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C【派生シリーズ】邪  作者: 邑 紫貴
4悪魔が微笑んで……

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24/71

一生の相手!?


朝、いつもの時間に起きると苺愛はいなかった。

連歌は家に来ない。

……私は、あなたを信じられるだろうか?


バスに乗り、揺られ……外の景色が流れる。

静かだ……感情が、落ち着いてる。

……苺愛が、話を聴いてくれたから。

苺愛、あなたは……何故……教えてくれるの?同じ家系……?

遠い……血の繋がり。連歌は、私を求める……唯一……?


バス停で降りる。

「小鹿!」

そこには、巴と関くんが立っていた。

いやな気分はない。うん、落ち着いて話が出来る。

二人と、バス停から無言で学校まで歩く。

校門を入り、校舎を通り抜け……中庭に出る。朝なので人はいない。

「千鳥は、俺のこと……好きじゃなかった。ただ、小鹿から奪いたかった物。手に入れて、満足したらしい。小鹿が、あいつと……」

巴は、悔しそうに口を閉ざし……うつむいた。

関君が口を開く。

「連歌が、君に好意を持ったから。……千鳥も手に入れられると思ったんだ。君の物を、手に入れたから。連歌も、物……そう思っていた。」

……?関君?

「俺、千鳥が……連歌を好きだと知ってたんだ。連歌は、小鹿をずっと見ていた。高校の入学式から……ずっと。」

…………。

え?連歌が私を……?

関君は話し続ける。

「俺たちは、均衡を保っていた。君は巴、俺は千鳥、千鳥は連歌、連歌は小鹿……。均衡を崩したのは、小鹿……君なんだ。」

私が、原因……?

「千鳥は、きっかけ。俺も巴も、連歌の想いが強くなるのに気づいていた。千鳥は、小鹿から巴を奪うことで自信をつけたかった。連歌の心も手に入れることが出来ると。」

「バカだよね、俺も……」

「……巴が、小鹿から離れ……連歌は必死になった。千鳥は、不思議だったかもしれない。小鹿より自分を選んだ男がいるのに……どうして、捨てられた女を求めるのか。」

千鳥、あなたは……。

中庭に、もう一人現れた……苺愛?

「彼女は、小鹿より近い血縁者。恋に必死になり……得ることのない心を求める。呪いから、解放されたのに……」

必死に……?

「巴、あなたは……本当に私が好き?」

「……好きだった。君を一人に仕向けたのは……俺だ。」

薄々……気づいていたの。私も、恋に必死で……

その時は……誤解だ、思い過ごしだと考えた。

「うん。でも、他の人に心が動いた。」

千鳥の嘘の気持ちに幸せを感じ……独りにした私に罪悪感を感じないほど。

だから、私は……あなたへの気持ちが冷めてしまった。

「関君……あなたも千鳥と同じ。私が、連歌よりあなたを選んだら……いつか、千鳥が振り向いてくれると思いたかった。私は、あなたの眼から気持ちが読めなかった。連歌のように、真っ直ぐ私を求める……熱い眼差しがなかったから。」

連歌……あなたは、千鳥をどう扱う?

あなたや草樹が、女の子を試したように……私も、あなたを試す。

まだ、ダメよ……


千鳥は、連歌に積極的だった。胸元を強調し、常に付きまとう。

そして、草樹を見分けた。連歌、あなたは……どうする?

あなたを愛し、必死になる女の子。しかも、気持ちに嘘はない。

あなたは、私より千鳥を選ぶ?今なら、私の心は傷つかない?

……っ!……。嘘だ……本当は、怖い。選ばないで、私を選んで欲しい。

私の弱った心が、あなたを傷つける……あなたが求めるのは……

「何を、見ているのですか?」

【ビクッ】

……恐る恐る振り返る。

「あら、連歌……元気?」

連歌は、少し不機嫌。

ですよね、実は……こっそり覗いていました。何て、言えない……。

「ふふっ。積極的で誰かのようです。くくっ……覚悟は、いいですか?」

狙ったように、壁に閉じ込められる。

しまった!油断していた……。尾行していたから!?

「あのあのあの……連歌、近い。近いです!!」

「……ふうん。汚い言葉、なくなったんだ。」

ニヤリと、口調が……いつもと違う。まるで、草樹。

けど、この雰囲気は……この、私を見つめる眼は……連歌だ。

「……いい事を教えてあげますね。小鹿の匂いって、判るんですよ?くすくす……今日、一日中……俺の近くにいただろ?」

【ドク……ン】心音が!!

「ね、小鹿……こんな人気のないところ……。彼女から逃げるためじゃないって言ったら、どうします?」

ひぃ~~!?はめられた??

やばい、やばい!!試すはずが、罠にかかっている!?

「……ね、答えて。こ・じ・か?……フゥ~~」

息を首元に吹きかけられる。

【ゾクゾク……】

「ひゃ……」

つい、声が!!

嫌な予感……?そっと、連歌の様子を見る。

嬉しそうな、なんとも言えない笑顔。

【キュン……】

あ、駄目……流される!駄目だめダメぇ~~!!

「ね、いい?小鹿が欲しい。食べたい……めちゃくちゃにしたい。ね、……舐めたら、どんな味がする?」

いやぁ~~!甘い声が、耳に!!

「ね、どうして黙ってるの?ね、小鹿……いい?黙ってると、喰べちゃうよ?」

【ペロッ】首を舐めた。

「んっ」

「小鹿、好きだ……好き……俺だけを見て。俺を求めて……俺を受け入れて?小鹿は、俺のこと……好き?ね、答えて……小鹿。」

連歌の右手が、頬、耳、首……胸元に……私に優しく触れる。

もう片方の腕が、腰に回され……逃げられない。

連歌の言葉が、抵抗する力を奪う。

「……ダメ……やっ……だ。」

何度も、私を求めるような……優しいキス……。

「……ね、言って……小鹿。俺の事、好き?……呼んでください。連歌って……」

連歌……好き……好きよ。

けど、だけどぉ~~

「小鹿、言わないと……」

「……連歌……す」


「連歌!!」

【ビクッ】

……この声、千鳥?……

連歌の眼が、一瞬冷たくなる。視線は私に向けたまま。

「小鹿、続きが聴きたい……」と。

「けど……あの、連歌……退いて……?何も、言うこと……無い……」

視線を先に逸らしたのは、私だった。

「……分かりました。」

連歌に視線を戻したときには、もう……私を見てはいなかった。

「千鳥、来いよ!」

千鳥を連れて、歩いて行く。振り返ることなく、私を見ることもなく。

傷つけた。また、傷つけた!

あなたは言葉を求める。

……私の流された言葉でも……ウソでも……あなたが欲しているのを知っているのに!



次の日、連歌は学校に来なかった。

その次の日も。

草樹が、連歌の振りで教室にいるのを見かけた……。

双子の草樹、同じ姿だけれど……連歌ではない。

「……連歌……は?」

草樹に近づいて、小さな声で訊いた。

「傷つけたのは、君だよ?解放したのは、こんな辛い思いをさせるためじゃない。なのに、呪いに囚われ……君を選んだ。君だけなんだよ?」

「……ごめんなさい」


涙を堪え、自分の教室に戻る。

自分の席……。机にうつ伏せ、涙を零す自分の姿を想像した。

……違う、立ち止まった私ではダメだ!

「泣いてる……部屋で何も食べず。……心が、泣いているわ。」

苺愛……

「連歌は寮よね?部屋を教えて!」

「行くのね?」

「うん。私の気持ちがはっきりしたから!苺愛、ありがとう。私、悪魔の手を取るわ。絶対、離さない!」




苺愛side


私の役目が終わった。

「苺愛、呼ばれたのはこれ?」

采景と草樹が、教室に入ってくる。

草樹が采景に抱きついた。……甘えるように。

采景は、慣れているので無視。

「うん。魔女は、おおかみの心に反応する。雑種に対しても同じ……。運命の相手を教えるのも、私の役目……ふっ。呪いは、解放されたはずなのにね……」

「……でも、一生の相手だろ。」

「草樹、どうして……淋しそうなの?」

「俺は、まだ……先だから。それに、あいつが生れたのは……呪いから解放された後……。」

「そうね……。呪いから解放されて、本当に……良かったのかな?」

「呪いは、呪いだ。草樹……お前の心が……」

「いいよ……。今は、何も知らないあいつが……俺を好きでいるなら。……愛してくれなくても、近くにいたい……」




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