2 親友的にはびっくりらしい
思えば、年上ヒロインって初めてかも……でも無いのかな(-ω-?)
「え?告白された?お前が?」
「うん」
「誰にって……聞くまでもないか。にしても、あの子そんなに大胆だったんだな」
後輩に告白された次の日、休み時間に軽く世間話をしてる中で親友に昨日のことを話すと少しびっくりしながらも納得したような表情をされた。
親友――鈴木聖哉は、180cm以上の高身長と、抜群の容姿を持つ所謂、イケメンに属される人物だ。
173cmで普通な容姿な俺からしたら眩しい程にキラキラしているが、中学からの親友なのでその眩しさには慣れていた。
当然のごとく女子にめちゃくちゃモテるが、本人的には大人の女性が好みらしく、社会人や大学生、はたまた少しお歳を重ねた熟女さん方なんかともよくデートしてる所を見かける。
告られたら同い年でも付き合ってはいるようだが、短期間で別れてるようなので、本当に合わないのだろう。
「お前にストーカーしてるくらい熱心なのは知ってたが、そういうタイプって自分から告らなそうなのにな」
「まあ、清水って意外と大胆なところあるみたいだし」
「ふーん。にしても、お前が年下好きとはね。てっきりお前も年上好きかと思ってた」
「何故に?」
知らないうちに年上好き認定されていたことにびっくりだ。
というか、聖哉の基準だと俺も熟女好きに思われていたのだろうか?
深くは考えない方がいいな……
「だって、お前昔っから面倒見いいし、そういうタイプって甘えられる年上に惹かれやすいだろ?」
「それは実体験かな?」
「まあな。ちなみに、俺は三十路くらいが一番女性的に魅力を感じたね」
どうやら、親友は俺の知らない深い世界を知ってるようだ。
別に知りたいとは思わないけど。
「あんまり、年齢は考えたことなかったかな。でも、清水みたいに一途な子は好きかな」
愛情表現がストレートで、浮気しなさそうというのは、ある意味俺の理想像なのかもしれない。
そっち方面でだらしない親を見てたから、きっと反面教師でそうなったのだろうけど、その辺はまあ、気にしないでおく。
「お前も何気に愛情重そうだしお似合いかもな」
「聖哉の中で俺はどういう風に思われるのかな?」
「え?なんか、好きになったらめっちゃ束縛して、四六時中居場所聞いたりする超絶重たそうな感じかな?」
「よし、喧嘩だ。表にでろ」
「まあまあ、落ち着けって」
チラッと、視線を俺の後ろの教室のドアに向けてから、親友は声を抑えて、苦笑気味に言った。
「後ろ、鏡で写すからみてみろよ」
スマホの画面越しに、後ろを見ると、何故か後輩がこちらを見ていた。
会うのは昼休みのはずだけど……
流石に、毎時間、休み時間の10分休憩の度に向こうから来てもらうのは大変だろうから、そういう風に約束事を決めていたのだが、我慢出来なかったのか、はたまた見つからなければいいと思ったのか俺を覗き見する後輩がそこには居た。
「愛されてるな」
「はぁ……全く……」
その行動自体は凄く嬉しいが、それで清水の負担になっては元も子もない。
「照れんなって」
「照れてないよ」
そう答えてから、俺は覗き見する後輩の元に足を運ぶ。
バレたと分かって、慌てて逃げようとする後輩だが、俺の行動の方が早くて観念したようにその場で待っていた。
「えっと……先輩の顔がみたくてつい……」
「それは嬉しいけど、無理して来ることないよ。昼休みちゃんと時間取るからさ」
「うぅ……でも、やっぱり先輩に会えない時間はキツイです……」
子猫のようにシュンとする後輩に不覚にもときめいてしまうが、なんとか耐えて俺はぽんぽんと軽く頭を撫でて言った。
「まあ。そのなんだ……部活終わり家まで送るから、それで我慢してくれ」
「……!はい!」
パァっと顔を輝かせてから、嬉しそうに自身の教室へと戻っていく後輩。
なお、その光景を俺はクラスメイト全員にバッチリと見られて、その後めっちゃからかわれるのだが、これも幸せ税というやつであろうと我慢することにした。