第一章(5) 驚きの再会とバレてしまった私の正体
「きゃあ!」
「喋れるなら喋ろよ」
私の小さな悲鳴を、何も気にしない様子で、低い声でそう言ってくる人。
顔を見ると、とても整った顔をしていた。
「僕がだれか、分かる?」
この声、何処かで聞いたことがある気がする。
けど、一体何処で?私の知ってる人?
そんな人、屋敷内の人しか私は知ら・・・・いえ、知ってる。一人だけ。
「街で・・・・」
「あの時以来だね、久しぶり」
そう、目の前の人は、街に行ったあの時、街を案内してくれた人だった。
「私と会っていた事は誰にも話していませんか?」
「え?うん、もちろん」
話されていたら、父に怒られるどころではないお仕置きが待っているに違いない。
罪を償いたい気持ちはあるが、それは決して父に償いたい訳では無いから、お仕置きは困る。
「君が例の『月光姫』とは、知らなかったよ」
バ、バレてしまった。
「・・・・」
「あ、別に君が月光姫だからって、僕の態度は変わらないよ?」
「ほ、本当ですか?」
「まあ、僕も少し前までは月光姫を崇めてたから、全く変わらないって訳じゃないかもしれないけど」
みんな、私を崇めている。
だから、この人が信じていたとしても、仕方がない。
・・・・あれ?