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第五章(3) ベルティーアの容態 By リオセスリ・テスロ
あの日の翌日から、僕は彼女の病室で、ずっと彼女の看病と警護をしていた。
でも、彼女はまだ目覚めていなかった。
『君は姫の婚約者か何かなの?』
そう聞かれ、僕は、事前に考えていた答えを伝えた。
『そうです。でも、本人同士の口約束なので、男爵には伝えないで下さい』
それから、僕は事情を詳しく聞かれ、彼女について知っていることを全て話した。
また、彼女についても教えてくれた。
彼女には、ここ数ヶ月、大量の睡眠薬を飲まされていた形跡があったらしい。この間、すぐに眠ってしまったのも、その影響だろうとのことだった。
もともと眠ってしまう症状のある人に、月に一日だけとはいえ過剰な量の睡眠薬を飲んでいた現状・・・・。
テロ対策科の医師が言うには、彼女の容態は、とてつもなく深刻だったらしい。
王宮医師を呼び、緊急の処置がなされたと聞いた。
それでも、目が覚めるかは分からないのだと。
「なあ、ベルティーア」
僕は、本当の婚約者ではないから、呼びかける以上のことは出来ないけれど。
「もう一度、街に行こう?」
そう、語りかけていた。




