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C【派生シリーズ】邪  作者: 邑 紫貴
5天使な束縛

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27/71

天使に束縛?

大上おおがみ 麗彩れいや


麻生学園 高等部一年。

周りから綺麗な顔だと褒められる。幼い頃は、それが嬉しかった。

けど……今は嫌い。草樹は、この顔が好きなのか……生れたばかりの私を選んだ。

そして今も独身。

大上家を嫌う母方の親族と、無理やり約束をした。16まで私に手を出さない、と。

いつから付き合い始めた?記憶がない……

普通の恋愛ではない。いつもそばにいた。

失ったら、生きていけない……大切な存在。

……愛している……。それは、間違いのない事実。

何かが……私を引き止める。この感情が何なのか……。

他の子と、同じような恋を望む?そうかもしれない。けど、贅沢だ……。

草樹の愛情は……まるで、天使。

大切に護られ、私は……あなただけが大切。




小学6年生。

「ね。麗彩ちゃんは結婚相手、15も年上のおじさんて本当?」

転校生の、金持ちお嬢様。うわさを聞いて、やって来た。

うざい……。

「えぇ。」

目も見ず、次の授業の準備を始めた。

それが気に入らないのか本を床に落とされた。

「気持ち悪い!」

……12歳の私。今……草樹は、27歳。

そうよね……ロリコンだわ。結婚するときには16歳と31歳。

麗季れきちゃんは、大きくなったら違和感がないと言った。

そんな気がする。はぁ……。

窓の外を見る。

…………。

草樹が手を振っている。

医大を出て、この麻生学園の担当医師になった。

私の成長にあわせて、ついてくるらしい。中学・高校……と。

役員も、上層部に入って……私の情報を知り、見守る。ストーカー……ね。

手を振り返す私に、天使の微笑み……好きよ。

27歳……。知ってる。いろんな女性が、言い寄って……体を使うのだと。

けど、感じないらしい。

やす君たちが、笑いながらいつも言うから……どこまで本当なのかしら。

しかも……それは、小学生に話す内容かな?

麗季ちゃんとそのお友達さんは、今の私の年齢で付き合っている人がいた。

大胆な話も、嬉しそうに……懐かしそうに話してくれた。でも……

幼い頃の恋は、辛いことも多かったと……。

私の胸は標準だ。今、成長中……。

草樹に訊いてみた。

「草樹は、胸が大きいほうが好きなの?」

麗季ちゃんの胸が大きくて、好きだった時があると……ヒツジ君が意地悪そうに言った。

草樹は、否定しながらヒツジ君の首を絞めていたけど。

私が生れるまで、2人の邪魔をしていたのだと聞いた。

草樹が好きなのは顔……?

草樹は、男の采景さきょう君が初恋。綺麗な顔のおじさんで、草樹と同い年。

私の顔は、采景君と麗季ちゃんに似ているらしい。嫌い……。

景彩けいやは、母方のおばあちゃんに似て……可愛い系。

たまに憎らしくなる時がある。

はぁ……。気持ち悪い……か。

草樹が?まさか……天使の彼だ……。約束を守る。

私が、どんなにお願いしても……くれるのは、優しいキスだけ。

優しく抱きしめ、頭を撫でてくれる。

それは小さい頃と変わらない。はずだった……。

ぎこちなく、短くなる抱擁。

天使のあなたを、悲しくさせるのは……私の成長?

あなたが望む成長が……遥か未来……。16までの制約。誓約……

苦しい。束縛……しているのは、あなた?それとも、私?

教室を見回す。

好きな男の子のことを話す女の子……可愛い会話……。


「俺、麗彩が好きなんだ。」

「ごめんね。好きな人がいるの……」

「草樹先生だろ?……おかしいよ!」

おかしい?何が?どう、おかしいの?

誰も、納得できる答えをくれない。

「そうね。おかしいの……かも。」

「麗彩!」

告白に、必ず……あなたは邪魔をする。

私は……あなたのモノ。

「……ごめんね。」

私は、草樹を選ぶ。失った時のことなんか考えられない。

「草樹……。私たちの関係は、おかしいのかな?」

過去に一度だけ訊いた。返事はなかった。

ただ、悲しそうに笑って……

「選ぶのは……君だ。ただ、今は……まだ。」

口を閉ざす……大人の男なのに、小さく見えて。

愛しい……好きだ。失ったら生きていけない。生き方を知らない。

天使な束縛に、愛を感じ……温もりに幸せを感じる。

それは、おかしいこと?



麻生学園の中等部。

草樹は、その校舎に担当医師として移動する。

「草樹先生を、独り占めしないで!!」

水をかけられた。冷たい……。

見つけて、駆け寄るのは……原因の草樹。

大人気なく、水をかけた女の子に怒鳴る。

天使も、怒りをあらわにするのは……私のこと。

「草樹……止めて、お願い……。」

苦しい。訳の分からない感情が、苦しめる。どうして……

私の着替えがあるのかしら……。

「さ、着替えて。」

じっと、草樹を見つめる。

「あぁ。任務の時に、潜入する女の子たちがいてね。その制服だ……。幾らでも、替えがあるよ。」

問題は、そこじゃないと思うけど……。

この頃か、草樹に言えない言葉が増えた。

どう言えば良いのか、分からないだけだった。

「草樹……。私のこと、好き?」

付きまとう不安。

「好きだ。麗彩を失ったら、生きていけない。愛している……。」

優しく抱きしめるこの温もりに、癒される。

「キス……して。お願い……それ以上求めないから。お願い……草樹……」

不安なの……。草樹……頭が、おかしくなりそうだ。

「麗彩……」

頬に手が当てられ、目が細くなる。男の人なのに色っぽい。誘われる……。

触れる唇に、何かを得た気がした。

この気持ちは、おかしい?私の好きは、草樹の愛してると同じ?

分からない。

優しいキスを何度か受けると……足りない何かが、私を駆り立てる。

どれほど求めれば得られる?私が、欲しいのに……駄目なの?

「駄目だよ。約束したのは、俺だから。麗彩……。いや、いい……。」

草樹の悲しそうな笑顔。

胸が痛い。

約束を無かったことに出来たら?


病院に足を運んだ……。

骨折で入院したひいおじいちゃん。まだまだ、元気。

若い頃に娘を、おじいちゃんに取られ……孫は、お父さんと出来ちゃった婚。すべて大上家。

草樹は、大上家の血筋だ。

「ひいおじいちゃん……ね、どうして?酷いよ……苦しい。っ……うぅ……。」

泣く私に、困った顔をする。

「……死ぬ前に、お前の花嫁姿を見れるのは嬉しいが……。駄目だよ。」

「じいさん、ひでぇよ。さっさと、許してやれ!」

おじいちゃんの登場。まだ、若い話し方の56才。

「元凶が、言うな!!出て行け!!美彩を返せ!」

怒鳴るひいおじいちゃん。

おじいちゃんは爆笑。おばあちゃんが呆れてる。

私は病室を出た。

「麗彩……。草樹が真面目なんだ。不器用だよなぁ~。くくっ。覚悟しろよ?あいつは天使じゃない。我慢してるだけだ……」

……?

後を追ってきたおじいちゃんの言っている意味が分からなかったけど、とりあえず……うなずいた。

「ははっ……。諷汰くんが、心配してたけど……。ふふっ。案外、草樹に大事にされたほうが……くくっ。可愛く育ってるな。“おおかみ女”じゃ、ない。くくく……。」

おじいちゃんは、楽しそうに笑う。

……??可愛く育った?

「はぁ……。私、魅力が無いのかな?」

「草樹に訊きな!」



「麗彩さん、俺と付き合ってください!」

……まだ、この学園で告白する人がいるなんて。

「ごめんなさい。好きな人がいるの……。」

いつもと同じ言葉……。

「知ってます。けど……先生が束縛してるだけだよね?」

束縛……。

「してるのは……私。」

「おかしいよ……。」

おかしい?また、その言葉。

次の言葉を待つ。

「先生のくせに、生徒に手を出して処分なしか!?」

人気のない校舎の影。急に態度が変わって、これが本性……?

狼になったわ……。何て、のん気にかまえる。

私の手をつかもうとした手を払い、胸座をつかんで足払い。

手心で、支えをあげたのに……派手に転んだ。

彼は何が起こったのか、理解できないでいる。

「私に触れて良いのは、彼だけよ。今度は、容赦しないわよ?」

ひいおじいちゃんと、おばあちゃんの勧めで護身術を学んだ。

草樹が強いから。相当、高度な技ばかり……。

心配しなくて良い。草樹は、私に手を出さない。16までは……。

その日を迎えたら?おじいちゃんが言うように、何らかの覚悟がいるのかしら?

今日は、草樹が来なかった。

こんな、危険な日に来ないなんて……。

ムカッ!!

……けど、こんなことがあったと言えば?

彼の命はあるのかしら……。黙っておきましょう。



高校入学。

草樹が、同じ校舎に移動してきた。

「大上さん。ちょっと、いい?」

小学生の時の、お金持ちの嫌味ちゃん。

エスカレータ式になるので……いつか一緒のクラスになると思っていた。

「……嫌。」

真顔で、冗談を言ったつもりはない。

彼女は口元を引きつらせ、笑いを浮かべた。

「良い度胸ね。私を知らないわけないよね?」

…………。

と、言いたいけど?

「この、華澤はなざわグループの跡取り娘……て、聞きなさいよ!!」

またも、次の授業の本を床に落とされる。

ワンパターン……いや、本を踏みつけた。レベルアップ……。

「はぁ……。何か、用でございますか?」

「まだ、気持ち悪い関係を続けてるの?」

わざわざ、何を訊くんだろう?

「あなたには関係ない。それに、どこが気持ち悪いの?草樹は、31歳の独身。男前で大人気でしょ?」

彼女はワナワナ振るえ、顔を真っ赤に……言いたい言葉が見つからない感じ。

「何?私たちのHな場面でも想像するの?汚いのは、誰……って……」

【パシッ】……叩かれた。

涙ぐみ、私を睨んだ。……あぁ……草樹のことが好きなんだ。

はぁ……。ため息が出る。

華澤さんは、何人か女の子を引き連れて……教室を出て行った。

興味の視線を感じる……。

……痛いわね。

草樹の携帯にワン切り。やって来た草樹が青ざめる。

少しはれた私の頬。

いつだったかしら?顔に傷をつけた時、草樹が泣いた。

痛いのは、私なのに……。

分かってる。顔じゃなくても、私が傷ついたら……同じ反応だった。

「誰だ!いや、言わなくていい。情報が入る。赦さない……。」

優しく……濡れたハンカチを当て、額にキスをしてくる。

過保護……。

「草樹……。苦しい、触れるのが……触れられるのが……。何が正しくて、何が間違いなの?私たちの気持ちは、本当にこれでいい?草樹……」

「……一緒にいた時間は、無駄だったかな……?」

私は、首を横に振る。

「距離を……取る?」

かすれたような辛そうな声。

視線を向けると、草樹は目を逸らした。

【ズキッ】

自分が傷ついた。私が傷つけたのに……。

「あぁ~あ、泥沼かよ。苺愛めえ、来て正解だったな。」

沈黙の私たちに、声をかける人影……

「采景?」

采景君と……苺愛さん?采景君の奥さんが、どうしてここに??

「魔女の血が呼んだ。……連歌れんかのときと同じ。けど、もっと……重要な役目。このあいだ、美衣みいさんに会ったの。」

知らない人の名前?

「美衣、元気なのか?」

【ズキッ……】

胸が痛み、チリチリする。嫉妬だ。

苺愛さんは、私に言う。

「えぇ。あなた達のこと、心配していたわ。」

心配してくれる側の人?

……ホッとする。

私より多く生きた草樹は、私より多くの人と出会ってきたはずだから。

「麗彩。美衣は……連歌を助けてくれた人だ。呪いを解放した魔女だよ。」

草樹が教えてくれる。

あぁ……話は、何度も聞いた。けど、名前を聞いたのは初めてだ。

「俺は、付き添い。苺愛とお腹の子に、もしも……があったら困るからね。」

采景くんは男性なのに、綺麗な顔で……照れ笑い。

無駄な色気に、おじさんだと分かっていてもドキドキする。

「おめでとう。」

「ありがとう……。美衣さんの力と、私の力が……二人を導く。選んで欲しいの。解放した呪いの弊害。犠牲のあなたが……苦しみから解放されるか、引き継ぐか。」

え……?




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