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想像力と空想力は違うもの

作者: ムクダム

フィクションの目線はどこに向いているか。

 想像力というのは人生をより豊かに生きるために必要なものだ。作者の想像力が感じられ、同時に自分の想像力も刺激されるような作品に触れることは、人生において大いに価値のあることだと思う。そのような得難い経験をするために人々は、日々、物語を追っているのではないだろうか。

 想像力というのは、実在しないあやふやなものを言葉巧みに表現する力でない。それは空想力、あるいは妄想力というものだろう。自分の考えに凝り固まって周りを顧みない人や、陰謀論的なことに耽溺する人というのは、妄想力に取り込まれて、現実を見失っており、想像力からは一番離れたところにいるのだ。

 私の考える想像力というのは、現実に存在するものを入念に観察し、その先にあるもの、そこから派生するものを予想、推測する力のことである。さらには、そのように予想、推測した事柄を適切な言葉で表現する能力も含まれる。だから、想像力を豊かにするためには、深い教養を持つことと、自分の考えを表現する絶え間ない訓練が必要となる。教養という土台があってこそ、現実を多面的に観察することが出来るようになるし、様々な表現方法を会得していれば、観察したことを適切に示すことが出来るようになる。

 何の予備知識もなく、いきなり専門書を読んで理解できる人はいないのと同じである。まずは義務教育レベルの教養はしっかり身につけておきたいと思う。というのも、最近、中学生向けの参考書を読んでいたのだけれど、案外、中学時代に勉強したことが身についていないなと反省した次第。

 フィクションも想像力豊かな作品が良い。たとえ、異世界を舞台にしたファンタジー小説であっても、現実の観察を出発点にして、そこから想像を膨らませたものであれば、リアリティを感じられ、作品そのものに豊かさが生まれる。逆に現実を全く無視して、作者の頭の中のリアリティだけで作られる作品というのは、どうにも息苦しさを覚えてしまい、途中で投げ出してしまうことが多い。特に現代社会を舞台にしているのに、全くリアリティが感じられない作品というのは、荒唐無稽なファンタジーよりもタチが悪い。

 しっかりと現実に根ざしたところから生まれるリアリティが存在するということ。それこそが、良い物語に対する自分の価値観のようだ。それがあれば、物語の舞台がどのようなものでも、宇宙でも、遠い未来でも、別世界でも物語への没入の妨げにはならない。

 では、どうやったらそのようなリアリティが生まれるのか。現実を起点として、そこから想像を膨らませるというのが一つ目として、その物語が現実に目線を向けていることが二つ目のポイントのように思える。作り物のお話であっても、作者の意識が現実に向いており、その物語を通じで現実とどのように付き合っていくかを考えさせるような

ものであるのが良い。

 ただ、物語の中で想像力は素晴らしいなんてことを、言葉で表現するのは好きじゃない。それを言ったらお終いだよ、というが自分の感覚。何年か前に、某猫型ロボットが主役の映画を観てそんな感想を抱いたのです。最近のあの映画シリーズは、キャラクターを主役にして物語を展開することを放棄しているよね。有名キャラクターの威を借りて自分の意見を押し付けるような汚い根性が苦手なのです。脇道に逸れました。

 自分にとって、結末がハッピーエンドかどうかというのは重要ではなく、物語の終わりにふと自分の生きる現実に目を向け、現実のその先を考えるようなきっかけをくれるかどうかが、物語の良し悪しを判断する上での大切な視点なのだ。 終わり

 

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