8・とりあえず属性を学ぼう
続きを投稿しました。
宜しくお願い致します。
「壊しちゃった…!」
僕は茫然としてヒビだらけになった水晶玉を見ていた。まさか水晶玉がこんな事になるとは思ってもみなかったし、魔法の書にもこの様な事例は書いていなかった。
せっかく手に入れた夢にまで見た魔法を使うための道具が、こんな事になってしまって落ち込んでしまった。
水晶玉の全体に細かくヒビが入り、色も白く曇っている。動かすと今にも崩れてしまいそうで、とても動かせそうに無い。でも、水晶玉をどうにかしないといけない。このまま座禅を組んだ状態でいる訳にもいかないので、ゆっくりと水晶玉を学習デスクの上に置いてみた。
「ゆっくり、ゆっくり、そーっと、そーっと」
無意識にそんな事を言いながら水晶玉を学習デスクの上に置き手を放したけれど、水晶玉が崩れる事は無く綺麗な球形を保っていた。
「…なんで崩れないの?」
不思議に思ったけど強く触って壊してはいけないので、学習デスクの引き出しを開けて、中に入っていたプリント用紙で水晶玉をくるんでから学習デスクの上に置いた。
「どうしようか?替えの水晶玉ってもらえるのかな?でも、エクスタール魔法協会の連絡先って書いてあったっけ?」
僕はとりあえず、≪誰にでも使える魔法の書 入門編≫をパラパラとめくってエクスタール魔法協会の連絡先を探してみた。
…けれど、どこにも連絡先は載っていなかった。
「はぁ…どうしよう?」
とりあえず、このままでいても仕方がないので、僕の魔法の属性について、魔法の書で調べる事にした。
確か属性を調べる前に読んだ時には、≪黄色=地属性、水色=水属性 赤色=火属性、緑色=風属性・紺色=空属性・光=光属性・黒=闇属性・青色=氷属性・紫色=雷属性、白=聖属性、無色=無属性≫って確か書いてあったけど、虹色は書いて無かったよね。
「赤とか青とか黄色とか色々な色に変わって行って、最後には虹色みたいに光っていたっけ?」
そう思いながら魔法の書をめくってみるが、虹色の事は書かれていなかった。まれにその他の色が属性として現れる事もあるが、色もばらばら属性もばらばらでしかも数十年に一度現れるか現れないかの事なので、その他の色について今回は記述しないとの事だった。
「そこは、きちんと書こうよ!僕の属性がわからないじゃない…」
残念。
「普通はいくつかの属性が使えると思うから、一つづつ属性を試してみたらいいかな?」
しかし、ほとんどの人がいくつもの属性を扱えるため、水晶玉の色が何色にも変わるのが一般的で、逆に1色の人の方が珍しくそういう人は1つの属性に特化したスペシャリストか、その人固有の属性持ちの場合が多いはずだった。
僕の場合も、水晶玉の色が何色にも変化したので多数の属性が扱えると思う。虹色の属性については、謎だけど…。もしかすると、僕固有の属性が有るのかも知れない。そう思うと、魔法への夢が広がるよね!
そう思っていないと、水晶玉を壊してしまったショックから立ち直れそうに無いって言うのもあるんだけど。もう一回古本チェーン店に行って、魔法の書を探してみようかな…。
「まずは、火属性から試していくか」
とにかく、僕は多数の属性が使える?はずなので、各属性の魔法の練習をしようと思う。
各属性の魔法の練習は大体同じで、左右のどちらでもいいが指を一本立てて指先に魔力を集中していく。集める魔力は指先程で良いらしい。初めから沢山の魔力を集めても、暴走したりしたら危ないからね!
魔力が集まって来たら、その魔力に各属性の色のイメージを重ねて集めた魔力を、例えば火属性なら赤色に変化させる。そこから更にロウソク等の炎をイメージして、赤い魔力を少しづつ揺らめく炎の形に近づけて行き、最終的に色も形も本物の炎そっくりになった所で、炎の熱さも再現する様にイメージして、最終的に≪色、形、熱≫、が本物と同じように魔力で造られる様になると、魔力で本物の火が出せるらしい。
≪色、形、熱≫が魔力で再現出来る様になると、次に魔力で火を再現する速度を速める練習や、火を大きくする練習、大きさを自由自在にする練習、指を1本から2本、2本から3本へ、次第に指の数を増やしていき、最終目標は手足の指20本全部や頭や、体の色々な場所からも火を出せる様に出来るのが理想だそうだ。
「何かのマンガで、五本の指から炎の魔法を出すのがあったっけ?最終的にはあんな感じのイメージでいいのかな?」
僕はとりあえず、その日から各属性の魔法発動の基本練習を始めた。
地・水・火・風・空・光・闇・氷・雷、聖、無、等各属性を順番に試していく事にした。属性の中には発動しにくい属性もあったが、基本となる属性全てに適応があったらしい。
塾の無い日と冬休みと春休みをほとんど潰したりして時間が結構かかったが各属性を発動させる事だけは出来る様になった。その間にも≪魔力の体内循環≫だけは毎日欠かさずに行っていて、いつもは飽きやすい性分なのに魔法の鍛錬だけは続けられていた。
その代わりに、魔法の鍛錬ばかりにのめり込んでしまって、学校と塾とたまに古本チェーン店以外に外出する事が無くなり、少しずつ友達との距離が出来てしまった気がする、今日この頃です。
時々古書チェーン店に行くけれど、魔法の書が置いてある事は無く毎回空振りになってしまった。今の所は水晶玉を使う事は無いけれど、また使う事がある時にはどうしようかと色々考えてみたが、良い考えが浮かばなかった。魔法の書をもう1つ探し出すか、同じ大きさの水晶玉を買うか、ダメ元でもう一度魔法の書で付録を召喚してみるか…どうしよう?
「もう少しで6年生か…」
魔法の書と出会ってから約半年経って、後数日で6年生になる訳だけど、出来れば魔法の鍛錬と、友達付き合いを両立しようと密かに心に誓ったとか誓わなかったとか…。
「このまま魔法の鍛練だけに没頭して、ボッチになるのは嫌だな…」
ラノベや漫画の主人公にはボッチだからこそ?全ての時間を魔法等の鍛練に使う事が出来て物凄い能力を身に付ける事が出来たけど、現実でボッチになるのは寂しい物が有るよね…。
勢いと思い付きで書いております。
読んで頂いている皆様、内容の齟齬等はご都合主義と言う事でご容赦下さいませ。
感想やアドバイスを頂けると嬉しいです。