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 両者構える、神谷 樹雄かみや みきお は腰を深めに落とし左手を前に突出す。

 両拳は肩の高さに位置し手刀の形する。

 相手は脇に肘をつけるオートソックスなフルコンタクトの構え。

「始め!。」



 神谷に向かって一気間合いを詰め右突きを放つが左足を大きく下げかわす。

 間合いを詰め左突きを放つ、神谷は右腕で受け止めるその瞬間。

「バチィン!」

 素早い左ミドルキックを神谷が放ち相手の右腕に当たる。

 蹴り終わりを狙い右下段回し蹴りを狙い放つだが。

「バチィ!」

 再び左ミドルキックが右腕に当たる、蹴り終わりを狙った蹴りより速く蹴りが放たれた。

 そして神谷は蹴る。

「バチ!バチィ! バチ!バチ! バチィ!」

 右、右、左、左、右、左右のミドルキックを蹴る、蹴って蹴って蹴っり続ける。

 相手が蹴りを受けながら踏み込む間合いを詰める、その勢いまま右膝蹴りを腹部に向かい放つが。

 膝蹴りが空を切る、間合いを詰めるタイミングに合わせて神谷ミドルキック連打を止め後ろに下がっていた、そして右脚を試合場に付けた瞬間。

「ドス、ド」

 左下段回し蹴り、腰を深く落とした右正拳突きを放つ。

 重い打撃に距離を思わず空けようと後ろに下がる。

 その瞬間神谷の左膝が上がる咄嗟に左ミドルキックを警戒するが蹴りが来ず前に踏み込む脚の運びする、その瞬間。

「コツン!」

 右こめかみに衝撃が来る。

『後ろ回し蹴り!』

 意識は有るが脚の力が抜け倒れ伏せる、その直後、いや直前から残心と呼ばれる倒れた相手に突きを放つような動きをす、それも綺麗な型を思わせる動きを。

 その直後に立ち上がり構えるが主審が。

「一本、それまで!。」

 神谷の勝利を告げる一本の声が響きわたった。

 

 試合を見ていた練達は三人は同じ事を考えてた、強いと。

 館長、数原英明は神谷の見つめながら練に声を掛ける。

「じかで見ると強さが分かるな、ガンガン中段蹴りで攻めたてるだけのようで上手く相手の動きに合わせてその流れに持ち込んでる。

 そこから今みたいに派手な蹴り技を当てたり、足払いで転ばしてして終わらせる。」

「勝てそう無いですね。」

 練が力無い声で言う、横に居るすみれが軽く肩を叩き。

「そこは勝のは俺だー!とか強い奴と戦えてワクワクすると言う所でしょ。」

 強い口調で言いたい事を言う、練は困り顔で。

「いや二回勝てただけでも充分だよ、ワクワクと言うかトップクラスの人と試合出来るのは楽しみだけど。

何も出来ずに瞬殺されたらどうしようて不安の方が。」

「そこは気合で耐えろ、ついでに勝っちゃえ。」

「いや無茶言うな。」

 娘と練を横目にしながら英明思案する。

『この弱気と言うか覇気が無い感じは変わらないな、二戦して勝ってるだ少しは調子乗ってもいいだろうに。

 ただいつも事だしなコイツの性格的に。』

 入門して暫く、技も何も出来ない時期に組手を自分に頼み。

 何度も転ばされる蹴り飛ばされてもフラフラになりながら何度挑んで来た姿を思い出した。

「とにかく今から1時間休憩だ速く飯食え、食い過ぎ無い程度にな。」

 二人の会話を止め休憩の為にその場から離れた。

 その姿を神谷が目で追っていた、そして思い出していた。

 自分がこの大会に出場する事になった経緯を。


「大会に出場して欲しい?。」

 話しが有るから近いうちに本部道場に来て欲しいと連絡を受けた神谷は、時間の空いている日に本部道場を訪れると。

 応接室兼用にいつの間にかなっている見栄えの良い館長用の机と椅子、来客用のソファーとテーブルがある館長室に通され、関東大会への出場要請をされ困惑した。

 全国大会へのシード権を持っているため出場はしない旨は館長に伝えていたし、承諾もされていたのに大会約一月前に出場を頼まれたのだ。

 スーツを着た館長、松田 圭相まつだ けいしゅう は神谷の顔を見ながら話す。

「他流、一応うち(拳進会)の連盟に入ってる所なんだが昔からの知り合いの弟子が出場するんだ。」

「強い人なんですかその方、でも森山さんが調整で出場しますね。

 並の相手ならまず負けないでしょ?まさか怪我が治って無いとか。」

「いや森山の怪我の方は問題無い、出場する他流の方がな。

『数原 武幸かずはら たけゆき』先輩が造った流派なんだよ。」

 神谷は聴き覚えの有る名前に聴き、思い出そと記憶を探す。

「強かったて人でしたか、名前に聴き覚えが有ります。」

松田は少し寂しそうな目を一瞬する。

「私先輩でな強い人だったよ、うちを辞めた後も良く尋ねて稽古を付けて貰ったよ。

 現役辞めと決めた時に真剣勝負を挑んだが勝てなかったがな。」

 言った後にキョトンとしてる顔をした神谷を作り笑いをして。

「立場が有るからな、館長辞めるか俺が死ぬまでは秘密にしといてくれ。」

言う、神谷は押忍と答える会話を続ける。

「その方の弟子が挑んで来ると。」

「だったら良かったんだがその数原先輩は亡くなってる、今は英明君。

 英明と言う息子さんが館長をしてる。」

頭を軽く掻くと歯切れ悪く続ける。

「彼はまあいいたくないが素質は無い、それでも父親に色々教え込まれてるからね。

 単に弟子の腕試して可能性も有るが、直接頼み来た時に妙に自身があったからね、今日念の為出れるなら出て欲しいだよ。」

 神谷は館長が何を考えてるか思案した。

 森山先輩と戦う機会を早くくれただけなのか、他流の出場者が強い場合を考えての念の為か。

 全日本でと言う思いも有るが今の自分の第一目標は打倒森山 斉。

 数瞬間悩んだが特にか戦い衝動が湧き上がり決めた。

「押忍、出場します。」

 それを聞いた松田は笑みを浮かべ。

「そうか、助かる。」

 頭を軽く下げ礼をした。


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