第五章(10) 後悔、それから実感
「それで、ここからが本題です」
「・・・・はい」
王家直属のテロ対策部隊の人は、私が泣き止むのを静かに待っていてくれた。そして、泣き止んでからが本題だ。
「どれだけ貴方が洗脳状態にあったとしても、貴方は自らの意識のない人形などではない」
「はい」
「なので、情状酌量の余地はあっても無実にはならない。ここまではわかりますか?」
「はい」
「なので、これから私たちとともに着いてきていただきます」
着いていく、それはつまり、私はこれからこの人たちに拘束され尋問を受けるということだ。
これで、私の人生はおしまい。
「はい」
「では、行きましょうか。まだ体調が優れないでしょうから、こちらでお手伝いはさせていただきますので」
「はい、ありがとうございます」
大丈夫。私は大丈夫。
全てが終わるとしても、後悔は・・・・後悔は。
馬車に乗り、目を黒い布で隠され、前が見えなくなって初めて、私は怖いと思った。
私の後悔は、自分の気持ちに素直にならなかったことだ。
一言ありがとうと、出来ることなら私もテスロ様のことが好きだったと、言いたかった。
早く殺されることを、こうして自分の罪が明らかになって裁かれることを願っていた私が、いざその時になったらこうして後悔が頭にある。そのことに驚きながら、私はちゃんと人間だったのだと、実感したのだった。




