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C【派生シリーズ】邪  作者: 邑 紫貴
2ヴァンパイアは何を欲すか

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白雪の国『祭り』


城で食事をご馳走になり、旅の行き先を目指す。

「……百、魔法……使えたの?」

「うん。どうして?」

「……聞いたことがなかったから。」

「うん、訊かれたことがなかったし?」

……確かに。

日常で、あなた魔法が使える?何て、訊いたりしない。

「あの王様も、何かの力を持ってたね。」

「……けど、早助がいたら……魔法は意味がないんじゃ?」

「バカね……」

百は、しょうがないなぁ……みたいな笑い方。

「……疑っちゃった、か。はぁ……早助は、どうしたいのかな?」

私の疑問に百は、ただ……笑った。

あなたは、その力で……何を見ていた?私の知らない未来?

私とは違う能力で……あなたの見つめる先は、どこか……淋しそうなのは……

知っていたからなの?多分……いえ、確実に……選んだ未来を見ていた。


「ここから、歩きだと3・4……女性がいますので5日。」

「馬車でもあれば……」

「物語は、そうだったよね♪ふふっか・ぼ・ちゃ!!」

《 ☆△ 》

「流烏は、運転手。中は4人乗りだから♪」

「……ふふっ、仰せのままに。」

魔法……使えるなら、楽に旅が出来るな……。

私の力は、目覚めても……

右手の甲は、布がきちんと巻かれている。

怖い……不安……


揺られる馬車の中、百は寝ている。

魔法の所為もあるかな……けど、不安になる。

『後悔するかもしれない。』

何を?百は、流烏を選んだ……そのことを?

ガラス球は、行き先を告げる。パンドラの箱のところまで……

中身は『苺飴』ではない。けど、過去の魔女は……『苺飴』に変えた。

私が捜すのは、苺飴ではない答え……それが、何に変化するのか……


彼の心に、契りを交わした女性。失ったのは、いつ?

心にいながら、諦め……一族を背負い、私を無意識に選んだ。

ざわめく心。落ち着かない……

期待が大きくなる。彼の心を、手に入れることが出来るかもしれないと……。


早助と王利は、それぞれ反対側の景色を見つめる。

早助……この世界で、あなたは生きるの?あなたの手にあった花……役目……



『白雪の国』。馬車のおかげで、一日で着いた。

城下町は賑わっている。リンゴ焼きの祭り……

「この国は、隣国と合併したんだ。そのお祝いの祭りだよ。」

王利の穏やかな笑顔。

……あれ、何か雰囲気が違う。

「……懐かしい。」

少しの、彼の心のゆとりなのかな。

「森は、明日でしょ?ね、案内してよ。」

王利は、無意識に私の手を取って歩き始めた。

あれ……??私も、懐かしい……ような、そんな気持ちになる。

人ごみに、ざわめきも耳に入らず……ただ……王利の手の温もりを感じる。

入り組んだ路地。小さな石橋……火の灯された川沿い。

私の様子を見ながら、嬉しそうに……思い出を語る王利。

子供のような、無邪気な顔で……私に笑顔を向ける。

「……李央……今、笑った?」

のかな?

「王利、楽しい!!」

素直に言えた。

初めて、あなたの名を……あなたの目を見て呼んだ。

「……李央、嬉しい。君を見ていると、何かを思い出しそうだ。多分、大切なこと……」

抱きしめる王利に、身を委ねる。

人ごみに、他の3人とはぐれたんだ。それとも、百……なのかな?どうでもいい……か。

この温もりに、永遠を感じたい。

「……あぁ、彼女に……似てるのか……」

……え?

現実は、何て……残酷なんだろう……。

「……放して、私をどれだけ縛れば気が済むの?……ごめん。役目よね……いいわ、戻りましょう。明日は、森の中に行くのだから……。」

「……ごめん。」

消えたい……

あなたの国を救った魔女として。

あなたを解放してあげたかったのに……あなたから解放して欲しい。

餌でいい。あなたの求めるのは、私の……栄養。



宿。

「……百、寝てるの?……ね、どうして……そんなに寝るの?何があるの?教えて……私は、あなたを巻き込んだ?あなたを失ったら、後悔してもしきれない。」

物語。私の物語は、未来に語り継がれる。

命を懸ける……愛してしまった……自然に惹かれた人の為に。

これは、夢?……逆光に、微笑んでいるあなたは……誰?

懐かしい……その、手の温もり……


『時の魔法は、摂理を崩す。……時を操ることが出来るのは、時の犠牲になったものだけ……しかも、限られた力……』

『希望は相応しくないと、生き方を惑わす……』

『未来は、どこまでも続く……それは時間の点……人の命には限りがあるから。』

時間と希望……私の魔法は……。

摂理を崩したものを元に戻す?そんなことが出来る?

パンドラの箱の中身……



目を覚ますと、百が着替えを済ませ微笑んでいた。

「おはよ♪」

「……おはよう。」

睡眠の時間を気にしていたけど、少し安心した。

「ね、今日は先に食べてよう?どうせ、わたしたちより早く食べ終わるから……ね?」

急かすように、百が私の服を脱がせる。

「きゃぁ~~。出来る、自分で着替えるから!!」

二人で食事を取りながら、私は視線を感じた。

……?

感じる。誰かが、見てる……

敵意はない。ただの、好奇心で見ている風でもない。

「……李央、王利たちが来たよ。」

【ドキッ】……気まずい。

何故?私は悪くないわよ?

「おはよう。」

この声に、嬉しく感じる心が、少し……憎い。素直になれなくて。

「お先……」

ん?視線が消えた??

感じた辺りに、目を向けるが……誰もいない。

ま、いいか……過敏だね。


お腹いっぱいで、荷物を持ち森へ向かう。

「李央、昨日……何かあった?」

早助が、遠慮気味に訊く。

「……早助。落ち着いたら、ゆっくり話をしよう?今後の旅に、絶対必要だよ?」

「……うん、そうだね。李央、俺の気持ちは疑わないで。確かに、役目と想いは連動している。魔女の呪いだけど、気持ちに嘘はない。」

「……えぇ、分かったわ。ありがとう……」

王利は、時々……振り返りスピードを落とした。

“私”を気にかけている。

あなたにとっての私は、何?一族の希望?失った相手の面影?……餌……?

「李央、森は静かね……。」

百の雰囲気が、違う??

「百?……あなた……は、誰?」

にっこり笑う彼女は、私に囁いた。

「失ったら、手に入らない。王利を信じる?」

「……信じたい。」

「ふっ。約束をあげる……」

約束?

「……あなたは、彼の心を手に入れる。ただし、疑っては駄目。もう一つ約束を……あげるわ。この身は、元の世界に戻る……」

そう言うと、目を静かに閉じ……開けた。

「……?何、李央ったら……見つめちゃって♪て・れ・るぅ~~!!」

……誰かは分からない。過去の魔女……そんな感じか。

何故、今……何かがある?信じたいよ……王利……


「着いたぞ。」と、王利。

「……しかし、警戒した割に魔物がいなかったな。」

流烏が、周りを見回す。

二階建ての一軒屋。古いが、手入れもされ人の住んでいる気配がある。

【コンコン……】一応、呼んでみる。

「すみません、どなたか……」

【カチャ……】ドアが開き、小人が一人……出迎える。

「どうぞ、お待ちしておりました。」

小人の家なのに、ドアも中も……

「ふふ……不思議ですか?座ってください。この家は、予言の魔女が作ったのです。……一人の少女を護るために……」

「予言の魔女?」

「はい。この世界を魔族から救い、一時的な平和をもたらした魔女。予言をし、未来を信じるよう促しました。あなた方の知っている魔女です。ここに来た目的を果たしましょう。私が語るのを赦されているのはそれ一つ。」

「……ガラス球が、どこにあるか……」

「正確には、水晶球です。残念ながら、私が語るのは……魔法の鏡の在りかです。行ってください……未来のために……。『白雪』の国城の地下深く、眠る……割れた鏡を見つけてください。一つの未来と、閉ざさ……」

穏やかに話していた小人が、ふと……天井を見て……言葉の途中に、消えた。

何を意味するのか……




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