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第一章(8) 怒っている様子のテスロ様
「君、何で一人なの」
急に声をかけられたかと思えば、隣りにいたのはテスロ様だった。
「お久しぶりでございます、テスロ様」
「ホントだよ・・・・。ここでは話しにくいから、場所を移そうか」
今日のテスロ様は以前と違って少し怒っていられるような気がしました。
古民家へと場所を移した私達は、テーブルを挟んで向かい合って座りました。
「本当に申し訳ございません」
私はテスロ様が怒っていらっしゃると感じたので、真っ先に謝りました。
「あれから一ヶ月。もう来ないと思ったよ」
「も、申し訳ございません。この一ヶ月、何かと忙しく・・・・」
「へぇ〜。月光姫は満月の日しか社交場に出てこないんだよね?」
痛い所をつかれてしまった・・・・。
「でもまぁ、今回はそういうことにしておくよ」
けれど、テスロ様はそれ以上追及してくる事はなかった。
「それより、こんな街にお姫様一人で来るのは、直した方がいい」
「どうしてですか?私はこうして平民の格好をしているので、大丈夫だと思っているのですが」
「な、何故って・・・・」
それだけ言うと何故かテスロ様は黙ってしまわれました。