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C【派生シリーズ】邪  作者: 邑 紫貴
2ヴァンパイアは何を欲すか

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異世界に来ちゃった?!


ざわめきに目が覚めた。

「王利様、お帰りなさいませ。」

「あぁ、花嫁だ。」

「誰がだ?!!」

「起きたの?テレなくてもいいよ。さ、着替えようか……」と、制服のリボンをスルリと外した。

「……ぎやぁあぁぁ~~~~!!」

【バシッ】叫び声と同時に、右手が連鎖した。

「……痛い。」

「王利様!!」

使用人が、ぞろぞろと沸いてきて奴を囲む。

過保護め……んん??

「おい!!百と、早助はどこにいるんだ?!」

周りには、いない。……ここは、多分……こいつの城?!!?!

高級なじゅうたんに、あの紋章がでかでかと……特注品。

「あぁ、彼女は……いや、彼は牢屋に。」

………。

私は、使用人たちを押し退け、奴の首を絞める。

「百に、何をしたんだ?!早助が、牢屋って何をするんだよ!!う……うわぁあ~~~ん!!」

いろんなことに、頭が働かない。

感情が、涙となって……久々に泣いた。

「ごめん……。」

【チュ……】どさくさに紛れて、デコチュウしやがった?!!

顔を押し退け、涙目で睨む。

「李央ぉお~~~♪見て見てみてぇ~~!!」と、叫びながら私の後ろから飛びついた。

「百……その格好?!」

どこのお姫様?!みたいな、ドレス……けど、胸の谷間が見える。

「……少し、趣味が悪いよ?着替えたら……」

「何を言われるのです!こんな、美味しそうなものは目に焼きつけ……」

「黙れ、獣!!」

「……かわいそうだよ。このワンちゃん、優しいのよ?私が着替える間、ずっとそばにいてくれたんだから♪」

………。

犬は、視線を逸らし……口笛を吹きながらソロソロと逃げようとする。

「待て、そこの犬……食うぞ?」

「……ちっ……」

舌打ちとは、いい度胸だ!!

「……認めましょう。李央様、一言……宜しいでしょうか?」

真面目な顔(?)犬だからよくわからないが、目が真っ直ぐに……私を捉える。

「……うっ。何だよ?言ってみろ。聴いてやる。」

「甘いものは、別腹!!」

………。

「~~~っつっつ!!」

腹立たしさに、犬の首を締め上げる。

「苦しい……もっと♪」

「ね、早助君は助けなくてもいいのかな?」

はっ!!忘れてた。

「なぁ……へ?」

奴の方に方向を変えた途端、あごに指が滑り……口に飴が入る。

……??!?!

かと思えば、今度は奴の顔が近く……あっという間にキス。

いや、ベロチュウ?!!!

「んんん~~んっ……んんっつ!!」

【ドン!!】突き飛ばしたのは、唇が解放された後だった。

「なっ何を!」

「え、栄養補給だよ?」

平然と……畜生!!

「犬、早助をここに連れて来い。じゃないと、こいつの首を絞める!!」

「……王利、どうしましょうか?」

「……ふん。今回は、このキスで赦してやる。」

赦される意味がわからん!!

しかし、人質を取られては、下手な動きが出来ない。

「さて、李央?この食事は、3日に一回……お願いできるよね?」

今、何と?!

「王利様、私達は彼を迎えに行きますので。」

「あぁ、部屋にいる。」と、私の手を取り歩き始める。

強引に、引かれ……抵抗は空しく奴の部屋。

【カチャ】……今、鍵を閉めましたか??

「……あれ?李央、どうして距離を取るのですか?ふふ……追いつめたくなります♪」

「来なくていい!!……普通さあ、吸血鬼は血でしょ?」

「うん……。今は、飴を代用してる。」

「……じゃ、一日中……飴を舐めてたらいいわ♪」

「もう、無理♪君の口からもらったから、この方法でしか栄養が取れない。」

「……ほら……別に、手とか……指とかに、噛み付けばいいんじゃないの?」

嫌だけど……ベロチュウよりは、マシかな??

「……ふふふ。いいの?」

ニヤリ……と、笑った奴の笑みに寒気が走る。

「……何か、問題がありますか?」

「くふふ……。別に?俺は、いいんだけど……。むふふ。そう、その覚悟が君にあるんだ♪じゃ、早速……」と、近づいてくる。

「いや、待て……みんながいるときにお願いします。てか、さっき飴を食べたろ?!」

寒気が酷くなる。

【ゾワゾワ……】何かを感じ、ここから逃げる方法を探す。

「……勘が良いね。けど、言い出したのは君だよ?さぁ、契ろうか……」

チギル……千切る……契り……なんか、嫌なイメージの言葉。

「いやぁあ~~~!!来るなくるな、来るなぁあ~~!!」

その辺にある小物を投げるが、手元に投げれるものがなくなる。

投げたものは、すべて避けられた模様。

「ふふふ……くすくすくす……」

「前言撤回!!……ベロチュウを、イヤイヤ我慢します!!」

「……聞こえないなぁ?エモノ♪エモノ♪」


「李央に、触るな!!」

【バンッ】

あぁ!!勇者の登場!!

「早助!!」

私は、早助に抱きついた。

「よしよし、怖かったね。俺が護ってあげるよ。」

「うん……。早助、大好き!!」

「早助、かっこいいけど……自分もベロチュウもらうつもりでしょ?」

百の、冷たい声が聞こえた。

「……へ?早助……どう言う事?!」

「……ごめんな。」と、早助はチュウ……

私の唇に触れる前に、口に入れたのって……

【コロン……】私の口に、苺味の飴……と、舌。

すぐに出て行く舌は、優しく……遠慮気味に……

「……ごめん。俺、この一族のハーフなんだ。」と、苦笑い。

………。

今日は、私の誕生日……。

ここは、異世界。

早助は、幼馴染み。

百は、犬に惚れられ……

あはは……物語は、こんな展開だったっけ??……

「李央?!」




さぁ、物語の時間よ。

昔、昔……この世界とは違う世界……『スピニロブ』。

そこには、ヴァンパイアの一族が治める国がありました。

魔女……おおかみ……魔物……たくさんの種族。

秩序が壊れたのは、いつだったのか……

その世界は、この世界と区切られていたのに。

『入り口』を作ったのは、魔女。

この世界に、餌を求めたヴァンパイア達が行き交う。

しかし、秩序を破れば……必ず収拾がつかなくなる。

ヴァンパイアの急激な増加と争い。

激減したヴァンパイア……

そんなある日。

餌として、異世界から連れてこられた少女が……ヴァンパイアの世界を救う。

その少女は、この世界の魔女の子孫……。

その時代に、この世界から魔女はいなくなっていた。

一人のヴァンパイアが、彼女を愛するようになる。

その愛に、彼女の魔女の血が記憶を呼ぶ。

『入り口』を閉じ……血の代わりの『苺飴』を一族に提供した。

この世界の餌となる人々の解放。秩序を取り戻した世界……

しかし、弊害は続く……

『苺飴』に満足できない者……愛する者を得るのではなく、餌を求めるものが秩序を壊す。

『苺飴』も、秩序を護るには限界があった。

繰り返される儀式。

時の犠牲……

魔女の血?ふふ……あなたにも流れている。色濃く……記憶は、あなたの中に受け継がれた。

すべてを失ったあなたは、お父さんと同じ世界を選んで欲しい。

彼女は、その世界を選ばなかった……だから……たくさんの犠牲を生み出した。

始まりの魔女は、ヴァンパイアではなく……おおかみを愛し、共にこの世界に逃げてきた。

彼らの餌は、魔女だったから……

李央……あなたは、誰の手を取る?あなたの中に流れる血……その中の記憶は、辛い想いを知っている。

失う悲しみを、体に蓄えて……時を刻み……解放を与える。

その秩序を永遠にして、すべてを解放するのか……。

一時的な解放に、また犠牲の時を繰り返すのか。

選ぶのは、あなた……。

『始まり』を『終わり』にするか、『継続』するかはあなた次第……



……目が覚める。

「……李央!!」

泣き腫らした目に、かすれた声の百。

「……ふ……うぅ。2日、目を覚まさなかったんだよ!!」

2日……栄養を奪われすぎたのか??

「……百。あなたも、血縁者……あなたが選ぶのは、……犬かもしれない。」

「……??流烏が、どうかした??」

……大事な記憶がない。

誰かを、誰かのために愛するような事は出来ない……

【コンコン……】

「はぁ~~いぃ!!」

百が、元気よく返事をした。

「……李央、起きたのか……よかった。今、食事の準備をしよう。栄養を取らないとね。」

物語の記憶は、母に消されていた。

毎日、寝る時間に聞いていた物語。

彼を選ぶのが、秩序を保つこと?この世界で、彼と共に生きる??

それとも……早助を選んで、もとの世界に戻るか……

「食べる!!」

考えるのは後だ!!

『伝説の苺飴』の手がかりが、あるはずだ。

明日、ベロチュウを二人に求められたら……はぁ……呪うよ、ホント……

『始まり』の魔女め!!

……誰かを犠牲にしても……いや、犠牲になってきたからしてしまったのかもしれない。

誰かを愛し、必死になる……魔女。呪いは、幸せを赦さない。

解放を望む私たちは、試練を経験する……


「……いつも思うけど、李央も百も……よく食うよな?」

「……もぐ……うん。もぐもぐ……美味しいから、特にね♪」

「ぐもぐも……おいひぃ~~~!!……もぐ、ぐもも……」

大量の料理が、あっと言う間に消えていく。

「……ふふ。伝承の通りか。」

「……おい、その伝承を後で聞かせて。」

「……伝承を知らないの?」

「多分、知らない。今、記憶に無い……」

そろそろ、『おい』で話しづらいな……。けど、名前なんか呼びにくい。

呼んだら、勘違いして……喰われるのは私??

はぁ~~、今更……

「……あれ、犬は?」

姿が見えない。

「ここにおりますが?」

……声がする。百の膝の上?!!

ヒョイッと……顔をこちらに向け、ニヤリ。

「……犬、いい加減にしろ!!百、その野獣に気を許すな!!」

「……い・や・だ♪」

嫌だ?!!

「……流烏……」

百は、獣の口にキスをした。

「あ……」

目の前で、信じられない光景が現れる。

「服だ!服を準備しろ!!」

王利は、使用人に叫ぶ。

裸の男が、百にキスをした。

「……まさか、今……キスされるとは思いませんでしたよ?」

「……ふふ。お腹がいっぱいで、気が大きくなっちゃった♪」

思考が付いていかない私を無視し、百は余裕。

「このまま、しちゃいます?」

「……私は、いいけど……ふふ。お邪魔虫が、そろそろ切れるよ♪」

「も……も……百ぉ~~~~!!!」

………。

しばらく、お待ち下さい♪


「……で、どう言うこと?」

「……ん?着替えるときに、下着姿を見られたから?責任を取ってくれるって♪」

……相手の都合のいい話。

しかし、今更……後には引けない雰囲気の様だ。

「流烏、私以外に感じないって言ってくれたよ?」

……それは、本当なのか?しかも、そんなこと言われて……嬉しいもの?!

「……おおかみの一族も、魔女の呪いで悩んできました。ある年齢になると、姿は狼になり……相手を探し旅に出ます。」

狼??あぁ、白い……大きな犬ではなかったのか……。

「唇にキスを受け、本来の姿に戻り……一生を誓います。」

百と、一生を誓ってしまった??

「百、私は……あなたを失えば……一生独り。私を、愛してくれますか?」

何か、真剣だ……犬ではなくなったからか聞いていて恥ずかしい。

「そんなの、わからないよ。流烏……私、犬の姿が好き。」

百……空気読んで!!

反対したい私が、辛くなる。

「……しばらくは、その姿でいます。今は、少し……待ちましょう。」

少し……??

流烏は、犬の姿に戻る。せっかく着た服が、無駄になった。

百……彼女は、物語と同じおおかみを選ぶだろうか?

選ぶかもしれないと、思った矢先の出来事。

百の反応は、微妙。

私たちは……誰を選ぶのか。

呪いは、解放されるのだろうか。

「……李央様。百は、私がもらいます。」

「うん。覚悟があるなら、私は何も言わない。ただ……百は……うん、頑張れ?」




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