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85話 頑張る日々 19「世界を変える下準備」

とりあえず、話の前提になるスライムの同意がなければどうにもならないので、今日の話はそこまでとして帰って皆で寝た。



起きて、ジョギング、朝食、素振りと魔術の鍛錬、昼食。

いつものお決まりコースを経て、

さてどうしようかと考える。

まぁ、一番はスライムが糞尿を栄養とするかを聞くべきか・・・。


・・・

・・・


(それで、話というのは何だ?)

と目の前のスライムロードがぷるぷるしながら思念を飛ばしてくる。

そんな彼 (?)に寄りかかり座る。

あ、こんな椅子欲しい。

背もたれが幸せ。


「うん、ちょっと聞きたいことがあってね。スライムって大体のものを栄養にできるんだよね」


(基本、自然にある物は全てな。水と日光だけでも過ごせる)


「栄養の偏りから病気ってなったりする?」


(ん?どういうことだ?)


「例えば水と日光だけで過ごしていたら、死んじゃった例とか。同じ物しか食べてると死んじゃうとか」


(・・・そんな風に食べていた者の話は聞いたことがない故分からぬな、先の例だとてそれでは飽きるからの。適当にその後、草などを溶かしておったよ)


「そっかぁ、じゃあもう一つ。動物の糞尿とかも栄養になったりするよね?」


(無論)


「前に味について言及していたことがあったってヴィトから聞いたけど、その・・・糞尿とかを栄養にするのに抵抗感とかあったりする?」


(無いな、むしろ何故そう思う?)


「人間の感覚では、あれらは汚物、汚いものとして考えるからっていうのが一つ。魔物も基本は糞尿の後に砂をかけるでしょ?自分の痕跡を残さないようにか、自分のテリトリーを清潔に保つためか。いずれにせよ

、あまり良いイメージがないと思うんだよね」


(ふむ・・・少なくとも我等にとっては等しく栄養よ。むしろ栄養価は高いな、味もあるだけ岩よりマシよ)


「うん、そうだろうとは思ったけど、確認でね」


(他にも尋ねたいことがあるのだろう?回りくどいぞ?そんなに言いにくいことか?)


図星をつかれて、頬をかく。

「あ~・・・うん。じゃあ、単刀直入に。人間の糞尿の処理に百匹くらい連れて行きたいって言ったら許可してくれる?」


(そやつ等次第だが、長としては)


軽っ!

「・・・こんな話が出てきた背景とか知りたくないの?」


(うむ、それはその者達に伝えてやってくれ。長としては百匹位ならばいなくても群れの維持ができるでな)


「そういう考えか。うん、分かった。必要になったら皆を集めてくれる?その時に話をしてそれでも来てくれるっていう子を借りていくね」


(うむ。それが今日の話の全部か?)


「うん、あ、早速なんだけど村に一匹いてほしいんだ。糞尿の始末やらゴミの始末やらで。誰か良い子いる?」


(・・・我が良かろう)


!???

「良いの!?いや、ロードさえ良ければ大歓迎だけど!群れは!?」


(この距離なら近い者からなら思念が届く。何かあればその時に行く。そも、別に何かを管理していたり助けていたりしていたわけではないからな。我がいてもいなくても変わらんだろう)


「・・・本当に?仕事はさっき言ったことしかないよ?」


(本当だとも)

と愉快そうにぷるぷる揺れる。


「あ~、じゃあ、お願いします?」


(承った)


・・・

・・・


「ここに皆糞尿を捨てるから、それを消化して欲しい。それで後はゴミとかも捨てられていたら、それも一緒にでお願い。動物や人間は消化しないでね」


(それだけか?)


「うん。・・・明らかに長に頼む仕事ではないんだけど、どうする?」


(いや、構わん。我が愛し子の村にいることが重要である故な)


「どういうこと?」


(なに、ハーヴィ達殿がいるなら万が一もないだろうが、もしも皆が居らぬ際に何があるかも分からぬ。その場合にここなら我でもすぐに駆けつけられよう)

あ、なんか凄い嬉しい。

そこまで考えていてくれたとは。

ぎゅっと抱きしめる。


「いつもいつもありがとうね、これからもよろしく」


(・・・どういたしまして)

と照れて赤くなっていた。

意外と照れやなのである、我等がスライム殿は。


・・・

・・・


さて、両親に言えなかったことがある。

それは本当に、スロールが持ってきてくれたものは地球のと同一なのか。

もっと言えば、似ているだけで毒性がないかである。

イネガル神様のことだから、99%は大丈夫と思うが・・・。

なにせ形が前世で食べてきた物の姿をしているのだ。

2000年に生きていた自分が、食べてきた物と同じ姿をしているのだ。

誰も品種改良をしていないだろうに。

ここからでもイネガル神様が地球の今の野菜を参考にしているのがうかがえる。

・・・自分がこの世界に遊びに来れるようになった時のためかもしれないが。


しかし、やっぱり心配なのだ。

そもそもスロールが持ってきたものが似ているだけの違う作物かもしれないということ。

そう、問題は、俺が彼女の持ってきた野菜が求めているのと同一のものか分からないのである。


よく「~に似ていたから山で採って食べたら、違うものだった」とかTVで聞いたし。

念には念を入れたい。

ジャガイモに似ていて、毒のある芋かもしれない。

カブもそうだ。

では、どうやって調べるか。

動物で安全性はある程度調べられているはずだ、そうお願いしたし。

ただ、動物が大丈夫でも人間には毒かもしれない。

では人間で調べるしかない。

誰が試させてくれるか、違う。誰であれば試して良いか。

村の人?論外。自分?論外、そもそも毒が効くか分からない。

そうすると自ずと答えは一つになる。

・・・日本人の感覚からすると、凄く、気は進まないが・・・奴隷を買う。

その為の資金は・・・これは上手くいけば村のためにもなるし、村の共同財産から出してもらうとしよう。


「ということで、来ました」


「どういうことか説明してくれんかの」

と苦笑いして出迎えてくれた村長。


改めて、スロールが幾つか新種の野菜を発見してくれたこと。

ただし、その毒性が人間では確かめられていないこと。

その為、奴隷に育てさせ、食べさせて確認したいこと。


「動物が大丈夫ならば、基本は人間も大丈夫だと思うのですが、確かめる必要はあると思います。何かあってもここならば龍の血で助けられますし、買う際には本人達にも毒見があることをちゃんと知らせます。もし、毒がないならば小麦が不作の時に対する備えの一つになりますし、毎日の食卓も豪華になります。また、農作業をする人手も増えることになりますから、更に農作物を育てられるでしょう。そして、もし作物が毒であるならばそれはそれで使いようがあります」


「ふむ、使いようとな?」


「毒性がどれだけかによりますが、強いのであればダンジョンの攻略用に。弱いのであれば・・・あぁ~、貴族の暗殺用とか?」


「あんさっ!!??」

村長さん、そんな人でないものを見る目で見ないで。やらないから。

っていうか、ヴィトを見るときと見る目が違う。

・・・これ、外道を見る目だ。


「例えばです、やりません」

ふんっと鼻を鳴らす。

人を何だと思っているのか。

「ただ、使い道はあるというだけですし、万が一、他国で食されるようになった時に止めることができるでしょう。知識は武器ですから」


「老人を驚かせるでないわい、それはヴィト殿の案かの?」

ん~、何て答えよう。

いや、こういう良くない考えを彼が持つと思われるのは嫌だな。


「いいえ、僕が考えました」


「ふぅむ」

こちらの目を覗きこまれる。

凄く、こう、何かを見通されそうです。

止めて!小市民にその目は辛いの!!

「・・・あまり奴隷を買うというのは好かんのだが」


「僕も嫌ですが、奴隷がいるのは変わりありません。ならば彼等に良い条件で買うのも一つの功徳でしょう」


「・・・ふむ、分かった。どうせお主の誕生日に送られてきておるものだしの。多少残しておいてくれるとありがたいのが本音だが、好きに使うとえぇ」


「ありがとうございます!」


「しかし、トールよ。本当に別人になったかのようじゃな。よく功徳なんていう言葉を知っておるの」


「みたい、なだけでトールのままです。我が家にはたくさんの知識を蓄えた龍達がおりますから、必然的に他の子よりも多くを覚えるだけだと思います」

では、と失礼させてもらうことにする。


「・・・・・・まぁ、えぇ。あまり気を張りすぎるでないぞ」


「ありがとうございます、村長も働き過ぎて身体を壊すことのないようにしてくださいね」


「ほっ、ありがとうの、奴隷を売買するところはあまり治安が良くないと聞く。気をつけて・・・うむ、あまり絡んできた者に怪我をさせんよう気をつけるように予め言っておくのだぞ」


「なんですかそれは」

と思わず笑う。

「分かりました、ちゃんと伝えておきます。失礼します」

と頭を下げて、退出する。


「・・・・・・明らかに子どもの考えることではないが「祝福と加護」のせいだけじゃろうか?まぁ、色々考えているようだしの、ヴィト殿もいるでの、良いか」

と村長は一人呟く。


・・・

・・・


そんなこんなをしていたら時間も遅くなったので夕食を食べてから、教会に向かう。

今回はヴィトについてきてもらった。

ここは失敗ができないためだ。


コンコンとドアをノックする。

「どなたですか?」

と神父のヤヒトさんが出迎えてくれた。


「夜分すみません。トールとヴィトです」


「・・・トール君はまた怪我でも?」

とジト目で言われた。

そんなに言われるほど・・・してますね、骨折が直ってすぐ決闘とかね。

はい、ごめんなさい。


「今夜は違います」

と苦笑いして答える。


「大司教様に聞いていただきたいことがありまして、参りました」

とヴィトがつなげてくれる。


「罪の告白などであれば私でも承れますが?」


「いえ、特に罪はないと・・・親を心配させているくらいです、ありますね。ただ、今日はちょっと違いまして」


「というと?」


「聖書についてうかがいたいことがありまして・・・」

とヴィトが言うと、


「解釈ですか?」


「いえ」

ヴィトはすぅっと軽く深呼吸すると、

「新しく聖書が作られるかについてなどです」


「新しく・・・聖書が?」

とヤヒトさんが首を傾げる。


「ここからはイワン大司教とのみお話させていただきたい内容になります、取り次いでいただけませんか?少し規模の大きな話になりますから」

とヴィトが微笑む。


さぁ、ここからは気が抜けない正念場だ。

気合を入れろ。

ここでのやり取り次第では争いに発展するかもしれないのだから。

人間世界を分かつ程に大規模で、救われないくらいどうしようもない理由による、争い、つまり宗教戦争が。

久しぶりです、うなぎうなぎです。

・・・えっ、前回の後書きに書いてあったことはどうしたって?

はい、申し訳ありませんっしたぁ!!(ジャンピング土下座)


なんかね、先のね、部分のね、ネタが頭から離れなくて。

そこを先に作っては文を推敲してみたりしてて・・・(言い訳



一つこの期間で仕入れたトリビアを披露するので許してください!

それは・・・






往年のジャンプでの名作 「流れ星 銀」はフィンランドでは国民的アニメになっている


皆さん読んだことあります?

素晴らしいですよ、犬が漢なの。男じゃなくて漢なの。

素晴らしい漢だらけなの、犬だけど。

どっかで機会があったら読んでみて下さいネ


それでは!(逃げ

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