偉大な魔法使い!
村1……適当だな、おい!
『名前、考えるの面倒……覚えられないし……もう出ない』
お前、その台詞……好きな?
『ケイトは、良い奴だぞ。多分……』
多分?それが、一番怖いけど?
『さ、呼んでますよ?』
「これ、一番口に合うぞ。」と、何かの肉をケイトが勧める。
あえて訊かないで口に入れる。
「おぉ!うまい……」
ケイトがニヤリ。
「それ、XXXX」
?!!?!
驚いたが、美味いし喰える。口に運び、完食!
「……お前、すげーな。」
ケイトは尊敬の眼。
「ビエ、腹もいっぱいになったし……武器屋に」
「……けて~。助けてぇ~~!!」
遠くから、怪我の酷い……血だらけの女性。
「魔物だ!」
「剣士も何人か、やられた?!レベルが半端ない!」
村の中が、騒然とする。
ケイトは、剣を手に走り出す。
【ドキッ】
違う、ちょっと……ほんの、ちょっとだけ感動したんだ!!
『何も、訊いてませんよ?』
うるさい!!
しょうがないか、手を貸してやる。御代は高いぞ!
ケイトの後を走り、魔物に近づいているのが分かる。
空間が、歪んでいるのか?この世界がもたなくなる!
ケイトは、鞘を抜いた。
手を伸ばし攻撃する魔物に、斬りつけるが……弾かれ、力に押された。
「っ!!」
《 ★★★ 》こんな時の為に、考えていた技だ。
『え?来る気、満々だったんじゃない?!て、これ……酷すぎ……』
空の空間が物凄い音で裂かれる。
稲妻と雹が、魔物に容赦なく降り注ぐ。
「……ふっ。決まった!!」と、気分爽快でふんぞり返る。
「……容赦……ねぇ。」
傷を押さえながら、ケイトが呟く。
「ケイト!荷物を持ってくれるなら、傷直すぞ?」
俺たちの友情が深まった!レベルが10上がった。
『……上がったとか、違うよね?』
気分を損ねるなら、自分で世界に帰るよ?
『て、出来るの?』
当然!俺は、偉大な魔女だぜ!!
『……口調が、男に……なりきっている……?誰が、こんなのを召喚したの?』
お前だよ、責任は取らないよぉ~~?なんせ、“邪”~ヨコシマ~ですからね♪
『自分で言った……』
【……クラッ】
力を使いすぎた?めまいが……意識が遠ざかる。
《 ☆ 》ケイトの怪我を直したら、私は……
「ビエ!!」
ケイトの叫ぶ声が、遠い。やっぱり、ビエ……嫌だな。
ま、いいか……。こいつの、温もりが……何だか心地いい。
私も、必死で……誰かを……
『そうだね。君は魔女。呪いは解放されたけど、君は何を背負う?まだ知らない役目に導かれ……』
朝。見たことのない天井。
起き上がる……
【ツン……】髪が、何か……に?!
隣で、気持ちよく寝ている男!ケイト?!
髪が握られている。指から髪をゆっくり離し、ベッドから下りる。
服が違う……いくら、男に見えるからって……畜生!!
何か、憎しみに近い……殺意を覚える。
私も、女だったと言うことか……くすくすくす……消せばいい……存在を!
『こらこらこら!!待って、待ちなさい!落ち着いて、ね……魔法で見てない!!ね?』
……やっぱり、着替えさせたのは……こいつかぁ!!
寝ている奴の首を絞める。
「魔法を使うでもない!!死ね!」
「ぐっ……げほっ……?!!」
ちっ、起きやがったか!
『……美衣、一応……パートナーなんだから』
……俺は、ビエだ!パートナーなんて、いらねぇ!!
「……ごほっ……風邪か?のどが??」
ケイトが目を覚ます。
ちっ……機会は幾らでもあるか。
「おい、ビエ!大丈夫なのか?」
【ドキ……】何だ、この……ザワザワした感情は?くすぐったいような??
『あらあら……ふふっ。楽しいね、美衣?』
……?
「おい?」
ちっ!
「何、ゆっくり寝てんだ!しかも、城に逆戻りかよ。」
『可愛くない……』
「あぁ、理由が……」
【コンコン……】ドアにノック音。
「失礼します……」
女の声で、部屋に入る。容姿の綺麗な……女性だ。
「姫、体調は大丈夫なのですか?」
ムカッ!!
「……姫?……て、囚われていた?」
て、あの……長い名前の??
「父が呼んでおります。偉大な魔法使いビエ様。この度は、誠にありがとうございます。助けていただいたお礼を、父も述べたいと……あの?」
「どうした、ビエ?」
俺の機嫌が良くない事に、二人が不思議そうに首を傾げた。
俺も、何に苛立つのか……分からない。
「行くぞ、ケイト!王様が待っているぞ!!」
長い廊下を歩きながら、二人が仲良く話をしているのをじっと見る。
ムカムカ……胃が、調子悪い。あぁ、あのXXXX……か。畜生!!
魔法で……食料を向こうから、かっぱらえばよかった!
『いやいやいや!!』
何か、問題でも?
『大有りだし!!ちなみに、かっぱらう……とは“掻っ払う”……盗みです!!』
ちっ!!
『どんどん、女っけが無くなるような……あるような……。』
……?!
俺は、あることに気づき……気分が高揚した。
くすっ……くすくすくす……くくっ。そう、そうなの。楽しいわね……。
『美衣?女に、戻ってる??てか、何を企んで?……怖い!』
私は、鼻歌を歌いながら王室に入る。
「おぉ、偉大な魔法使いよ!!……~……」
長い話が続くが、ほとんど聴いていなかった。
くす……楽しみだわ。くすくす……
「おい、気持ち悪い笑い方よせ。今、王様の話の途中だぞ?」
小さな声で、私に注意するが……苛立ちなんか全く無い。
「あぁ、聴いてる。聴いてるよ!」
王様は、本題に移った。
「で、勇者だが……」
「王様。今すぐ城を出て、捜しに行きます!」
俺は、目を輝かせ言った。
「いや、姫も戻ったことだ……急がなくとも。それに、姫を救った者に……姫を与える約束じゃ!」
……聴いてないよ?
『言ってないね。あんた、魔“女”……予言では、女としてここに来たから!』
あぁ!なるほど……じゃ、誰が………?!!
「ケイト、返事はすぐでなくとも良い……」
………。
ムカムカぁ~~!!
「ケイト、どういうことだ!」
「え、お前が辞退したからだろ?言えよ、俺にも……心構えが……くふふ……」
【プツッ】
『……あの、美衣?何か、切れた……音が……?』
フルフルと、体が震える。
「どうした、寒いのか?まだ、体調が?!」
……引きつる笑顔を必死で作る。
《 ★ 》私は、大きな鏡を空中に出した。
「鏡よ……」
〈 はい 〉
「話した!!」
ザワザワと、その部屋にいる者達が驚く。
「くくっ。行き先を告げよ!」
〈 ここに 〉
私は、携帯を取り出し写真に撮る。
「お前、それ……携帯?!」
……ちっ……後で、記憶を操作するか。
「……王様、旅に出ます!」
「王よ。私も、先に勇者を……って、待てよ!!」
「偉大な魔法使いよ!これは……」
「……ふっ。差し上げます!」
『……美衣、この鏡って……まさか、まさかぁ?!』
……あぁ、この城の隣国に姫がいてね。ふふっ。その姫の名前は覚えてるの♪
くすっ……楽しいわね。くすくすくす……
『美衣ぃ~~?!』
「おい、待てよ!ビエ、俺を置いていくなよ!」
「うるさい!荷物持ちの下僕め!!さっさと、来い!!」
『あぁ。どんどん、旅の方向性が……見えない。』
見えるわよ?この物語を作るのは、私よ!!なんせ、RPG……レベルアップ。
くすくす……一つは意外な、結末を作った。
いえ、イベント?エピソード?バトルの状況と場所?くすくすくす……くくくっ。
「……ビエ、俺……お前が一番……コエ~~よ。」
走りながら、ケイトがつぶやいた。
そうね、それぐらいでないと……楽しくないわ。
だって、偉大な魔女ですから!




