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1 後輩に告白された

久しぶりの糖分補給を_:(´`」 ∠):_

「好きです先輩!付き合ってください!」


 赤面しながらも、懸命に想いを伝えてくる後輩である少女。


 彼女の名前は清水愛美(しみずまなみ)

黒髪の少し大人しめの印象を受ける女の子だ。


 まあ、その実そこまで大人しい性格でないことを俺は知っているのだが。


「えっと、俺で良ければ」


 そう答えると、彼女は心底嬉しそうに涙ぐみつつ微笑んだ。

 俺なんかに告白でいいのかとか、疑問はあるが、俺も別に彼女のことは嫌いじゃないし、人生初の告白というのはやはり嬉しいものだ。


「じゃあ……早速両親に会ってください!」


 ……ただ、思いの外強引な彼女の性格は考えものかもしれない。




 俺が、清水愛美という後輩の少女と交流を持つようになったのは、部活動でのこと。


 俺、水蓮寺翔太(すいれんじしょうた)は、現在高校二年生。


 進級して、二年生になって進路もそろそろ考えないといけない頃合だったが、まあ、部活動にもそこそこ力を入れていた。


 俺の所属する剣道部は、男子の部員が少なく、よく人数の多い女子剣道部と一緒に練習するのだが、そこで彼女と初めて話をした。


 自分で言うものあれだけど、俺はそこまでコミュ力は低くはないとは思う。


 女子とも普通に会話できるし、友達も結構いる。


 まあ、その気安さからか、女子から異性として見られないのでモテはしないのだが、そこまでモテたいとも思ってないので不都合はなかった。


 和気あいあいと部員同士で仲良く話す中で、一人浮いてるというか、どう加わればいいのか分からないような感じの清水を放っておけなかったので、俺は彼女に声をかけた。


 最初は、ぎこちなかった彼女だったが、話をすると普通にいい子で比較的簡単に女子達の輪の中に滑り込ませることが出来たのは良かった。


 後から聞いた話だが、彼女は中学時代にイジメにあっており、その経験でなかなか人と仲良くなれなかったようだが、その辺はまあ、割とすんなり解決したようでなにより。


 普通はそう簡単な話ではないのだろうが、元来彼女がそこまでコミュ障気質でないのと、この学校の人達の優しさが幸いしたようでクラスでも友達が出来たと言っていた。


 まあ、それは良いことだったのだが、俺はその後にこの後輩にえらく懐かれることになった。


 行き帰りの通学路でばったりと会って、一緒に登下校したり、校内でも何度も遭遇したりと、最初は些細だったが、そのうち彼女が軽くストーカー気質であることが分かった時には驚いたものだ。


 何が驚いたかって、俺がストーカーされる日がくることに一番びっくりしたかも。


 だって、我ながら異性とは良い友達で終わるという絶対不動の悲しいき気質な俺を好いてくれてるのかもしれない後輩の存在というのはなかなかレアだったし、想定外だったのだ。


 ストーカーというと、あまり良い印象は受けないのだが、なんというか自分を慕ってくれてるかもしれない女の子の行動として見ると結構可愛いと思った。


 まあ、流石に俺が捨てたジュースのストローを回収してる現場を見た時は止めたけど。


 汚いから、それはダメよ。


 代わりに、お守り代わりということで消しゴムをあげたら妙に喜ばれてなんだかむず痒くなったけど、無邪気に喜ぶその姿にときめいてしまったことは否定出来なかった。


 まあ、とはいっても、好意があるかもというのは俺の勘違いかもしれないし、俺なんかを彼女が選ぶとも考えられなかったので、このまま良い先輩後輩関係を築こうと思っていた時に、彼女から告白されたのだった。


 生まれて初めてラブレターというものを貰って、校舎裏に行くと、後輩が緊張気味に待ってて、告白をされた。


 ドッキリの線も疑ったけど、この後輩がそんな事をするとは思えなかったし、誰かに言われても多分やらないだろうと思ったのですぐにそれが本心であると理解する。


 昔、罰ゲームで告白されて地味に舞い上がってたら、ドッキリでしたー!みたいな事があったので疑心暗鬼になりそうにもなったが、緊張しながら、懸命に想いを伝えてくる後輩を見てるとあの時の告白との落差で、何よりも、乙女な顔の後輩がたまらなく愛しく思えて思わず了承してしまった。


 なるほど、恋する女の子が可愛いとは本当のことだったらしい。




「えへへ、せんぱ〜い」


 告白されたのが部活の無い日の放課後のこと。


 場所を変える目的で、そのまま喫茶店に寄ったのだが、告白してからずっと俺にベッタリと抱きついてくる後輩には地味に驚かされた。


 人目も気にせずに、俺に嬉しそうに擦り寄ってくるので、それがまた可愛く思えるのだが、周囲の『やれやれ、バカップルかよ』的な視線が地味に気になる俺は小市民的かもしれない。


「えっと、清水?いつまでそうしてるんだ?」


 オーダーを取りに来た店員の生暖かい視線を受けつつ、そう尋ねると後輩はキョトンとしてから笑顔で答えた。


「先輩がダメって言うまでです。嫌ですか?」

「嫌じゃないけど、恥ずかしくないか?」

「嬉しいくらいですよ〜」


 スリスリと、甘えてくるように俺に抱きついている後輩。


 ……そんなキャラだったかな?

 まあ、うん、そんな素振りはあったけど、ここまでだったかは謎だ。


「お待たせしました、アイスカフェラテです」

「あ、どうも」


 注文していたものが届いたので、とりあえず一口。


 チラリと横を見ると何故か少し不機嫌そうな後輩が。


「どうかしたの?」

「……先輩、今の人美人でしたね」

「そうだったかな?」

「……先輩は私のものですから」


 いかにも、「むぅ」という感じの顔で自分のもの宣言する後輩。

 不覚にも、その独占欲を示すような感じにときめいてしまったのは内緒にしておこう。








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