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79話 頑張る日々 13「決闘前日と宗教怖い」

鉄の塊を下ろす。

あくまでも少しのトレーニングに留めないと。

決闘だ!って威勢よく言葉をたたきつけたくせに、言った本人が当日筋肉痛とか笑えるわ。


息を整える。

深呼吸、深呼吸。

す~・・・は~・・・。

す~・・・は~・・・。

す~・・・は~・・・。

す~・・・


「ところで、これらはどうするつもりですか?」

と蝋版を片手にヴィトが尋ねてきた。

さっき書いてもらったものについてだ。


「どうすると思う?」

汗を服で拭く。

・・・言っておくけど駄洒落じゃないから。

自身に言い聞かせる。


「ふむ・・・。王にでも売りますか?スラムは人間の世界ならいつの世でも頭痛の種でしょう。風呂や身体の清潔さの重要性もちゃんと話せるならば金になりましょう」


「いや、売るにしても王にじゃないよ」


「というと?」


「一つ、質問だ。地球にはたくさんの書物があった。紙が今のよりも随分と質も良く、安価だったしね。生きるのにもそんなに必死にならなくて良かった、自由な時間が割とあった。そんな中で一番売れた書物は何だと思う?」


「・・・教科書の類ですか?」


「・・・あぁ、それも一定の需要がある・・・いや、分類的には間違ってないか?あれかな?皆が学校に通うという前の話から連想したのかな?安価故に教科書は色んな店が作ったのが溢れていたからね、この教科書を使おうとかで、需要が分散してしまったのさ、残念無念間違いだ。答えは聖書さ」


「あぁ、・・・うん?神様がたくさんいる世界だったんですよね?」


「それでも政治のために唯一神を利用した例があるとも伝えたでしょ?唯一神を信じている人はそのためにかたくさんいるようになっていたのさ。そこの地域は文明の発達が早かったからね。たくさんの地域を自分の国の土地にした。文字を焼き払い、書物を焼き払い、言葉を変えさせ、そこの土地の神を悪魔呼ばわりし、自分の国の神を信仰させた。宗教や利害などでつながりが強くなっていると、群れとしても強くなるし、統治しやすいしね。そうして、そこの唯一神を信じる国が強くなればなるほど、他の神を信じている人達は減らされていった。最終的には世界の三大宗教と呼ばれるほどに信じられたのさ」


「文字を焼き払い、書物を焼き払い、言葉を変えさせる・・・」


「相手の文明を破壊し、自国の文明を植えつけるためだね。賢く、汚く、愚かで、相手の尊厳を踏みにじる、どうしようもないやり方だ、効率的だけどね、3代も後になればその勝者の文明こそを正しいと信じるだろうさ、子供の頃からそう教え込めば」


「言葉を変えさせる・・・言葉はそもそも違ったのですか?」


「あれ?言ってなかったっけ。言葉も文字も様々な種類があったよ、この世界は共通しているから楽だね、魔物も思念の伝達もできるし。言葉が違うと厄介でね、同じ種族でも異なる種族のように見えるのさ、少なくとも群れとしては完全に違うものとされるよね・・・異物の根絶に精を出したい奴等には絶好の餌だよ」


「・・・色々と興味が出てきますね、こう話していると。話を脱線させてすみません。それで、つまり売るならば・・・」


「教会だね」


「・・・・・・・・・・・・・一国の王を相手にするより、よほど手強いですよ?」


「大丈夫、教会とか、何かを信じている人の怖さは教えられるまでもない。むしろ教えることができるほどさ」

笑いがでる、そう・・・宗教は怖い。

ただし、味方につけばこれより心強いものはない。


「勝算は?」


「別に争うわけではないよ、さっきのほとんどの知識を無料で提供するよ、だから勝算なんて考えなくても良い・・・というわけでもないけどね。利用されないようにはできるし、利用されそうになったら、潰しても良い。新たな宗教を作るんだ。こっちには神の実の子がいて、神がその言葉を伝えるために使った聖なる体があり、神が公言しているんだ、僕と対話したことを。それだけあれば新たな宗教の拠り所になる。・・・絶対やらないけどね、泥沼の争いになるから。ただ、その辺は向こうも理解するでしょう、世界最高の頭脳の集まりのはずだしね。そして、向こうは知っているはずだし、知らなくても、知るはずさ」


「何をですか?」


「僕が好戦的だと」



・・・

・・・


その晩はスロールもスコールもいなかった。

色々と動いてくれているのだろう、感謝しかない。


「それにしても決闘ねぇ」

と夕食を食べながら、母さんがこっちをジトっとした目で見ている。


「・・・・・・」

目を逸らしつつ、黙って食べる僕。


「お母さん、そんなに喧嘩っ早く育てた覚えはないんだけど・・・この前の骨折事件も記憶に新しいわよね、トール?」


「・・・・・・ハイ」

目を逸らしつつ、答える僕。


「・・・はぁ、男の子ってこんなだったかしら?」

と母さんがため息をつく。


そうだよ!とか言えない。

わざわざ火に爆竹を投げなくても良い。


「まぁまぁ、ダイス君なんかよく突っかかってきてたみたいじゃないか、ねぇ?」

と父さんがハーティに言う。


「うむ、雄の子供なぞそんなもんだろう」

とハーティが答える。


「そうねぇ、でも怪我するのを見るのって親としては・・・ね?トール?」

母さんがこっちを笑みを浮かべながら見てくる。


「・・・・・・・エェ、イヤデスヨネ」

思わず片言になる。

僕が骨折した原因であるのは、家族が、自分が怪我するかもしれないことを行っていたからだ。

それを繰り返そうとしているのだ、反論?できません。

怪我することでステータスが上がる?

死から遠ざかることができる?

そういう論理ではないのだ、こういうのは。

だけど、馬鹿な自分ではこうしかできないというのも事実。

・・・・・・黙って怒られます、悪いのは全面的に僕です。


「分かってるなら良かったわ、とはいえ・・・」

と母さんが肩を竦める。

「今回のはトールが正しいと思うわ、ルリちゃんへの接し方は確かに良くなかったから」

だから、と続ける。

「今回はちゃんとダイス君に伝えてあげて、そのためなんでしょう?お母さん達の心配は気にしなくても良いから」


そう、向こうのお母さんにも心配をかけさせてもいるのだ。

どうしようもないなぁ・・・。

でも、


「うん、ダイスがより格好良くなれるように伝える、聞いてもあげるつもりだよ。荒っぽいけど。それに今回はそんなに怪我しないはずだよ」


「根拠は?」


「後から考えたけど、鉄の棒であれだけ打ちのめされるだけ動けたんだ、どれだけ加減されていたとしても、鉄を防具もなしに打ち付けられて、あれだけ向かっていけるなら頑丈さはそれなりにある。子供の拳なら当たり所さえ気をつけていれば大丈夫のはず。逆にダイスには鎧があるから、骨折させたりもしないだろうし。「祝福と加護」のおかげだね、たぶん、この体は鍛えた大人並みくらいにはもう動けるよ、戦闘に特化したジョブの人だと分からないけど」


「・・・ダイス君も「祝福と加護」を受けてるのよ?弱いものであったとしても」


「それでも、大丈夫だよ。だてに鍛えてもらったわけじゃない。痛さに対する覚悟が違う、実戦に対する心構えが違うよ」

と笑ってみせる。

「あぁ、そうだ、今日は何のお話をしようか。そうだなぁ・・・スコール達がいないから物語にしよう。昔々あるところに愚直な誠実で正義と愛を疑わない青年がいた。その青年が久々に王都へ来ると、見るも無残に荒れ果てていた。青年は近くにいた老婆に問う。盗賊でもでたのか、何があったのか、前に来た時にはこんなではなかったと。老婆は答える。全ては王によるものだ、人を信じられなくなった王が処刑していったのだという。青年は素朴な田舎で育ち悪意を知らなかった、だから単純に激しい怒りのまま、王の下に行き、切りかかる。もちろん、王は殺されることはない、近衛がいるからね。王を守る忠実で愚かな兵、国を守らず王を守る兵がいる。王は青年に問う。何故切りかかるのかと。青年は答える、王が人を殺すからだと。王は王という存在の孤独さと、周りに対する恐怖を語りきかせるが、周りに愛すべき人達がいて、悪意から守られてきた青年には届かない。青年を処刑する段になり、青年は王に乞う、愛すべき家族の結婚式が近く行われる、だからそれだけ見させてくれと、王はせせら笑いこう答えた。それで、そのまま逃げるのだろう?と。青年はそんなことはない、必ず戻り立派に死んでみせると言う。王は嗤う、そんなことができるはずがあるまいと。青年は王に自分の親友がここにいる、彼を捕まえておいてくれ、自分が戻らなければ彼を殺すと良い。僕は必ず彼のためにも戻ると。王は嗤う、まぁ、良かろう。どうせその友も人を信じられなくなり、絶望し、死ぬのだ。もう戻ってこなくても良い、その様を見るのも一興だと。・・・そして青年は・・・・・・・・。


・・・

・・・


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・そして、王は彼等を称えた。ここに真実の愛は証明されたと、どうか自分もその中に入れてほしいと。その後、治世は良きものになり彼は名君と呼ばれることになりました。めでたし、めでたし」


「語りが上手だねぇ、トールは」

と父さんが笑いかけてくれた。


「ありがと、所々作ってしまっているけどね、作者に申し訳ない」


「いやいや、そもトールが語らなければこの世界では広まらなかったのだ。物語を書いたということは世に伝えたいことがあったのだろう。それをこの世界でも伝えられたのだ、少し違う形になってもな、良いことではないか?」

とハーヴィ。


「そうかな?」


「そうとも」


「ありがと」


「しかし、この主人公は・・・・・・本当に馬鹿だな・・・・・もうなんというか、馬鹿だな。やる前に心残りを残すなという、というか馬はどうした、馬を操れずとも、馬車などを無理にでも奪えば良かろう」

としみじみ言うハーティ。


「あはは、冒頭で語ったように愚直で正義感に溢れている青年だからね、ハーティが言ったことには全面的に賛成だよ、実は語っときながら、アレだけど。あまり好きでない物語でね、この物語の教訓はなんだと思う?」


「愛の素晴らしさでしょう?」

とヴィト。


「と、学校では習いもする。けど、僕はこう思う。やるならば徹底的に計画を立てるべし、と。王を殺すならば確実に。心残りがあるなかで決死の覚悟で何かをやろうとか馬鹿馬鹿しい。心残りは全て消し、親友も王都から逃がし、自分がどこから来たか探れないようにし、王を狙うべきだ。失敗したなら、周りに迷惑をかけずに潔く死ねと。あるいは正義を盲信する馬鹿はいきなり切りかかる恐れるべき者だとも」


(ふむ、徹底的に計画を立てる。それが今日のお願いされたアレか?)

とハーヴィが思念で尋ねてくる。


(そうだよ、あ、あとで従魔達で僕が誰に何をお願いしていたかを思念の伝達で共有しておいて、決して言葉に出さず。思念の伝達は盗聴されたりする?)


(ふむ・・・どうだろうな、そんなことを試みようと思う魔物はおらんし。人間にはそもそも思念の伝達はできまい?一部のテイマーならば別だが・・・そうすると、思念の伝達について知っている者は少ない、しかも盗聴について思いを巡らす奴がどれだけいて、その技術の確立ができたものがどれだけいるか・・・できないと考えたほうが良かろうさ)


(・・・・・・・・・・いや、できれば結界を貼ってくれ。できるやつがいるかもしれないという時点で問題だ。結界を貼れば大丈夫かな?)


(うむ、伝達距離を極めて短くし、近寄る者がいれば分かるような結界を貼ろう)


(では、そうしてくれ。あと、ヴィトにはゴブリンの群れにリッチを送り魔法を教えるように伝えておいて。リッチキングでも構わない、群れで魔法を使えるというのが重要だ、早急な課題だとも)


(了解した)


「・・・トール?」

と母さんがいつの間にかこちらを覗き込んでいた。


「・・・どうしたの?」


「途中からぼーっとしていたから、大丈夫?」


「あぁ、ハーヴィに地球のことで聞かれたから答えていただけだよ、それはまた今度話すよ。今日はもう寝よう?」


・・・

・・・


暗い中で考える。

多産多死がこの時代の当たり前の考えだ。

この村はどうだろう?

多死はない、そうすると多産のみが残る。

人口ピラミッドは適切か?

寿命はどれくらいだ?

そもなぜ多産か、この時代だと労働力の確保、女性の楽しみが育児であった、血筋を残すため?

あとこれは僕なりの考えだが、後進国では娯楽が男女の交わりくらいしかないから多産だという話を聞いたことがある。それもあるんじゃないだろうか?

そうすると・・・あまり考えたくないが従魔が一緒に寝ているから、両親は溜まっ・・・・・・。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・週に何回かは外で寝ようかなぁ。教会とか。

弟か妹か・・・・欲しい気もする。

・・・・7才で考えることではないなぁ。。。

いけない、いけない。

とりあえず、明日の決闘のため寝なきゃ。

お休みなさい。


皆さん体調はいかがでしょうか。

喉風邪が流行っていますね、お互い気をつけましょう。

乾燥しているのが良くないらしいですよ。


・・・まぁ、うなぎうなぎは更新が滞ったところから察していただけるように、もう喉を痛めましたが。

もっふぅ。。。。

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