第四章(2) 私の弱さ
「残念ですけど、その話は私にされてもどうにもすることはできません」
私は自分の思ってることがテスロ様にバレない様、いつも通りに、そう言った。
「父へ、お話ください」
「いいや、君に、お願いしたい」
「なぜですか?私には、何もできません」
「そんなことはないだろう?月光姫だと誰もが信じているのは、君の父ではない。君本人なはずだ」
・・・・なぜだろう?
テスロ様が、何かに必死にこだわっている気がする。
「・・・・テスロ様は、どこまで知っているの」
「どこまで、とは?」
「・・・・本当は私に、何もできないことを、知っていらっしゃいますか?」
私はそう言うと涙が溢れてきた。
ずっと苦しかった。
父ではなく私を頼ってくれたテスロ様に、言える訳が無い。
私が、目の前で人が殺される場にいるだなんて、その暴挙を止められていないだなんて。
悔しくて、悔しくて、苦しかった。
・・・・言ってしまえば、楽になるだろうか。
今、テスロ様の腰に刺さっている剣で、首を刺されたら、楽になれるだろうか?
私は、国民や法に裁かれるのではなく、あなたに裁いて欲しい。
「・・・・ベルア姫」
そんな優しい声が、私の名前を呼ぶ。
もう全部、どうでもいい。楽になりたい。
そんな、私の弱さは、認めて貰えませんか?
私は、多くの人を殺しました。
本当は、月光姫なんて呼ばれる資格はないんです。
ただの、人殺しです。
それでもどうか、思うことだけは、許して下さい。




