第五章(7) 戸惑いと嬉しさと悲しさと
「じゃあ、償ってほしい」
そうテスロ様が言った。どんな罰なのかと思ったら、『僕と生きて』というものだった。
「・・・・嫌です」
そう言いながら、戸惑っていた。
・・・・どうして、今、私、即答出来なかったの?
そして、この、胸のもやもやは何なの・・・・?
「変な提案して悪かったな」
「ほ、ほんとよ。そんなの、テスロ様にしか償えないじゃない」
「けど、僕はベルティーアのこと好きなんです。ベルティーアを失いたくなかったし、目覚めてくれて心から嬉しかった。ベルティーアは、そんなこと無いと思いますけど・・・・」
ああ、分かった、分かってしまった。
テスロ様に罰してほしいと思ったその理由。このもやもやの正体。
「嬉しかったわ」
「え?」
「『一緒に生きてほしい』と言われて。私が、ただの令嬢だったなら断りはしないのに」
「ならっ・・・・」
「けど、私は罰を受けなきゃいかない罪人。それをたとえテスロ様が罰だと言っても、私にとってそれは罰じゃない。どちらかというと、ご褒美なのよ・・・・」
嬉しかった。そうなれたらどれだけ幸せだろうと思う。けど、残念ながら私はそうはなれない。
「テスロ様と一緒に生きる、なんて素敵なことは、償いなんかにはなりえませんから」
父親の敵である私にですら、こうして普通に話してくださるこの人の隣は、そう簡単に誰かにあげていいような価値じゃないはず。
それが、私の思ったもやもやの正体だった。




