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C【派生シリーズ】邪  作者: 邑 紫貴
4悪魔が微笑んで……

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22/71

男運……ないですか!?


はぁ、はぁ……息が切れるのを、必死で押さえる。

物陰に隠れ、息を潜めた。

5分……10分……来ない?

はぁ~~。安心して、息を吐きながら壁に身を預け座り込む。

放課後のことだ……。

目は笑っているのに、口元の引きつる奴が来た。

そう、悪魔!!あいつ、私が流した噂を知って……追いかけてきたんだ。

何故だ、胸の大きい子に囲まれ幸せだろ??

何故追いかける?分からない……。

何かが、私の中で消去された考えがある。そう、消去した……。

嫌な、予感……。まさかまさか……そんな、馬鹿な……。

くすくす……ふふっ。ない……ナイナイ!!

奴が、私に言った言葉……忘れた!綺麗さっぱり、覚えてなんかいないぞ!!

……何かに、憑かれてるんだろうか?

静かだ。そろそろ、いいかな……?

校舎の隙間から、顔を出し……キョロキョロ……

いない?

「甘いですね……。下も確認したほうがいいですよ?」

声と同時で、足首をつかまれた!!

「ぎゃぁあぁ~~?!!」

叫び声が響く……

「むぐ……んん~~んん~~??」

口を押さえるのが手で、何故か安心する私……それも、どうなの??

しかし、さっきまで座っていたのに……機敏な奴だな。とか、脱線。

ムカムカ……腹が立った!!

【ガブッ!!】

思いっきり、噛んでやったわ♪

「痛いですね。ふふっ……いいですよ、噛み続けて。くすくす……捕まえました。」

さっきまで安心できた闇に、連れ込まれて焦る。

「んんん~~!!」

噛んだままの手が、口に押し付けられた。

速い速度で後ろ向きに下がるから、バランスを崩し……アイツの服をつかむ。

【ビリッ】

血の気が引く。

制服に入った切れ目が、妙に色っぽくて……別の冷や汗も出る。

やばい……身も、弁償の金銭的にも……何を要求されるのか?

「ふっ大胆ですね。」

甘い囁き。

いつの間にか、壁まで下がって……身動きが封じられている。

怖い!

「やめ……何故、私に係わる?同情ならもういい!こんなの、優しさに受け取れない!!」

言いたいことを吐き捨てた。

「小鹿は、バカですね。くすくす……くくっ。マジで、そう思うの?くくく……可愛い……逃がさない。俺の、エモノ……。小鹿、数年前に……大上家の呪いの噂があったのですが……知っていますか?」

私を押さえている力が弱まる。

「……知ってる。当時は、私も……普通の女友達に囲まれていたから。」

私の答えに、満足したのか……笑顔。

「俺は、その雑種です。」

雑種……?狼の?

…………。

狼の雑種は、エモノだと言いました。

そう……獲物……小鹿……の私。

…………。

「帰る!今日は、昔のアニメの再放送が!!」

目が泳ぐ……。

視線は定まらないが、決して……奴の目を見なかった。

多分、噂の緑の目の所為だ。

確か、消えたと言っていたが……今、緑でないにしても!

見てはいけない気がした。……絶対に!!

「勘がいい。さすが、エモノ……。俺が選んだ相手。ね、小鹿……君は、誰も……好きではないね?」

【ギクッ】

図星だが、ここでハイなんて言った日には……

「イエ、好きな人がおります。」

ウソを吐いた。

もちろん、視線は逸らしたまま……。

「くすっ。残念だ……何て、言うと思った?」

「言って欲しい。」

やばい、空気が違う。気配が……冷たい?

「ふふっ。面白いことを言いますね。笑えます……」

いや、全く笑ってないよね?

「ははは……面白いでしょ。ね、もう……帰ってもいい……でしょうか?」

奴の言う言葉遣いに注意しながら……

空気だけを感じ取ろうと、神経を尖らす。

【ふぅ~~】

「ぎゃひぃ?」

首元に、息が吹きかけられ……

自分の変な声に、つい……視線を向けてしまった!

悪魔……降臨……

「そうですね。名前……呼んでください。そうすれば、この制服の弁償は要りません。」

奴の微笑みに、寒気がする。

【ゾクゾク……】

逃げられないのは、確実。ここで、抵抗したら?

し、死んだほうが……マシだぁ!!

「さ、呼んでください。連歌と……。5・4・3……」

数字のカウントに、真剣な眼。

何かがやばい?!うわぁあぁ~~ん……

「れ、連……歌……」

ニッコリ、最上の微笑み……悪魔降臨……

「ふふ……小鹿、ご褒美です。」

鋭い視線で、顔が近づいてくる。

もちろん必死で抵抗。

「いらない。いりません!勘弁してぇ~~。」

抵抗むなしく、あごを持ち上げられ……キスを受け入れる体勢が整ってしまう。

目が細く、潤んだ瞳が……色気を振りまく。

「やめ……ん~……」

見開いた目に入るのは、私を求める……真剣な眼差し。

目は緑ではない。呪いから、解放されたのだから……。

でも、この……瞳が……私をとらえて放さない。

そう……心を……獲られた。奪われる……

もう、逃げられない……?もう戻れない……?

「小鹿……」

優しい声。

このまま……流されてしまいそう……だ。

連歌……

【ムニュ……】

??!!!!

我に返る。

そう、まだ……踏みとどまった!!

「誰が……」

触っていいと……

「許可した覚えは、ない!!」

連歌の足を、おもいっきり踏んだ。

「っつ!!」

痛みで、出来た隙間を抜ける。

全速力で走り、遠くから叫ぶ。

「連歌、いい?よぉ~~く聴きなさいよ!絶対、あなたを好きにならない!今のうちに、可愛い巨乳ちゃんを捜すのね!!」

ふんっ。と、偉そうに踏ん反り返ってみる。

それなのに連歌は、それを見て微笑みを浮かべた。

何か、ムカツク!

だけど追いかけられたら怖いので、笑っているうちに逃げよう。

連歌……私に何を望む?

エモノ……喰う気か……?一度、喰われたら……解放されるだろうか……。

連歌は私の心なんて知らなかった。

当然だ、心を知られたら……。目の前から消えてやる。

……連歌……私は、今……心が壊れているんだ。

本当は、気づいて欲しい……。



校門に向かって、夢中で走っていた。

【ドンッ……】誰かに背中を押された。

「ひゃっ……」

後ろに倒れる!?

【グイッ……】手を引かれて体勢がもち直した。

ほっとして、相手に驚く。

「れ……?」

連歌……じゃない??

雰囲気、空気が違う。それに、あいつはまだ後ろのはず?

あぁ、こいつが……

草樹そうじゅ……?」

つい、口にしていた。

「あぁ、大丈夫そうだな。ん?……もしかして……」

草樹は、私の胸元をじっとみる。

そして一言……

「エモノちゃん?」

どこを見て、何に訊いてるのかな?この、双子は!!

怒りで睨む私の頭に、手を置いた。

「……連歌を宜しくね?」

連歌とは違う笑顔……。

つい、見とれ……はっとする。

黙っていることは、肯定になる?

ニコニコ笑っている草樹。

「よ、宜しくなんか……しない!!」

叫んで、その場から逃げた。

あっ!助けてくれたお礼……うぅ~~嫌だけど……人として、マズイ。

「さっきは、ありがとう!」

走りながら後ろを振り返り叫んだ。

やっぱり双子……笑い方が同じだ。

まだ駄目……まだ、好きにならない。……なれない。なってはダメ……。

連歌……あなたの心が見えない。何故、アナタは私から去ったの?

ともえ……何がいけなかった……?



朝。

いつもの時間に、目覚ましが鳴る。

「……ん……」

10分前に一度鳴るアラームを止め、寝返り。

後、10分。

【フニ……】

胸に、ベッドの中にあるはずの無い障害物が当たる。

……?頭……?

柔らかい髪をクシャクシャ撫で回す。

…………。

「ぎゃぁ~~??!!」

目が覚め、それが連歌だと確信するには……鈍すぎた。

「朝から、騒がない!」

連歌は虚ろで、眠そうな声。

距離を取る私に、眼鏡を外した連歌が……見つめる。

【ドキ……】

色っぽい……?男のくせに、無駄な色気が……??

「あぁ、ふふ……昨日は、楽しかった……ね?」

意味深な言葉。

「は……?」

首を傾げる私に意地悪な、何か企んだ眼。

「覚えてないんですか?クスクス……いいことを知りました。くくく……」

「……何をした??」

怖いが、訊かないと?

「ふふっ。体は、知ってますよ?」

連歌は私から視線を逸らし、ベッドを下りて伸びをした。

……こいつ、いつから……いた?朝、入り込んだのか?

怖い……訊くのが……怖くなってきた!!

「小鹿、可愛い寝言は……くすっ……」

振り返らず、ドアを開けて出て行った。

可愛い……寝言は??は、何だ?続きは、何だ?!

何故、クスッ……??鍵……市販の鍵を買わないと!!

着替える途中、体が……何かを知らせる。

胸元に……虫に刺されたかのような……赤い……転々が……点々と。いや、点々が転々と。

…………。

ふふ……くすくすくす……

「連歌ぁ~~?!!」

すばやく着替え、階段を勢いよく下りる。

台所では、母と楽しそうな会話。

「……っ!!連歌、あんた……」

怒鳴る私に、最上級の微笑み。

【ドキッ!!】

心臓が!?

口がパクパク……言いたい言葉が、出てこない。

何故、こんな笑顔??

「小鹿、俺の名……呼んでくれた。」

可愛い……いや、違う!騙されるな!!

こいつは、人が寝ている布団に入るし!キスマークさえ!!~~~~っっつつ!!

「行ってきます!」

連歌の視線をおもいっきり逸らし、言い捨てる。

信じられない……流されている。いつの間にか、名前を……!!

心を許している?まさか……ダメ……まだ、駄目!!

「小鹿!」

後ろから叫ぶ声。

……私の……名。連歌が私を呼んでいる……。


「そのまま、自然に受け止めればいい……」

横に、気配無く……現れた女の子が囁いた。

可愛い……いや、綺麗な顔。

「はじめまして、矢城やぎ 苺愛めえです。」

49「……はじめまして。林野小鹿です。」

何故か、自己紹介。

「苺愛、この子?」

これまた、美人な……男の制服!?しかも低くて、甘い声。

「連歌の相手……か。あ、俺は大上おおがみ 采景さきょう。」

何だか、二人に圧倒され……言葉を失う。

「采景?」

連歌の知り合い?

「苺愛、先行け。俺は、連歌と話すから。」

何の段取りなのか、二人は……真剣?

私は、矢城さんに手を引かれ歩く。

「あの、矢城さん?」

「苺愛でいいよ。」

さっきまで無愛想だった顔が、ほころんで……可愛い笑顔。

【きゅぅ~~ん!!】

変な気分……。何、この可愛い生き物!持って帰りたい。

いや、持って帰る!!あまりに可愛くて、つい抱きしめた。

「……苦しい。この胸……凶器……」

小さい声に、少し傷つきながら……胸をのける。

「……心の闇が……相手を遠ざけている……。」

私を見つめ、何かを見通すような苺愛の言葉。

心の闇……何故、苺愛が知っているの?

「……小鹿……今日、あなたの闇が……襲う。小鹿、忘れなさい。あなたの心は知っている……その方法を。」

……今日?予言のような言葉……。

でも、嫌な気分にもならないし……不快感もない。

苺愛の眼が真剣で、私を心配しているように感じる。

「苺愛……これから何が……」


「小鹿……?」

この声!

聞き覚えのある声に、視線を向ける。

「巴……」

元彼……柳谷やなぎだに ともえ

仲良く腕を組まれた彼女は、可愛いと評判の……華澤はなざわ 千鳥ちどり

私に、微笑む彼女。

昔聞いた噂が、頭に浮かんだ。

『華澤千鳥!……あの子、人の彼氏……奪うのが好きだって……』

『いるよね~人のもの欲しくなる人……』

そんな人、いるんだって……当時は思っていたのに。まさか自分が……。

私は、その場を走り去った。

何も見ず、耳を傾けないで……

これが、私の闇……そう、黒い感情が包む。

襲う……私を切り刻むような、痛み。

巴を奪われた。そう、千鳥に……盗られたんだ。

私に魅力がないから……巴は、彼女を選んだ?

私は、一人……また、独り……。価値のない……人間……なのかな。



学校の最上階の階段。

無意味な行き止まりになった……隠れた場所。

泣きつかれ、携帯を見る。時間は、2時限目がもうすぐ終わるところ。

……はぁ……ため息が出る。

千鳥……あなたは、巴を手に入れた。好きなら良い……でも、本当は?

私から盗りたかっただけ?もしそうなら、巴は……。

巴、いつかは……あなたとの終りは来ていただろう。そういう人だ……

あなたの優しさは、本物じゃない。私は、本当にあなたを好きだったのだろうか?

……好きだった……。それでいい……優しいあなたに、ドキドキした。恋をしていた。

うん……幸せな時間があった。

苺愛……大丈夫……闇には呑まれない。

……大丈夫だ……きっと……。ただ……今は……静かにいたい。

私は、千鳥とは違う。人のものになったらいらない。必要ない。

もう……しばらく恋はしたくない。

連歌、だから……私に話しかけないで欲しい。

苦しい……胸が痛い、心が悲しい。

吹っ切れてるはずなのに?

精神と思考がついていかない。誰かに助けて欲しい。

連歌以外の……誰か。

駄目……ダメよ……まだ、気がついては駄目。この気持ちは……恋じゃない!

同情されて、巴の時と同じなの!

期待すれば傷つく……




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