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C【派生シリーズ】邪  作者: 邑 紫貴
3秘密の恋嵐

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20/71

俺のもの!!


窓から出た俺は、道に迷った。

この、麻生学園……幼等部~大学までエスカレータ式。

寮や、いろんな施設があって……広い。ここ、寮の道か?

校舎が遠いな。多分、その向こうが校門。

傷心に響く。この学校から、すぐにでも出たい。

逃げたい……。はぁ……。


「嵐!逃げるなんて、卑怯だぞ!!」

【ビクッ】

……振り返る。閑が息を切らし、立っていた。

もう、報告か?早いな……。

【ザァ~~】風が俺たちを包み、流れた。

【リン……】小さな、鈴の音が聞こえた……?

「……突風か?……閑……え、どうして泣いてるの?目に、ゴミが入ったのか?」

目を押さえ、閑がうつむいている。

「ちが……嵐……嵐が、好きだ。」

………。

閑は涙目で、様子を見るように顔を上げた。

今……え?!

俺の顔が真っ赤になる。

「閑?お前、違うだろ?いや、え?待て、お前……劾はどうした?話、してないのか?俺も、閑が……友達……あぁあああ~~。」

言いたいことが、全部交ざる。

「嵐、私……あなたに負けてから、ずっと好きになってた。気づかなかったか?あなたの眼が、とても優しく私を見る。卑怯だ。好きにならないほうがおかしいよ!……返事は?私のこと、好きか?」

「……好きだ!!」

俺は閑を抱きしめる。

兄貴、手に入れたよ!共に過ごした時間は、無駄じゃ無かった……。

俺の時間、君は……俺といたんだ。

「嬉しい……。けど、劾はいいのか?お前、好きだって……。あんなに、情報聞いて嬉しそうだったのに?」

「ふふっ。初恋だ……終わったよ!」

「……いいや、あいつ……閑のこと好きなんだ!」

知らないんだ……

「うん。さっき聞いた。けど、もう嵐のことでいっぱい。劾は友達。大切だけど、運命の人はあなただ。嵐……それじゃ、ダメかな?」

「……閑……俺の、彼女?」

「うん!」

「キスしても良い?」

「……え?ちょ、手……どこを……」

俺は、大切な人を手に入れた。

この眼は、俺を見る。この唇が、俺を受け入れる。

「……んんっ……ん~~」

逃がさない!



放課後。

喫茶店に入る。

「いらっしゃいませ~」

閑を見つけ、駆け寄ろうとした足が止まる。

「嵐ちゃ~ん♪ここ、ここだよぅ~~!」

兄貴に……その他、多数が閑の周りにいる。

逃げたいぐらいに、嫌なメンバーだった。

兄貴・綾・麗季・ヒツジ・草樹・劾がいる。

周りの視線が俺を外に、逃げれない雰囲気に。

畜生ぅ~~。誰だ、こんな召集をかけた奴は!!

「あ、僕です。幸せなんか、簡単にあげませんよ?覚悟、してくださいね。麻生学園の力、すべてで阻止しますから!」

眼がマジだ。

「兄貴ぃ~~」

俺は、力なんて持っていない。

「無理。俺、麻生学園に雇われてるし!クビになったら、綾を養えないし?」

「あらぁ。そうなったら、嵐に責任とってもらおうかしら?」

「え?」

青ざめる兄貴。

「優貴、良かったね!」

「ヒツジも、一緒にクビだ!」

兄貴が道連れにする発言。

「あぁ、俺は行き先あるから。麗季、俺に一生……身を捧げてね?」

みんなの空気が固まる。

「ヒツジ……あなたが言うと、エロい。てか、嫌だ!身がもたないわ。嵐、今からでもどう?」

ヒツジが、引きつった笑顔で麗季を抱きしめる。

何を囁いたかは、想像できるが……麗季は、ため息を吐いただけ。

「器鈴は、留学したのか?」

「あぁ。婚約を迫っていた奴から逃げて今日、行ったよ!」

劾が偽装してたのは、そのためか。

けど、本当に……閑は……

「ね~。嵐、後悔してない?私が初キスの相手で!」

麗季が、俺に訊いた。

「言っただろ?後悔はしない!ヒツジ、羨ましいだろ?男からのキスは、麗季の初めてだろ?ふふん。」

ヒツジは、麗季に深いキス……。

「おいおい……。」

ヒツジは、涙目で麗季を連れて……店を出た。

俺が、悪者じゃねぇ~~か。

「さてと、俺は麗彩のところに行くよ。今日は、一緒に動物園の約束なんだ。」と、草樹が立ち上がる。

「じゃ、俺たちも行く?」

「くすくす……どこへ?」

「ふふっ……良いところ?」

大人な会話を、兄貴と綾がして……立ち上がる。

伝表を持って会計をしてくれた。ごち……

「さて、俺も帰る。閑?そいつに飽きたら、いつでも言って。俺が大事にしてあげるから。」

甘いセリフを、劾は残していく。

「劾、お前には……絶対に渡さない!閑は、俺のだ!!」

劾は、冷笑を俺に見せる。

きぃ~~!!憎らしい!

「劾、私……好きだった。大事な友達だ!」

閑には、優しく……多分、他には見せないだろう笑顔。

胸が……痛い……か。


二人になった席は、物凄く寂しい。

「……閑、どうした?」

うつむいて、目を合わせようとしない。

さっきの奴ら、面白がってたからな~。

「疲れたか?ごめんな、もうないと思うし……」

「……て」

……?

小さい声で、聞こえない。

「え?何、もう一度……」

「私もキス……私の初めて……うっ…………」

声を押し殺し、震えながら涙を零す。

やべぇ~~?

店から、手を引いて出る。

「泣くなよ。ちゃんと、話しよう?ね、どこで……」

【クイッ】服の裾を引く閑の顔が、赤い。

「……?閑、どこかいい場所ある?」

「ここ……」

指差すのは、ホテル。

………。

「ダメ!駄目です!!」

手を引いて、小走りに家まで歩く。

「閑、とりあえず……入って。な?話をしょう……。」

あぁ、あいつらぁ~~。覚えとけよぉ~!!

ドアに手をかける。【ガチッ】

………。

鍵?まさか、誰も……いない??

俺は、閑を見る。

閑は俺を、涙目で見つめる。

すり寄って「入れて……」と。

ぎゃぁ~~。駄目ダメだめ!!駄目だ、今……家に入れたら!

俺は、携帯を取り出す。

兄貴に電話……?メールが2件入ってる。

『父母より♪今日は、帰りません!』

『兄より。俺も、帰りません♪くすっ……』

「……入れてくれないんだ。……もう、別れる。今から、劾のところ行く。……慰めてもらう……。」

……ぐっ……

「閑……あのね……?」

説明しようと、両肩に手を置く。

「……好き?」

頬を赤くし、涙が……綺麗に零れる。

「……好き……。けど、その……」

「一緒に……いたい……な?……お願い……」

上目で、お願い……

「……うん。一緒に……いたい……ね。」


俺の部屋。

「落ち着いた?」

「麗季さんって、綺麗だね?」

ぐっ……ヤキモチ?

「あぁ、綺麗だな。」

悲しそうな目で見てくる。

不安を隠せない……そんな感じだ。

「閑?俺が、同じように劾のことを気にしてるって……知ってる?」

閑は、俺を見つめ……微笑んだ。

理解してくれたんだ。

「同じ?」

「同じ……。いや、同じじゃない。麗季にはヒツジがいる。」

けど、劾は……今度は、俺が落ち込む。

「ごめん……。嵐、キス……して?」

頬に手を当て、閑からのキス。

「閑……好きだ……俺の、大切な人……」

俺は、キスを返し……何度も……深くしていく。

自然に、閑を床に導く。

お互いに息が切れ、閑は俺の求めを受け入れる。

「もっと……。いいよ。全部、初めてをあげる。だから、麗季さんより多くの初めてを受け取って……。」

「……閑……もう、もらった……。幸せ、通じる心……俺だけの……俺に向けられた眼……閑の温もり。匂い。はぁ……ダメだ……。我慢できない……。閑……」

「嵐……良いよ。我慢しないで……。幸せ……ね、もっと……キスして。触って……温もりを頂戴……」

「はぁ……煽るな……。大切なんだ。……大事にしたい……閑……閑……愛してる」

「嵐……」



「嵐ちゃん♪昨日は、一人でお留守番だったのかな~?」

学校に、兄貴がわざわざやって来て、訊いた。

イラッ!

「そう、一人淋しくお留守番だ!」

「いやぁ~~ん。嘘よぉ!だって、何か色気が増してるわ。ね、たまには相手してみない?」

綾の眼が、少し……怖い。

「な、綾?俺じゃ駄目なの?」

「……。そんなこと、ないよ?」

「その間は何?綾、本気出すよ?」

イチャイチャ……と。

俺はこれから告白されて断るとしても、胸の痛みはないだろう。

偽装のときより、楽だ。

本当の、俺の彼女。閑しか目に入らない。

「けど、あの劾クン……。かっこいいよね~~。何でも、出来るのって……良いわね。ふふっ。」

「あんまり、兄貴をいじめるなよ?」

「え?今のは、嵐をいじめたつもりなんだけど?」

サラッと、綾は真顔で何を……?

劾が気にならないと言えば、嘘になる。

あいつは何かを背負い、誰かを待ってる。過去の俺と、同じように……相手を探している。

もう、それが閑ではないのが分かる。

けど、あいつが何も言わないから……気づかない振り。

秘密だ。

「優貴、任務ですよ!リーダーが呼んでる。遅れると、セクハラだって!」

「げっ。草樹、マジ?」

「あ、嵐。おめでとう……。くすくすくす……。ふふっ。」

天使の微笑で、その腹黒い含みは何だ?

「草樹、お前の相手は……あの子なのか?」

この間、下校中に見かけた。

麗季と同じ綺麗な……小さな女の子。

まるで、親子か兄弟のように……仲良く。

頬にキスをし、愛情の眼を向けていた。

「ふふっ。俺の、大切な人です。遥か……未来……。選ぶのは……」

草樹の声は、小さくなり……消えた。

「草樹、行くぞ!」

「はい!じゃ、またね……」

選ぶのは……彼女……。

一緒の時を過ごしたのは……無駄ではない。

兄貴の言葉……あれは、草樹に言い聞かせている言葉なのかな?

でも、俺との会話……。誰にも……秘密。

そうだな……二人が、結婚するときに……相手の子に教えてあげよう。

ふふっ。草樹に秘密で……。


麗季……確かに、見つけた。俺の……俺だけの大切な人。

……本当を言うと……閑に泣かれたとき、後悔した。

ファーストキスを、君としたこと。

でも、秘密。ヒツジが嬉しそうな顔をしたら、悔しいから。

俺は、ヒツジが本当は気に入ってるんだ。

本人は、気づいてるかもね。けど、これも……秘密。

そして最大の秘密。

閑……俺……君を追い詰めるのが……

「嵐。何、ニヤニヤしてるんだ?」

「幸せだなって……ふふっ。」

君を追いかけたあの日から……俺の心は知っていた。

俺の相手が……君だと。

「閑、試合しようか?」

「うん!本当?嬉しい。」

可愛い顔で、俺を見る。

苦しそうに、俺を求める顔も……好きだけどね。くくっ……

「にゃっ?!何か、寒気が!!」

勘の良い。

俺的には、子犬のイメージなんだけどな?

「で、いつする?」

「ふふっ。楽しいね……。ね、勝ったら……お願い聞いてくれる?」

「……う……ん?」

何かを感じ取った君の顔も……好き。

さぁ……勝ったら、どんなお願いを聞いてもらおうかな?

「……Hなのは、ダメだぞ?」と、小さな声。

「聞こえない。何か、言った?」

顔を真っ赤に「バカ……」と口を尖らす。

その口にキスをする。

秘密の恋嵐……





「あぁ~~あ。ちょっと、あいつも本当は“おおかみ”じゃないの?はぁ……閑を奪われたよ。もう少し、待とうと思ったら……はぁ。」

「劾、けど……分かっていたのでしょう?」

「草樹も、意地悪だよね~~。天使の微笑で、キツイ。」

「あなたは嵐を『風の通路』に誘い込んで、運命の人を知らせた。きちんと、役目を果たされました。」

「俺の役目だからね……」



END

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