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三年が経過した。次に進もう

  そして二年後。国のトップに座ってから、そろそろ三年が経過する。

 使える人材は増えたけど、やる事はまだ多い。自分は未だに寸暇を惜しんで仕事をしている。

 目下最大の問題は、二十歳目前の自分の婚約者を決める事だ。ちなみにこの世界で、貴族女性の嫁き遅れとされる年齢は二十五歳からだ。五年程度の猶予が有るけど、配偶者として教育期間を――王太子妃教育で十年以上の時間が掛かる事を踏まえて――考えると、詰め込み教育でも厳しい。

 議会で話し合って決めるのは難しく、『会議は踊るされど進まず』状態である。未だに『エリオットを呼び戻せ』と言う輩がいるが、既に一介の伯爵として(仕事は全て代官に丸投げ)三年も過ごしている。それに本人が王族時代にこなしていた公務は顔を出すもののみで、恐ろしい事に書類仕事はやっていなかった。この事から議会は、反対投票数が九割九分だったので却下した。

 個人的には色々と放り出したい。何時までこんな仕事をやっていればいいんだ。

 婚約者を決める事よりも、王女が臣籍降嫁した事の在る家を探して貰った。

 王家の家系を八代まで遡り、出て来たのは唯一残った公爵家と二つの伯爵。数的にも丁度良さそうだ。三年前の騒動で幾つもの家が潰れている。その中には公爵家も含まれていた。元々公爵家は数える程度しかなかったが、三年前の騒動で見直しが入り今では一つしか残っていない。これを機に増やそう。

「本気ですか?」

 宰相に次の議会に提出する内容を告げた。宰相の目が据わっている。自分の正気を疑っているのだろう。

「ええ、本気。国が三つ、いや、中立派を含めると四つに分かれる事になるけど、私の時みたいになる事を防ぐには良いでしょう。三つの家から次期大公の候補者を一名出し、三人の中から議会の投票で決める。各家の代表はこちらが提示した条件を満たしたものにすれば良いし。条件はその時の国内情勢で変えれば良い」

「代表になれなかったら、候補者にすらなれない可能性が出て来ますよ」

「その辺は当主が頑張るでしょう? 派閥の代表が候補者を出せない状況にならないように、各派閥に属する貴族達も動くでしょうし」

「確かにそうですが、派閥の内外で荒れる可能性が有ります」

「確かに荒れるでしょうけど、派閥内を纏められないような奴じゃ、国の頭になれないでしょう?」

「代表になる過程そのものも、一種の条件になる訳ですか」

「そう。代表になる前に婚約者がいるようなら、改めて婚約者を探す必要も無い。婚約者が代表になれるように協力もするでしょう」

「代表候補に名が上がるのなら、自動的に婚約者不在の状況が無くなりますね。それに複数の候補者が自動的に決まり、勝手に篩に掛けられる。先ずは三家に相談して、承諾を得なければ……」

 宰相が虚空を見ながら、小声で考えを口にしながら、草案を纏め始めた。

 次期大公候補を、議会の投票で決める。それが、自分が提示した次期大公決定方法だ。

 代表になる過程で、次期大公になる人間が自ずと判る筈だ。ラノベでたまに在った『王太子試験』のようなものだ。試験を乗り越える過程で、候補者が勝手に篩落とされて行く。

 仮に複数人が残っても、投票と言う形で決めてしまえば良い。その為に、投票する貴族家の総数は必ず奇数になるように調整しなくてはならないなどの、貴族に関する法律も考える必要が有る。

 考える事は色々と在るけど、今は宰相の意識が自分に向くまで待とう。

 三十年の任期が早めに終わるかも知れない、大事な案だからね。



 婚約解消から始まった激動に、やっと終わりが見えて来た。

 まだまだ時間は掛かりそうだけど、隠居出来る可能性が見えたのだ。そこに向かって突き進むしかない。

 終わりに向かって加速するような感覚だけど、転生の旅をする自分がふとした時に思い返したら『あっと言う間だった』と感想を零すのかもしれない。


 Fin

ここまでお付き合いいただきありがとうございました。

八割ぐらい勢いで書いて詰まり、一年近くも放置し、最初から読み直してから結末を変えた作品です。

元々、第三者から見た菊理の転生先家族の感想を漏らすキャラを書きたいと思っていました。どれ程不思議がられても、菊理の呪いが原因とは流石に思い付かなかった。

そして最初は、国が空中分解してしまい『さぁ、どうしようか』と悩みながら放浪の旅をしてエンディングの予定でした。これは無いなと、変更したら終わりまで書けた謎作品。菊理も変な経験を積んでしまった。


次の久し振りの登場人物紹介で終わりです。

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