想いは廻る?
麗彩side
訳が分からない……。
先生が、私にキスした。胸に触れ……印が、どうとか??
胸の谷間には蚊に刺されたような赤い点。
……?ま、いいか……。
先生は、何かを教えてくれた。確かに私は無防備すぎた。
うん、いつも触れる男の子たちより気持ち悪さがないから、意味は無かったのだろう。
そうよね、こんな子供を相手にしなくても……あの顔だし、ね。
気分が少し軽い。何かが、満たされている。……?
この服、シワになったけど……寝てよかったかも♪
着替えを置いた部屋に戻る。
「お帰り、待ってたのよ?」
華澤さん……あれから、2時間。待ってたの……?
「ありがとう……」
つい口にした言葉が、気に触ったようだ。
「気に入らないのよ。華澤グループに媚びないなんて……影響しない資産家なんて!!」
「……家、お金持ちじゃないよ?」
多分……?
「あなた、何も知らないのね。昔から続く大上家・矢城家・大路家。そして、麻生学園の保護を受けてる。あなたは、何?特別なの?」
麻生学園の保護??
何も、知らない。どうでもいい……。
華澤さんの後ろに、また男の子2人。前回とは違う男の子。
……ある意味、すごいな。
「逃がさないわよ。覚悟して!」
しょうが無いか。
手を伸ばし、油断した男の子を投げ飛ばした。
部屋の壁に良い音が響く。
こういう時は、手加減するなと……誰かが言った。
あぁ、朝……保くんが言った。
気を失った男の子を、残りの男の子が見て怯んだ。
超ミニから、見えても良い下着が空中に舞う。
回し蹴りをし、体勢を崩したところにトドメ。膝が腹部に直撃♪
手加減、一切無し!
「さて、お腹がすいた。着替え、返してね?」
口をパクパク……華澤さんは、驚いた顔。
ですよね?私も、ここまで護身術を極めるとは思わなかった。
いや……多分、護身術じゃない気がする。
「男の子は、やめて。手加減しないわよ……。」
着替えを手に、その部屋を出た。
裏庭で、ぼろぼろになった制服を広げる。
その上に座って、景彩のお弁当を食べた。
おいしい。けど、何かが足りない……。いつも、一人で食べていたのかな?
「お前、無防備に……。まだ、その格好でいたのか?」
保健室の……草樹先生が、木に手を置いて私を見下ろした。
「はい。先生も、座ってください。それ、お弁当でしょ?」
可愛い包み袋……生徒の差し入れかな?
「……て、これ制服!?……落ち着いて、飯を食うなよ。はぁ……」
【ドカッ】木にもたれ、私の横に座った。
何かの、香水だろうか……甘い、良い匂いが微かにした。
「美味そうだな。」
私のお弁当を覗く。
「うん。弟が作ってくれたの。」
「……弟かよ。ま、人のことは言えないか。俺は、男友達だ。料理が得意でね……。何か、体調とかうるさく言うんだ。」
「……くす。お医者さんなのに、そんなこと言われるの?駄目ね……」
何だろう……この、心地良い時間。
自然だ……。足りなかった何かが、満たされる感じ。
「……何か落ち着く。お前、ここにいろよ。起きたら、制服の着替え……用意……」
……?
先生は、言いながら眠った。疲れていたのかな?
「……ご苦労様。」
私は自然に、頬にキスした。
そして、起きるまで……隣で空を見つめる。
青い空。爽やかな風……。心地良い。
草樹side
俺は、目を開けた。
「ん~~。」
久々に寝た気がする。左肩に少しの重み。
……!?
無防備に、俺にもたれて寝ている女子高生。しかも超ミニスカのメイド服。
足を抱え、寒いのか……丸まっている。
可愛い……そっと、抱き寄せる。
「……ん……」
俺の腕の中に、いる。良い匂いがする。柔らかい体……
唇が潤んで俺を誘う。誘ってますよね?いい……よね?
頬に、手を当て俺の方に向かせ……唇に吸い付いた。【チュウッ……】足りない。
…………。
起きない。本当に、無防備だ。普通は起きないか?
『私に触れる人なんかいない』
本当に?この体に……誰も触れていない?
あのキスマークは……。
くそっ!!この子を見守る誰かがいる。大事に、大切に……。
壊してやりたい……無防備な、こいつがいけないんだ!
まだ、名前も知らない。こんな年下に……夢中になってる?
まさか……匂いがない。相手ではない……呪いは解放された。
選んでもいい……。この子……を?
唇にキス……何度、契約した?
……自然に、解放された呪いを受け入れている?それとも、選んだのか?
「……ん。暖かい……」
俺の腕の中に、擦り寄る。
目が覚めたら離れるかな?この手に欲しい……
カワイイ寝顔が、更に苛立ちを募らせる。
「おい、起きろ。襲うぞ!……許可、取らないぞ?」
揺さぶるが起きない。
どんだけ無防備なんだ。てか、さっきも寝てたろ??
地面に転がし、覆い被さる。
「……ん、寒い。」
俺を抱き寄せる。
…………。
うそだろ!?
半分本気だったが、何かが切れた。
「スト~~ップ!はい、おあずけ♪」
俺に影がかかる。
「……ヒツジ?」
「くくくっ。いつか、この日が来るのを楽しみにしていたんだ!!ザマーミロ♪」
今までに見たことのない、最高の笑顔。
…………。
俺は、視線を戻し……首元に舌を這わす。
「待て待て、待て!!」
ヒツジは俺を、強制的に立ち上がらせた。
「ヒツジ、いいか?ご馳走が落ちてるんだ。しかも、俺を誘ったのはあいつだ!」
ヒツジは視線を逸らし……俺の肩に手を置いて、ため息。
「お前、俺のこと鬼畜なんて言えないぞ?俺は寝てる奴に手は出さない。……多分。」
視線は逸らしたまま、口元が緩む。
「何だよ、その多分は!何を企んだ……。あぁ、アルコールか?麗季、弱いからな~~。鬼畜め……。」
ヒツジは視線を戻し、真剣な眼。
「彼女は麗彩。麗季の姪、諷汰さんの子だ。」
道理で……惹かれた。
「押し倒すのは、起きてる時!」
…………。
は?
「で、俺の邪魔できるときで頼む。散々、邪魔されたからな。くくく……覚えておけよ?」
「ヒツジ、楽しみすぎ!全く、俺の周りはこんなのばっかりかよ。」と、優貴さん登場。
「何、みんな見物に来たの?いいよ、邪魔さえしなければ。」
「「…………。」」
俺の台詞に、二人が固まる。
「ヒツジ、お前……どう思う?」
「鬼畜でも、Sでもないね……。」
「そこの変態3人組!!彼女は、私たちが連れて行くからね!」
叫んで登場したのは綾。
麗季が隣に立ち、呆れた顔で見ている。
「保くんの車で帰りましょうね、綾。優貴は、しばらく無視していいわ。ヒツジも、覚悟してね?」
「……泣くのは、麗季だよ?」
「……~~っ!バカ!!」
一体、彼女は……。
麗彩は、どれだけ大事にされてるんだ?
「過保護じゃないのか?」
残った変態2人に、俺は文句を言った。
二人は爆笑。ヒツジがこんなに笑ったを、初めて見る。
「何だよ、本当だろ?てか俺、ご馳走を逃したんだけど?」
「苦しい。笑いすぎて、死ぬ……。一生で、こんなに笑ったの初めてだ。くくっあはははは……。優貴さん!俺、口が滑りそうだ。」
「バカ!俺だって、そうだよ。あはははっはは……。」
ムカッ!!
何かが、俺から隠されている。麗彩の事?
寮に帰り、バニラアイスに手をつける。
テレビのスイッチを押す。……静かだ。いつも、俺はどう過ごしていた?
「おい、草樹……またアイスかよ。いい加減、自分で作れ!」
いつの間にか、部屋に入った采景。
「……采景。男にしておくのもったいないな……。抱いても良い?」
「キモイ。はぁ……タガが外れたな。」
「なぁ、みんな何を隠してる?訳の分からないことばかり、何を企んでるの?」
俺の周りを、見張って……視線を感じる。
上手く、隠したような探り。
「どこまで言っても、OKなのかな?……どうせ-――か。草樹、選べ……。大切にしろよ?差がありすぎだ。約束が、あんなに天使にすると思わなかったが……。なくなった途端、狼かよ。不器用だな……。」
采景も、訳の分からないことを言う。
分かったのは……
「俺、“おおかみ”の雑種だよ?」
采景は笑う。
「さ、出来た。食え!久々の、俺の料理だ。口に合うか分からないけどな。」
「……あぁ。」
久々?朝の弁当は采景が作ったのじゃなかったのか?
それにしても最近は、まともに食べていた気がする。
「采景……俺、記憶が無いのか?」
「……あぁ。」
そうか。じゃあ……無いのは、彼女の記憶。
「麗彩か……。」
涙が零れた。
愛しさ……求める気持ちは、気のせいじゃない。
あのキスマークは……俺?大事に、護ってきたのも……俺か?
だから二人は爆笑。
「采景……。大丈夫だ、必ず……彼女に選んでもらうよ。記憶は、戻るだろうか?」
「あぁ。けど……押し倒すのは、起きてる時にしろよ。」
…………。
何故、みんな釘を刺すんだ??俺たちは、まだ……??
「大切にしろ!」
朝、校門で車から降りた彼女を見た。
「今日も、ありがとう……。」
彼女は運転席の男の頬に、自然にキスをした?
目の前が暗くなる。
「お前、それ……いいよ。俺にはしなくて……」
男は、照れた笑い声。見送る彼女。
周りが騒ぐ。
「カッコイイ年上の人だね……。」
「はぁ……。麗彩さん、綺麗だもんね~~」
「お似合い……ね。」
だと!?
俺は麗彩の腕を引き、視線を捉える。
「え、何?」
気がおかしくなりそうだ。
「あいつは誰だ?」
「……おじさん。」
知らないおじさんか?どこまで無防備なんだ!
何をしてきたんだ、記憶を失う前の俺は!?
「離して、痛い……。本当は、今日からケイヤと来る予定だったの!」
また、違う男の名前??
「来い!!」
俺は、保健室に連れ込んで鍵を閉める。
「先生?どうして怒ってるの?痛い、放して……ね?」
ベッドに突き飛ばす。
「きゃっ……」
背広を脱ぎ捨て、ネクタイを解く。
「……先生?」
「うるさい……草樹、だろ?」
上に覆いかぶさり、唇を塞ぐ。
「……ぅっ……や……っ……んん~~」
激しい抵抗に、余計に腹が立つ。
「嫌だ……痛い……っ……嫌い…………嫌いぃ~~。」
【ズキッ】心が、切り刻まれそうだ。
「……ごめん。」
服を正す音に、背を向けたまま……ため息。
泣き声も、落ち着かないようだ……。
慰めるには、自分を抑える自信がない。情けない……。
「……草樹先生、ごめんなさい。ごめんなさいぃ~~っ……」
何で、麗彩が謝るんだ?くそっ!!
ベッドの上で、泣いている彼女を抱きしめる。
額にキスをした。涙を指で拭ってやる。
「……悪いのは、俺だ。ごめんな。」
「もう、おじさんに送ってもらうのは止めるね。昨日、弟と一緒に行くからって言ったのよ?けど、体調が悪くて……保くん……無理するなって……」
保……くん……??
「おじさんは、采景のお兄さん?」
「……?うん。采景君を知ってるの?」
あぁ……俺の、完全な嫉妬だ。
「ごめん、大事にするよ。……だから……俺を選んで欲しい。麗彩、好きだ……」




