1/44
月光姫とは
「なあ、月光姫、今日はいらっしゃるだろうか?」
「・・・・今日は確か、小望月ではなかったか?小望月なら、いらっしゃらないよ?」
「そうか・・・・、残念だ」
「それほど会いたいのなら、月齢から学ぶことだ」
「月齢・・・・?それはどこで学ぶことができるのだ?」
「『月夜の会』という集会で学べるはずだ 」
「『月夜の会』だな。ありがとう」
月光姫の会話は、舞踏会では日常茶飯事であった。
月光姫の美しさは、『世の男は全員、一度は月光姫を自分の妻に、と思う』と言われている程である。
集会に参加せずに月光姫に会えることはあり得ないと噂されている。さらに言えば、月光姫は滅多に姿を現さず、出会えたとしてもニ人きりで話すことは出来ない、と言われており月光姫という存在自体が謎に包まれている姫なのである。