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C【派生シリーズ】邪  作者: 邑 紫貴
3秘密の恋嵐

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18/71

偽装彼女!


麻生学園。

「真剣勝負だからな!!」

「あぁ、もちろんだ。」

普段は、女を攻撃しないし……試合もしたくないが。

こいつは、何だか特別だ。

俺の平穏な生活を、こいつの名を語るだけで得ることが出来るなら……

ふふっ。手段は、選ばない!!

『一本!』

力の差は、試合のときから分かっていた。

練習試合で、男の中に紛れ……大将としていた。確かに強い……が。

「悔しい……。が、女に二言はない!!お願いを叶えてやる。さ、何でも言え!!」

……男気のある女だ。

だから、日本の男が草食に……じゃ、ない!!

「あぁ。俺の彼女になってくれ。」

ニッコリ微笑んだ。

「嫌だ!」

真顔で即答。

………。

自分の頭に、怒りマークが……

「はぁ?」

「付き合いとは、好きあう男女が……」

真面目に語り始める。

「あはははは……。違う!」

俺が爆笑するので、閑は首を傾げた。

何か、子犬みたいだ。

「閑、お前……。好きな奴いるのか?」

顔を真っ赤にして、答える。

「……いる。」

……あ……れ?何だ、この……胸の中が、一瞬……空っぽになったような。

面白くない……何だか、イライラしてきた。

悪知恵が働く。

「閑、そいつの気を惹きたくないか?」

俺の悪魔の囁きに、目を輝かせ……俺を見る。

最初の目的を忘れ、閑を……どうしても、俺の偽装彼女にしたかった。

固執する理由も考えず、ただ……願う。

……どんな形でも、手に入れたい。

「……私でも、出来る?……お願い……」

【ドク……ン】

可愛い。この、女の子の表情……この眼……俺にじゃない。

……どうしたら、テニハイル……?

「いいよ。協力する……何でも、出来る?」

「……する!!」

子犬の、尻尾をちぎれるくらい振っている様子が目に浮かぶ。

可愛い。が、何だろう?

いっぱい撫でてやりたい……と、いうより……ムチャクチャにしたい?

……とりあえず、感情の赴くまま……抱きしめた。

「……!!なっ、何を……離せ!!」

「何でもするんだろ?いいか、男って……嫉妬が一番いいんだ。」

「……そう……なのか?」

さぁ?相手による?

あぁ……いい匂いだ。柔らかい……綾とは、違うな……。

「もういいか?少し、苦しい……」

うるさいな……。

けど、怪しまれたり……逃げられると困る。

「あぁ、いい感じだ。」

ホントかよ?

体を離す……温もりが冷め、何だか寂しい?

閑の顔が、真っ赤だ。……キス……したいなぁ……っ!?

今、何を考えた?……

「嵐?」

俺を見上げ、無防備な顔。

【キュン……】

~~~~!!何か、ムズムズする!!

「閑、着替えたら……飯に行くぞ!そこで、打合せだ!!」

「おぅ!」

何か、方向性がずれているような気がする。

けど、今は……閑がついてくるなら……それでいいか。


更衣室に入る。

さぁ……どうしようか?まずは、俺のお願いを話しておかないとな。

協力するついでだと……。

相手、見ておくか?何だか面白くない?



ファーストフード店内。

「閑……お前、どんだけ食うんだ?」

セット2つに単品が3つ追加。

「ん?運動の後は、小腹が空くだろ?」

……空くが、小腹……??

ま、いいか……。

「試合に勝ったから、お願いを聞いてくれるんだろ?」

「付き合わんぞ!」

面白い奴だ。

「あぁ、振りで良い。名前を使わせてくれるだけでも……いいかな?」

「……初恋の人はいいのか?」

目の前の食べ物が、吸い込まれるように消えていく。

俺が頼んだのは、ホットコーヒーのみ。見ているだけで、吐きそうだ。

「あぁ、小6の恋だ。振られてる……他に、好きな人が出来ないだけで……いや、いいよ。どうでも……」

あの頃の記憶が、胸を痛くする。

「……そうか。女に、一線を引いてるのか。」

すべてを食べ終え、飲み物を口にする閑。

一線……?俺は、訳が分からず閑を見る。

「……自覚無しか。……いいぞ。その代わり、私の好きな人の情報を集めて欲しい。他校生だが、自然に出来るなら……彼女役をしてやる。」

「……協力するぞ?情報だけって……」

閑は、不思議なことを言う。

「さっきは、期待したが……パニックからだ……。あいつが嫉妬……ありえない。確かに、悪友で仲は良いが……無理。」

あ、女の顔だ。閑……黙ってれば綺麗なのに。

そういえば、男の視線なんか感じたことないけど……分かる。

閑を見ている。多分、麗季や綾と二人で歩けば……こんな感じなんだろう。

「相手は、神成かみなり がい。麻生学園 高等部2年生。彼女がいる。私の幼馴染……石井いしい 器鈴きすず。同じく麻生学園 高等部2年だ。お似合いだぞ?」

兄貴は、学園全体……麻生学園と5つの姉妹校で、特別な任務を持っている。

情報も、簡単に手に入るだろう。

俺たちの恋は、実らないのを経験した……仲間。

しょうがないか……

「閑、じゃあ……契約だ。俺は、お前に情報を与える。」

「私は、嵐の彼女役。ただし、嵐が誰かを好きになったら終わり。すぐに教えてくれ、協力するから!」

男らしいな……。

俺は、偽装彼女を手に入れた。

閑は兄2人、3人兄妹。家には、剣道の道場。

好きなものは、小さいもの。誕生日は、もうすぐか。血液型はA型。

後は、女たちがどんな質問をするのか……適当にかわすか?



家に帰る。

「ただいま。母さん、兄貴は?」

「仮眠中、夜勤なんだって。」

母さんは、兄貴の本当の仕事を知らない。

「そ、ありがと。」

俺は、階段を上る。

【ガチャッ……】仮眠中を信じて、ノック無しに開けた。

「ひゃ……むっ」

綾の声を、兄貴が押さえた。

「……ごめん。」

扉を閉じ、自分の部屋に戻った。

床に二人座って、イチャイチャしていた。

綾の服は、ほとんど脱げた状態。俺からは、背中が見える状況……。

はぁ……全く、母さんをだまして……。

いや、綾のやつが窓から侵入したんだな?

【コンコン……】

「どうぞ~」

兄貴が、微妙な顔で入ってくる。

「……黙ってて欲しい?」

ちょっと、上から言ってみる。

「……はい。」

情けない姿は珍しく、綾に感謝だな。

「じゃ、代わりにお願いを聞いてもらおうかな?」

「……いいぞ!お前が、俺にお願いなんて!どうした?何があった?」

……兄貴も、相当……俺が好きみたいだ。いつも、可愛がってもらった。

照れる……


俺は、偽装彼女の話をした。

「……へぇ……。ふぅ~~ん。くすっ。そうか、分った!任せとけ。嵐、良かったな!」

兄貴は、嬉しそうに俺を見る。

……?偽装彼女で、この喜びは……?

「兄貴?……」

俺の言葉を、遮り「情報は、専門の奴に聞けば何でも手に入るぞ!その子が、満足するだろう。嵐……いや、ふふっ。そうか、神成……ね。頑張れ!」

……?

情報が手に入って、最初は喜んだ。

閑が、聞くたびに嬉しそうな表情で聞いていたから。

俺は、デートの振りで……図書館や、女の集まりそうなところに閑といた。

噂が広がり、女が寄ってくるのも少なくなった。

閑の表情は、本物だから……。誰も、偽装だなんて思わなかった。

……俺は、何を……してるんだろうか?

ふと、最近思うんだ。……理由は分ってるのに……


今日も、手に入った情報を話す。

とにかく、こいつ……人間離れした奴だ。

頭も良いし、カッコイイ……性格は、ちょっと分らないが……彼女を大切にしている。

閑もそうだが、親類が麻生学園の関係者。優遇されている。

運動神経もいいみたいだし。役員級でさえ、謎の多い家系だと言った。

「あぁ。劾は、剣道も強いぞ!私が最初に負けたのは、彼だ……」

閑……今、一緒にいるのは……誰だか知ってる?

俺……なんだよ?


「劾は……劾が、……劾の……」

「……もう良い!」

はっ!!

店で、大きな声を出していた。

閑が、驚いた顔をする。

そうだよな……驚くよな。俺もだ……自分が、信じられない。

「……ごめん、調子……悪い……。また、明日……な。」

俺は、閑の目を見ず……立ち上がり、会計を済ませて出た。

イライラする。

息が切れ……苦しいのを我慢して走る。

この、別の苦しみが消えるように……。

苦しい……痛い……理解できない感情。

畜生!!

はぁ……はぁ……はっ……。

畜生……悔しい。写真で、一度見ただけだ。そいつが憎くてしょうがない。

……何故、係わってしまった?……女が煩わしい?

そうだ、もう……寄ってくるなと……言えば良い。けど……

閑……知ってたのか?俺が、傷ついてるから。……誰も傷つけたくないと……。

女の子から、一線引いてる。そうだ、傷つけるのが怖い。

俺の傷ついた痛みが……悲しそうな女の子を見るたび……苦しい。

麗季……好きだった……叶わない恋。

悲しい……俺を、好きになって……その笑顔を……自分のものにしたい。

……君は、俺を優しく振った……だから……


この夢……何度見ただろう?

数え切れない……。

傷ついた心。きっと、告白を断った女の子を見るたび……よみがえる記憶。

傷つかないで……傷つけたくない……

自分も傷ついた。その傷が……よみがえる……。

痛い……この痛みは……いつ癒える?

麗季……本当に出逢う?俺に、大切な人……。

一線引いた俺に……見つかるかな?


「麗季、俺……お前のこと……」

「嵐、ごめん……何も……言わないで……」

「好きだ……」

「……っ。ごめんね……」

「ヒツジなんか……やめちまえ……」

麗季は辛い思いをしていた。

それでも、気持ちを貫いた。あいつのために、消えてもいいと……思うほど。

「いいか、消えてもいいぐらいなら……俺を好きになれ!ヒツジなんかに負けないぐらい、いい男になってやる!!」

本気だった……。

「いいか、覚えておけ?俺のファーストキスは、一生お前だ!!他の誰かを好きになっても、一生変わらない。後悔なんて、しないからな!!」

後悔なんてしない。他の誰かを、見つけられない臆病な俺……

情けない。あの日から……止まったまま……。


「嵐……私のこと……好き?」

これは、夢?

閑は、俺に訊いた。

「閑……?お前が、好きなのは劾……だろ?」

「劾?今はそんな話、してないよ?」

そんなって、いつも……嬉しそうに……。

「嵐は、私のこと好き?」

閑を……?

「ね、良いよ?……ほら、羨ましい……そう思うこと、私にして良いよ?」

……羨ましい……?

兄貴、綾に優しく触れるんだ……。

綾の柔らかい……いい匂いの体……


俺は、閑を抱きしめる。

背中にある長い髪が、サラサラで……腰は細い。

「……いいよ……もっと、触って……」

柔らかい胸……。

閑の肩に、額を乗せた。……閑の呼吸が聞こえる。

首筋に、唇を当て、舌を出して滑らせる。

「……んっ」

可愛い反応……のどを通りあごまで上る。

上を向いて、息を漏らす閑が……色っぽい。

「……閑……」

俺は、唇を……重ね……


【ぴぴぴいぴぴっぴぴぴ……】

誰だ、こんなアラーム音に変えたのは!!



朝。

目が覚めた……呆然とする……。

俺、何を……夢に……見た?!

顔が赤くなる。

やばい……やばいぃ~~!!

「嵐ちゃん♪どんな夢を見たか、お兄ちゃんたちに話してごらん?」

ドアの隙間から、兄貴と綾。

……こいつら、昨日……隣で?!……

【ブッ】……鼻血……

これをしばらくネタに、笑われるのを……覚悟した。

最悪な目覚めの一日だった……。




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