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嘘を吐く貴方にさよならを  作者: 桜桃
個性の花
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黒い薔薇

 気まずそうに質問した一華に、優輝は笑みを消し「やっぱりか」と呟く。


 寝癖かと思ってしまうほどボサボサの黒髪をガシガシと掻き、明後日の方向を向きながら口を開いた。


「そんなことだろうとは思っていた」


「え、わかっていたんですか?」


「あぁ、普通は気になるだろ。この学校で俺の個性の花を知っているのは姉貴だけだからな」


「姉貴……」


 まさかわかっているなんてと、一華は目を逸らす。


「まぁ、それはどうでもいいんだが、俺の個性の花……か。お前になら言ってもいいんだが、なるべく他言無用でお願いしたい。一緒に居た友人にならいいんだが、他の奴に言わないことを約束させる事。そんで、お前も言わない事。これを守ってくれるのなら、教えてやる」


 手を下ろし、優輝は真剣なまなざしで一華を見下ろす。


 彼の表情に一瞬肩を震わせるが好奇心が勝り、小さく一華は頷いた。


「なら、いいぞ。ほれ、俺の個性の花は、これだ」


 言いながら優輝は、シルバーの指輪がはめられている右手を広げ、一華に見せた。


 数秒後、開かれた右手が淡く光り出す。

 光と共に現れたのは、黒い花びら。


 一枚二枚だったのが、徐々に増え彼の手のひらから零れ落ちる。

 惹かれるように一華は黒い花びらを一枚、摘み見つめた。


「これは、薔薇…………」


 分かった瞬間、薔薇が周りからどのように言われているのかわかっている一華は顔を青くする。

 困惑の顔を浮かべ優輝を見上げたが、彼の表情にまたしても驚き、何も言えなくなった。


 一華を見つめる彼の瞳は悲し気に揺れており、切ない笑みを浮かべていた。


「そう、俺の個性の花は、黒い薔薇。薔薇の中でも一番忌み嫌われている、悪魔の薔薇だ」


 手の平を横に傾けると、舞い踊るかのようにひらりひらりと黒い花びらが床に落ちる。


 グレーの色をしている床は、黒い花びらの絨毯が敷かれたように黒へと染まった。


 黒い薔薇を見下ろし、一華は唇をかすかに震わせた。

 自身の身体を抱きしめ、荒くなる息を止めようと”大丈夫”と自身に言い聞かせる。


 それでも、今まで自分が受けてきた周りからの軽蔑する視線や、暴言が頭を駆け回り、息はどんどん荒くなる。


 体も震え始め、どうする事も出来ない。

 そんな時、一華の身体は優輝により引き寄せられ人の温もりに包まれた。


「辛かったな。大丈夫だ、もう、大丈夫だからな」


 優しく呟かれる言葉は、今まで親や真理に言われてきた。


 でも、それが言葉だけだという事はもうわかっている。

 その場しのぎだという事も、一華はわかっていた。


 だが、何故か優輝の言葉は一華の心にストンと落ち、徐々に体の震えがなくなっていく。


 優輝を見上げると、真紅の瞳と目が合った。

 整っている顔が近くにあり、一華はやっと現状を理解。林檎のように顔を赤くした。


 異性である優輝に抱きしめられている、その現状が今の一華の頭を占める。瞬間、恐怖などは無くなり、恥ずかしさが勝った。


「なっ!? は、離してください!!」


「おっ、元気になったな。体は大丈夫か? 痛みはないか? そんなに暴れて」


「大丈夫です!!」


 一華が暴れ、叫ぶように言うが優輝は離さない。

 逆に、逃がさないと言うように抱きしめる力を強める。


「なんで力が強くなったんですか!?」


「俺が抱きしめたいから」


「離してください!!!」


 二人が押し合いになっていると、教室のドアが開かれた。

 同時にドアへと振り向くと、そこには銀髪を揺らし、グレーの瞳を大きく開き固まっている男子生徒が立っていた。


「え、黒い、花? あの、え? ここ、教室……」


 情報量が多く、頭がショートしている彼は、一年生の白薔薇の王子と呼ばれている、白野曄途(はくのようと)。個性の花は白い薔薇。


 一年生の中では高根の花と呼ばれ、近づく事すら躊躇してしまう。

 そんな彼が、抱きしめ合っている二人を交互に見て、照れたように顔を真っ赤にした。

ここまで読んで下さりありがとうございます!

出来れば次回も読んでいただけると嬉しいです!


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よろしくお願いします(*・ω・)*_ _)ペコリ

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