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C【派生シリーズ】邪  作者: 邑 紫貴
2ヴァンパイアは何を欲すか

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伝承


騒動が落ち着き、王利の部屋に5人(4人と1匹)。

「伝承の前に、早助……君は、一族の接触があるね?」

「あぁ。幼いときに、圧力をかけられる形で李央のそばにいた。」

意図的な幼馴染み……

「そうか。一族は、昔から……李央を知っていたのか。」

「いや、希望の可能性すべてに過敏だっただけだ。まさか……のつもりで、雑種をつけていたのが大当たり?」

この一族のハーフ……雑種は、酷い扱いを受けたのだろうか?

「……麻生学園は、異世界に通じた者も受け入れる。すべては、特殊な力と……呪いだとしても、続く家系の見返りを求めて。」

「すべてがそうではないわ。おばあちゃんも、魔女の家系……きっと、蒔いたものを気にしていたのよ。」

「……あぁ、俺はそのおかげだね。けど、君に害を返す……」

早助の意思は、何だろうか?

心は、見えない……

「ま、選ぶのは李央だ。話を進めよう。時間がない。旅に出ないといけないから。」

……あぁ、やっぱり旅に出るんだ。

『伝説の苺飴を捜せ!!』

「……繰り返される犠牲の恩恵。パンドラの箱が来た。……魔女を追い、異世界に向かった一族数名。力を奪われ、時の犠牲となり……二つの世界で解放を望んだ家系。」

パンドラの箱?決して開けてはいけない。災いとかが詰まった??

「……李央、意図的かな?君の血の記憶は、いつ戻る?」

「……分からないわ。ただ、確実に戻ると言える。それが、ここに来た理由だから。」

多分……私の心に反応するのか、あなたの心に反応するのだと思う。

未来のための恋愛……私には無理。予想も出来ない。

王利は……何かを隠してる……?

「王利、俺は一族の許に報告に行く。何かあるか?」

「……いや、戻るのか?」

「あぁ。命令で、必ずついて行けと言われるだろうから。」

「……明日の朝までに戻れ。朝一、出発する。」

早助は、ニヤリと笑い部屋を出た。

2人のやり取りに違和感。互いに探り、私は疎外感。

静かだな?

「百……?!」

床に、犬を抱いて寝ている。流烏は、愛おしく見つめていた。

流烏……彼の求めるのは、百だけ。

王利は?早助は?……そして、私は……。

「李央、右手の甲を見せて。」

「……??」

右手の甲??見るが、何も無い。

王利にその面を見せた。

「やはりないか……。伝承では、記憶に反応して……その甲に……印が現れるそうだ。暗月のような闇の円。それに絡んで咲くのは、この紋章と同じ花。」

じゅうたんの朝顔に似た花……

「流烏……彼女を、寝かせに行けば?」

寝ている百が、震えている。

「……私が……」

「大丈夫。私が欲しいのは、彼女の心ですから。」と、言いながら……

人型は裸で、百の胸を触っている両手。

……この、~~っつ……オスが!!

流烏の頭を叩いて、使用人の女性に手伝ってもらいその部屋を出た。

やはり違和感がある。流烏みたいに、王利の心は見えない。

私の右手の甲に、薄い影?

【ズキ……ン】軽い痛み。

多分、記憶が物語に反応している。

王利は、私を好きではない。彼の役目……

私は、更に……ない心で彼に餌となる。この、心が……何かを求める。

『魔女は、必死になる……―を求めて。』

何に……。

百も、必死になるはずだけど……手に入れたのかもしれない。

永遠の気持ち、変わらない流烏の心を……


食事を終え、流烏は百と散歩に出かけた。

いや、百が散歩をしに行ったのか??

誕生日のプレゼントは、首輪と綱。おそろいだと、嬉しそうに流烏に付けていた。

流烏は、何故か口元が緩んで嬉しそう??だった。

きっと、邪なことを想像していたに違いない。

『人に戻ったときのために、緩めでお願い』

……何て、気持ち悪いことを言っていた。

私のこれ……手には、流烏とおそろいの首輪と綱。

………。

【ちらっ……】

王利と目が合う。そして、最高の笑顔。

「……ふふっ。何、期待してるの?李央に、つけてあげようか?……くすくすくす……」

【ゾゾゾ!!】

「期待しとらん!!」

自分に、何故??

思わず、想像してしまった。けど、ついてはいないが……私の首は捕らえられた状態だ。

「李央……明日、出発だ。」

「……うん。……私も、外に出てみたい。」

名を呼ぶには、やはり抵抗がある。

そんなことも求めないこの人は、ただ……優しく微笑み窓を開けた。

「……出よう。敷地は、警備があるから夜でも安心だ。明日からの旅は、宿に泊まる。……魔物がいるんだ。ここは、君が生きてきた世界とは違う。」

……後ろ向き。あなたは、誰に言ってるの?

その心は、誰が……


月??……明かり。

百は、奴に襲われてはないよね??

隣を歩く王利は、ただ……黙って歩く。

一緒にいるはずなのに……独りでいるより淋しい。

この人を求め始めている。心が欲しい……

私の欲望は、呪い?それとも義務?愛情……だろうか?

「……り……」

王利……。消えそうな声が、思わず出てしまう。何故か、涙も……。

それでも、あなたは気づかない。

確信する。この人の心に、私以外の誰かがいる。

王利の心を持った女性がいるんだ……。


『……異世界から、この世界を救った魔女は……命を懸けた。愛する者の幸せだけを願って……』

おばあちゃんの声。

別の物語……断片的な記憶。この世界『スピニロブ』を救った魔女……。

『李央……奪うのが愛じゃない。時には、与える愛が命を奪う。それでも……』


「私は、旅の中で答えを見つける。あなたの心が、私の選択を左右するわ。覚悟して!!」

私との距離を気にしない後姿に叫んで、元の道を戻った。

走る足が速くなる。

悔しい……好きでもない男に、心が乱される。

好きじゃない……

呪いに、促され役目を果たす。

こんな呪いを、どれだけの人が長い年月……苦しんだの?

いいわ……この世界で死んでもいい。



部屋に戻ると、百が着替えていた。

「……それ、どうしたの……」

服は、汚れ……肌に赤い点が……

【かぁああぁ~~】顔が熱く、自分の想像に恥ずかしい思いをする。

「……へへ?誘ってみちゃった♪」

……くらっ……めまいがした。

「あ、最後までしてないよ?」

最後とか……そんな、簡単に……

「李央……後悔するかもしれない。」

それは、あなた?それとも……?




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