第五章(5) 光の先にいた、優しすぎる人
何故だろう、次の場所は、視野が広い。
さっきまで見えていた道が、見えない。
「・・・・べ、ベルティーア?」
私、確かそんな、名前だった気がする。誰かしら、まだ、私をそんな名前で呼ぶ人は。
私は声がする方を向いた。
「ベルティーアっ・・・・、良かった・・・・」
そこにいたのは、テスロ様だった。
「・・・・早く、殺したらどうなの?今なら、お父様の敵、討てるわよ?」
「父の敵は、君じゃないんだから、君には討たないよ」
「・・・・そんなこと、まだ言ってるの?」
「もちろん、大事なことだから」
呆れる。この人は、優しすぎる。
大切なご家族を殺した人なんて、許してはいけないのに。
「罵って。あなたにはその権利がある」
「嫌だ。僕がベルティーアに言うことは、愛の言葉がいい」
「嫌とかじゃないのよ。罵ってって言ってるの。それに、今の私に『愛』なんて、一番遠いものじゃない」
「遠くない。僕が、ベルティーアに、ベルア姫に抱く感情は、愛だけだよ」
そう言われた時、何かが私の中で壊れた。
「・・・・罰してよ!私が殺したのっ!私が洗脳したの!私が、テスロ様のお父様も殺したのっ!」
「そんなことないよ」
「私は、テスロ様からそんな言葉をもらっていい人間じゃないのっ・・・・」
その言葉は、驚きと共に止まってしまった。
私はテスロ様に、抱きしめられていた。




