部屋に戻る。

「お帰り、待ってたのよ?」

華澤さん……あれから、2時間。待ってたの……?

「ありがとう……」

つい口にした言葉が、気に触ったようだ。

「気に入らないのよ。華澤グループに媚びないなんて……影響しない資産家なんて!!」

「……家、お金持ちじゃないよ?」

多分……?

「あなた、何も知らないのね。昔から続く大上家・矢城家・大路家。そして、麻生学園の保護を受けてる。あなたは、何?特別なの?」

麻生学園の保護??

何も、知らない。どうでもいい……。

華澤さんの後ろに、また男の子2人。前回とは違う男の子。

……ある意味、すごいな。

「逃がさないわよ。覚悟して!」

しょうが無いか。

手を伸ばし、油断した男の子を投げ飛ばした。

部屋の壁に良い音が響く。

こういう時は、手加減するなと……誰かが言った。

あぁ、朝……保くんが言った。

気を失った男の子を、残りの男の子が見て怯んだ。

超ミニから、見えても良い下着が空中に舞う。

回し蹴りをし、体勢を崩したところにトドメ。膝が腹部に直撃♪

手加減、一切無し!

「さて、お腹がすいた。着替え、返してね?」

口をパクパク……華澤さんは、驚いた顔。

ですよね?私も、ここまで護身術を極めるとは思わなかった。

いや……多分、護身術じゃない気がする。

「男の子は、やめて。手加減しないわよ……。」

着替えを手に、その部屋を出た。


裏庭で、ぼろぼろになった制服を広げる。

その上に座って、景彩のお弁当を食べた。

おいしい。けど、何かが足りない……。いつも、一人で食べていたのかな?

「お前、無防備に……。まだ、その格好でいたのか?」

保健室の……草樹先生が、木に手を置いて私を見下ろした。

「はい。先生も、座ってください。それ、お弁当でしょ?」

可愛い包み袋……生徒の差し入れかな?

「……て、これ制服!?……落ち着いて、飯を食うなよ。はぁ……」

【ドカッ】木にもたれ、私の横に座った。

何かの、香水だろうか……甘い、良い匂いが微かにした。

「美味そうだな。」

私のお弁当を覗く。

「うん。弟が作ってくれたの。」

「……弟かよ。ま、人のことは言えないか。俺は、男友達だ。料理が得意でね……。何か、体調とかうるさく言うんだ。」

「……くす。お医者さんなのに、そんなこと言われるの?駄目ね……」

何だろう……この、心地良い時間。

自然だ……。足りなかった何かが、満たされる感じ。

「……何か落ち着く。お前、ここにいろよ。起きたら、制服の着替え……用意……」

……?

先生は、言いながら眠った。疲れていたのかな?

「……ご苦労様。」

私は自然に、頬にキスした。

そして、起きるまで……隣で空を見つめる。

青い空。爽やかな風……。心地良い。



草樹side


俺は、目を開けた。

「ん~~。」

久々に寝た気がする。左肩に少しの重み。

……!?

無防備に、俺にもたれて寝ている女子高生。しかも超ミニスカのメイド服。

足を抱え、寒いのか……丸まっている。

可愛い……そっと、抱き寄せる。

「……ん……」

俺の腕の中に、いる。良い匂いがする。柔らかい体……

唇が潤んで俺を誘う。誘ってますよね?いい……よね?

頬に、手を当て俺の方に向かせ……唇に吸い付いた。【チュウッ……】足りない。

…………。

起きない。本当に、無防備だ。普通は起きないか?

『私に触れる人なんかいない』

本当に?この体に……誰も触れていない?

あのキスマークは……。

くそっ!!この子を見守る誰かがいる。大事に、大切に……。

壊してやりたい……無防備な、こいつがいけないんだ!

まだ、名前も知らない。こんな年下に……夢中になってる?

まさか……匂いがない。相手ではない……呪いは解放された。

選んでもいい……。この子……を?

唇にキス……何度、契約した?

……自然に、解放された呪いを受け入れている?それとも、選んだのか?

「……ん。暖かい……」

俺の腕の中に、擦り寄る。

目が覚めたら離れるかな?この手に欲しい……

カワイイ寝顔が、更に苛立ちを募らせる。

「おい、起きろ。襲うぞ!……許可、取らないぞ?」

揺さぶるが起きない。

どんだけ無防備なんだ。てか、さっきも寝てたろ??

地面に転がし、覆い被さる。

「……ん、寒い。」

俺を抱き寄せる。

…………。

うそだろ!?

半分本気だったが、何かが切れた。


「スト~~ップ!はい、おあずけ♪」

俺に影がかかる。

「……ヒツジ?」

「くくくっ。いつか、この日が来るのを楽しみにしていたんだ!!ザマーミロ♪」

今までに見たことのない、最高の笑顔。

…………。

俺は、視線を戻し……首元に舌を這わす。

「待て待て、待て!!」

ヒツジは俺を、強制的に立ち上がらせた。

「ヒツジ、いいか?ご馳走が落ちてるんだ。しかも、俺を誘ったのはあいつだ!」

ヒツジは視線を逸らし……俺の肩に手を置いて、ため息。

「お前、俺のこと鬼畜なんて言えないぞ?俺は寝てる奴に手は出さない。……多分。」

視線は逸らしたまま、口元が緩む。

「何だよ、その多分は!何を企んだ……。あぁ、アルコールか?麗季、弱いからな~~。鬼畜め……。」

ヒツジは視線を戻し、真剣な眼。

「彼女は麗彩。麗季の姪、諷汰さんの子だ。」

道理で……惹かれた。

「押し倒すのは、起きてる時!」

…………。

は?

「で、俺の邪魔できるときで頼む。散々、邪魔されたからな。くくく……覚えておけよ?」

「ヒツジ、楽しみすぎ!全く、俺の周りはこんなのばっかりかよ。」と、優貴さん登場。

「何、みんな見物に来たの?いいよ、邪魔さえしなければ。」

「「…………。」」

俺の台詞に、二人が固まる。

「ヒツジ、お前……どう思う?」

「鬼畜でも、Sでもないね……。」


「そこの変態3人組!!彼女は、私たちが連れて行くからね!」

叫んで登場したのは綾。

麗季が隣に立ち、呆れた顔で見ている。

「保くんの車で帰りましょうね、綾。優貴は、しばらく無視していいわ。ヒツジも、覚悟してね?」

「……泣くのは、麗季だよ?」

「……~~っ!バカ!!」

一体、彼女は……。

麗彩は、どれだけ大事にされてるんだ?

「過保護じゃないのか?」

残った変態2人に、俺は文句を言った。

二人は爆笑。ヒツジがこんなに笑ったを、初めて見る。

「何だよ、本当だろ?てか俺、ご馳走を逃したんだけど?」

「苦しい。笑いすぎて、死ぬ……。一生で、こんなに笑ったの初めてだ。くくっあはははは……。優貴さん!俺、口が滑りそうだ。」

「バカ!俺だって、そうだよ。あはははっはは……。」

ムカッ!!

何かが、俺から隠されている。麗彩の事?



寮に帰り、バニラアイスに手をつける。

テレビのスイッチを押す。……静かだ。いつも、俺はどう過ごしていた?

「おい、草樹……またアイスかよ。いい加減、自分で作れ!」

いつの間にか、部屋に入った采景。

「……采景。男にしておくのもったいないな……。抱いても良い?」

「キモイ。はぁ……タガが外れたな。」

「なぁ、みんな何を隠してる?訳の分からないことばかり、何を企んでるの?」

俺の周りを、見張って……視線を感じる。

上手く、隠したような探り。

「どこまで言っても、OKなのかな?……どうせ-――か。草樹、選べ……。大切にしろよ?差がありすぎだ。約束が、あんなに天使にすると思わなかったが……。なくなった途端、狼かよ。不器用だな……。」

采景も、訳の分からないことを言う。

分かったのは……

「俺、“おおかみ”の雑種だよ?」

采景は笑う。

「さ、出来た。食え!久々の、俺の料理だ。口に合うか分からないけどな。」

「……あぁ。」

久々?朝の弁当は采景が作ったのじゃなかったのか?

それにしても最近は、まともに食べていた気がする。

「采景……俺、記憶が無いのか?」

「……あぁ。」

そうか。じゃあ……無いのは、彼女の記憶。

「麗彩か……。」

涙が零れた。

愛しさ……求める気持ちは、気のせいじゃない。

あのキスマークは……俺?大事に、護ってきたのも……俺か?

だから二人は爆笑。

「采景……。大丈夫だ、必ず……彼女に選んでもらうよ。記憶は、戻るだろうか?」

「あぁ。けど……押し倒すのは、起きてる時にしろよ。」

…………。

何故、みんな釘を刺すんだ??俺たちは、まだ……??

「大切にしろ!」


朝、校門で車から降りた彼女を見た。

「今日も、ありがとう……。」

彼女は運転席の男の頬に、自然にキスをした?

目の前が暗くなる。

「お前、それ……いいよ。俺にはしなくて……」

男は、照れた笑い声。見送る彼女。

周りが騒ぐ。

「カッコイイ年上の人だね……。」

「はぁ……。麗彩さん、綺麗だもんね~~」

「お似合い……ね。」

だと!?

俺は麗彩の腕を引き、視線を捉える。

「え、何?」

気がおかしくなりそうだ。

「あいつは誰だ?」

「……おじさん。」

知らないおじさんか?どこまで無防備なんだ!

何をしてきたんだ、記憶を失う前の俺は!?

「離して、痛い……。本当は、今日からケイヤと来る予定だったの!」

また、違う男の名前??

「来い!!」


俺は、保健室に連れ込んで鍵を閉める。

「先生?どうして怒ってるの?痛い、放して……ね?」

ベッドに突き飛ばす。

「きゃっ……」

背広を脱ぎ捨て、ネクタイを解く。

「……先生?」

「うるさい……草樹、だろ?」

上に覆いかぶさり、唇を塞ぐ。

「……ぅっ……や……っ……んん~~」

激しい抵抗に、余計に腹が立つ。

「嫌だ……痛い……っ……嫌い…………嫌いぃ~~。」

【ズキッ】心が、切り刻まれそうだ。

「……ごめん。」

服を正す音に、背を向けたまま……ため息。

泣き声も、落ち着かないようだ……。

慰めるには、自分を抑える自信がない。情けない……。

「……草樹先生、ごめんなさい。ごめんなさいぃ~~っ……」

何で、麗彩が謝るんだ?くそっ!!

ベッドの上で、泣いている彼女を抱きしめる。

額にキスをした。涙を指で拭ってやる。

「……悪いのは、俺だ。ごめんな。」

「もう、おじさんに送ってもらうのは止めるね。昨日、弟と一緒に行くからって言ったのよ?けど、体調が悪くて……保くん……無理するなって……」

保……くん……??

「おじさんは、采景のお兄さん?」

「……?うん。采景君を知ってるの?」

あぁ……俺の、完全な嫉妬だ。

「ごめん、大事にするよ。……だから……俺を選んで欲しい。麗彩、好きだ……」




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