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C【派生シリーズ】邪  作者: 邑 紫貴
3秘密の恋嵐

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19/71

恋・失恋?!


鼻に、ティッシュを詰め……学校に向かった。

はぁ……欲求不満なんだろうか?

夢で、閑に手を出すなんて……。昔の俺じゃ考えられないな……。

麗季にキスするのも、必死だった。

この間は……感情が無く、ただ……綾のときと同じ。

ただ、調子に乗っただけ。ヒツジをからかいたくて……。

はぁ……。今日、会うのが……恥ずかしい。顔を見れないかも……


「あの、嵐先輩!お話ししたいんですけど……」

顔を赤らめ、うつむく女の子。

「……何?」

「……彼女、いるって知ってます!あの、でも……言いたくて……知って欲しくて………好きです!」

「ありがとう……。ごめんね。」

女の子は、涙目だが笑顔で去っていく。

君も、ふさわしい男がきっと現れる。俺のことは、忘れたほうが良い……。ごめんな……


校門の前に、女の子の集団。

……?

「邪魔、退いて……。用事あるのは、君たちじゃない。」

キツイ言葉、低い低音の怒った声。

あぁ~~あ、怒らせたのか……。集団が、一斉に散る。

あれは、さすがに無理だな。

「……多河 嵐さん?」

通り過ぎる俺に、名前を呼んだ。

振り返る……

劾……?実物は、思った以上にカッコイイ。

男の俺でも判る……ムカッ……

「時間を、頂きたいのですが。」

質問じゃなく、依頼か……。

「……良いよ。何?」

「閑のことです。」

だろうね。

「で?」

俺は、素っ気なく対応した。

何か苛立つ……育ちも良いのだろう……雰囲気や話し方が、気に入らない。

「付き合ってるんですか?」

お前に、関係ないだろ?と……言ってやりたい。

「あぁ、付き合っている。お前は、閑の何?何がしたいの?」

こいつには、彼女がいる。閑の幼馴染……確か、器鈴だ。

「俺は、閑の……友達だ。あいつは、今まで……誰とも付き合ったことが無い。いつも……俺に相談していた。それなのに、俺に相談もなく……本気なのか?」

必死で、俺に詰め寄る。

何だ?胸がチリチリする……イライラする。

「お前のことなんか、俺が知るか!!閑は、俺のものだ!!」

言い方が……悪かったのか?

俺は、柔道の技で劾に投げ飛ばされる。もちろん、受身を取り着地!

「……はぁ……喧嘩、買おうか?」

「……売ります!」

火花が散る俺たち。

【ゴッ……ゴゴン】俺たちの頭にゲンコツが落ちる。

「……っつぅ~~」

間に先生……?

「て、草樹そうじゅかよ!!」

【ゴンッ】もう一発。

「いてぇ~~。畜生ぅ!て、俺を殴ったの右手じゃねぇ~~か!」

「痛い……です。」

こんな時まで、敬語かよ。

草樹は、何だか嬉しそうな顔。

「何か、良いよね。その口調……俺の兄貴に近くて……ふふ。ごめんな、痛かっただろ?さ、こんな野蛮な奴に係わったらいけませんよ~~。」

だと??

草樹は大学生で、兄貴の任務のパートナーだ。

「草樹、俺の警護はいりません。それより、嵐と知り合いですか?」

嵐ぃ~~?

「はい、場所を移しましょうか?観客がいっぱいだからね~。」

周りに、すごい人。ほとんどが女だった。みんな、顔が赤い。

……あぁ、草樹も劾も……男前。女は、そういうのに弱いなぁ……。

けっ……嫌気がする!!

「さ、行くぞ。嵐?」

「うるせぇ!!」

畜生ぅ~~。俺の顔を褒めるのは、どうせ……綾ぐらいだ。

はぁ……何か、やる気がない。帰りたい……。


部室棟のほうに歩いている。

多分、任務で使っている部屋に行くんだな。

俺の前を、草樹と歩く劾。

……こいつ、まさか……本当に嫉妬で来たのか?

『今まで……誰とも付き合ったことが無い。いつも……俺に相談していた。それなのに』

感情的で、敬語じゃなかった。

いつも、俺に相談だぁ?けっ!!バカじゃないのか?俺からすれば、綾だってそうだ!

何でも、俺に相談してきた。けど、兄貴と付き合って……兄貴にすべて話す。

……淋しいけど、付き合ってるんだ。当たり前だろ?

俺は、綾に内緒で……兄貴に喧嘩なんて……。

兄貴じゃなかったら?

……綾が、俺の相談もなく……知らない男と……内緒で付き合っていたら?

どうする……?

綾には、仕返しする。そいつに会わせてもらう。相手によっては……

麗季の時……俺は、怒りに任せて……告白した。でも、小学生の時だ。

じゃあ……こいつは?何故、ここに……来た?彼女がいる。

……まさか、本当は閑を……好き?それを自覚したら?

……俺たちの関係は……崩れる。

偽装は出来ない。閑の気持ちが……通じるんだ。

俺は、協力すると約束した……。

「……し。嵐!……大丈夫か?顔色が悪いぞ?」

「話ぐらい、聴いてやるよ!」

……取られたく……ない。叫んだとおり……俺のだ……。今は……。本当に?


隠れた一室に入る。

会議室のように、設備が整っていた。

イスに座る。

「で、君の名前は?」

名前を知ってるが、そのことを劾は知らない。

知られてはいけない……閑が、劾のことを知りたがっているなんて。

絶対に、教えない。……くそっ!!

「神成 劾。麻生学園 高等部2年。閑の遠い親類……長年の友達です。」

「ふぅ~ん。知ってる?友達より、彼氏のほうが上なんだよ?」

「……っ!……上とか、今は……ぐっ。」

勝った!

草樹のため息が聞こえたが、無視。

嫉妬なら、確かめないと……。

協力するかは、こいつの態度次第。多分……。

「で、俺は不合格?理由は?閑の気持ちは無視する?」

意地悪だな……俺も。俺、人に……こんな言葉……言ったことない。

だから、兄貴は俺のことを可愛がるんだ。なんて、自惚れてみる。

「……本気なら……いい。俺は、閑が幸せなら良い。気持ちは、隠さないと……関係が崩れる。」

………。

今……何て……?

胸が……痛い……。切り刻まれるようだ。

「……好き……なのか?お前、彼女……いるんじゃないのか?」

「いません。閑にも内緒です……。付き合っている振りです。」

こいつも、偽装の彼女……?

嘘だ……待て……気持ちが追いつかない……。

俺が、嫉妬で狂いそうだ。

嫉妬……?違う……っつ!!言葉が出ない!!

「嵐さん、すみません……。閑を、宜しくお願いします。俺が、ここに来たことは内緒にしてください。」

頭を下げ、部屋から出て行った。

引き止めなきゃ……でも、体が……動かない……

涙が零れた。

「草樹……どうして、黙ってる?……言えよ、お前が……本当のこと……教えてやれよ!!」

「……俺は傍観者。手助けはするが、邪魔はしない。幸せを見たい。……俺の幸せは、遥か未来。あるかどうかも……わからない。嵐……まだだ……まだ、君は大切なことに気づいていない……。」

俺の気づいていない気持ち?

草樹の相手は、今……4歳。遥か未来……。

閑……お前は、両想いだ。

教えてあげないと。気持ちは、通じてると……。

俺は、大丈夫。告白されても、断る。

もう、自分が傷つくからって……誰かを巻き込まない。

……俺の隣に……君は相応しくない。俺は。

俺の気持ち、今更だ。好きになってた。俺に向けられたのではない、君の笑顔に……

劾のことを、嬉しそうに……目を輝かせ。

可愛い……愛しさが……こんなに大きくなるなんて……。

まさか……いつから?

……キス……あの時から……だったかもしれない?

閑……俺は、恋愛音痴かな?

他の誰かを好きな女の子を、また……好きになるなんて……。

バカだ……。気持ちは止められない……思い通りにならない。

悔しい……閑が好きだ。

明日……閑に教えないとな。俺……また、振られる。

涙が零れた。

しばらく……また、一線を引くのか?繰り返す?

俺の特別な一人を捜して……。



【コンコン】

「……嵐……。」

俺の様子がおかしい事に、いつも気づくのは兄貴。

「兄貴……」

電気もつけていない、この暗い部屋に静かに入ってくる。

簡単に情報が手に入る任務……俺のことを聞いた?劾の情報か……

ベッドの俺の横に座り、俺の肩に手を置く。

「神成……名前を聞いたとき、お前に言った。頑張れよ……って。覚えてるか?」

確かに言っていた。

「あぁ……」

「神成は、特別だ……。けど、選ぶのはその女の子。どれだけの時間、お前と過ごした?」

「……あいつの心に、俺はいない。微笑むのは、俺にじゃない。俺が、一番よく知ってる。ずっと見てきた……」

そう……いつも、“劾”……嬉しそうに話す。

「兄貴、振られたらさ~。綾……ちょっと貸して?」

「ダメ!」

「くくっ……。何でだよ?」

「最近、あいつの……お前を見る目が違う。俺は、お前に取られるんじゃないかと……ハラハラしてるんだ!……こほっ。ま~、お前は俺に似て?十分、魅力的な男だよ!だから、女の子が告白して来るんだ。俺なんかより多いし!」

慰めてくれてるんだな。

「嘘つくなよ。知ってるぞ!クールに相手にしてなかったくせに。綾には、あんなに甘くて……バカみたい。」

「……ぐっ……好きになったら、そんなもんだ。お前だって、必死で告白しただろ?……今回も、頑張れ。傷つくことを恐れるな。……伝えろ……。でないと、もっと……気持ちが続いて苦しい。そんな姿は、見ていられない……」


その日は眠れなかった。

次の日の放課後……。

麻生学園の剣道場へ向かった。

「どうした?待ち合わせは、図書館だろ?」

突然俺が現れたからか、閑が嬉しそうにやって来た。

子犬が、おもちゃを見つけたように……走って。

俺の前に、シッポを振ってる子犬……。

あぁ……撫でたい。いや、めちゃくちゃに……

「……?」

首を傾げる素振りが、なんとも言えない!!

はっ!目的を忘れるところだった。

「……閑、劾と試合がしたい。……今日は、無理かな?」

「……劾と?面白そうだ!待てよ、ちょっと連絡するから。」

携帯を持ち、嬉しそうに……女の顔。

「あ、劾?あぁ、道場だ。え……あぁ。えぇ?!……分かった。」

……?

俺のことを伝えずに、電話を切った。

閑は、不思議そうな顔で俺に視線を向ける。

「劾、今来るって……」

草樹か……?それとも、別の……誰かから、俺のことを聞いたのか?

まあいい。来るってことは、諦められないんだよな?

閑を好きな気持ちが真剣なんだろ。

それは、俺だって一緒だ!

「着替えるから、来たら伝えて。あいつも、着替えるだろ?その間、誰かを練習相手に貸して!」

俺の言葉に、閑は目を輝かせる。

「私!」

「お前は、ダメだ!」

絶対に!!


劾が到着し、着替える間……俺は体を動かす。

閑より……強い。ここの部員より、強いだろう。

……負けたくない!せめて、これだけでも……勝ちたい。

「嵐、俺……手加減しないよ?」

ムカッ!

「劾、お前……。いや、いい!真剣勝負だ。」

「はい。」

向き合う。

構え……圧倒される。強い……神経が張り巡らされる。

ちっ……じいちゃんを思い出す。勝てるか?

すうっ……息を吸い、止め……攻撃に出た。

何度か、交差する竹刀。

鋭い目が俺を睨む。

好きな女を、俺に取られたと……?

これから、取られるのは……俺だぁ~!!

【パシッ】

「一本!」

俺の面が決まった。

「ふう……。劾、閑を……頼む。俺たちも、偽装だ。……うまくいったとき……告白させてくれ。勝った賞品ぐらい、くれよな?」

「……嵐、待ってください!!」

俺は、更衣室に入り鍵を閉め……着替える。

鍵をそっと開け、窓から逃げた。

……閑……想いは、通じただろうか?

いい報告が聞けたら……俺の気持ちも聞いてくれ。

また、麗季のように……優しく振ってくれ。

もう、その後は……会うことも無い。

久々に、楽しい試合だった。なのに……涙が零れる。

畜生……男が、簡単に泣くものじゃない。

閑……




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