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C【派生シリーズ】邪  作者: 邑 紫貴
5天使な束縛

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26/71

遥かな道


松木まつのき 草樹そうじゅ

中二の時。休みの日に、本屋へ出かけた。

入り口の近いところに、綺麗な人を見つける。匂いはないから、俺の一生の相手ではない。

けど……何かに呼ばれるように近づいた。

大上おおがみ 采景さきょう。男。大上家の呪いを解放する一人。

俺の初恋の相手……ふふっ。そう、未来で出逢う……君と同じ綺麗な顔。

彼は料理の本を手に取っていたから、女の子だと思ったよ?

けど、声は……男が言うのも変だけど……甘く、エロい男の声。

男でも、いいかな……?と、どれ程の奴が道を誤ったのだろうか……。

当然、君の隣でいた女の子は、君に見とれていた。

わざと手を触れて、会話をしようとした程だ。

くすくす……冷たい態度。いいね。絶対、友達になりたい!!


俺には双子の兄がいる。

俺たちは、“おおかみ”の雑種。けど、大上家と同じ呪いがある。

一生の相手として契約すれば、一生その相手を愛する。

連歌れんかは、一生の相手の……匂いのついた違う女の子と契約キスをしてしまった。

……幸せはない。一生独り。そんなときに現れたのは、魔女の家系で力を持った女の子……。

矢城やぎ 美衣みいは、解放された呪いを消す手伝いをして欲しいと言った。

連歌を救えるなら……何でもした。

連歌は、どこか間抜け……いや、焦るのだろうか?

せっかく呪いから解放されたのに……また、匂いのついた別の人を好きになる。

……俺も、その子……麗季れきを好きだと勘違いした。

だって、彼女も……未来で出逢う君の血縁者だから……。




そして、君を見つけた。生れたばかりの女の子。

分かる……

「ね、抱いてもいい?」

許可をもらい、抱いた。

小さな君……。唇にキスをした。

「俺、この子と結婚する!」

麗彩れいや……君の名を、俺がつけた。

「俺、麻生学園の先生になる。」

特定の教科だと麗彩について移動が出来ないので、学園の担当医師になった。

そして、役員の上層部に入る。君を護る為。

いつもそばにいた。愛を囁く。

「愛してるよ……」

「すき……そうじゅ……大好き。」

その好きは、いつ……愛に変わる?

この時間は……誰かに奪われる?君は、俺を選んでくれる?

ただ……見守る。大事に、大切に……護る。誰にも……渡したくない。

けど……選ぶのは、君。お願いだ……俺の心を受け入れて欲しい。

君は、俺の束縛から……いつか解かれる。


中学3年の時、君は生れた。

高校2年生。俺の双子の兄、連歌の相手が見つかる。

時間がかかったけど……連歌は手に入れた。

よかった……呪いを解放して。

幸せを見守る。出来るだけ多くの……出逢うべき相手との恋を。

俺が大学生。君は5歳。

俺は、任務で上層部の切符を手に入れた。役員衆……つち

上司はもく。同じチームに優貴ゆうきさん。


時は早い……君は、どんどん大きくなり……綺麗になる。

自分の意思を持ち、俺との距離も……時間も変化していく。

「麗彩……愛してる。」

「……草樹……ね、キスして?」

俺は、君の唇に重ねる……何度も、優しく。

「どうして……。草樹のバカ!!……嫌い!」

心が痛い……分かってる。麗彩の言いたいこと。

ごめん……深く求めたら……我慢できない……。


君は高校生になった。

もうすぐ……16歳。結婚できる年齢……。

「結婚しよう……」

何度も言った。本気だ。

でも、俺の迷いを、君は見抜く。

……誰に似たの?そんなに鋭く、人を見透かすように……。

気づいていたんだ。いつから?

俺の束縛が……解かれたはずの呪いを君に押し付ける。

君は……いや、俺も……他の人を選べる。一生に一人ではない……。


「……分からない。誰に聞いても、一生の相手だと言う。呪いの関係しない人の考えも分からない。……草樹……私のこと……本当に好き?」

「あぁ。俺には、麗彩一人だ。でも、君は……俺じゃない人も選べる。……麗彩……」

他の人を選ばないで欲しい……何て、言えない。

その、俺の心を……すべて読み取る。

俺の気持ちは、考えなくていい……今更か……

生れてから、ずっと……俺との時間がすべてだった。

母親の円華まどかさんより、俺の言うことを聞いた。

父親の諷汰ふうたさんより、俺と結婚すると言ってくれた。

幼い頃から囁いた言葉……

「愛している……」

嘘じゃない。

けど、どれほど……君を束縛してきたのか……。

君に言い寄ってくる男……すべて、邪魔した。

……本当に、良い奴なら……


「……嘘つき……。あなたは、天使みたい?本当に?草樹……」

君は、言葉を呑み込む。

俺も、最近……呑み込みすぎて……吐きそうだ。

時期が……来たのかもしれない。


「草樹……共に過ごした時間は、無駄じゃない。お前の気持ちに、嘘もない。呪いは、呪い……。解かれて、弊害が出るのも……当然。どうして……お前だけが……いつも、苦しむ?」

周りの奴らは心配する。

君は……俺のこと……本当に好き?男として見ている?

俺は、天使みたいに見守るだけじゃない。君を傷つける。汚すことも……。

近づく男が憎くて、醜い感情が渦巻いているんだ。

麗彩……今更……距離をどう取っていいかも判らない。

「押し倒せば良い。」

…………。

任務中、墨さんが俺に言う。

「……は?」

今、信じられない言葉が……?

「相手が、受け入れるなら……男としてOKだ!……ふふっ。相手が、男でも確実な方法……くすくす……」

…………。

墨さんが、怖い。

「あの、俺……任務が終わったので……これ……で~?」

腕を引かれ、押し倒される。

「ぎゃぁあ~~?墨さん、ちょっ……タンマ!!やめ、……気持ち悪い……どこ、触って……て、舐め!?」

【バキッ】上司を本気で殴る。

「な?大体は、これで……て、どうした?」

俺は、乱れた服を直し……武器を手に……仁王立ちで震える。

「寒いのか?さ、俺が暖めてやろう。」

眼がマジだ。

「セクハラで、訴えますよ!!」

「ふっ。そんなの、この世界で通用するか!」

偉そうな態度。

そこに、優貴さんが登場。

「あ、墨。ボスが呼んでたぞ?何か、覚悟しとけって……お前、追放か? 草樹、墨は称号だ。さんはいらないって、何年経っても抜けないな。で、またセクハラか?はぁ。お前、優しすぎるんだ。お前の兄貴なんか、ドSだろ?周りを見てみろ。“おおかみ”じゃなくても、狼な奴が多いのに……。はぁ……つきに、一度会ってみるか?一番近いぞ……お前の性格に。」

「月?情報屋の?」

「あぁ。めぐむは、優しいぞ?」


私立 冬北ひゆきた高等学校。姉妹校の一つ。

役員の中枢がある学校。

「松木 草樹。警備担当、槌です。」

「あぁ。優貴さんから聞いてる。楽にして良いよ。……呪いのことは、知ってる。難しいな……。気持ちを信じるのって、形がないからね。言葉では、通じない……。俺の相手は、初恋の子のクローンなんだ。姿は同じ……。ふふっ。双子と同じだ……。」

「何となく……解ります。」

「中身が違うからね。きっかけがあったら、気持ちは通じた。君の……長い時間が……純粋なほど、辛いな。」

「……月……。俺、引いたほうが良いのかな?」

「……彼女は、それを望んではいないよ。草樹……優しすぎると、失うよ?約束が、君を縛るなら……それを解くか、彼女に理解してもらえ。問題はそこだと、俺は思うよ。」

月の言葉は、的確だった。

約束……。麗彩の家族と交わした約束。16まで、手を出さない。

もう少し……なんだ。けど、その日が近づくにつれ……難しい。

麗彩の不満や不安……いろんな感情が……食い違う……。

もちろん、麗彩はその約束を知ってる。

はぁ……。


「草樹!」

聞きなれた声に、振り返る。

「あれ、景彩けいや?」

麗彩の弟、中学2年生。

「高校の見学会!来年の受験生のために、姉妹校巡りだよ。」

景彩は可愛い笑顔を振りまく。

……墨さんには、絶対に見せれないな。

「ほぉ~~。おいしそうな青年だねぇ。……ジュル……」

「ぎゃぁ~~。」

俺の肩に抱きつき、景彩を見つめる墨さん。

「景彩、離れろ!危険なおじさんだ。逃げ方は、教えてあるだろ!」

「あぁ。はい!」

容赦のない鉄拳で、墨さんに攻撃。

「ぐふっ……。おじさん、もう年なんだ……。手加減が欲しいかな?」

自分が教育したが、あまりに顔と態度が違うのが……恐ろしい。

「景彩……?」

けど、いつもと違う雰囲気?

「草樹。……姉が、悩んでいます。」

「あぁ……。」

やすくんと、じいちゃんからの伝言。『押し倒しちまえ!』だ、そうです。……ふふっ。」

可愛い顔なのに、その性格は……誰に似たの?

「草樹……。采景くんが『たまにはご飯を食べに来い』って!みんな、心配してる。お父さんも……。」

麗彩のお父さんも……か。

【携帯の着信音】

「……姫が呼んでる。景彩、すぐ帰れよ!いいか、そのおじさんに手加減はいらないぞ!」

俺は、二人を置いて麗彩の元に走る。

こんな呼び出しは、滅多にない。何か、あったのか?

周りの情報は、入っていない……。



墨は、草樹の後姿を見る景彩の眼を見て……訊いた。

「景彩くん。草樹が好きなの?」

その質問に、最高の笑顔で答える。

「はい!いつも、そばにいました。けど、恋愛とは違うような気がします。」と。

墨も、草樹の後ろ姿を見る。

「そうか……。試してみる?」

後のはセリフの意図は、あえてスルーしましょう。

「結構です!」

即答の景彩。



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