異世界へ!!
矢城 美衣魔女の家系。
一族の記憶を消し、ひっそり暮らしていた。そう……ひっそり。
学校に行き、家でゴロゴロ……テレビ見て、ご飯食べてお風呂……寝てゲーム。そう……ひっそり。
地味な生活。人を好きになる?面倒臭い。まさか、これ……冒険でしょ?行く気ないからね!
『偉大なる魔女……美衣。異世界スピニロブを救って欲しい。』
家の自分の部屋。声が聞こえた。が、ベッドに寝転んで、お菓子をつまみながら……無視。
『美衣、聞いてる?』
面倒臭いな……
「何で、バスロブ?を助けなきゃいけないの?!」
『スピニロブ……て、ここでツッコミすると思わなかったけど?』
はぁ……。面倒なことを!
「いいわ。ただし、魔女だと忘れないでね?」
『あぁ。だから題は、“邪”ヨコシマなんだよ。』
意味が分からないけど……?
お菓子の袋をゴミ箱に押し込み……ため息をもう一つ。
「さ、どうぞ。どこへでも!!」
『ね、一応準備とか……心構えとか……何かない?』
注文が多い……行くと言うのだから、それでいいのに。
「私に、準備は要らない。くす……なんとでもなるわ。くすくすくす……」
『邪悪な救世主だな……。ま、気晴らしだし。GO♪』
着いたのは、薄暗い森の中。
【ガサッ】草の揺れる音に振り返る。
同年ぐらいの男?
「……普通、そこは……女として『キャ~』じゃないのか?」
男が登場した……
「帰る!!」
『待って!一応、訊いてよ。ゲーム感覚で!!』
「……ちっ……」
《 ### 》私は、呪文を唱えた。
『勝手に、何したの?!』
奴は、素気ない態度。
「何だ、野郎か。王様が待ってるぞ!」
『まさか、男に見える呪文??』
何か問題が?どうせ、こいつと旅に出るとかでしょ?
『……正解……』
私を男だと思った奴の足は、容赦なく速い。が、魔法を使えば楽だ。
頑張れ、名無し。
『彼に訊いてないだけでしょ?ちゃんと、名前考えてあるんだから!!』
どうでもいい!
森を抜ける。目の前に城が見えた。襲ってくれみたいな所に……何故、建てる?
城の中に入り、大きな扉が開かれる。
私だけが、部屋に通された。
「偉大なる魔法使い……おや、予言では女性のはず?」
話しかけるのは王様だ。
『この世界全体に魔法かけたの?』
便利でしょ?
「で、話はなんでしょうか?」
「勇者を生き返らせ、姫を救って欲しい。」
勇者、死んでるの?いい加減な世界だな。
「勇者が生き返ったら、姫は救わなくてもいいでしょ?」
王様は困った顔をした。
「それか、姫だけ救う?」
どっち?
「偉大な魔法使いよ……」
「いや、私……魔女だし。魔王と変わらないけど?」
「魔“女”……女性なのか、やはり……」
王様は嬉しそうに笑った。
今は、女性とか関係ない!わざとなの?!
一応、訊く……。
「王様、一体何があったのですか?私の役目は何ですか?」
話が進みそうにない。はぁ……
「この世界は……て、聴けよ!!」
あの後、一刻を争うと……この名無しに説明を受けながら、旅に出た。
要らないと言ったのに、金と食料その他の入った袋を渡された。
担いでいるが、重い。男に見えるから、この名無し……運んではくれない。
「ちっ……使えない。」
つい、声が出る。
「あぁ?!何だってぇ~?」
地獄耳め……
「さ、続きを言って!早く!!」
「この世界は、スピニロブ……」
この世界……?変な言い方、まるで……
「名無し、お前……異世界から来たのか?」
「あぁ。って、誰が名無しやねん!!」
ノリが良いわ。
「しょうがない。“名無し”より名前が短かったら、呼んでやる。」
私の台詞に、怒りを抑えながら。
「ケイト……佐伯 蛍兎だ。名無しと同じ字数だから、ケイトで呼べ!」
ちっ……先手を打たれたか。
「ケイト。何故、勇者が死んだ?」
ケイトは、口を閉ざす。
「殺された……か。で、恐れているのか?」
いくらここに長くいたとしても、殺しは私たちの住んでいた日本・時代に、通常では無い事。
「あぁ。俺は……魔物を殺した。人型に近いのも……」
何だ、ちょっと……優しくしてやるか。しょうがないな……。
「魔法使い、名は?」
マズイ……美衣です……何て言えない。
「……ビエ……」
「変な名だな。俺たちの世界に近いと思ったけど……?魔法使いか。また違う異世界だよな……」
勝手に納得している。こういう単純なのが、選ばれた基準か?
「で、ビエ……何で、不満そうな顔だ?お前、まさか……」
【ギクッ……】
「様付けなんてしないぞ!」
【ガク……】
ビエなんて、適当すぎた……?
美……ビ。衣……エ。あの時も、確か……名前を適当にしたな……。過去を思い出す。
はっ!死期が近い?!
「説明……続けるぞ?」
「あぁ。」
「ジェードー・スパック・ジュエール・ブル・ビュティ。」
「それ、呪文なの?」
「姫の名前だ。お前も、覚えろよ!」
面倒だね~。
「どこが名前?」
「全部……覚える気ないな?」
当たり前だ。
ケイトは、一瞬考えて……
「ビュティかな?」
疑問系?
「お前も分かってないのか。」
図星が恥ずかしいのか、乱暴な手が私の頭をグシャグシャにする。
この野郎……。我慢だ、私を男だと思っている。
「で、魔王がマホモ・ゲイル・ターツィ」
「……魔ホモ・ゲイ……?」
「……勇者が、ブラブ・ランス」
「ランス、かっこいい!」
「ブラブラじゃねーのか?!」
ケイトとの旅、面白そうだ!
『美衣……楽しんでくれて嬉しいけど、話が進まない。』
うるせぇ!勝手に、心に話しかけるな!!
「腹減ったな。持ってる食料は、保存が効くから置いとこう。店に寄るぞ!武器や、装備も整えないと……」
「あぁ!」
ゲーム!RPGだ!!
「何で、目が輝くのか……まるで、ビエの世界にもゲームがあるみたいだな。」
首を傾げ、分からない振りをした。
ふふ……




